JAPAN
全国
企業の継続・発展に欠かせない「人材育成」。
社員一人ひとりに企業のビジョン・ミッションを自分ごと化させるには?
社員個々の強み・弱みを見出しつつ自律的な人材に育ち、様々な課題発見・解決能力を向上させるには?
そんな「効果のある人材育成」を理想に掲げつつも、何から始めたらいいのかわからない…。社内で研修を行うリソースが足りていない…。
こうした課題を抱える企業は少なくありません。メンバーの総合力を向上させ、ローカルで活躍する人材を育成をするにはどうしたらいいのでしょうか。
「世界と戦える地域を創る」を掲げ、ふるさと納税事業などを手がける株式会社パンクチュアルでは、「人材育成研修」として社外での講座を活用されています。
2024年2〜6月には、LOCAL LETTERを運営する株式会社WHEREが開催した「ローカルプロデューサー養成講座」にパンクチュアル社員3名が受講。
今回は、本講座を推薦したというパンクチュアル代表の守時健さん、実際にローカルプロデューサー養成講座の第1期生として受講したパンクチュアル社員の須永さんにお話を伺いました。
前編では、守時さんが人材育成研修としてローカルプロデューサー講座を活用した背景など、会社視点から見た人材研修のリアルをお伝えしていきます。
「facebookで講座の受講者募集を知り『これや!』と思って、すぐに連絡しました」と語るのは守時健さん。
守時さんが代表取締役を務める株式会社パンクチュアルは、高知県須崎市に本社を構える地域商社です。地域のなかから「地方創生」を実現し、世界と戦える地域を創る「本当の地方創生」をミッションに掲げています。
ふるさと納税業務代行事業、EC事業、PR事業、ご当地キャラ運営代行、イベント事業など地域活性に関わる多岐に渡る事業を手掛けるパンクチュアル。2020年3月設立当初、守時さんを含め4名で始めた会社は現在、従業員数162名(2024年7月10日時点)にも増え、急成長を遂げています。
「企業として活動拠点が増え、従業員が増え、会社として他社に負けない得意分野がある。実際、ぶっとばしすぎなくらい結果も残しているのですが、みんなの意識が得意分野だけに向いちゃうのは、その人個人の成長にとってもあんまりよくないと思ってて。
『会社を通してこういうことがやりたいんだけどな』を伝える手段としても、外部のプロジェクトから社員が学びを得られる、この講座は使えるかもしれないと期待したんです。
まちおこしの本質を突いていて、それを実践しながら学べる講座なんて今までなかった。新しいな、と感じました。そのうち行政からも人を派遣して勉強にくる、そんな時代がくるんじゃないかと思ってるくらいです」(守時さん)
今回、守時さんが「これや!」と魅了された「第1期ローカルプロデューサー養成講座」は、佐賀県唐津市で実施される「𝗞aratsu 𝗦easide 𝗖amp FESTIVAL(通称カラフェス)*」を舞台に事業づくりを学ぶカリキュラムです。
*𝗞aratsu 𝗦easide 𝗖amp FESTIVAL…海に囲まれた風光明媚な野外会場で開催される2日間の音楽を融合したキャンプフェス。2つのステージを舞台に、豪華アーティストたちがライブを繰り広げます。
講座では、8回にわたるオンライン講義のほか、五感を通して学ぶ2回のフィールドワークを実施しました。
事業の組み立て方、周囲を巻き込んでいく方法、地域住民とのやりとり、その土地固有の慣習との調和、持続可能な資金調達…。
地域での事業づくりならではのリアルな課題へ対応しながら、地域に根ざした事業を立ち上げ、地域へ利益を還元している実践者たちが本講座の講師。
地域資本を活かし、経済性を伴った事業のプロデュース力を身につけるべく、講師の持っている多種多様な経験や視点を惜しみなく共有することで、受講者の学びを後押しします。
会社のミッションを実現させていくには、社員一人ひとりがありとあらゆる解決方法を持ちあわせていることが重要だと守時さんは言います。
「例えば、うちの会社の場合、ふるさと納税事業の担当者がまちの鰻屋さんに行き、魅力的だったから『ふるさと納税で売れないか』と考えるとします。でも、『〇〇だからダメか』となった後に、その鰻屋さんを訴求するための別のアイデアが生まれてこないとしたら、それはものすごい機会損失なんです。
『ECサイトではどうか?商工会議所では?SNSでこうすれば?YouTubeをこう活用すれば?』こうした多岐に渡るアイデアを僕だけが思いつくんじゃなくて、みんなができる。そういういろんなソリューション力を身につけてほしいんです」(守時さん)
講座での実践の舞台となった「カラフェス」会場の「波戸岬海浜公園」は、最寄りの空港(福岡空港)から公共交通機関で3時間弱。一概にもアクセスがいいとは言えない場所でのフェス開催が容易なワケがありません。
プロデューサーによる緻密な設計や、現場メンバーのオペレーション、地域事業者との連携など、数多くの工夫が施された上で実施されています。
そんな現場へ、講座を通して運営側として参画したパンクチュアルの須永さん。当時の学びや気づきを振り返ります。
「様々なブースを廻り、お店のお金周りのこと、オペレーションの細かい工夫点、ブース出店に至った背景など、『これが地域でのイベント開催のリアルだな』と感じるお話をたくさん聞きました。
『運営側に参画』と言っても、もっとオブザーバー的な関わり方だと想像していたので、こんなに裏側をオープンに話してくれるんだって驚いたくらいです」(須永さん)
プロデューサーが「掲げるビジョン」によってイベントの雰囲気や内容などが変わることも肌で感じたようです。
「一般的な『音楽フェス』ではなく『音楽と融合したキャンプフェス』としての特色が、シャボン玉アートやSUP体験などのアトラクションやワークショップにもよく表れていました。
お客さんに、親子連れやおじいちゃん・おばあちゃんの割合が多い点も一般的なフェスとの違いを感じて面白かったです。あのロケーションとフィットしていて、よく設計されていると感じました」(須永さん)
小さく頷きながら、須永さんの話に興味深そうに耳を傾けている守時さん。
中四国最大級のご当地キャラまつりを毎年開催するなど、自社でもイベント運営を行っているパンクチュアルがわざわざ外部の講座を「人材育成」に使ったのはなぜなのでしょうか?
