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多様性が認められる社会へ。面白法人カヤック代表の柳澤氏が考える「鎌倉資本主義」とは?

MAR. 26

Kamakura, KANAGAWA

「面白さ」の定義は「多様性」だー。

神奈川県鎌倉市に本社を置き、「つくる人を増やす」を経営理念に掲げて、一風変わった面白いコンテンツを数多く生み出してきた面白法人カヤックの代表である柳澤氏。彼の「鎌倉資本主義」という考え方はご存知でしょうか?

地域ごとにそれぞれ特徴をもつ地域社会においては、多様性を認め、企業だけでなく行政や市民団体も地域活性化に向けて、一体となることが求められるようになりました。

面白法人カヤック 社長日記よりご紹介いたします。

「鎌倉資本主義」について まとめた際のメモを公開します。

今回、鎌倉本社の理由のページが更新されました。詳しくはぜひ見ていただければと思いますが、その更新の内容を考えるにあたっての僕の頭の中のメモを今回は紹介します。

―――
カヤックは、創業から面白法人と名乗っている。

面白法人に込められた思いは、カヤックのコーポレートサイトでも十分にうたっているのでここでは割愛。
ただ、地域というテーマで取り上げる上で、再確認しておきたいのは「面白さ」の定義。
カヤックは、「面白さ」の定義を「多様性」と考えている。

多様性が認められる社会、すなわち一人ひとりが輝く社会。
1社1社が特徴的である企業社会。
地域ごとに特徴がある地域社会。

そういった世界こそが面白い社会であり、その方向性が人の進化の方向だと信じている。その進化にのっとって動けばうまくいくと思うし、その進化そのものを促進するために貢献したい。

そのためには、本社の場所選びひとつとっても重要で、東京一極集中ではなく、あえて地方に置くということで企業としての多様性を発信できる。

地方で成功すれば、地方が盛り上がる。これは、奇しくも国の方針でもある。そして、それぞれの地方が盛り上がるためには、地方にミニ東京をつくっても意味がなく、地方ごとにそこでしかない特徴を生かす必要があると思う。なので、まず地方ごとの特徴を見極めて、その特徴を地域資本(ローカルキャピタル)とみなし、この資本を測る指標をつくり、その指標を伸ばすことに地方企業自らもコミットすることも、地方企業ならではの責任だし、結果として資本が増大すればその企業へのリターンもあると考える。

その地域の強みを伸ばすためには、僕ら企業だけではなく、行政や市民団体も一体となって活性化しなければならない。みなで協力し合うということは、それぞれの都合だけで動けないということがミソ。何しろ、企業が企業の都合だけで動くと、非常に短期的な思考になってしまいがちなもの。それを、企業とは時間軸が異なる行政や市民団体と一緒になって動くことで、結果的に企業にとってサステナブルな行動を意識しなければならない、自分達を律する機会となる。既存の資本主義に限界が訪れ、新たな資本主義が模索されている企業社会において、とても良い方向。

実際にこういった状況を実現させるために、企業が会社という立場で何をすべきかを考えてみると、自社の社員の職住接近を推奨し(その地域の住宅手当を出したり、保育施設を用意したり)、その上で地域活動に参加したくなるよう後押しする。そのようにして地域と社員の接点を会社がサポートするということは、社員のソーシャルキャピタル(社会関係資本)を増やすサポートであり、それは結果として社員の健康、幸せをサポートしていることでもあると言える。ちなみに、そんな地域活動のフレームワークの一つが、『カマコン』。

資本主義をベースに動く最たる存在である企業こそが上場企業だが、この仕組を使い、その地域の市民に株主になってもらえば、企業がより地域との接点を増やすことができる。企業が伸びれば市民の資産が増え、企業がその地域の強みを伸ばせば、その企業に返ってくる。この思想にのっとって、同じ地域にある複数の企業と協力しあって行う。

つまり、社員と企業のソーシャルキャピタルを増やす経営、ローカルキャピタルを増やす経営。その結果としてのサステナブルな経営。これは、従来の資本主義を、資本の捉え方、資源配分のあり方、時間軸の考え方、そういったものを再定義するという試みであり、言い換えるなら人の豊かさの再定義ともいえる。この豊かさの再定義と経営思想をもって「地域資本主義」と名付ける。

そして、この「地域資本主義」を広めることの一端をカヤックも担うべき。地域は何も鎌倉だけである必要はなく、あくまで「地域資本主義」を事例としての鎌倉でよいと思う。それを「鎌倉資本主義」と名付けたい。「鎌倉資本主義」は鎌倉のためでもあるが、日本のためでもあり、世界のためでもある。その広がりがある設計にこそ賭ける価値がある。

この資本主義社会において企業の責任は重大。だからこそ世界をよりよくするために企業が音頭を取らなければならない。そしてそのような自覚のある企業は増えている。だから、世界は良い方向に向かっている。企業の社会的責任を語るとき、どうしてもグローバルな課題、たとえば地球環境などの大きな世界に行きがちだが、身近な地域を変えることも大事な一歩ではないのか。

そう考えたときに、鎌倉は最初のモデルケースを作る地域としては適していると思う。それは鎌倉が従来持つ、先端性と多様性と知名度という特長があるから。鎌倉で、「地域資本主義」の1つである「鎌倉資本主義」を模索して発信すれば、世界の進化に貢献できる。

・・・とそんな感じ。

あとは、今後鎌倉に上場企業がもっと増えたときに、鎌倉の上場企業が同じ日に株主総会を開催することで、一年に一度の株主総会の日は、多くの株主が鎌倉に訪れ、鎌倉市民や観光客とまざりつつ、街全体がお祭りになるようにしたい。たとえば、バフェットの株主総会は長期保有の株主が多く、毎年株主総会が同窓会みたいになっているそう(by タイガー)なので、それを1社だけでなく、一緒にできたらもっと面白い。鎌倉投信もあるし。

これに沿って、より丁寧に書いたページがこちら
鎌倉本社の理由:https://www.kayac.com/vision/kamakura

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情報提供元:面白法人カヤック 社長日記(2017年6月22日 配信)

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