地域から探す


HOKKAIDO
北海道
「地域に関わってみたいけれど、何から始めたらいいかわからない」
「誰かの想いを支える仕事がしたいけれど、見知らぬ土地に馴染めるだろうか」
そんなふうに、期待と不安のあいだで最初の一歩を迷ってはいませんか。
北海道南西部、日本海に面した八雲町熊石(くまいし)地域。海と山の美しい自然が広がるまちです。
『ないものは、みんなでつくる』
この場所で、地域に根ざした暮らしを守りながら、『困りごと』をアイデアと行動で解決していく。そんな場づくりが動き始めています。
今回募集するのは、移住体験施設『くまこう館』を運営しながら、場づくり・関係性づくりの旗振りを一緒に担う地域おこし協力隊員(以下、協力隊員)。
熊石に根づく文化、活動とは。『くまこう館』に期待されている役割は。協力隊員としての具体的な働き方やキャリアの描き方は。
受け入れ先となる八雲町熊石総合支所の北川正敏さんと、協力隊員OB・OGで現在は同町職員として活動する窪山由季子さんに伺いました。


函館空港から車で約2時間。日本海の岩礁や渓谷、温泉など、豊かな自然環境と山海の産物に恵まれたまち・八雲町熊石。地名の由来は、アイヌ語の『クマウシ(魚を干す竿のあるところ)』からだと言われています。

八雲町は、2005年に太平洋側の旧八雲町と旧熊石町が合併して誕生。日本海と太平洋の二つの海に面する、日本唯一のまちとなりました。
まちの魅力を尋ねると「自然は豊か。でも正直、なにもない。そう言うと、窪山さんには『たくさんある』と怒られるんですけど」と、明るく答えてくれたのは北川さん。
窪山さんはまちの魅力についてこう教えてくれました。
「都会の暮らしは、スーパーに行くとなんでもあるし、困らないけど、いつも同じ。でも、熊石は四季や季節がはっきりしていて、食材も旬のものを食べる。自然の中で『暮らしている』ことを感じます」(窪山さん)
まちの雰囲気は「外から来た人に対しても、『よそ者』扱いがなくて、フレンドリーな空気がある」(窪山さん)そうです。
「釣り人や自転車で旅をしている人など、外から来た人も道を通る。『お腹が空いた』と口にする人がいれば、おむすびをつくって渡したり、畑のトマトをあげたり。いろいろな人との交流を、みんながポツポツとやっている。そういうまちなんです」(窪山さん)
日常の中にごく自然な交流が溶け込んでいるのが熊石の日常です。

「熊石にはなにもないと思っているから、『ないものは、つくり出す』。そんな文化が根づいているんですよね。都会は買うことで解決もできますが、ここは昔から物を買える場所も多くない。食べものでもなんでも、ないものは、自分たちでつくる。それも熊石の魅力だなと」(窪山さん)
窪山さん自身、3年間の活動を通じてこの文化に触れてきました。 協力隊員としての窪山さんの活動は、住民福祉をテーマとしながら、まちの人たちの手作り作品などを展示販売する『クマルシェ』の開催、小学生の放課後活動の企画、集いの場やサロンの実施など多岐に渡ったといいます。
「地域の人たちから話を聞くと、実現できたらおもしろいアイデアがたくさん出てきました。もちろん、私一人でできるものではないので、『こんなこと、できたらいいな』と相談していく。すると、地域の人たちもおもしろがってくれて、広がっていきました。
クマルシェなどの企画は、ほとんどが雑談から生まれています」(窪山さん)
地域の文化と交わりながら、根づいてきた窪山さんの活動。たとえばお試しで始まったマルシェは、今では地域の30以上の個人・事業者が出展するイベントへと成長しました。
「やりたい」「あったらいいな」を尊重し合い、みんなで形にしていく。軽やかな空気感も広がる熊石ですが、地域ならではの課題も顕在化しているそうです。

