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LOCAL LETTER

「究極のかき氷」と言われたら、あなたはどんなかき氷を想像しますか?

MAY. 03

Ishigakijima, OKINAWA

日本の夏の風物詩に、「かき氷」は欠かせませんよね。最近では大量のフルーツソースがかかったかき氷や、マシュマロが乗っているかき氷、チーズがかかったかき氷まで、いろんなかき氷を目にします。

でも、今回ご紹介するかき氷はあなたが知っているかき氷とは一味も二味も違うんです。この記事を読めば「究極のかき氷」と呼び名がついた理由がわかります。そして「究極のかき氷」を食べたくなること間違いなしですよ。

以下、USIO Design Projectよりご紹介いたします。

石垣島で究極のかき氷をつくる旅

石垣島には、パインアップルをはじめとする多彩なフルーツや、サトウキビなど、スイートな特産品がたくさんあります。そして、沖縄で独自に進化を遂げた「氷ぜんざい」があります。そこに目を付けたのが、千葉 伸一さんでした。千葉さんは宮城県を拠点にカフェや洋菓子店を手がける経営者。「石垣島を旅しながら食材を調達し、“石垣島体験”を丸ごと詰め込んだ新しいかき氷をつくりたい!と考えたんです」と、千葉さん。石垣島の豊かな自然と、そこでくらす人たちの想いを、ぎゅっと凝縮した「究極のかき氷」をつくる旅がはじまりました。

この旅の旅デザイナー:千葉 伸一
経営者。1975年、宮城県松島町生まれ。2005年に『 ni vu ni Connu café』を開店。2007年には『cafe Loin』を、そして2010 年には『松華堂菓子店』をオープンさせる。震災後の2011年8月には仲間とともに松島流灯会海の盆を起ち上げ、そのお祭りでグッドデザイン賞を受賞。さらに、「次の豊かさ」を軸にした経営が評価され、農林水産省食料産業局長賞も受賞している。

島の魅力を再発見する旅のプラン

DAY 01:
石垣空港着・・・・昼食:がや家(八重山そば)・・・・石垣島製糖・・・・サン石垣(青果卸)・・・・石垣島冷菓(氷ぜんざい)・・・・チェックイン・・・・錦(夕食:魚etc)

DAY 02:
散策・朝食・・・・JAゆらてぃく市場(青果等の直売)・・・・バラビドー観光農園・・・・昼食:白保食堂・・・・パイン農園・・・・武田珈琲・・・・石垣島冷菓

DAY 03:
離島ターミナル・・・・竹富島・・・・昼食:一休食堂(山羊そば)・・・・究極のかき氷を食べたいロケーション巡り

DAY 01
サトウキビとパイン。島の甘味の代表選手をリサーチ。

島の砂糖事情を知る。

朝7時に真冬の松島を出発し、石垣島に降り立ったのはお昼頃。まずはサトウキビを加工している『石垣島製糖』へと向かった。

沖縄=黒糖というイメージがあったけど、ほとんどのサトウキビは収穫後、本土の製糖工場に送られるらしい。でも、石垣島産さとうきび100%使用の『石垣島のおいしい砂糖』という商品があり、『ゆらてぃく市場』に行けば買えるという情報を入手。これはぜひチェックしたい。

公設市場で買ったさとうきび

フルーツの達人と出会う。

その後、果物卸小売りの『サン石垣』を訪問。情熱的な若手経営者、井上さんから石垣のフルーツについてレクチャーを受ける。「現在はいろいろなフルーツがあるけど、昔から島にあるのはやっぱりパイン。6月から7月中旬あたりの緑熟の実を、風の音、波の音を聞きながら海辺で食べるのが一番ですねえ」というお話が印象的だった。

そういえば、公設市場で購入したさとうきびをかじりながら歩いていると、島の方に「それ、買ったの?」と驚かれた。どうやら、島ではサトウキビ=“買うもの”ではなく、“拾うもの”らしい。

「氷ぜんざい」とのファーストコンタクト。

続いて、今回の旅のお目当てのひとつ「氷ぜんざい」を求めて『石垣島冷菓』へ。
朝にまとめて氷を削り、袋につめた氷を使用するのが特徴らしい。正直、食べる前は「どうして削りたてじゃないんだろう?」と、ちょっと不思議に思ったけれど、食べてみるとフワフワのきめ細かい氷がすごく美味しい!

