オーガニック
岐阜県多治見市にある「LaF the organics(ラフジオーガニクス)」。ここはオーナーの日比野さんが奥様と一緒に素材にこだわったコールドプレスジュースを提供しているカフェ。できる限り、自然栽培で育てられた無農薬の野菜や果物を使った日比野さんのジュースは、安心安全なのはもちろん、体調不良にも効果覿面のため、遠くから足を運ぶお客様も多いそう。
そんな日比野さんですが、数年前まではアパレルや工場で働いていた一面も。飲食には全く関わっていなかったという日比野さんが、奥様と新しく地元ではじめたカフェとその想いについてお話を伺いました。
サラリーマンとして働いていた頃から、いつかお店を開きたいと漠然と思っていた日比野さん。お店は、洋服屋さんでも、飲食店でも、雑貨屋さんでも特にこだわりはなかったそう。自分に発信できるものはなんだろうと考えていた矢先、奥様との間にお子さんが誕生します。
「子どもが生まれてすぐ乳児湿疹になったんです。アトピーに近いものなんですが、顔がボロボロになってしまって。ベビーソープで清潔に洗っていたんですが、日に日に悪化している状態でした」
病院へ連れて行くと、ステロイドを塗るしかないと言われます。一度塗ってしまうと抜け出せなくなると言われるくらい強い薬を塗ることに抵抗があった日比野さんは、インターネットで他の方法がないか探したと言います。
「そこで “自然療法” を初めて知りました。簡単にいうと東洋医学の考え方で、 “何もせずに、自然の力で治す” という治療法なんです。顔を濡らさない方がいい、お風呂にも入れない方がいいと書いてあったので、半信半疑でしたが試してみました」
すると、みるみるうちにお子さんの顔が綺麗になり、1ヶ月後にはツルツルになったんだそう。
「本当に驚きました。強い薬でしか治らないと言われた子どもの湿疹が、自然療法で治ったんです。このことがあって、もしかすると自分の病気も治るかもと思い、自然療法を試してみました」
実はサラリーマン時代からクローン病を患い、薬と点滴を打ちながら生活していたと言う日比野さん。東洋医学では、病気の主な原因は “ストレス” と “添加物” だと考えられていることから、食生活をオーガニックのものへと切り替えていきます。「徐々に調子が良くなっていったんです。熱や体の疲れが軽減していく感覚がありました。これはすごいかもしれないと思って続け、今は薬も点滴も一切やめています」
ご自身の経験から、食べ物や身体に塗るものを変えることで、健康になれると気づいた日比野さんは、念願だったお店を “オーガニック専門店” としてオープンすることを決めます。
「いろんなことを調べれば調べるほど、世の中で “安全だ” と言われているけど、実は “安全ではない” ものってたくさんあることを知りました。今の日本は、少しでも頭が痛いと、病院で薬をもらって飲むのが当たり前ですよね」
「私たちの身体は基本的に食べるものや塗布するものに大きな影響を受けています。だから不自然につくられているものを避けていくことで、身体は本来の力を取り戻し、良い状態への変わっていきます」
栄養の吸収が悪くなるクローン病を治すために、栄養が豊富な野菜や果物を美味しく、効率良く摂り入れられるようにと、以前から自分と家族用に作っていたコールドプレスジュースをお店の看板メニューに。
昔から焼き菓子を作ることが趣味だった奥様も、お子さんのことをきっかけに材料にこだわった焼き菓子を焼くようになったそう。こちらもお店でいただくことができます。
他にも食べ物だけでなく、オーガニックの洗剤にもこだわっている日比野さん。ご自身でも使っている安心できる洗剤をお店でも売っています。
「ジュースがあって、雑貨があって、コーヒーや焼き菓子もあって、ずいぶん変なカフェですよね(笑)」
まるで日比野さんのお家が大きくなったかのような感覚になるお店は、オープン当時から変わらず奥様と2人で営業されています。
「普通だったら奥さんは止めると思うんですが、”好きなようにやっていいよ” と言ってくれたんです。”毎日楽しそうに過ごしている方が、子どもに人生を楽しむ姿を見せることができるからその方がいいよ” と言って背中を押してくれました」
「当時はお金もなかったので、奥さんと二人三脚、気持ちひとつで始めましたね」
微笑みながら幸せそうに当時のお話をしてくださる日比野さんが印象的です。
オープン当時から地域の人はもちろん、Instagramを見て訪れる県外からのお客さんも多かったそう。
「コールドプレスジュースはとにかく作るのに時間がかかるんです。オープン当時は睡眠時間を削って絞っていましたが、それでもすぐに完売してしまい、せっかく来てくださったお客様にジュースを選んでいただけないことが続きました」