人口約1600人、高齢化率が6割近い熊石では、人口減少や生活インフラの維持、労働力不足など、多くの『困りごと』を抱えています。
「若い人がいない、子ども少ない。『地域がなくなってしまう』と諦め感が広がっていました。
窪山さんが活動を重ねていくうちに、自分たちにも『なにかできるんじゃないか』という雰囲気が生まれてきて。花火のように大きく打ち上げる感じではないですが、小さくまとまっていたところから、楽しいことを続けられそう。そんな流れができている。
でもやっぱり、諦め感はまだ残っていますし、人がいない課題も続いています」(北川さん)
大きく直面する、担い手不足の課題。協力隊員として活動する中で、窪山さんも強く実感したといいます。
「アイデアやできそうなことはあるけど、『誰がやる?』は必ずぶつかる課題の一つ。できることはみんなで協力してやっていこうとしています。でも、若い人がいない、熊石に帰ってきても仕事がない。そういう空気感もありますね。
まちを離れた地元の人たちの中には、愛着のような『熊石魂』を持っている人がたくさんいます。その人たちが熊石に通い、戻ってこられるようになれば、流れが変わるのではと思っているんです」(窪山さん)

「ただ、一人で旗を振っている感覚もあって。もちろん、協力してくれる人や、困ったときに相談できる人はたくさんいます。
『おもしろい』『やってみよう』だけでなく、企画やイベントが終わって、『やっぱり、ああだったよね』『こうだったよね』を共有していきたい。一人で全て行うのではなく、一緒に旗を振るチームとしての仲間がいてくれたら」と窪山さん。
『やってみる』のその先を共有できる、チームへ。そして、地域の課題を乗り越えようと生まれたのが移住体験施設『くまこう館』でした。
もとは高校の教員住宅だった建物をまちが買い取り、リノベーション。2025年夏にオープンしました。1週間以上1年以内の期間で、熊石の生活をお試し体験できる施設です。

「人口がいよいよ2千人を切るとなったとき、『何かしなきゃ』という危機感がまちにも募りました。そこで注目したのが関係人口でした。観光客は一時的な滞在。たとえば、お祭りで人手が足りないときに、手伝ってくれる。なにかあったときに、関わってくれるような人たちを増やしたいなと。
移住体験施設やゲストハウスのような、外から来た人が熊石とつながれる拠点・ハブとなる場所が必要だよねと、くまこう館の構想につながりました」(北川さん)
「素通りだと、熊石の魅力は伝わりにくいから」と窪山さんは言葉を添えます。
「長く滞在することで、じわじわと魅力が伝わるまちなんですよね。地域との関わりがあればあるほど、魅力がじわっと伝わってくる。そこが熊石らしさ」(窪山さん)と、長期滞在できる施設の重要性を話します。
施設の愛称は「ヤックマベース」。熊石の未来をつくるための課題解決のプロジェクトとして『YAKKUMA BASE project』も立ち上がりました。現在は、地域の事業者が集まってつくった会社が、施設の管理を担っています。
くまこう館に期待される役割は、移住を検討する人たちの滞在場所としてのみではありません。
熊石に帰ってきたいけど、家がもうない地元の人たち。
誰かと集まりたい地域の人たち。
「レンタルスペースや交流場所としてなど、地域の人たちも一緒に過ごせる場所としてあれたらいいなと。
くまこう館は移住体験施設であり、熊石の問題を解決する場所でもある。外からいろいろな人が来てくれて、地域の人たちもそこに関わりながら『こうだよね』『やってみよう』といった話が生まれる。そんな場所を目指しているんです」(窪山さん)

