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LOCAL LETTER

【読者特別特典付き】広島の牧場に生まれた彼が脱サラして肉屋を起業。お肉と音楽が生み出す新しい食事とは

AUG. 24

HIROSHIMA

前略
お肉のプロがこだわり抜いた、本物のお肉を食べたいあなたへ

1979年広島県にある牧場に生まれた中山智博さんは、15年間サラリーマンとして大手テクノロジー会社に務めた後、前職の同僚であった川中梢さんと一緒に、2017年お肉とテクノロジーをテーマに株式会社Perryを創業。

その後広島県の農家を支援するために、農家がつくったお肉をいかに安く適正な価格で売るかを最重要視した塊肉のデリバリーサービス「HELLO, STRANGER」を立ち上げ多くのリピーターを虜にしています。

前編ではそんな彼の起業までの背景やそこにあった葛藤をお届けしました。今回は彼が立ち上げた「HELLO, STRANGER」のサービス内容や想い、さらには農家のお肉を適正な価格で売ることで農家の存続を図っている方法をお伝えします。(前編はこちら

なお今回は、LOCAL LETTERを読んでくださっている読者の皆さまに向けて、中山さんのお店で普段提供している自慢のリブロース 500gをご用意いただきました。今回の特別特典情報の詳細は、この記事を最後まで読んでいただくとわかります。ぜひチェックしてみてくださいね!

プロフィール
中山智博(Tomohiro Nakayama)
1979年生まれ 広島県出身。実家が広島で畜産業を経営している背景から農学部を卒業するも、情報・通信の分野に就職しドリームキャリア、ソニー、エス・エム・ エスを経て起業。Perryでは畜産精肉部門の責任者として Meat tech Labo お肉とテクノロジーをテーマにした事業を展開中。

食事は「消費するもの」ではなく、「待ち望んだもの」

HELLO, STRANGER は直訳すると「こんにちは、見知らぬ人」という意味。これはちょっとおどけた感じで「ひさしぶり!」という意味で、海外では久しぶり会った親しい友人によく贈る言葉。サービス名としては決して聞こえのいい響きではないが、それでもこの名前をつけたのは彼なりのこだわり。

彼が HELLO, STRANGER を通じて目指すのは「期待値」のある食事。HELLO, STRANGER は365日の中で幾つもめぐってこない記念日を特別なディナーで楽しんでもらうためのサービスとして誕生したデリバリーサービス。

もしかするとあなたも彼と同じ感覚を持ったことがあるかもしれない。誕生日や大切な友人との久しぶりの食事、結婚記念日にちょっとおしゃれなレストランでシャンパンを飲みながら食べる食事は、確かに素敵だけどなんだか想像がついてしまって、あんまり「面白くない」。

そもそも「美味しい食事」とは一体なんだろうか? ただ単にお腹を満たすための食事、食材の価値だけがフォーカスされた食事、場所が華やかであるというだけの食事、グルメサイトの評価が高い食事。どれも決して悪い基準・食事ではない。

けれどせっかくなら食事を待ち望む時間すらも楽しめるような、食事に「ひさしぶり!」と思わず声を掛けてしまうような、食事や空間を生み出せたら素敵ではないだろうか。

お肉を囲む特別なシチュエーション、誕生日、大切な友人との食事、結婚記念日。もちろん、仲間とのBBQ、みんなで集まるパーティーも。365日の中でも珍しい記念日だからこそ、ただ彩りを添えるだけの食事ではなく、食事が一つの楽しみになるようなサービス提供を心がけたい、そんな彼の想いが詰まったサービスがHELLO, STRANGER なのだ。

テクノロジーを使ってお肉の価値を相対的に上げたい

HELLO, STRANGER が提供する牛肉は、決して安価な肉でもなければ、決して高価な肉でもない。ただ「希少な肉」であることも間違い。この希少な肉を世の中に伝えるため、 彼が HELLO, STRANGER で始めたのが「お肉 × テクノロジー」だった。