多治見市は美濃焼やタイルの生産地として有名で、モザイクタイルミュージアムや今だと、朝ドラのロケ地など観光スポットも充実しているので、多治見市に来てくれたお客様が寄ってくださることもあるそう。オープン当時は、経験も少なかったことから、効率良くジュースをつくることや客足を読むことが非常に難しかったと言います。
「今はジュースを予約できるようにもしているので、安定してきました。お客さんの体調を伺いながらジュースをお勧めさせてもらうこともします。次にお店に来てくださった時に、”体調よくなったよ!” とお声がけいただけることが何よりも嬉しいですね」
「以前友人が突発性難聴になってしまった時があったんです。お医者さんにはステロイドしかないと言われてしまったと相談に来てくれて。東洋医学をいろいろ調べたら、鍼がいいと出てきたので、鍼とお店のデトックスジュースを勧めて1ヶ月ほど続けてもらったら、すっかり良くなったんです」
身体の内側から見直すことで、元気になっていくことが嬉しいという日比野さん。野菜も果物も季節によって旬のものが変わるからこそ、素材の勉強をしながら、季節に合わせて常時8種類のコールドプレスジュースを提供しています。
日比野さんはこの他にも、町の方や時には県外の方とも連携してお店でワークショップも行われているそう。
「顔ヨガのワークショップが一番人気です。いつもInstagramで募集をするのですが、すぐに埋まってしまします。その他にも、アロマやハーブのワークショップなども行っています」
お客様の方から持ち込みで行われることもあるくらい、盛り上がっているワークショップ。今後はより地域のお店と連携しながら、地域を盛り上げていきたいと言います。
「お店を始めてから知り合いの方も増えました。この辺りは珍しく、個人経営のお店がたくさんあるので、飲食店はもちろん、飲食ではないお店と一緒に何か地域を盛り上げていく活動ができたらいいなと思っています」
「オーガニックのお店ですが、オーガニックに特化した活動というよりは、みんなの個性を活かし合いながらワークショップやマルシェなど面白いイベントができたらいいですね」
LaF the organicsでは基本的に “絶対にオーガニックが良くて、絶対に添加物はダメだ!” という考え方はしていません。オーガニックは丁寧に誠実につくられている分どうしても値段が高く、身の回りの全ての物をオーガニックに切り替えることは、とてもハードルが高いことだと言います。
「僕らとしては “少しづつでいい” と思っています。始める時には、調味料が一番始めやすいと思うので、まずは塩だけ良いものにしてみるとか、醤油だけとか、本当に少しづつでいいんです。身体、特に食べ物だと舌が変わります。体感を得ることで価値を感じてもらうきっかけになれば嬉しいですね」
「オーガニックと考えず、可愛いと手に取ったものがよくて自然にもいいオーガニックだったらいいなと思っています。なのでお店の雰囲気作りや、商品のパッケージなどにもこだわりました」
お店の名前である “LaF the organics” の “Laf” には日比野ご夫妻の3つの想いが込められています。
・“健康を失って、本当に大切なものをみつけた” という意味の “Lost and Found” の頭文字
・オーガニックを皆さんに “気軽に”(Rough)に捉えていただきたい
・お店に関わる皆さんに “笑って”(Laugh)いただけるように
「最近元気がでないな」「体調が優れないな」と思われているあなたは、ぜひ一度お店に足を運んでみてはいかがでしょうか?
さらに、日比野ご夫婦がつくる、おいしく美しい、コールドプレスジュースはオンラインストアでもお楽しみいただけます。ぜひご覧になってみてくださいね。
Information
場所に縛られずに、 オモシロい地域や人と もっと深くつながりたいーー。
LOCAL LETTER MEMBERSHIP とは、「Co-Local Creation(ほしいまちを、自分たちでつくる)」を合言葉に、地域や社会へ主体的に関わり、変えていく人たちの学びと出会いの地域共創コミュニティ。
「偏愛ローカリズム」をコンセプトに、日本全国から “偏愛ビト” が集い、好きを深め、他者と繋がり、表現する勇気と挑戦のきっかけを得る場です。
<こんな人にオススメ!>
・本業をしながらも地元や地域に関わりたい
・地域で暮らしも仕事も探求したい、人が好き、地域が好き、旅が好き
・地域を超えた価値観で繋がる仲間づくりがしたい
・社会性の高い仕事をしたい
・地域や社会課題を解決する事業を生み出したい
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Editor's Note
自分の身体は気をつけないとなかなか大切にできないものだったりしますよね。身体をつくるのは食事からとわかりつつも、なかなかおざなりになってしまうことも…。だからこそ、日比野ご夫婦のコールドプレスジュースを取り入れてみることからはじめるのもいいかもしれません。^^
NANA TAKAYAMA
高山 奈々