協力隊員を募集する背景は「今は専属で施設運営をできる人がいなくて、窪山さんに任せきりの状態。そこで、施設運営を中心的に担っていただける方を探しています」と北川さん。
くまいし 関係人口プロデューサーとして想定されている業務は、以下の3つです。
1 滞在拠点の運営:『くまこう館』の管理、ゲストの受け入れ対応
2 コミュニティのコーディネート:滞在者と地域住民をつなぐ交流やイベントの企画
3 コンテンツの発信:SNSでの発信、地域情報マップやガイドの作成
「外から来た人の目線で、場づくりや、熊石の魅力を発信するツールづくりに取り組んでほしいです。地域と一緒に取り組んでもらえると、まちの人たちも『生きがい』のようなものを感じられるんじゃないかなと。施設の管理だけでなく、地域内外の人をつなぐ担い手として活動してもらえたらと思っています。
地域内のつなぎ役は、窪山さんも引き続き担ってくれるので、期待するのは、地域内のコンテンツをどんどん外に発信すること。おもしろい取り組みを知ってもらうことで、くまこう館の利用につなげたいんです」(北川さん)

地域内と地域外。窪山さんと連携しながら、盛り上げていく協力隊員。3年間の動き方は、どのようなイメージなのでしょうか。
「1年目は地域に慣れること。発信するネタは地域の中にしかないので、まちの人たちと仲良くなってほしいです。2年目は集めた情報や関係を活用して、外に発信する。
3年目は、その人次第。起業をしたり、くまこう館が軌道に乗っていればそのまま働いたり、全く別で『カフェを開きます』でもいいですし」(北川さん)
卒隊後は、引き続き地域の人と関係人口をつなぐ担い手としての活動や、くまこう館での運営経験を活かして民泊やゲストハウスの開業なども考えられます。
協力隊員の仲間として、道南エリアの協力隊員がつながるネットワークもあります。それでも『自分にできるか不安』と思う方もいるかもしれません。そんなアナタをサポートしてくれる存在が、移住・定住の促進事業などを手掛けるbirch株式会社(八雲町)です。

同社が運営する、小学校をリノベーションした宿泊施設での研修も計画しています。そのため、特に1年目は八雲地域と熊石地域を行き来しながら、窪山さんから施設の運営業務を引き継いでいく。その中で地域に入っていく。そんな動き方になりそうだといいます。
「特別なスキルは必要ありません。不便さを楽しめる人。与えられるのを待つより、自分で『こんなことをやりたい』『あんなこともやりたい』とワクワクできる人。そういう人でしょうか」(北川さん)
求める人物像で一番大切なのは、「素直」なこと。
「素直に周りの話を聞ける人が一番かなと。『話を聞いてくれる』『なんとかしようとしてくれる』と、地域の人たちは窪山さんを頼りにしています。『それは無理かも』ということもあったはず。でも、話を聞く。なんとかできないかと考えてくれる。そんな風に、話を聞ける人がいいのかなと思っています」(北川さん)
「一緒におもしろいことができたら。なにかをつくり出してみたい、やってみたい気持ちと行動力があれば、大丈夫。チームとして一緒に動く、仲間になってもらえると嬉しいです」(窪山さん)
少しずつ変化を見せてきた地域の静かな空気感。まちが次のステップに進むために、求められているのは旗を振るチームです。