黒糖や氷へのこだわり、島の暮らしにとけこむやさしい味わい。店主・玉城家に伝わる技と、島の文化を感じた。やっぱり、『石垣島冷菓』の玉城さんとは一緒に何かをつくりたい。

DAY 02
「究極のかき氷」を試作する。

まずは市場で食材集め。

離島ターミナルでお弁当を買い、海を見ながらの贅沢な朝食。離島の定期船は観光客が多いけど、離島から石垣の学校に通う学生さんたちの姿もちらほら。その土地の生活の薫りを感じるシーンもまた、旅の醍醐味だ。

朝食を済ませたら、『ゆらてぃく市場』で材料探しを開始。『石垣島のおいしい砂糖』と『パインの心』(しん)(ドライフルーツ)を入手する。その後、バラビトー観光農園へ移動。迫力ある植物の姿を鑑賞していると急なスコールが襲来!「ああ、ここは亜熱帯なんだ!」と、気候の違いを再確認した。

パイン産業の“生き字引”に学ぶ 。

午後はパイン農場へ。でも、旬を外しているため購入できず……残念!その代わり、畑のおばあによる「パイン産業の歴史」の講義を受講するという、思わぬ“収穫”を得た。

続いて川平にある『武田珈琲』を訪問。代表の武田さんは早稲田大学卒の移住組。農場主というよりも学者さんのような方で、とても研究熱心だ。

「石垣島はコーヒー栽培には向いている土地なんだけど、台風があるのでたくさんの生産は難しいですよ」というお話を聞かせてもらった。今後、どんな展開を見せるのかが楽しみだ。

米原海岸

サトウキビジュースが美味しすぎる件。

今度はサトウキビとフルーツジュースの店『ぱぱ屋』へ。サトウキビの生搾りジュースは予想を超えたおいしさ!いい素材を旬の季節にフレッシュにいただくことの価値を再確認できた。ここにしかないものの尊さがある。

晴れてきたので、ちょっと寄り道して米原海岸に行ってみることに。「なんてきれいな海なんだろう!家族にも見せたい!」と本気で感動してしまった。

「究極のかき氷」は、すっぴんの味で。

その後、試作のためのパインアップルを買いに再び『ゆらてぃく市場』へ。「今の時期は甘くないよ」というおばあの教えに従って高級さとうきびシロップも購入。そしていよいよ『石垣島冷菓』で究極のかき氷を試作を開始。

旅の前の描いていた「究極のかき氷」のイメージは石垣島のトロピカルな印象。ラーメンに例えるなら「全部のせ」のイメージだった。でも、この2日間の出会いや学びから、そのイメージは一新されていた。

『サン石垣』の井上さんの情熱、『石垣島冷菓』の玉城さんの純粋な人柄。そして石垣島の素材や歴史や固有性を大事にした味覚の数々……私が選んだのは、“ここにしかないすっぴんの魅力”を追求する“引き算の究極”。元々、私が得意なのはこっちのやり方。経営している『松華堂』のカステラも同じ考え方でつくっている。

いい素材、いいストーリー、そしてなによりいい人に出会えたからできるやり方なのだ。

3つの素材でつくる「究極の味」。

『石垣島冷菓』のフワフワで甘味のある氷、長い間石垣島の生活を支えてきたサトウキビとパイン。この3つの素材で、シンプルな「究極のかき氷」をつくることに。

本当に大事なもの、残したいと感じた島の人(特に井上さんと玉城さん)の想いと。島のストーリーをかき氷にのせていく。そんな気持ちで試行錯誤を繰り返していった。

玉城さんが無駄なく丁寧にカットしてくれたパインをミキサーで細かくフワっと仕上げて『石垣島冷菓』のレトロなガラスの器へ盛りつけ。その上から秘伝のほんのり甘いフワフワ氷をかけていく。そして仕上げに石垣島の美味しい砂糖をまんべんなくふりかけ、アクセントに細かくカットしたパインのドライフルーツ(芯を砂糖とシークアーサーにつけたもの)をぱらり。見た目はシンプルすぎるかも知れないけど、いいものがつくれた!と確信した。

「ストーリーのあるかき氷」が完成!

まずは『石垣島冷菓』の美味しい氷を味わってもらい、次に氷と石垣島産の砂糖の優しい味を一緒にぱくり。きめが細かい砂糖なので氷のサラサラ感を損なわずに楽しみつつ、そこにパインアップルの酸味が加わる……と、ストーリー性のある味わいは試食での反応も上々。

まだあくまでプロトタイプですが、これでパインが旬の時期を迎えたらもっともっと美味しくなるはず!USIO Design Projectで出会ったヒト、モノ、コトがつまった石垣島冷菓さんの「島の砂糖とパインのかき氷」の完成です。味はもちろん最高!因みにまだ販売はしてないのでご注意を。パインの旬の時期にみんなに食べてもらえるよう、玉城さんと一緒に商品化を目指したいな!

