資源循環
※本レポートはPOTLUCK YAESU様、株式会社SHIFT PLUS様のスポンサードによって行われた、地域経済活性化カンファレンス『SHARE by WHERE』の1コンテンツ・ローカルプレイヤーセッションを記事にしています。
日本だけでなく、世界で問題となっている大量生産・大量消費・大量廃棄。
「持続可能な未来を、子どもや孫たちの世代に届けたい」と思いながらも、具体的なアイデアがわからない方も多いのではないでしょうか。
そんな中で今回お届けするのは、テクノロジーを駆使して新しい資源循環の形を作る事業に挑戦されている、資源循環デザイナーの大村拓輝さんの事業プレゼンの様子。
大村さんたちが本気で目指す「ゴミという概念のない社会」とはーー。
大村:環境問題を意識するようになったのは学生時代。その当時ポートランドに住んでいたのですが、大気汚染や地球温暖化の観点から車移動を減らすために、バイクレーンがつくられるなど、まさに環境と都市が交流しているような場所で、僕自身の中に「環境」への意識が強く印象づいた時でした。
大村:その後ナイキジャパンで厚底ブームをつくったり、店舗マーケティングを行っていたりしたのですが、「ゴミの概念をなくしたい」という想いが強くなり、レコテック株式会社に3人目の社員としてジョインしました。
僕たちの会社のビジョンは「ゴミという概念のない社会をつくる」こと。ゴミは本来、無価値なので「どう資源として生涯価値を伸ばしていくか」にフォーカスをして活動しています。
大村:中でも、いろんな場面で語られるプラスチック問題ですが、アメリカでもプラスチックに関する法律がどんどん厳しくなっています。例えば新品の素材ではなく、廃棄物からつくられた再生材料であるPCR材(ポストコンシューマーリサイクル材)を使わないと課税対象になるなど、世界各国で廃棄物を使用する流れがはじまっています。
大村:次の表は、世界的企業が「自社製品に対してPCR材やリサイクル材を何%使うか」の目標と実績を示したものなのですが、数字から見てもわかるとおり、目標を達成できていないのが現状です。
大村:この理由としては、資源回収のインフラが存在していないことが挙げられます。そこで僕らが考えた『POOL(プール)』という仕組みで、ゴミの種類や量、場所をデータ化をし、「ゴミを捨てるのではなく、プールして次の人が使える」といった未来の実現を目指しています。
大村:主なサービス利用者はゴミを出す企業や自治体、もしくはゴミを使いたい企業。『POOL』の利用者(ゴミを捨てる人たち)は、このシステムに「プラスチック何キロ排出した」といった具合に数字を登録をします。
大村:現在、東京での乗り組みを行っていますが、東京の各拠点のゴミをデータ化することで、「東京でどんなゴミが排出されているのか」を可視化することが可能です。
大村:回収をしたゴミをつかって実際につくったのが下記の写真の素材です。これは国際PCR材100%でつくられたプラスチックで、『POOL』に品番をうち込むと「どこで排出されたゴミをつかって、誰が運搬し、誰がリサイクルしたのか」という情報を可視化することができます。
大村:実際新品のプラスチックを作るより、リサイクル材であるPCR材を使ったほうがCO2の排出を77%削減できるというデータも出ていて、僕たちは『POOL』を活用し、より良い循環をつくっていきたいと思っています。
大村:今僕らが悩んでいることは、僕らが実施している活動がBtoB(企業が企業に対してモノやサービスを提供するビジネスモデルのこと)かつ、ニッチな分野なので、なかなかファンを獲得しづらいこと。そのため、どうファンをつくっていくかを今後考えたいと思っています。
あとは「資源を循環させたい」「ゴミを使いたい」という方は是非ご相談いただけたら嬉しいです。
「ゴミという概念のない社会をつくる」という思いから挑戦を続けている大村さん。大手企業との連携も既に決まっており、大村さんのこれからの活動に大注目です!
一緒に活動するメンバーも募集中とのことなので、サーキュラーエコノミーの実現を目指したいという方は、ぜひ詳細をHP等でみてみてくださいね。
Editor's Note
「ゴミという概念のない社会をつくる」この言葉にはっとした今回のピッチ。日本のチャレンジが世界を支える、そんな日もそう遠くないのかもしれません!
YURIKA YOSHIMURA
芳村 百里香