だれでもレター
※本記事は「だれでも送れるレター」の企画を通じて、読者の皆様から投稿いただいた記事となります。
今回お手紙を頂いたのは、泊まれるオーガニックレストラン『mujaqui(むじゃき)』を2022年8月に開業した、株式会社なとね 代表取締役の上田嘉通さん。
これまでに100箇所以上の離島を巡り、『離島専門コンサルタント』と呼ばれていた上田さんでしたが、2018年に地元埼玉県寄居町へUターンします。
「地元には何もない」との想いから一度は地元を離れた上田さんでしたが、改めて地元に戻り、「寄居町のまちづくりに関わりたい」と思ったきっかけは何だったのでしょうか。 “泊まれるオーガニックレストラン” に込めた上田さんの想いに迫ります。
私(上田)が生まれ育ったのは、埼玉県北西部に位置する寄居町。都心から70㎞圏内でありながら、豊かな自然環境が揃う穏やかな町です。そんな場所で、「笑顔の連鎖を街中に広げ、街に光を灯したい」と始めたのが、イタリアンレストラン、ゲストハウス、ショップの複合施設『mujaqui』です。
今は地元にUターンをし、まちづくりに尽力していますが、実を言うと地元を離れるまでは都会に対する強い憧れがありました。テレビの中でキラキラしている都会の光景はとても眩しく、「何故、寄居町には何もないのだろう」とさえ思っていました。
しかし、大学進学を機に地元を離れたことで気が付いたのは「何もないと思っていたものの中にこそ、美しい寄居町の風景があった」ということ。それと同時に生まれたのが、「この町に住む子どもたちが大人になった時、この原風景は残っているのだろうか」という危機感でした。
商店街の活気も失われ、夜は真っ暗。外から来てくれた人が町でお酒を飲んでも、泊まる場所がないから終電で帰ってしまう。町に来てくれた人にゆっくり町を楽しんでもらうため、そして、街に灯りをともすため、築100年の和菓子屋跡をリノベーションし、「街の真ん中に泊まれるレストラン」を開業しました。
私たちが大切にしているのは、『身土不二』と『ご縁の食材』という想い。『身土不二』とは、身近なところで育ったものを食べ、生活するのがよいとする考え方で、『ご縁の食材』とは、私たちが直接会って惚れ込んだ生産者さんのこだわりの食材を使うことです。
その考えから、私たちは地元の有機無農薬の野菜を中心に食材を使用しており、地元では手に入らない食材については、日本中の島を旅して見つけた魅力的な食材を使用しています。
魅力的な食材を使うことで、原価が上がってしまうことは課題ですが、「なぜその食材を使うのか」、「生産者の人柄やこだわり」といった、私たちが大事にしている想いの共有を大切にしています。
私たちが目指す未来は、地元の農家さんたち、遠い島々で頑張る人たちの想いを伝えること。開業したばかりのお店で、ハード、ソフトともにまだ未熟な点もありますが、利用していただく皆さんとともに、これからも成長していきたいです。
楽しみながら、焦らず、染まらず、無邪気に、お店を続けていくことで、このお店が寄居町に住む無邪気な大人同士の出会いの場となり、町に活気が生まれ、その町が子どもたちの原風景になる。そんな未来を描いています。
是非一人でも多くの方に、寄居町と『mujaqui』を楽しんで頂きたいです。
<この記事を投稿してくれた人>
株式会社なとね 代表取締役
上田嘉通さん
海外の都市開発、東日本大震災の復興事業などを経験した後、JTB総合研究所にて、全国の過疎地域・離島地域に特化したコンサルティングに従事。これまで仕事で100島を超える島を訪問し、離島専門コンサルタントと呼ばれる。2018年、地元である埼玉県寄居町にUターンし、地元のまちづくりに関わり始める。2022年、泊まれるオーガニックレストラン「mujaqui」を開業。
オーガニックレストラン『mujaqui』の活動を知ってほしい、という想いから届けられた上田嘉通さんからのお手紙。
『mujaqui』のHPやInstagramには、上田さんの想いのこもった美味しそうな料理の写真がたくさん掲載されています。町に明かりを灯すために生まれた、小さなオーガニックレストランの成長を無邪気に楽しんでくれる方は、是非HP、Instagramを覗いてみてくださいね!
LOCAL LETTER
LOCAL LETTER