「ないものは、みんなでつくる」
誰かの「形にしたい」を動かす中で、アナタらしい地域での生き方・キャリアが見えてくるかもしれません。
熊石で新しい一歩を踏み出してみませんか?
説明会の申し込みはこちらから
募集人数
くまいし関係人口プロデューサー(職種:移住定住) 1名
勤務地
八雲町熊石地域
勤務時間
(1)月曜日から金曜日までの、8時30分から17時00分までとします。ただし、業務内容により勤務時間帯及び勤務日が変則勤務となることがあります。(土曜日、日曜日、国民の祝日勤務の場合は振替休日となります)
(2)年次有給休暇、忌引休暇のほか、フレックス休暇5日間などの特別休暇があります。(会計年度任用職員制度に基づく)
(3)休憩時間は正午から13時00分までとします。ただし、勤務時間帯によって変動することがあります。
(4)副業は、本業(協力隊業務のこと)に支障のない範囲で可能ですが、事前の許可が必要です。
雇用形態・期間
(1)八雲町の会計年度任用職員として八雲町長が委嘱します。
(2)任期は、採用日から1年以内とし、最長3年まで延長することができます。
給与・賃金等
賃金:月額250,645円
※上記の月額賃金に加え、11月~3月は寒冷地手当が支給されます。
・世帯主(扶養あり)/月17,500円
・世帯主(扶養なし)/月12,200円
・その他 /月 7,000円
待遇・福利厚生
(1)健康保険、厚生年金、雇用保険等に加入します。
(2)赴任に要した公共交通機関運賃を町が50,000円を上限に支給します。
(3)任用期間中の住居は町営住宅を用意します。(熊石地域に居住の場合)
町は住宅借上料等の月額50,000円を上限として負担しますが、入居時の敷金(家賃2か月分)については、自己負担とします。(退去時に返却されます)また、光熱費、通信費等は自己負担とします。
(4)活動に必要な自動車は町が用意しますが、公務以外での使用はできません。
(5)業務に必要なパソコンは町が用意します。
応募受付期間
~令和8年9月30日(水)23:59まで
審査方法
(1)1次選考 書類選考を実施します。
(2)2次選考 1次選考合格者を対象に面接試験(対面・オンライン応相談)を実施します。(面接試験に係る交通費や通信料等の支給はありません)詳細な日時等は1次選考結果を通知する際にお知らせします。
(3)健康状態の確認 2次選考合格者(採用内定者)は健康診断を受診していただき、診断書を提出していただきます。(診断書料は町が負担します)
採用予定日
令和8年11月1日(応相談)
募集の詳細はこちら!
「知らない土地にいきなり移住するのは不安」
「実際の活動や地域での暮らしを見てから応募を考えたい」
そんな方へ向けて八雲町では、応募前に現地を体験できる『おためし地域おこし協力隊』を実施します。
地域や職場の見学、まちの人たちとの交流、町内会サロン・保育園などでの活動を体験。2泊3日で八雲町熊石地域を訪れ、着任後の仕事や暮らしを具体的にイメージすることができます。
※実施期間は応募後に参加者と調整し、ご案内いたします。
<募集人数>
2名
・八雲町地域おこし協力隊『移住定住推進員(熊石地域)』への応募を検討している方
・3大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)をはじめとする都市地域(過疎、山村、離島、半島等の地域に該当しない市町村)に在住し、採用後に対象地域へ住民票を異動できる方
・普通自動車運転免許を取得している方(AT限定可)
<参加費・宿泊費>
無料:期間中の宿泊費は、1泊につき1万円を上限として、2泊分(最大2万円)の実費を助成します。
宿泊の手配・清算は参加者ご本人で行っていただきます。宿泊費は、体験終了日の翌日から起算して30日以内に、所定の申請書と「宿泊費の領収書(写し)」を提出して申請ください。内容確認後、お振込みいたします。
なお、下記は自己負担となります。
・八雲町までの移動に係る交通費
・体験期間中の食費
・1泊1万円の上限を超える宿泊費
<持ち物>
・動きやすい服
・飲みもの
・昼食(2日目のみ)
<応募・選考>
応募フォームへ必要事項を入力のうえ、お申し込みください。選考結果および当日のご案内については、メールでお知らせいたします。
おためし地域おこし協力隊への応募はこちら!
<お問い合わせ>
北海道八雲町役場 政策推進課 企画係(地域おこし協力隊担当者)
〒049-3112 北海道二海郡八雲町住初町138番地
電話:0137-62-2300
メール:seisaku@town.yakumo.lg.jp
Editor's Note
ないものはつくる。その原石を大切に磨いてきた窪山さん。心強い協力隊員OB・OGに、支えてくれるネットワーク。拠点や業務など、流動的な部分はあるかもしれませんが、『一人じゃない』ことを実感できる。そんな場面もたくさんあるような予感がしました。

Mayumi Yanai
柳井 麻友美