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LOCAL LETTER

新しい支援のカタチ。大田区が取り組む「副業人材の活用」に迫る

OCT. 23

TOKYO

拝啓、自治体の副業人材活用について知りたいアナタへ

※こちらの記事は、パーソルイノベーション株式会社「lotsful」主催のオンラインイベント「副業人材と大田区が挑む!地域活性化プロジェクトの軌跡とこれから」をレポートにしています。

東京都23区の中で最大の面積を持ち、都内最多の商店街が存在する大田区。

地域の顔とも言える商店街も、コロナ禍で打撃を受けました。

そうしたなかで大田区は、副業人材を活用し大田区商店街の組織力を強化する取り組みを行いました。

今回の記事では、大田区における副業人材活用のきっかけや体験談をお届けします。

行政 × キャリア副業。深刻化する人材不足への打ち手に

佐久間氏(司会、以下敬称略):lotsfulでは各法人様のプロジェクトのサポートをメインに担当しております。まずはモデレーターの浦上さん、自己紹介とlotsfulのご紹介をお願いします。

浦上氏(モデレーター、以下敬称略):モデレーターを務めさせていただきます。lotsfulでconsulting&salesグループのマネージャーを担当しております。

lotsfulはパーソルグループの新規事業として立ち上がった副業人材マッチングサービスとなっております。「可能性を広げる体験機会を提供し、主体的なエネルギーあふれる人と組織を創る」というミッションを掲げて運営しております。

浦上 楽 氏  パーソルイノベーション株式会社「lotsful」Consulting&Salesグループ マネージャー / リクルートグループに新卒入社。大手企業からスタートアップまで幅広く採用支援に従事、1000名以上の紹介実績を持つ。新規組織立上げや、チームリーダーとして業務設計、オペレーション改善、KPI設計等を実行。lotsfulには立ち上げ期から参画。大手企業やベンチャーを中心に、副業人材を活用したプロジェクトサポートを幅広く実施。現在はコンサルティング・セールス領域のマネージャーとして従事。
浦上 楽 氏 パーソルイノベーション株式会社「lotsful」Consulting&Salesグループ マネージャー / リクルートグループに新卒入社。大手企業からスタートアップまで幅広く採用支援に従事、1000名以上の紹介実績を持つ。新規組織立上げや、チームリーダーとして業務設計、オペレーション改善、KPI設計等を実行。lotsfulには立ち上げ期から参画。大手企業やベンチャーを中心に、副業人材を活用したプロジェクトサポートを幅広く実施。現在はコンサルティング・セールス領域のマネージャーとして従事。

浦上:2030年までに人手が644万人不足するというデータも出ている通り、人材不足が今後さらに深刻化していくと言われています。より柔軟な人材活用の手法が求められてきて、その代表例である副業を希望する個人の方が非常に増えてきています。

lotsfulでは現職でも成果を出され評価されている方に、「何か新しいことにチャレンジしたい」「転職にはまだハードルがある」という方に多くの登録をいただいています。

そのような個人の方と企業様や団体様をマッチングすることで、お互いが成長できるようなサイクルをつくっていく「キャリア副業」を実現していきたいというところから、lotsfulの立ち上げに至りました。

lotsfulはビジネスサイド・ハイスキル層に特化した現役社員の方を、副業という形で企業様や団体様にお繋ぎしています。転職市場だとなかなか出会えないようなスキル・ノウハウを持った方々を、lotsfulが間に入るような形でマッチングさせていただいております。

佐久間:浦上さん、ご紹介ありがとうございます。

それでは次に、本日のご登壇者様お2人の自己紹介と、事業やプロジェクトのご説明をお願いいたします。

吉原氏(以下敬称略):大田区産業経済部産業振興課で商業振興の担当として、商店街支援を担当しております。本日はよろしくお願いします。

吉原 瑞恵 氏  大田区 産業経済部 産業振興課 産業振興担当 主任 / 新卒で人材サービス会社に入社し、法人営業を担当。2011年、中途採用で大田区に入庁。福祉部、教育委員会事務局を経て、現在は産業経済部に在籍。都内最多の大田区商店街振興に携わり6年目。新規事業企画や商店街を担当する傍ら、所属チーム内の業務改善を図り、地域経済や商店街の活性化を支援している。
吉原 瑞恵 氏 大田区 産業経済部 産業振興課 産業振興担当 主任 / 新卒で人材サービス会社に入社し、法人営業を担当。2011年、中途採用で大田区に入庁。福祉部、教育委員会事務局を経て、現在は産業経済部に在籍。都内最多の大田区商店街振興に携わり6年目。新規事業企画や商店街を担当する傍ら、所属チーム内の業務改善を図り、地域経済や商店街の活性化を支援している。

河野氏(以下敬称略):大田区の商店街連合会事務局長をしております。 普段は区内に140ほどある商店街の組織開発や業務改革を推進する仕事をしております。

河野 玄 氏  大田区商店街連合会 事務局長 / 2011年、コンサルティング業界から中途採用で大田区商店街連合会に入社。連合会事務局の体制見直しと、大田区への様々な施策提言を通して、商店街支援改革を推進する。近年は商業に留まらず、観光、福祉、健康等の様々な分野に活動領域を広げながら官民連携のコーディネート等の支援も行う。
河野 玄 氏 大田区商店街連合会 事務局長 / 2011年、コンサルティング業界から中途採用で大田区商店街連合会に入社。連合会事務局の体制見直しと、大田区への様々な施策提言を通して、商店街支援改革を推進する。近年は商業に留まらず、観光、福祉、健康等の様々な分野に活動領域を広げながら官民連携のコーディネート等の支援も行う。

