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LOCAL LETTER

秋元祥治式プロデュースの極意。大事なことは“いかに人を頼れるか”

DEC. 20

JAPAN

拝啓、ローカルで活躍するリーダーを目指すアナタへ

「この人の人生が気になる!」そんな旬なゲストと、LOCAL LETTERプロデューサー平林和樹が対談する企画『生き方 – 人生に刺激を与える対談 – 』。

第16回目は、ゲストに秋元祥治さんを迎え、公開収録で行われました。秋元さんは、大学在学中に地方創生をテーマにNPO法人G-netを創業。「行列の絶えない中小企業相談所」として注目が集まる岡崎市の公的産業支援機関「オカビズ」チーフコーディネーターも務め、2022年には武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(EMC)の教授に就任するなど、幅広く活躍しておられます。

学生時代から地元である岐阜市の活性化に取り組み、G-netを立ち上げた秋元さん。全てがとんとん拍子に進んでキャリアアップをしてきたのかと思いきや、大きな壁に直面したことも。

後編では、秋元さんがつまずきから導き出したリーダーシップ論、プロデュース論について語ってくださいました。

最後には、これからの「生き方」についても触れられています。大学の教授にも就任した秋元さんに今見えているものは何なのでしょうか。

持続的な賑わいはイベントだけでは生まれない。地域の経営者共通の悩みに応えることを次のステップに

平林:たくさんの応援者が現れて、半期間限定で立ち上げたNPO法人G-netの活動期間を延長することになったということですが、これは予想外のことだったんでしょうか。

秋元 祥治(Shoji Akimoto)氏 株式会社やろまい代表取締役、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部・EMC教授 / 早稲田大学在学中、起業家人材育成と地方創生をテーマにG-netを創業。現在理事。2013年岡崎市の公的産業支援機関「オカビズ」センター長に就任。2021年10月からチーフコーディネーター。2021年には武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の立ち上げに携わり、現在教授。Yahoo!ニュースオーサー、Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト、などで執筆。コメンテーターとしてTBS「Nスタ」、CBC「イッポウ」、等出演。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も多数。
秋元 祥治(Shoji Akimoto)氏 株式会社やろまい代表取締役、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部・EMC教授 / 早稲田大学在学中、起業家人材育成と地方創生をテーマにG-netを創業。現在理事。2013年岡崎市の公的産業支援機関「オカビズ」センター長に就任。2021年10月からチーフコーディネーター。2021年には武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の立ち上げに携わり、現在教授。Yahoo!ニュースオーサー、Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト、などで執筆。コメンテーターとしてTBS「Nスタ」、CBC「イッポウ」、等出演。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も多数。

秋元:予想外というか、こんなにも広がることを想像していませんでした。応援に応えるために、新しいことに挑戦し続けました。夏の野外ライブ「Beans Festa」は、最終的には岐阜市内に複数の会場を作り、延べ10万人来場したイベントにまでになりました。

平林:順調に広がっていっていますよね。ここからG-netの方向姓が経営者支援やコンサルティングに変わっていったと思いますが、きっかけはなんだったのでしょうか。

秋元:このタイミングで『デフレの正体ー経済は「人口の波」で動く』や『里山資本主義ー日本経済は「安心の原理」で動く』の藻谷浩介さんと出会ったんです。藻谷さんとの出会いは衝撃でした。それまでの僕とは異なり、街づくりや地域おこしを思い入れや愛着という感情ではなく数値やデータで話す方でした。今でこそ数値やデータをベースにするのは一般的ですが、当時は先進的な考え方に感じました。

藻谷さんは僕のことを面白がってくださり、国の委員会に呼んでくれたんです。そうした場に参加することで「地域を元気にする賑わいが必要で、賑わいは人が住むことで生まれる。人が住むためには結局そこに仕事がないといけない。仕事は稼げないといけない」と考えるようになりました。

その時に「お祭りと雑誌を作るだけではやっぱりダメだ」と気がつきました。大きなイベントで一日に1万人集めることはできますが、翌日になるとその人たちはいなくなります。地域を盛り上げるためにはビジネスや産業が根付くことが大事だとわかったんです。

平林 和樹(Kazuki Hirabayashi)株式会社WHERE 代表取締役、内閣府地域活性化伝道師、ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社、カナダ留学、株式会社 CRAZY を経て、株式会社WHERE創業。約2万人の会員を持つ地域コミュニティメディア「LOCAL LETTER」、産学官民の起業家70名以上が登壇する地域経済サミット「SHARE by WHERE」など地域、業界を超えた共創を創出。長野県根羽村で一棟貸し宿を立上げ事業譲渡など独自の事業作りで活動中。
平林 和樹(Kazuki Hirabayashi)株式会社WHERE 代表取締役、内閣府地域活性化伝道師、ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社、カナダ留学、株式会社 CRAZY を経て、株式会社WHERE創業。約2万人の会員を持つ地域コミュニティメディア「LOCAL LETTER」、産学官民の起業家70名以上が登壇する地域経済サミット「SHARE by WHERE」など地域、業界を超えた共創を創出。長野県根羽村で一棟貸し宿を立上げ事業譲渡など独自の事業作りで活動中。

