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LOCAL LETTER

地域ビジネスに「地方創生興味層」はいらない。あえて強く断言したTURNS 堀口氏とWHERE平林の真意とは

OCT. 19

TOKYO

前略、地域に「ビジネス」で関わりたいと漠然と思っているあなたへ

いきなりですが、質問です。あなたが地方創生において求めるポジションは

「プレイヤー」
「関係者」
「ファン」

どれでしょうか?

こんな質問をしたら「プレイヤーになりたい」と答える人の方が多いんじゃないかなと、私は思っていたりします。だって、自らが地域のために地域で活躍するプレイヤーって、言葉の響きからしてかっこいいじゃないですか。社会的にも意義がありそうだし。

でも、私は先日弊社で開催したイベントを通じて「とあること」がとても明確になったんです。それは、自分の立ち位置を明確にせずに曖昧に関わり続けることは自分にとっても地域にとっても迷惑になるということ。関わる頻度が多ければ地域に貢献しているとは限らないし、少なくてもできることはあるからこそ、大切にすべき観点は実現可能かつ継続できる約束をすることだと気づかされました。  

この記事では私にそんな気づきを与えた、地域メディアTURNSのプロデューサーを務める堀口正裕氏と弊社代表の平林が行った対談イベント『LOCAL LETTER LIVE』より、対談者ふたりが語った本音の本音を一部始終をお届けします。

ぜひこれを通じながらあなたは「地方創生」にどう関わりたいのか、考えてみてください。

二人の共通点は「地方創生」に拘りがないこと

司会(LOCAL LETTER 編集長 杉山):今回は「地域 × ビジネス × 人づくり」に紐付けたふたりの本音を聞けたらと思っています。まずそもそもおふたりは、なぜ地方に関わるのでしょうか?

平林:僕は長野県生まれ長野県育ちなので「長野県へ恩返しをしたい」という想いが最初の原点ですが、この想いをさらに突き詰めていくと「知る喜び」に辿り着きました。いろんな地域にいくと、地域それぞれの文化に出会えるじゃないですか。例えば長野県は海がないので、僕は海の楽しみ方を知らずに生きていたんですが、海のある地域に行くと、海の楽しみ方を体験して知ることができるんです。それが嬉しい。

写真中央:株式会社WHERE代表取締役 平林和樹
写真中央:株式会社WHERE代表取締役 平林和樹

平林:今、世の中では医療の発達により「人生100年ライフ」と叫ばれていますよね。人間の寿命が伸びたことで選択肢が広がり、今まであった優秀な大学に入って、大企業に入って定年後の老後を楽しむ、ではない成功パターンも可能になってきています。その時に、僕はいかに自分の人生の幅を広げるかがこれからは豊かさに直結すると思ったんです。

なので僕自身は今でもいろんな地域に足を運びながら新しい文化・新しい人・新しい考え方・新しい暮らし方・新しい仕事を知った上で、「自分の人生でどんな道を選んでいきたいのか」を常に考えています。WHEREではそういった「知る喜び」に出会える機会を提供することで、世の中に豊かさを増やしたいと思って創業しました。

司会:「知る喜び」という部分で、堀口さんも各地域に足を運ばれていたり、ご自身で埼玉にある畑を使った農業をやられたりすると思うんですが、まずは自分が体験してみるという部分を大切にされていたりするのでしょうか?

堀口氏(以下敬称略):まさにそうですね。私には子どもが4人いるんですが「この地域いいな」「この人に会いたいな」と思ったら、できる限り家族でも行くようにしています。最初は「ディズニーランドじゃなきゃ行かない」と言っていた子どもたちが、実際に地域に行くと目を輝かせて何にもない農道をサイクリングしたり、地域のおじいちゃんやおばあちゃんと話したりしているんです。

私が一番感動したのは、帰宅後に子どもたちが今まで見向きもしなかった家の前にある薬師如来について、自ら図書館で調べる姿を見た時です。

写真右:TURNS プロデューサー 堀口正裕氏
写真右:TURNS プロデューサー 堀口正裕氏

堀口:少しの間でも環境を変えることによって、子どもたちは物凄く感化さるんですよね。まさにぽぽさんのおっしゃる「知る喜び」ですよね。「教育」という視点でも地域はとても魅力的だと感じています。

司会:おふたりは「地方創生をやっている」と言われたりしていますが、別に地方に拘りがあるのではなく、地域を通じた「人づくり」や「教育」にとても関心が高い感じがしますよね。

そもそも「地方創生」という仕事は存在しない

堀口:僕は自分が実際に体験した各地域の魅力を伝えたいと思っています。そもそも地域によって、地域の魅力は本当にバラバラですし抱えている課題も地域ごとに全く違います。そんな中で今回も「地方創生」という切り口でイベントをやっていますが、私自身は「地方創生」と一括りにすること自体にとても違和感を感じています。

そもそも地方創生って何なのでしょうか? 地方創生という言葉はあっても、地方創生という仕事はありません。地方創生という言葉で括ること自体にとても違和感を感じています。

平林:分かります。僕自身もWHEREを立ち上げる時に一番初めにやったのが、東京の家を解約し、日本中を回ることでした。バス停で待っているおばあちゃんや各自治体さんに行って、地域に色々な立場で存在する生の声を聞きまくったんです。

平林:僕は地方創生においては「まずは相手のことを理解しよう」という姿勢が大切だと思うんです。たとえ自分のやりたいことがあっても、それが実際にその地域とマッチするかなんて最初はわからないじゃないですか。