「僕らはそういうのを、血だらけになりながらゼロからやってきました。本当に怒られまくりながらやってきた。
今振り返っても、課題とぶつかり、もがきながら実践していく経験ってめちゃくちゃ大事だと思うんです。けど、社員もわざわざ同じところで血を流す必要はないよねって。
僕らは事業を生み出す『足し算』のところで血を流したけど、アナタ達は足し算をスルーしてもっと前に進んでもらう。事業をより拡大する『掛け算』で血を流してほしい、みたいな。
もっと我々にできなかった凄いことをしてもらうために、『足し算』の乗り越え方は講座で実践しながら学んで、次のフェーズに進んでほしいと思っています。それができるプログラムって他にないので、すごくいいなと感じています」(守時さん)
座学だけでなく、現場を体験するその「泥臭い」経験が、講座卒業後のキャリアに活きていくと期待されています。
「『人材育成』は会社組織にとって一番大切です。緊急じゃないけど、将来の備えになる『第二象限』にあたるから。
例えば目先のことしか考えなければ、沼津営業所も僕がやったほうが売上げがあがるかもしれない。
でも、もし僕が沼津営業所所長になり、メンバーは僕に言われたことだけやって売上げが上げられたとしても、社員が育たないと意味がないんです。このやり方だったら、今の須永さんは生まれていない。沼津営業所所長を僕がやらなかったからこそ、須永さんが育ったわけです」(守時さん)
「ちょっと先を見越して、学ぶ。地域のために、本当の地方創生を成し遂げるというミッションを実現させるために。
目先の業務だけではなく、『なにかやれる気がするけど、どうやったらいいんだろう』みたいなところを具体的に学びに行って、そこでしか出会えない色々なつながりをつくってくる。それって、もの凄い価値だと思います」(守時さん)
取材中にも「次回はいつやるんですか?どんな人員で参加させたらいいと思います?」など逆質問を挟みつつ、次回の講座開催が気になって仕方がない様子の守時さん。
自身もプレイヤーとして第一線で活躍してきた経験がありながら、次回は自分も参加したいと嬉々として語る姿から、講座への満足度が伺えます。
今回のローカルプロデューサー養成講座のように、株式会社WHEREが手がけるアカデミーはどれも、基礎を固めどんな地域でも応用できる「地づくり」のために存在しています。
その道のプロ、第一線で活躍する講師を立て、実践とフィードバックから、表面上の学びにとどまらない「実践知」に重きをおくのは、正に「先をみた学び」。ローカルでの活躍に役立つ各種スキルを効率的に習得することができます。
企業での人材育成におすすめな講座は、ローカルプロデューサー養成講座だけにとどまりません。
地域に密着した魅力的な商品を発掘、仕入れから販売に至るまでのプロセスを実践し、マーケティングやPR、仕入れに関する知識を身につける「地域バイヤープログラム」。
どんな業種にも必須なライティング力を身につける為に。相手の“個性”と“温度”を引き出すインタビュー・ライティングノウハウを学ぶ、受講満足度95.6%を誇る「インタビューライター養成講座」。
そして今期新たに加わるふたつの講座。
地域×情報発信のプロフェッショナルから学び、「伝えた」から「伝わる」発信へ。地域の魅力の発見・編集・発信を通じて、どこでも通用するSNSメディア力を高める「ローカルSNSメディア講座」。
地域の特色を生かしつつ場を設計し、人々の「想い」を繋げ、広げていく場をつくる。経営視点・現場視点の双方を理論から学び、円滑なコミュニティ運営のリアルな実践知を獲得する「コミュニティマネジメント講座」。
これまでの講座の卒業生は150名以上、講座共創パートナーは20社にのぼります。
その蓄積されたノウハウや各地域との信頼関係から成る自信ある講座を、株式会社WHEREではこれからも準備してお待ちしています。
後編の記事では、実際に第1期生として受講したパンクチュアル社員の須永野乃さんの受講したリアルな声をお届けしていきます。
Information
ローカルに根づいた場づくりに取り組むアナタへ。
地域に根づき、場を通じて人と人が交わることで個人が活躍、地域も豊かになるーー、そんなコミュニティマネジメントのスキルを実践を通して身につけませんか?
コミュニティを進化させ続けている講師の方々とともに、特別なカリキュラムをご用意しました。
<こんな人にオススメ!>
・コワーキングスペースでコミュニティづくりに関わっているけど、独学なので不安
・まちづくりの一環として、地域に根付いた場をつくっていく方法を具体的に学びたい
・地域おこし協力隊として、人と人が集まる場づくりをしているけれど相談相手がいない
参加申し込みはこちら
Editor's Note
守時さんの取材時の印象は「脱力しているようで、芯がすごく熱い方だな」。WHERE代表の平林さんの印象は「柔和なようで、芯がすごく熱い方」。そして共通して「おもしろい」。「おもしろい」方に出会うとワクワクします。ワクワクをつくりだすのは、出会いだと感じています。人との出会い、モノとの出会い。私自身、WHEREの講座で人生が変わりました。元ひきこもりの私が言うんだから、間違いないと思いますよ!
MISHIRI MATSUMOTO
松元みしり