地域から探す


HOKKAIDO
北海道
地域で暮らしたい、地域おこし協力隊にも魅かれる。でも、新しいことを立ち上げたり、人前に立って旗を振ったりしたいわけじゃない。正直、得意でもない。むしろ、同じ作業を毎日丁寧に繰り返す方が向いている。その先に誰かの笑顔があれば頑張れる。3年とは言わず、もっと時間をかけてゆっくりと地域に溶け込み、根を張っていきたい。
そんなアナタに届けたい募集があります。
場所は、函館市から車で約1時間半。北海道南西部、日本海側に面したまち・乙部町(おとべちょう)。海と山に囲まれた自然豊かなこの地で、今回はじめて「ビールの醸造」をミッションとした地域おこし協力隊の募集が始まるのです。
「地域おこし協力隊」で「醸造担当」と聞くと、 いろいろな想像がかき立てられるかもしれません。
自分でレシピを考えて、新しい商品やお店を立ち上げるのかな。
お酒に精通していないと難しいのかな——
実は、今回の募集はむしろ逆。
受け入れ先は、北海道乙部ブリューイング。乙部町のミネラル豊富な天然水「Gaivota(ガイヴォータ)」を100%使用し、地元産の原料にこだわったクラフトビールを醸造するブルワリーです。その味を守り、誰かの笑顔をつくり続けるのがアナタのミッション。任期終了後は希望に応じて社員登用・キャリアの広がりも。
同社支店長の甲谷(かぶとや)さんと、乙部町役場の安澤(やすざわ)さんに、募集の真意を伺いました。



北海道乙部ブリューイングは、長野県で健康食品を取り扱う「株式会社アドバンス」が経営母体です。良質な湧水が豊富な乙部町に着目し、2015年ごろから天然水「Gaivota」の販売を開始。やがて、この口当たりまろやかな水を使っておいしいビールをつくりたいという想いから、醸造事業が始まりました。
ビールづくりを行うのは、函館湯川ブリュワリーと乙部ブリューイングの2拠点。開発は湯川、量産は乙部、と明確な線引きがあるのだそう。
函館湯川ブリュワリーでは、150リットルの小型醸造設備を備え、地場の産物を使った新しい銘柄や限定ビールをつくるのが主な仕事です。

一方、乙部ブリューイングが担うのは大量生産。函館湯川ブリュワリーから運ばれてくるビールの瓶詰めと、ペールエール、ホワイト、IPAの3種類の定番ビールを醸造・瓶詰めしています。

「味・香り・苦みが同じものを大量につくり、全国へ出荷するのが乙部ブリューイングの任務です。ひとつ工程を間違うと、色が濁ったり味が変わったりするため、クレームにつながります。手順をきちんと守って品質を担保する責任感が非常に重要な仕事なんです」(甲谷さん)
6時半から15時半までの勤務時間で、500リットルのビールを1週間に2回仕込むスケジュール。
毎日の作業も曜日ごとに決まっており、月曜日・火曜日はケグ樽(50リットルの樽)醸造釜、発酵タンクの洗浄、水曜日・木曜日は仕込み作業、金曜日は瓶詰めと清掃を行います。土日祝日は休みになるため、プライベートの時間もしっかり確保できます。

着任後は、30代の醸造責任者と2人体制で作業を行うことになります。
力仕事も多く、ケグ樽をたくさん運ぶ場面もある醸造の仕事。体力に自信がある方や、製造に集中するために社会人経験のある方だと心強い、と甲谷さんは話します。
「とはいえ、製造工程がきちんと決まっているので、醸造に関してはむしろ未経験の方を歓迎します。仕込みの手順は指示書としてまとまっていますし、周囲のサポートもあるので大丈夫です。決まったルールを素直に守り、謙虚に学ぶ姿勢がある方だとスムーズなのではと思います。
お酒にも詳しくなくてまったく問題ありません。『ものづくりに関わってみたい』という気持ちがあれば、十分挑戦していただけます」(甲谷さん)

この仕事のやりがいはなんでしょう?
そう尋ねると、甲谷さんはしばらく考えたのち、「…ないかもしれない」と困ったような笑顔を浮かべました。
「ほんとにね、毎日同じことの繰り返しだから、すぐに飽きてしまう人もいると思います。
でもね、手順を守ってできあがったビールを飲んでみて、味・色・苦みともに前回と同じものを再現できたとき『よかった、今回も成功した』と、ほっとした気持ちになるんですよ」(甲谷さん)
ルールに従って毎日決まった作業を繰り返す。そういう意味では、地味な仕事かもしれません。
でも、その再現性の先にこそ、この仕事の喜びがあるのかもしれない——甲谷さんの言葉から、そんな想いが伝わってきました。

そんな誠実な仕事をお願いするからこそ、「長く働いてもらえる人」を求めている、と甲谷さんは強調します。
「私たちとしては、2〜3年の腰掛け感覚ではなくて、長く乙部町に住んでいただける方がありがたいなと思っているんです。もちろん会社として採用募集したこともあるのですが、履歴書や面接だけでその意思を判断するのはなかなか難しい面もあり…。
地域おこし協力隊なら、地域に根ざしたいという考えを持った方がより集まりやすいのではと考え、役場に相談したのが今回の募集のきっかけでした」(甲谷さん)