平林:そこでなぜ人材育成や経営者支援の方向に進んだのでしょうか。自分で事業を作るという選択肢もあったと思いますが。

秋元:イベントを主催している時に、スポンサー営業をしていました。地域の中小企業を周り、いろんな方に会うことを通じて、地域にもおもしろいことをやっているすごい企業がたくさんあることを知ります。同時に、みなさんが共通した悩みや課題を抱えているように見て取れました。

社長や後継者が優秀であるにもかかわらず、右腕になってくれる人がいないことが多かったんですよね。そのニーズに答えることができたら、一気に10社、50社と支援できるので、自分で1社立ち上げるより、地域にもたらす効果が大きくなるのではないかと思いました。

ローカルのリーダーに求められるのは“人を頼ること”。倒産の危機を乗り越えて見えたリーダーシップ像

平林:ここまでの話を聞いてきて、秋元さんはやっぱり現場の人だなと思いました。現場で課題を見つけてそれを解決してきたんですね。

秋元:そう言っていただけると嬉しいです。自分のキャラクター的には現場っぽくないと思われることが多いようなので。確かに、G-netでもずっと現場に立っていました。だから、イベント企画や雑誌作りから人材育成業務に転換していくときには葛藤もありました。

秋元:それまでの僕を応援してくれてた人たちからすると「お祭りやらないの?」となったんです。その時に離れていく人たちもいっぱいいました。それが嫌で中途半端に両方続けた時期が2年間ほどありました。その時に、大きな赤字を計上してしまって

平林:なるほど。そこで倒産の危機に直面したわけですね。しかも、その時にはたくさんの仲間を抱えていたんじゃないですか。

秋元:そうなんです。それなのにイベント企画時代の仲間は離れていくし、赤字は膨らんでいく一方。右腕人材を育てる長期実践型インターンシップを始めようと思っても、世の中にない取り組みだから全然広がらず、全てが八方塞がりでした。

債務超過になり資金繰りできなくなって、父親のところへ行って土下座してお金を借りて当座の資金繰りをしました。それでもかなり難しい状況で、1回会社をたたもうとしたんです。たたむにしても、直近の返済や家賃の支払いをするためのお金は必要なのに足らなくて、僕のことを応援してくださっていた経営者の方々に相談に行きました。

経営危機だということは伝えていなかったので驚かれるだろうと思いつつ、5人くらいの方に「300万円を5年間無利子無担保で貸してください」とお願いに行きました。法人をたたんだ後、大きな会社に勤めて5年か10年働いたら、1000〜1500万円ぐらいなら返せるんじゃないかと思ったからです。

秋元:ところが、1人目の方が「秋元くん、もっと早く言ってくれればよかったのに。そんな水臭いことを言わないでよ。300万円はすぐ出せないけど。100万円だったら貸すんじゃなくて寄付するからって言ってくれたんです。現金で500万円を貸してくださる方もいました。

平林:みなさん、秋元さんを心から応援していたんですね。

秋元:驚きましたよ。借用書を書こうとしたら俺はお前を信じて貸す金だから、君が返せるようになったら返してと言われたんです。不思議なものですが、こうしたご厚意で資金繰りが一息ついた時に、大きな案件が決まったり、右腕人材を地域の中小企業に送り込む取り組みが事業化する光明が見えてきました。

それまで僕は、リードしていくことがリーダーシップだと思っていました。確かに、スタートアップでビジネスを築き上げる時は、投資家を不安にさせないように未来を語らなきゃいけないし、可能性を伝えなくてはいけないから、不安があることは言ってはいけないのかもしれません。

でも、地域を一緒に作っていく時や、たくさんの仲間と一緒に取り組む場合には、むしろ弱みというか、関わりしろを伝えることも新しいリーダーシップのあり方のことに気づかせてもらえたのはとても大きかったですね。

平林:それまでに信頼を培ってきたからこそ、辞めるという決断をした時に与えてくれる人が現れ、事業の流れも一気に変わった。だからこそ、秋元さんなりのリーダーシップ論にたどり着いたんですね。

秋元:そうですね。G-netの取り組みは自分たちが儲かりたくてやってきたことではありませんでした。経営危機の際に応援してくれた方たちは、我々がその先に描いてるビジョンや可能性を一緒に作っていきたいと思ってくれたんだと思います。周囲を頼りながらビジョンを共有できることが、社会を動かしたりインパクトを出すために必要なリーダーシップだと思います。

