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移住イベントに参加したり、気になる地域に行ってみたり。
行動しているのに、ピンとこない。
そんなアナタへ。
2025年12月5日と6日の2日間、東京・新木場で開催された「ひと・ちいきEXPO」(株式会社WHERE主催)をご紹介します。
ローカルでの仕事に興味がある人と、地域でともに挑戦する仲間を募集したい企業・自治体をつなぐイベント。2025年3月に開催された「ローカルしごとフェス」から名前を変え、2回目の開催となります。
大きな特徴は、人と人の偶然の出会いを生む「熱のある場」であること。
当日は、全国から自治体・企業約20団体、来場者約200名が参加。参加者満足度は93%(イベント後アンケートより)と、盛り上がりが高い満足度に表れています。
活気にあふれた2日間の模様を、レポート記事としてお届けします。

<ひと・ちいきEXPO 開催概要>
公式HP:https://share.whereinc.co.jp/peoplelocalexpo
会 期:2025年12月5日(金)~12月6日(土)
会 場:木材会館(東京木材問屋協同組合)
東京都江東区新木場1-18-8 木材会館 6-7F
共創パートナー:
・一般社団法人シェアリングエコノミー協会
・株式会社パラドックス
・一般社団法人日本若者キャリア支援協会
主 催:株式会社WHERE

今年3月に開催された「ひと・ちいきEXPO」の前身となる「ローカルしごとフェス」は大好評のまま幕を閉じました。
会場では参加企業・自治体同士で新たなプロジェクトが生まれる展開も。仕事のマッチングにとどまらない、思いがけない化学反応が生まれる熱量の高い場となっていました。
「ローカルしごとフェス」イベントレポートはこちら

名前を新たにし、内容をさらにアップデートしたものが第2回となる本イベント「ひと・ちいきEXPO」です。
求人票という一枚の紙だけでは伝わらない、その土地で働く人たちの空気感・カルチャー・ビジョンを届けることを最重視。前回以上に、ステージやブースでの「生の対話」が大切にされています。

第1回から続く開催への想いを、株式会社WHERE代表 平林和樹氏はこう話します。
「地域で挑戦したい人は増えています。現状を変えようと、前向きに挑戦し続ける事業者・自治体のみなさんにも出会ってきました。
『相思相愛』じゃないですか。なのに、出会えてない。その状況を変えたい」

「地域で仲間を求める事業者」と「地域に関わりたいと願う個人」
想いを持つ両者がいるにもかかわらず、出会う機会はまだ多くありません。
その両者をつなぐために、まず大切にされたのは、参加者が安心して自分をひらける「場」をつくることでした。
木のぬくもりに包まれ、木漏れ日のような光が差し込むホール。
天井にゆらめく、カラフルなタペストリー。
明るく、やわらかな空間が広がります。


会場を包むあたたかさは、入り口からはじまっていたのかもしれません。
1階のエントランスから受付のある7階まで、参加者はエレベーターで上がります。スタッフも一緒に同乗し、移動の間に参加者一人ひとりの興味関心に、そっと耳を傾けます。
一見すると、何気ない短い会話。しかし、この時間が参加者の緊張を和らげる最初のきっかけとなっていました。

スタッフとして運営を担っていたのは、株式会社WHEREが主催する各講座の卒業生たち。
同社では、ローカルで活きるスキルを学ぶ超実践型の講座「WHERE ACADEMY」を開講しており、500人以上の卒業生を輩出しています。
ローカルでのキャリアを模索してきた、先輩たち。
「参加者の背中を押したい」
その気持ちが、表情にあふれていました。


会場全体が作り出す空気感に後押しされたかのように、個性豊かなブースが並ぶホールは終始、なごやか。
「1つ質問に答えたあとも、追加でもう1つ、2つと質問をいただきました」
「積極的な参加者が多いよね」という出展者の声も聞こえてきます。



賑わうホールを後にし、ステージに向かうと白熱したトークセッションが行われていました。トークセッションでは、地域ビジネスの最前線に立つ起業家たちが「台本なし・スライドなし」でこれからのローカルについて話し合います。


「何者かにならないといけないのか。地域で活動する中で、何者かになっていく」
「地域でよく聞かれるのは、『何ができるか』よりも『アナタはどんな人か』」
「みんな資源・資質をもっているのに。それをまちづくりに活かす発想転換が難しい」
2日間にわたって繰り広げられた、起業家によるトークセッションや5分間で組織の魅力を伝える「ローカルピッチ」。参加者の可能性に焦点を当て、心を前向きにする言葉が散りばめられていました。
※トークセッションについては、別途レポート記事をお届け予定です。


会場では、参加者の心をひらくことに加えてもう一つ、工夫が凝らされていました。それは、さまざまな価値観や視点に触れて体験することができる出展ブースです。

なかでも会場を盛り上げていたのが、キャリア探究ができるカードゲーム「ビジョンワークショップ」。
机の上には、15のソーシャルテーマと18のキャリア観を、アイコンで表すカードがずらり。
参加者はその中から、自分に当てはまるカードを選択。参加者同士で対話を深めながら、お互いの選んだカードを予想します。