これまでも乙部町は、農業支援などをミッションに地域おこし協力隊の募集を行っています。安澤さんに任期終了後の定着率を尋ねると、「過去のデータでは半数の方がそのまま乙部町に住まれています。けっこう良いほうではないかと考えています」とのこと。
「ご夫婦で協力隊として移住された方や、旅行で訪れて景観に惚れて移住した、という方もいました。
逆に他の地域へ出て行かれた方の理由は、地域にうまく馴染めなかったり、任期が終わった後にやりたいことが見つからなかったり、などが挙げられます」(安澤さん)
前者は住んでみないと何とも言えません。ですが、就職先に関しては、今回の募集は手厚いと言えます。任期終了後は、本人と株式会社アドバンス双方の意向を確認したうえで、同社へ就職することができるのです。
「就職後は、引き続き醸造の仕事をお願いするとともに、ご本人の希望や適性に応じて乙部ブリューイングの併設レストラン『Guild Endeavour(ギルドエンデバー)』でのホール業務や、商談会・催事への参加などにもキャリアを広げていただけます。自分でつくったビールを、目の前でお客様に手に取っていただく貴重な体験ができます」(甲谷さん)


ともに乙部町出身の甲谷さんと安澤さん。「常に中から見ているので、この地の魅力に気づけていない部分もあるかもしれない」と甲谷さんは笑います。

「移住してくる方からは『景色が本当にきれいなところだよね』とよく言われます。日本海側に面しているので、夕日と水平線が重なる時間帯があるんですよ。そこに薄く雲がかかって、遠くに奥尻島が見える。ずっとここに住んでいるから見慣れているはずなのに、この景色はいつ見ても良いなと思います」(安澤さん)

飲食店や買物ができる場所も人口規模にしては必要十分に整っており、暮らしやすいのだとか。保育園や学校もきれいで、子育て世帯にも安心だといいます。
また、自然の海を巨大な防波堤で囲った「海のプール」は、子どもから大人まで楽しめる施設として人気。夏場の約1ヶ月限定でオープンする海水浴場です。

「防波堤で大きい波がガードされているので、小さな子どもでも安全に遊べます。シーズン中の土日祝日には、ウニやホタテの手づかみ体験があり、持ち帰って食べることもできます」(安澤さん)

「8月の第一日曜日には『元和台マリンフェスティバル』が開かれ、チームでイカダを漕いでタイムを競うイベントやスイカ割り大会などで大いに盛り上がります。
この施設は札幌など他の市町村からも遊びに来る人がいるほど、人気スポットなんですよ」(安澤さん)

さらに、住居にも手厚い支援が。地域おこし協力隊として着任すると、まちの公営住宅が確保されています。家賃補助も受けられるほか、任期終了後も部屋の紹介を受けることができるなど、サポート体制が整っています。
自然に囲まれ、まちの人と関わりながら自分の時間も大切に楽しむこと。
地域に根ざし、しっかりと仕事をすること。
この2つがバランスよく整うのが、乙部町での暮らしの魅力と言えます。
知らない土地で、新たな仕事をしながら地域おこし協力隊として働く。
大変そうにも見えますが、その点も心配しないでほしい、と安澤さんは言います。
「制度のことや暮らしのことは、私にいつでも相談していただけたらと思います。さらに、今回は一般社団法人 道南地域おこし協力隊ネットワークにも支援いただいています。活動のしかたや地域とのコミュニケーションのしかたなどを相談できるほか、近隣で活動する現役の地域おこし協力隊や、任期を終えたOB・OGと交流するきっかけづくりもお願いしています」(安澤さん)
今回の取材にあたり、同ネットワークの藤谷さんから、「しっかり仕事に取り組みながら 納得して乙部での暮らしを楽しんでいれば十分です。それが地域にとっての成果にもなります」とのメッセージもいただきました。

また、「移住体験住宅」が整備されているのも乙部町の特長のひとつ。まちでの暮らしに興味を持った人向けに、5〜90日、格安で滞在することができる住宅です。「はじめて北国で生活する方にも、安心して移住を検討してもらえたら」という想いでつくられました。