プロデューサーはかっこ悪くていい。ひとりでは何もできないことを受け入れろ

平林:秋元さんがプロデュースするときに大事にしてることも聞いてみたいです。どういう視点でプロデュースをしているか教えていただけますか。

秋元:まず、プロデューサーは自分ひとりでは何もできないことを受け入れることが大事だと思います。プロデュースとは、たくさんの人の力を集めてコーディネートすることです。肝心なのは、自分だけで進めようとせずに人にどう頼れるか。

収益性が高くない事業や、リソースはないけれどやりたいことや実現したいインパクトはとても大きいというのが、ローカルでのプロジェクトあるあるです。その時、いかに多様な人たちから力を借りることができるか、あるいは頼り助けてもらえるかがプロデューサーにとって大事なことではないでしょうか。

平林:今日のお話を聞いていなかったら、秋元さんには人を頼ってるイメージがありませんでした。 実は、若い頃からいろんな方を頼っていて、今も多分知らないところで誰かを頼っているんですね。

秋元:いろんな人に頼ることは、本当に大事なことなんです。僕も20代の頃は「頼ることはかっこ悪い」と思っていました。 「全部自分でてきた方がかっこいい」と思っていたんです。でも大事なのは「かっこいいかどうか」ではありません。地域を良くすることやインパクトを出すことです

成果を出すためであれば、頼れるものは頼りまくったらいいし、お願いできるものはお願いしたらいい。力を貸してもらえるものは、どんどん貸してもらったほうがいい。

平林:それが秋元さんのプロデュースの原点なんですね。自分にできないことをまず受け入れたうえで、周りを頼ることが大事。

秋元:そうですね。ただし、自分自身が一番の挑戦者でないとプロデューサーの資格がないと思っています。プロデューサーというのは、挑戦したい人や新しいことを始める人たちの応援者です。自分自身が挑戦してない人に応援されても嬉しくないですよね。

平林:確かにそうですね。挑戦してない人に安全圏から応援されても「違うな」となりますね。そして、その挑戦する姿勢を見てくれてる人は周りにいますよね。

秋元:見てくれる人がいるからこそ、日常的に自分の取り組みや一生懸命やその先に何を描いてるのかを意識して発信することが必要です。そうすることで「あそこを目指してるのなら、これを手伝えるよ。ここに困ってるなら、これをやりましょうか」と声をかけてくれるんです。

アウェイな環境に身を置くことで成長できる。大人になってからもキャリアの選択肢を持ち続けるために

平林:今日は、G-netの次のキャリアである岡崎ビジネスサポートセンターまで話がたどり着きませんでした。昨年には、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の教授にも就任され、着実に進化されていますね。

秋元:それでもまだネクストチャレンジを模索しています。

平林:模索してるんですか。既にある程度先が見えているのかなと感じていました。

秋元大人になってからのキャリアは「選択肢をどれだけたくさん持ち続けられるか」が大事だと思っていて。年を取っていくにつれ、キャリアの選択肢がなくなっていくじゃないですか。今はまだあれもできるこれもできるとやる気が湧いてくるから「あーよかった」と安心するんです。

平林:まだまだ、どれから手をつけようか考えてるんですね。

秋元:地域で仕事をしてる人は、住んでいる地域がそのまま自分の世界になりがちではないですか。だから、大学の教授を任せていただいて一番よかったのは毎週東京に授業に来なきゃいけないことなんです。

2拠点生活になったことで、こうして東京の人々ともストレスなく出会えます。あと、大学の他の教授が面白い人たちなんです。こういう人たちと出会い続けることが刺激になるし、ワクワクできるのが引き受けた理由の1つです。

秋元:やったことのないことに挑戦することも大事だと思っていて。基本的にはアウェイな環境に身を置きたいんです。

平林:僕も同じです。

秋元:やったことがないこと、うまくいくかわからないことに挑戦してないというと、むしろそわそわしちゃいます。やることが全部上手くいって「秋元さんすごいですね!」と言われると「あ。やばい成長できない」という気持ちになるんですよね。気持ちよくなったらやばい合図です。

平林:本当に間違いないと思います。お話をうかがって、秋元さんが常に挑戦しつづけているからこそ、人が応援してくれて、プロデュースを成功させているんだとわかりました。一度ではお話がうかがいきれなかったので、今回を第1章として次回第2章ができたらいいなと思っています。ありがとうございました。

Editor's Note

編集後記

秋元さんが20代に成し遂げてきたことが偉大すぎて感動しています。その秋元さんの言葉だからこそ「人を頼ることの大事さ」というセリフが真実だとわかります。ぜひ、第2章の開催を心待ちにしています(笑)!

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