DAY 03
「究極のかき氷」をさらに美味しくするロケーションとは?

かき氷を連れてどこに行こう?
『石垣島冷菓』のかき氷は、テイクアウトもできてしまう「袋に入った魔法のかき氷」だ。地元の人はお家に持って帰ってゆっくりテレビをみながら食べたり、部活の差し入れなどにも活用しているらしい。本当に石垣島の日常に溶け込んでいる存在なのだ。

そんな世にも珍しい、持ち帰れるのにフワフワなかき氷(もちろん保冷は必要ですが)。今日はそのかき氷をどこで、どんなシチュエーションで食べると、より美味しくなるのかを考えるため、ロケーション探しに出かけることにした。

石垣のビーチを巡り、かき氷に想いを馳せる。
旅の途中で教わった石垣島の人たちのソウルフード、「上原のバターロールパン」と「ゲンキクール」という乳酸飲料を手に竹富島行きの船へ。船上で朝食をとることに。なんだか懐かしい感じがした。

船を降りたら、10年前に行ったことがある集落へ。以前と変わらない風景に感動しつつ、できるだけ人通りの少ない道を選びながら歩いて西桟橋に到着。広がるのは本当に透き通った海。この桟橋に座ってかき氷を食べたら素敵だろうな……

石垣島に戻ってからはレンタカーを借り、『サン石垣』の井上さんオススメのヤギそばを食べに『一休食堂』へ。運ばれてきたヤギそばはワイルドな感じ。適度にクセがあり、美味しかった!

午後は島の北を探索することに。車で約1時間、サンセットビーチに到着。細かくきれいな砂と、まるでオブジェのような岩のかたち。とても美しいビーチでした。名前の通りサンセットを観ながらかき氷を食べたいですね。因みに、ここからすぐの場所に、ビックリするほど美しい、名もない小さいビーチを発見。絶景を独り占めしてしまった。

そこから今度は底地ビーチへ。少しずつ日が傾いてきて綺麗な光。船が停まっていてワイルドなおじさんがなにやら作業をしてました。あの船の上でのんびり食べるかき氷もいいかも。

さらに南に下り最後の目的地フサキビーチへ。ここは映画『さらば青春の光』に出てくるような海に突き出した木の桟橋のようなものがあって、絵になる風景。こんなロマンチックな雰囲気で食べるかき氷もすてきだな(笑)。

今日はかき氷を食べる究極のシチュエーションを探しまわり、石垣島の美しさを満喫しました。果たしてベスト1は……「移動中に観たサトウキビ畑の刈り取り風景」です!もし自分が暑い中でサトウキビの刈り取りを手伝っていたとして、休憩時間に石垣島冷菓のかき氷を差し入れされて、おじいやおばあとみんなで食べたら最高だろうなと思ったからですね(笑)。

DAY 04
お世話になった島の人々との再会を誓い、帰路に就く。

必ずまた会いにきます!
そして迎えた最終日。お世話になった「石垣島冷菓」の玉城さんにご挨拶。今回の旅デザインのために事前にインターネットで調べたときから、私が経営しているカステラ店「松華堂」と同じにおいを感じていましたが、その予感は見事に的中しましたね。他にも「サン石垣」の井上さん、「武田珈琲」の武田さん……島のみなさんには、必ずまた会いにきたい!と思いました。

追伸……空港へ向かう途中、どうにも名残惜しくて白保の海に立ち寄りました。誰もいない海岸で電動の車いすにのったおじいがひとり海を眺めていました。そして少し歩くとかわいいヤギに出会いました。

千葉さんがみつけた石垣島

Q. いちばん美味しかったものは何ですか?
A. 
一番美味しかったのは、石垣島冷菓と作った究極のかき氷です(笑)それとパパ屋のサトウキビジュースですかね。ここでしか味わえないという意味で。

Q. いちばんの絶景ポイントはどこでしたか?
A. 石垣島ではサンセットビーチが好きです。でも実は竹富の人がいない時の西桟橋も好きです。

Q. お土産、何買いました?
A. ほぼ調味料です。ぱぱ屋の塩と黒糖。もちろん「石垣島のおいしい砂糖」も買いました。島バナナも買いました。島バナナでもおいしいかき氷つくる自信ありありです!

情報提供元:USIO Design Project

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