“好きな場所で好きなことをやる”愛媛県大島で夢見た生活を送る。

 

カタカタ、カタカタカタ--。

古い日本家屋に規則的なミシンの音が響く。

思い描いたものが立体になっていく。そこが靴作りの魅力ですね。

年季の入ったミシンの前に腰掛け、中田克郎さんはほほ笑んだ。

愛媛県今治市街地から車で10 分、来島海峡大橋の先にある大島・吉海地区に、中田さんが営むフルオーダーメード靴のアトリエ「製靴 暁」はある。

靴作りは、顧客と向き合うことから始まる。

足型の計測、素材選びなど対話を重視し、デザインを決めていく。

完成まで3 ~ 5 カ月。靴の原型となるパターン(型紙)を作り、革を裁断、糸をより合わせ、縫製する。一足の靴ができるまでに必要な作業のすべてを、中田さんはたった一人で行っている。靴を注文するにはアトリエまで出向かなければならないが、丁寧な仕事ぶりが評判を呼び、訪れる人は後を絶たない。

しまなみ海道の観光途中に立ち寄る方もいます。

キラキラ輝く海と、どこまでも広がる青い空。

その中を走り抜けていく海道の気持ちよさに引かれ、中田さんが大島へ移住して間もなく丸3 年になる。

人生一回きり。好きな場所で好きなことをやるのも悪くない。

会社の定年に左右されることなく大好きな靴作りを続けることを決め2013 年、40 歳で退職。大阪の「西成製靴塾」で靴職人の花田和夫さんに師事し、靴の成型と底付けの技術を身につけた。翌年、母の知人の紹介で見つけた古民家をアトリエとしてリノベーションし、大島での1 人暮らしが2015 年1 月、いよいよ始まった。

 

充実した島暮らしを満喫する一方、畑を荒らすとして地元で駆除されるイノシシの皮を加工した「シシレザー」との出合いもあった。野生なので革の厚みはまちまち。傷も残るが、均一ではないからこそ、靴の素材としての面白みを感じる。ライフワークとしての靴作り、気の合う仲間との穏やかな日常。会社員時代、満員の通勤電車に揺られながら夢見ていた生活は今、かないつつある。

いずれはデザインや試着用のサンプルを増やしたい。アトリエもより快適になるよう手を入れていきたい。

かなえた夢の先に、新たな目標を見つけた。

 

引用先:https://mainichi.jp/articles/20171127/ddf/012/040/003000c

 


 

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