現状の分析から方針策定まで。商店街と副業人材活用、3年間の歩み

浦上:2021年度から副業人材活用をしていただいておりますが、簡単に取り組みについてお伺いできますでしょうか。

吉原:lotsfulさんには今年含め3年間お世話になり、毎年試行錯誤を重ねてきました。

2021年の第1弾は、連合会と副業の方がタッグを組むような形で、商店街の現状分析をしていただきました。分析した結果をもとにその後の支援方針を策定したり施策の方向性を決めたりと、非常に大事な年だったなと感じています。

初年度の現状分析から見えてきたものとして、PRや広報の領域になかなか手が回っていないということがありました。

その結果を踏まえ2022年の第2弾は、商店街が抱えているイベント活動の広報や、清掃活動、見守り活動などの日々行っている商店街の活動をもっと知ってもらうためのPRのモデルづくりに注力しました。

商店街の若手の育成の観点でも、若手がイベントを手掛けてみるグループにも副業の方に入っていただき、メンター的役割で支援をしていただきました。

2023年の第3弾は現在はじまって1ヶ月ほどですが、昨年と同じく商店街もしくはその会員である個店さんのマーケティングやプロモーションの強化のため副業の方に入っていただいています。

オンラインツールを駆使しながら若手の方とマンツーマンのような形で、SNSの基礎知識のレクチャーや運用を伴走してもらっております。

河野:2年目は商店街の個店さん複数人対副業者さん1人で合同ミーティングの形をとっていて、副業の方の工数が時間の調整に取られてしまったのが少しもったいなかったということもありました。

3年目は1対1の形に直してみて今のところ1ヶ月間うまくいっているなと感じています。

吉原:副業者に来ていただく前は、商店街の課題についてはなんとなく肌感覚で見えてはいたんですけれども、定量的なエビデンスに基づいて「これが課題だ」というものが見える化できたのが大きい収穫でした。

商店街の運営は、一般企業に比べまだまだ属人的でありアナログ的な運営が現状としてあります。本来はやるべきだが手が回っていない業務があり、その1つに広報やPR、マーケティング周りのことになかなか手が回っていないということが見えてきました。

後継者不足についても、商店街から「人手がいない」「若手がいない」とお伺いすることは多々あったんです。けれども、後継者を育てるアクションがなかなか取れていなかったり、“人材育成”がタスクとして明確になっていないことも分析結果から改めて把握することができました。

そういった現状把握と分析を踏まえてまずは「運営業務を効率化すること」、そして「人材育成の体制をつくること」を、区の支援方針として改めて打ち立て直しました。

業務の効率化が進むことで余力が生まれ、新しい活動やクリエイティブな活動など、より生産的で前向きなことに商店街の生産的なリソースを使えるようになることが狙いとしてあります。

最終的には区の目的に掲げている「商店街の活性化」や「地域の活性化」「地域コミュニティの強化」に繋がると思っています。

浦上:商品のPRや後継者の育成などは、やらないといけないとわかっているものの、普段の業務に忙殺されて後ろ回しになってしまうみたいなことがよくあると思います。

『「緊急性は高くないが重要な業務」を副業人材に任せるとかなり助かる』というお声も実際に活用してくださっている方からいただいているので、まさにそのような課題感にヒットしたのかなと思いました。

補助金だけではない。「副業人材の活用」という新しい支援のカタチ

浦上: 副業人材の受け入れを継続されている理由についてお聞かせください。

吉原:先ほど今までの経緯についてはお話しましたが、3年間続けているなかで実はまだ「こういうやり方が正しいよね」ということが見出せていないということが率直なところです。

商店街と副業者をマッチングすることについては今のところ効果が出ているので続けていきたいと考えています。ですがここ3年間やり方をその時々で変えているところもあり、現在も試験的に進めているプロジェクトの1つと位置づけています。

浦上:今も検証中ということですが、最初の段階で「副業人材でやってみよう」とか、「lotsfulでやってみよう」と思っていただいた理由は何かありますでしょうか。

吉原商店街への行政の支援策は、補助金で助成をさせていただくなどいくつかパターンが決まっていますが、新しい別の支援の手法が何かないかと模索をしていました。

専門家を商店街に派遣して、一緒に伴走しながら悩みを解決していく制度もあるにはあるのですが、概念的なレクチャーで終わってしまったり、課題を持っている商店街と制度がフィットしないという現実もあるのかなと感じていて。

元々副業という形に個人的にも興味がありましたが、コロナを経て、いよいよ「商店街への支援の形をスピーディーに抜本的にやっていかないと立ち行かない」と思い、副業という仕組みを思い切って使ってみたことがきっかけでした。

河野連合会としては、大企業の最前線で活躍してる人材のノウハウを吸収できることにも魅力を感じましたし、公募型のプロジェクトなので副業人材の熱量や向上心なども期待していました。

副業人材のマッチングに関するプラットフォームはいくつかありますが、一番深く業務理解をいただけたと感じ、lotsfulさんにお願いさせていただくという経緯がありました。

浦上大変嬉しいです。ありがとうございます。

前編では、大田区での副業人材活用をはじめたきっかけや、3年間の歩みについてお届けしました。後編では、副業人材を受け入れる時のポイントや実際に活用して得られた気づいたこと、理想の副業人材像などに迫ります。

lotsfulサイトに掲載されているセミナーレポートはこちら

Editor's Note

編集後記

課題にピンポイントで副業者が関わることで、受け入れ側はもちろん助かるし、副業者も本業とは別の形で刺激をもらえるなど、相互にとって嬉しい支援の形なのだろうなと感じました。

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