「子どもの頃の夢は?」
「それはなぜ?」
自分の強みや価値観を言語化しながら、お互いへの質問を通しさまざまな視点にふれる参加者たち。
実はビジョンワークショップで使われている価値観カードは、参加者だけのものではありません。
出展企業・自治体も、同じカードの中から「自分たちらしさ」を表す価値観を3つ選択。参加者は自分と同じ価値観のアイコンが表示されているブースへ、足を運ぶことのできる仕掛けです。
さらに、「紹介状ブース」も大盛況。

「どのブースに行けばいいか迷う」
紹介状ブースではそんな参加者に向けて、スタッフがおすすめの出展団体を案内してくれます。

出展団体と来場者をつなぐ紹介状ブースのスタッフが大切にしていたのは参加者と伴走する姿勢です。
「『地域を盛り上げたいけれど、具体的に取り組みたいテーマが思い浮かばなくて』と答える人も、話を聞いていくと、実は関心のあるテーマが出てくる。
地域や働き方、価値観など、さまざまな切り口から質問を重ね、『この団体が合うかな』と、一緒にひも解いていきました」(スタッフ)
スタッフの中には、キャリア関連の資格を持つ人もいます。専門性はもちろん、それ以上に「参加者を応援したい」という想いが、会場全体の背中を押しているかのようでした。
「出展者との相性は、ブースで話してみないと分かりません。
だから『まずはブースに行って、迷ったらいつでもここに戻ってきてね』と伝えています」(スタッフ)

1日目の最後に開かれた懇親会は、出展者と参加者の関係性をより深いものに。
事業のリアルな話から、参加者の人生相談まで。
料理とドリンクを片手にブースでの対話から一歩、踏み込んだ交流へ。なかには会話が弾み、会場を出た後、一緒に帰路についた人たちもいたそうです。



「講座の中で、事業者と一緒にローカルの仕事に取り組むことがおもしろかった。だからこの先、働くことや地域に関わることの選択肢を広く持ちたいと考えていました」
そう語るのは「いい出会い」を期待して、イベントに参加したWHERE ACADEMY卒業生の増田さん。
出会いはもちろん、新しい視点も芽生えたといいます。

「移住が前提となると、今すぐ関わるのは難しい。そう思いながらブースに立ち寄っていました。
でも、副業のようにプロジェクト単位で関わることもできると伺って。選択肢がいろいろあるんだと発見がありました。
『検討すれば、関わり方を限定しない働き方もできるかもしれない。これからはその形があってもいいよね』とポジティブに話を展開してくれる出展者もいたんです。そんな可能性もあるのかと、発想が広がりました」(増田さん)
また、キャリアを模索する中で、視野を広げようとする若者の姿も見られました。
その一人が、大学3年生の小山さんです。

地方か、都会か――。
まずは「ローカルに関わる仕事をしている人たちから、話を聞いてみたい」と考え、新潟から足を運んだそうです。

「ビジョンワークショップ」にも参加した小山さん。
「カードを選ぶときはとても迷いました。自分に合っているのかな?と確信が持てなかったから。
でも、ワークに一緒に参加した人たちに質問をしてもらう中で、『だから、自分はこう思うのか』と。選んだカードへの納得感が高まりました。
自分が大切にしたいことが分かってよかったです」(小山さん)

印象的に残っているのは、懇親会やブースでの「人と人の出会い」だったそう。
「学生も社会人も関係なく、『人と人』としての関わり方が印象的でした。
ブースでも『何がしたいの?』『どんなことに興味があるの?』と聞いてくれて。その上で『私たちはこんなことができるよ』と伝えてくれる。
話をする中で、キャリアに関係なく、その地域に遊びに行ってみたいなと思いました」(小山さん)

「2日間で確信したのは、つながれば、間違いなく人生の財産になること。
みなさんの出会いは、一期一会。
気になった地域に足を運んでみたり、連絡を取り合ってみたり。ここから、ご縁をつなげていただけると嬉しい」
平林氏は、2日間をそう締めくくりました。

心をひらき、視野をひらき、出会いをつなぐ。
予測不能な化学反応がつくる「熱のある場」。
「決断」というと難しく聞こえがちですが、もっと軽やかな空気に会場は包まれていました。
「決める」「選ぶ」のではなく、「出会う」「ひらめく」。
そんな言葉がぴったりのようでした。
「ローカルで働く」生き方を目指す人たちを応援するために。次回は2026年夏の開催を予定しています。
ぜひご注目ください。
Editor's Note
印象に残るのは、セレンディピティ(偶然の出会い)が生んだ「輪」。第1回に続き今回も、出展した企業・自治体の人たち同士で、イベントやプロジェクトでの連携に発展していました。偶然の出会いがどう紡がれていくのか。これからの展開が楽しみです。
Mayumi Yanai
柳井 麻友美