お肉の評価を表す「A4」や「A5」といったランクは、脂身のパーセンテージとお肉の色で評価が決まる。少し冷静に考えてみると、肉の美味しさは脂身と色味だけで評価されており、誰も美味しさそのものを保証はしていないのが現状だ。

だからこそ彼は今、お肉のアミノ酸値や脂肪酸値を計測し、酸味が強い肉なのか、味に深みがある肉なのか、香りが強い肉なのか、柔らかい肉なのかを数字で可視化し、他者の肉とどう違うのかをしっかりと見せていくことで選ばれる肉をつくっている

肉の味は血統と餌でほぼ味が決まると言われており、同じ銘柄牛や同じブランド牛であっても、食べている餌は異なる。だからこそどのような血統で、どのような餌を食べているかを大切に、餌の段階から対話ができる牧場のみに取引を限定する「シングルオリジン *1 」という考え方を導入。餌の段階から対話ができるからこそ、世の中に必要とされている肉の味を血統の配合と餌のコントロールで生み出すことで、選ばれる肉をつくっているのだ。

選ばれる肉をつくれれば、例え今は「B3」と言う評価で安価な値段がついている肉であっても、世の中が求める味へと変化させ、数字で美味しさを表すことで、肉の価値を相対的にあげることができる。

さらに一般小売をせず、BBQ場への宅配やコワーキングなどへのケータリングをメインにダイレクトでお肉を売っているのもポイント。こうすることで HELLO, STRANGER が直接バイイング・パワー *2 を持ち、農家がつくったお肉をいかに安く、適正な価格で売るかということを重視して取引をすることができるのだ。

*1 シングルオリジン
コーヒー豆でトレンドになっている考え方。品種の違うコーヒー豆をブレンドすることなく、産地も国単位ではなく、農園などのより小さい単位で捉えて販売されているコーヒー豆のこと。 同じ生産地の、同じ品種のみを使っているので、栽培品種や生産方法が明確。

*2 バイイング・パワー
巨大な販売力を背景に、販売店が強い仕入力・購買力をもっていること

牧場と音楽を結んで、牧場のイメージを変えたい

いずれは音楽家ミュージシャンや映像演出家と一緒に、BBQ場やケータリング先で HELLO, STRANGER の肉を提供しながら、1DAYのミュージッククラブをつくりたいと思っている。

畜産の世界では、その昔、特定の身分や地域の人が生業としてと殺に関わる仕事をしていた名残から、今でも比較的差別的な要素が含まれることがある。しかしその一方で、都会は100g 9,000円の肉が売れるほど「肉ブーム」。肉を育てている農家が低い位置にいるのと同時に、肉を提供している外食は高い位置にいるギャップが嫌だった。

労働に対して正当な価値を提供する「フェアトレード」を農業でも成立させたいと思った。だからこそまずは明確に肉の価値を示していくことが何よりも大事だと思っている。そして同時に肉の利益が享受されるためには、音楽のようなエンターテイメントの力が必要だと感じた。

たとえ、肉の味だけで勝負して「美味い」と肉の価値をあげることができたとしても、肉そものものイメージをあげることはできないと思っている。肉や牧場に今とは違うイメージをつくることを目指しているからこそ、彼はアメリカが黒人差別を音楽というエンターテインメントをきっかけになくしてきたように、肉の差別もエンターテイメントを通じて払拭したいと思っているのだ。

 

草々

Editor's Note

編集後記

「起業する前に頭の中で思い描いていたやりたいことは、全て思い通りにはいかなかった」と笑いながら話す彼の頭の中には、今でもやりたいことが溢れ続けている。小学生の頃、目の前の雲底に必死に捕まりながら、片手を離す不安と格闘しながらも、一歩一歩着実に前へと進んでいった記憶が蘇る。手を離す不安と前に進めた時の喜びを味わいながら、挑戦しつづける彼に今後も目が離せない。

広島県

これからも広島県の応援をお願いします。

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