Matsuyama, EHIME
愛媛県松山市
街を歩いているとたまに見かける古本屋さん。古本屋さんの魅力といえば、その時、その場所でしか出会えない一冊の本に出会えることでしょうか。
そんなことを思いながら、古本屋巡りをしてみると、もう一つの魅力に気がつくことができました。それは、古本屋さんの店主さんの魅力。60歳になってから、古本屋を始めたご主人や、ニッチな本ばかりを取り揃えるご主人など。その場所でしか出会えない店主さんがそこにはいます。今回はそんな古本屋さんを巡ったお話ですよ。
以下、四国大陸よりご紹介いたします。
《愛媛》文学の町 松山で、古本屋めぐり
昨年11月28.29日に行われた「第2回松山ブックマルシェ」。6月に開催された第1回より出店舗数も本の冊数も増え、さらに大盛況の2日間となりました(第1回について詳しくはこちらをご参照ください)。
今回は、松山ブックマルシェですっかり古本屋の面白さに魅了されてしまった私が、松山でおすすめの古本屋3件をご紹介します。ブックマルシェに来て古本に興味を持った人、来られなかったけど本が好きな人、第3回のブックマルシェが待ちきれない人、、ぜひ次の休日にはご近所の古本屋を訪ねてみてはいかがでしょうか。
一軒目は、松山市味酒町、阿沼美神社のすぐそばにお店を構える「トマト書房」さん。11月初旬にオープンしたばかりの新店舗にお邪魔してきました。
本棚には様々なジャンルの本が並んでいますが、特に多く扱っているのは店主の田村さんが好きな詩や短歌、俳句等文学関係の本。また、田村さんはジャズも好きで趣味でドラムも演奏されていることから、お店には中古のレコードも多く並んでいます。
「60歳になったら店を出したいと思ってたんよ。最初はお客さんが来てくれるか不安もあったけど、文学関係の本を好きな人が来てくれたり、近所の親子がふらっと来てくれたり。色んな人に気軽に来てもらいたい。」と笑顔でお話してくださいました。
田村さんのお話の中で特に印象に残ったのが、『文化を継承していきたい』という想いです。
「昔よく通っていた喫茶店があって、そこではいつもセンスのいいジャズが流れていてとても好きなお店だったんだけど、だいぶ前に閉店してしまってね。残念に思っていたけど、たまたまそのお店の店主をされていた人の息子さんが、当時お店で流していたレコードを買い取ってくれないかとうちのお店を訪ねてきてくれて。すごく嬉しかった。」
良いもの、良い文化を大切に残していきたい、またそれを持っていた人の思い出も、大切に受け継がれていってほしい。何年も昔のものでも、若い人が興味を持ってくれたり、当時をよく知る人が懐かしがってくれたり、その“もの”に触れることで伝わることがあります。
想いの詰まった大切な古本やレコードを扱うお店は、時代の文化を継承していくためにもとても重要な存在であると感じました。
トマト書房
〒790-0814 愛媛県松山市美酒町3丁目1-14 武田ビル1F
TEL:089-948-8760(受付8~20時)
URL:http://tomatoshobo.com/
二軒目は、道後に一軒家を構える「古書猛牛堂」さん。元々“本屋”が好きで、約2年前にこちらで古本屋を始められました。
趣味の本や文庫本、地元の郷土史や歴史関係の本等、中でも店主の田房さんが好きな落語や大衆芸能の本が多く揃っています。値ごろ感がある本を偏りのないようにセレクトされているそうです。
「ご近所の方や、遠くから車で来てくださるお客さんもいます。この道後の地で、お客さんの嗜好に合わせた町の本屋さんになれたらいいですね。」とお話してくださいました。
道後公園からほど近く、住宅街の中に現れる木造の一軒家。木製の大きな本棚と、そこに並ぶ古本、壁には絵や地元の小学生からのメッセージも飾られていて、とても温かな空間です。今回は閉店間際に行かせて頂いたのですが、夜の雰囲気もとても素敵でした。
古書猛牛堂
〒790-0854 愛媛県松山市岩崎町2丁目6-34
TEL:089‐947‐8137
URL:https://twitter.com/mougyudou
三軒目は、三番町で居酒屋兼古本屋として経営されている「古書ほやけん洞」さん。15年前の2000年に居酒屋としてオープンし、一昨年の年末から古本も販売されるようになりました。
「お酒と古本て合うんですよ!」そう話してくださった店主の門屋さんと奥さんは、元々お二人とも本がとても好きだったそうです。居酒屋に来られるお客さんも、書店の店長さんや図書館の司書さんなど本好きの方がたまたま多く、家にも本がいっぱいあったことから、古物商の資格を取り居酒屋の一角で古本屋を始めることに。
店内に4つほど並べられた木製の本棚には、詩集や俳句集、画集、写真集、絵本、随筆からノンフィクションまで、お二人好みの様々なジャンルの本が揃っています。
古本屋を始めたことで、ブックマルシェや色々なイベントにも出店するようになり、今までになかった繋がりも増えたそう。
「最近、松山で面白い活動をする人たちが増えてきていると思うから、そういう人たちが集まれるような場所になったらいいなと考えています。」
今後は、読書会等本にまつわるイベントの開催や、昼間の店内の利用も検討されているとのことです。店主さん本人が書かれたというお店の看板や、店内に置かれているいくつかの置物もセンスのある可愛いものばかりで、松山の街の中心部にこんなに落ち着ける居酒屋があったとは驚きでした。
お酒片手に本について語り合う、そんな夜はいかがでしょう?
古書ほやけん洞
〒790‐0003 愛媛県松山市三番町2-5-17
TEL:090-9250-1839
URL:http://hoyaken.wix.com/hoyaken
今回ご紹介した3軒以外にも、松山には素敵な古本屋がいくつもあります。また少し足を延ばして、ブックマルシェに参加されていた四国や関西各地の古本屋めぐりに行ってみるのも面白そう。
若い店主さんのお店、女性の店主さんのお店、漫画や雑誌を多く扱うお店、絵本や芸術関係の本が並ぶお店、古本屋とひと口に言っても、店主さんの個性によって扱う本やお店の雰囲気は様々です。
なんとなく入りづらそう…と思っている人も、そのときその場所でしか出会えない一冊の本を探しに、ぜひ古本屋へ行ってみてくださいね。
情報提供元:四国大陸(2016年1月25日配信記事)
NANA TAKAYAMA
高山 奈々