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地方創生で多くの地域と関わるプロデューサー・杉山泰彦が、休日も頻繁に訪れる村とは

MAY. 21

Neba, NAGANO

前略
周りの目を気にせず、思いっきり「遊びたい」と思っているあなたへ

彼との出会いは今から約2年前になる、2016年11月。当時くすぶっていた私に初対面の彼は「俺が幸せにしてやるから、3日間一緒に根羽村について来い」と言った。「根羽村ってどこ?」そんな状態の私は、なぜか彼に着いていくことをその場で決めたのだった。

2年も前になると何故そんな決断をしたのかは覚えていない。ただ1つ、2年も経った今だから言えることがあるとすれば、今も昔も変わらず、何故か彼には「初めまして」の人を魅了し、惹きつけてしまう力がある。

そこには、生まれた時から彼が持ち合わせている人柄もあるだろう。しかしそれ以上に、彼の人生経験や可能性を信じる力が人を惹きつけているのだと私は思っている。

今回はそんな彼の人生や、多くの地域に関わりのある彼が、特に通い詰めている長野県根羽村への想いについてちょっとばかりお話したい。

「やらなきゃ」ではなく、自分の「やりたい」ことをやろう。

まずは「彼」の紹介からはじめよう。「彼」は杉山泰彦(通称:マギー)さん、26歳。1年前に地域プロデュースを行う株式会社WHEREに入り、地域の生産者と全国の消費者を結ぶ、新たな担い手である地域プロデューサーとして活動。今まで仕事で関わった20の地域からは、絶大な信頼を受けている。

地域プロデューサーとして地域を飛び回っているマギーさんだが、地域の魅力に気付いたきっかけは、意外にも社会人生活が1年半も経った頃。

新卒でバリバリのベンチャー会社に就職し、とにかく「1位を獲って幸せになるんだ」と必死で働いていた。そんなある日、友人に「連れて行きたい場所がある!」と言われて連れて行かれたのが、人口わずか2,000人の小さな村「奈良県東吉野村」にある「OFFICE CAMP」という場所だった。

そしてこの場所で、マギーさんの価値観を大きく広げる、坂本大祐(通称:大祐)さんと出会う。大祐さんは東吉野村に在住し、商品や店舗のデザインなどを手がけ活躍するデザイナーで、OFFICE CAMPの立ち上げ・運営を行っている方でもある。

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今までは「1位を獲ることこそが幸せだ」と思っていたマギーさんにとって、山奥で生き生きと自分のやりたいことをやって、地域を盛り上げている大祐さんの姿は衝撃だった。「1位を獲る、それだけが成功者の道ではないかもしれない」そう思った。そしていつしか「大佑さんみたいな40代ライフがいい」そう考えるようになっていった。

仕事を越えた繋がりを持つ長野県根羽村

株式会社WHEREに入社してからは、地域プロデューサーとして最前線で様々な地域と関わってきた。実際に仕事をした地域はこの1年間ですでに20地域にも及ぶ。

自分に見えている地域の魅力をみんなに共有するのが楽しい。自分の知り合いが地域を超えて繋がっていくのが楽しい。 この人がこの地域に来たら何が起きるんだろう?といつも考える。
杉山泰彦 株式会社WHERE

東吉野村で大祐さんに出会い、自分の「やりたい!」を実現させる方法が一つではないと知ったマギーさんは、この生き方をより多くの人に届けたいと、日々楽しみながら働いている。そしてその中でも、マギーさんにとって長野県根羽村は特別だ。

ここで少しだけ、根羽村について紹介したい。長野県にある根羽村は、愛知県との県境にある地域。村の92%を森林が占めており、人口はわずか950人という小さな村だ。この小さな村にマギーさんは、1年間ですでに20回以上も訪れているというから驚いた。

最近は地元の人たちの世間話に加われるようになった。

 
「総務課の課長の娘さんが今年、高校を卒業しましたね」 「大学からは一人暮らしをするみたいですよ」みたいな感じでね(笑)
杉山泰彦 株式会社WHERE

確かによくマギーさんから「根羽村」という言葉を耳にする。仕事関係で、根羽村のHPやECサイトを作成しているからという理由もあるが、彼はプライベートでも田舎で遊ぶ大人の部活動として「ネバ部」を立ち上げ、社内社外問わず、3ヶ月に1度は根羽村で遊んでいる。

「ネバ部」は、田舎で生きる上で身につけてきた技術に触れてもらう場として、根羽村に住んでいる方を先生として進めている。内容は先生によって丸っ切り異なるため、何度訪れても飽きることはない。

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例えば、ネバ部記念すべき第一回目の活動は「今村さんと一緒に川へ飛びこもう」の会。東京都荻窪出身で、山が好きすぎて長野県に婿入りし、森林組合員として活動している今村さんと一緒に根羽村にある秘境の川や滝壺に飛び込む、というなんとも斬新な内容だった。

他にも「ホームセンターの備品だけでロケットストーブをつくる」会では、木の伐採から薪割りまで行い、最後には割った薪で火を起こし、猪鍋を食べた。

地域の方お手製の「猪鍋」
地域の方お手製の「猪鍋」

杉山泰彦が信じる根羽村の未来とは

なぜマギーさんはこれほどまでに根羽村に関わるのだろうか。理由はとてもシンプルだった。根羽村に大きなポテンシャルを感じているから。そしてポテンシャルがあるにも関わらず、まだ「くすぶっている」地域でもあるからだ。

根羽村は、人のポテンシャルが本当に高い。みんな自分の哲学を持っていて「自分」という個で存在している。そして「やらない」という選択肢がないから清々しいんだ。こないだ牛舎を作った人にお会いして「作り方知っていたんですか?」と聞いたら、「知らないよ。でも人がつくっているのだから、俺にもつくれるだろう」という答えが返ってきた。
杉山泰彦 株式会社WHERE

根羽村の人は遊ぶように生きている。「やらなくちゃ」で生きている人は一人もいない。だからこそ、都会で疲れた人たちが根羽村の大自然を使って遊ぶ中で、大切なものに気づかされ「また明日から頑張ろう」と思える。

根羽村は、生き方を学ぶ場所になっていくと思うんだ。
杉山泰彦 株式会社WHERE

そう語るマギーさんは本当に楽しそうで、インタビュー後半にも差し掛かると「こんなに根羽村のこと話していたら、行きたくなってきた。生き方を学ぶ場所として認知されるために、次は何を仕掛けようかな」と考え始める始末。

マギーさんがなぜこれほどまでに根羽村に関わるのか、その理由はもしかすると、もっとシンプルなのかもしれない。

きっともっとシンプルに、マギーさん自身が根羽村や根羽村に住む人たちに惚れてしまったのだ。

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