「少しでも乙部町が気になったら、まず一度、この移住体験住宅で暮らしを体験してみてほしいです。完全移住と比べてコストもかかりませんし、気軽な旅行感覚で試していただけたら。実際に景色を見て、おいしい食べ物を食べて、着任後の生活を想像したうえで決めてほしいと思っています」(安澤さん)
「事前に心配ごとを無くして、長く住んでほしいですね。ビールづくりと向き合いながら、私たちも気づいていないような『乙部ならでは』の魅力を、外へ発信していただけたらうれしいです」(甲谷さん)
乙部町の良さを満喫し、のびのびと毎日を楽しむこと。
日々のルーティンワークで雑念を振り払えることが、その理想の暮らしをより後押ししてくれるのかもしれません。
じっくりと腰を据えて土地の魅力を見つめてみたい。そんなあなたは、乙部町での暮らしを体験することから始めてみてはいかがでしょうか。
<募集人数>
■1名
<勤務地>
北海道乙部ブリューイング(北海道爾志郡乙部町館浦686−2 )
<業務概要>
醸造関連: 原料(麦)の粉砕、仕込み、麦汁移送、発酵タンクの温度管理など、指示書に基づいた作業が中心です。同じ味を再現することが最も重要で、難しい部分でもあります。
瓶充填・出荷: 瓶やペットボトルへの充填、ラベル貼り、出荷作業を行います。
洗浄・清掃: 醸造機器のアルカリ洗浄や熱殺菌、樽洗浄(アルカリ洗浄→熱湯すすぎ)など、衛生管理の根幹を担う重要な作業です。
事務作業・地域協力活動:定期面談(月1回)、報告書の作成、研修受講、活動報告会への参加(年1回)などを実施していただきます。
<向いている人・マインド>
■ライフワークバランスを大事にしたい方
■地域資源を活かしたものづくりに興味がある方
■どちらかと言うとルーティンワークのほうが働きやすい方
<必須スキル>
■重いものを持てる(樽を運ぶなど重労働があります)
■基本的なパソコン操作ができる
■普通自動車免許を有する
■基本的なPCスキル(Word・Excel)がある
<歓迎スキル>
■まずはやってみようと前向きに取り組める方
■良い意味でこだわりが強くない方
<勤務時間>
週5日 平日勤務
原則1日8時間勤務
基本シフト: 6:30〜15:30(休憩1時間)
※早朝勤務により、トラブル発生時も余裕を持って対応でき、レストランのランチ営業時間中の作業を避けるため。
※本人の希望があれば「8:30〜17:30」のような一般的な時間帯にも調整可能。
<雇用形態・期間>
【雇用形態】
会計年度任用職員として町長が任用します。
※地方公務員法に基づく服務の各規程が適用されます。
【雇用期間】
任期は、採用年度の年度末(3月31日)までとします。
その後は町が認めた場合は、任用期間を最長3年まで延長します。
また、町が協力隊員としてふさわしくないと判断した場合には、任用期間中であってもその職を免ずることができるものとします。
【雇用期間】
任期は、採用年度の年度末(3月31日)までとします。
その後は町が認めた場合は、任用期間を最長3年まで延長します。
また、町が協力隊員としてふさわしくないと判断した場合には、任用期間中であってもその職を免ずることができるものとします。
<給与・賃金等>
月額 240,000円
・公営住宅を町が用意し、月額家賃を支給します。(生活備品および住居に係る共益費及び光熱水費等は自己負担)
※ただし、入居時の敷金(家賃3ヶ月分)は自己負担となります。(退去時に返却)
<福利厚生>
・社会保険等(健康保険、厚生年金及び雇用保険)が適用されます。
・職務時の怪我等は町の非常勤職員公務災害補償制度が適用されます。
・職務時は公用車を使用することができます。
・職務で使用するパソコンは貸与します。
・職務で要する経費(旅費・消耗品等)は町が負担します。
・将来の自立に向けた副業は可能です。(報告必須)
<有給休暇>
1年目:10日、2年目:11日、3年目:12日
※繰越あり
<夏季休暇>
3日
※7~9月の間に取得
<申込受付期間>
令和8年9月1日(火)~令和8年9月30日(水)
<審査方法>
(1)第1次選考(書類選考)
書類選考のうえ、選考結果を応募者全員に通知します。
<提出書類>
・申込書
・履歴書(写真添付)
・申込時点の住所地が記載された住民票(原本)
・市町村税に滞納がないことを証明する書類
<提出期限>
令和8年9月30日(水)23時59分
【お問い合わせ先】
〒043-0103
北海道爾志郡乙部町字緑町388番地
乙部町役場 地域振興推進課(担当:小松・安澤)
電話番号:0139-62-5020
ファックス番号:0139-62-2939
MAIL:kikaku@town.otobe.lg.jp
メールで提出される場合には件名を「乙部町地域おこし協力隊応募」としてください。
(2)第2次選考(おためし地域おこし協力隊・面接選考)
第1次選考の合格者を対象に、2泊3日のおためし地域おこし協力隊に参加いただき、現地にて面接選考を行います。
詳細は第 1 次選考結果とあわせて通知します。なお、おためし地域おこし協力隊及び面接に必要な旅費等の費用は、自己負担となります。
ただし、宿泊施設は町が手配し、代金の個人負担はありません。
(3)結果発表
第2次選考終了後に結果を通知します。
(4)着任日
令和8年12月1日を予定しています。※相談に応じます。
Editor's Note
穏やかに言葉を紡ぐおふたりのお話を聞いているうちに「え、応募しようかな」と思ってしまいました。全国へ出荷されるビールの製造を守り、地域暮らしも楽しめるなんて、魅力的でカッコいい仕事ではありませんか。(力仕事があるということで、ひ弱な私はまずは筋トレをしたいと思います。)この募集の魅力が、ひとりでも多くの方に届きますように。

AYAKO SEGUCHI
瀬口 恵子