だからこそ、まずは相手のことや地域のことをたくさん聞くことが大切だと思うんです。どういう生活をされていて何を大切にしているのか、今どんな状況なのか。これは地域ごとに全く異なるので、そう捉えると一括りで地方創生とするのは僕も違和感を覚えています。

司会:地域によって流れているルールや文化が違いますもんね。まずはそこをしっかり捉えることは大切ですよね。

地方でビジネスをやりたいのであれば「地方創生に興味あります」という人は難しい

堀口:ぽぽさんは地域を知ることそのものを楽しまれているからいいですよね。そもそも地域に関わるには自分がワクワクすることじゃないとダメです。絶対に気持ちも乗らないし、継続しません。自分がワクワクすることと、地域の課題が重なったところに可能性があると思うんです。だから「100%地域のため」とか言っているうちは、まだ始めないほうがいいと思うんです。

平林:「やってあげている」というスタンスになったらお終いですよね。「事業づくりの一歩をやってあげている」とか「地域のためにやってあげている」みたいなことを思ってしまったら、本当お終いだと思っています。

平林:ちなみにふと思ったので聞きたいのですが、TURNSは地域と関わりながらビジネスをする中で、どんな方を社員として採用しているんですか? そこに地方への関わり方のエッセンスが詰まっている気がして。

堀口:突っ込みますね(笑)そうですね、まず「地方創生やりたいです」という人は無理ですね(笑)「地域が好きです」とか「ゲストハウスが大好きです」と活動されている方はとっても素晴らしいと思います。ただ、私たちは「株式会社」としてやっている以上、事業として捉えられる人でないと一緒に働くことは難しいですね。

平林:要はビジネス力があるってことですよね。僕がWHEREを株式会社として運営している理由もまさしく堀口さんと一緒で「より多くの地域に持続可能な形で貢献していきたい」という思いを形にするにはビジネスを通じて生み出すことが今の社会だと一番効果的な手段なんです。そうするとやはり「ビジネス力」は必要不可欠です。

堀口:地域の仕事はかなりの経費がかかりますし、冊子の紙や印刷代だって物凄く高いんです。だから、ビジネス視点も持っていないと継続させることができないんです。だからこそ、事業として一緒にやっていけると思う方を採用しています。

平林:地域でビジネスをやっていくって相当なビジネス力が必要なんですよ。よく会社の経営資源として「お金・人・モノ・サービス」が挙げられますが、ほとんどの地域は全てが欠けているんです。その中で事業をつくっていくのは、かなり高いハードル。もし、作る側に立つのであればそこをきちんと理解した上で挑まなければ厳しいと思います。

地域ビジネスで今本当に必要な人材は「ディレクター人材」

司会:おふたりが大切だと言われていた「ビジネス力」をもう少し具体的にして行きたいなと思うのですが、実際に地域で事業をつくる上で、地域側が本当に求めている人材ってどんな人なのでしょうか?

堀口:地域によって課題が違うので、求める人材も変わってくるのです。そもそも地域側が、自分たちがどんな人材を求めているのかを理解していないというケースは多くあります。地域側が「自分たちはどういう人材が欲しいか」という議論をしないまま、地域おこし協力隊の募集や、ワークショップを開催してミスマッチが起きる事例を私自身何度も見てきました。

だからこそ、地域が何を欲しているのかを明確にする人材がまずは大事です。いわゆる事業ディレクター的な立場の人が地域にいることが大切なのではないかと思っています。

司会:「その地域に必要な人材が誰なのかを明確にする人材」が必要ということですよね。それって例えば都内の人材系の会社で働いている人とかだと務まるものなのでしょうか?

堀口:そうとは限りませんが、都内でも地域でも経験がある方がいいと思います。例えば、京都の与謝野町で「よさのみらい大学」をやっている素晴らしいメンバーがいるのですが、彼らは複数の地域を回りながら、一定期間地域に滞在したり拠点を置きながら地域の人と密なコミュニケーションを取って、地域の人と一緒に地域の課題を明確にしていくんです。

堀口:彼らと関わっていると、地域の人たちが主体的に地域について考えるようになるんですよね。地域によって魅力も課題も求めていることも全く違うからこそ、地域外の人は地域に足を運ぶことで見えてくる魅力や課題がありますし、新しいアイディアも浮かびやすいですよね。地域外の人が誰よりも地域の味方になって、地域内の人と一緒に課題解決をしていく必要があると感じています。

後編へ続く・・・)

Editor's Note

編集後記

私の定義ではプレイヤーとは、整っていない環境の中で、しっかりと地域が持続していくようにビジネスを生み出していく人。ファンとは、自らのタイミングや頻度で地域と関わっていく人、という風に今回は設定した。

地域が継続していくためには、どちらか一方の人だけがいても意味がない。お互いが地域と共存することで、初めて地域が成立していくのだ。

ただ一つ今回のイベントを通じておふたりが伝えていたのは、地域に関わるのは、そう簡単なではないということ。関わりたい立場によってスキルもスタンスも異なる。だからこそ、曖昧な気持ちや立場で関わってはいけないということ。

再度の質問となりますが、これを読んであなたが地方創生において求めるポジションは

「プレイヤー」
「当事者」
「ファン」

どれでしょうか?

是非、考えてみてください。

(次週、後編をお届けします)

これからもふるさとの応援をお願いします。

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