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世界で唯一の「酔い人」体験を。“酒米” になりきり過ごす体験型宿泊施設『うきは酒宿 いそのさわ』に泊まってみた

AUG. 29

拝啓、日本酒好きにぜひオススメする宿を知りたいアナタへ

酔人(よいびと)の酔人による酔人のための宿『うきは酒宿 いそのさわ』。

世界で唯一、酒蔵が敷地内にある築約130年の古民家を改装した宿が、福岡空港から車で約1時間のうきは市にあります。

福岡空港から電車でいくことも可能!最寄駅から徒歩4分なので免許がなくても安心です

酒蔵がやっている宿でも、元酒蔵の宿でもなく、酒蔵の中にお宿がある『いそのさわ』では、酒蔵で働いている人たちと顔を合わせて挨拶するシーンも。今回はそんな『いそのさわ』に宿泊したときの様子をお届け。

日本酒あり、バレルサウナあり、うまい飯ありの最高な1泊をお楽しみください!

一歩、宿に足を踏み入れたら「酒米」に。選び磨かれ抜かれた「精米」としてチェックイン

「日本酒」や「日本酒を囲んだお酒の場や文化」が好きな人を “酔人” と称して、歓迎している『いそのさわ』。

“酔人” であるお客さんを酒米として、チェックイン(精米)からチェックアウト(出荷)までの間に、美味しい日本酒になれる過程を過ごします。


日本酒をつくる上でまず行われるのは、原料である酒米を厳選し、磨き抜くことで「精米」をつくる工程。チェックイン時のお宿の説明によって、まずはキラキラした精米へと磨かれていきます。

『いそのさわ』では、蛇口から出てくる水も含めて全ての水が、日本酒をつくる際に使われている「仕込み水」。うきは市は大分県との県境に位置し、耳納連山と阿蘇山の伏流水を水源に、日本名水百選の一つ「清水湧水」をはじめ、古くから「名水の郷」として知られているまちです。


2階建のお宿は10名以上で宿泊しても申し分ないほどの広々スペース。お持ち帰り可能な「My 枡」やおつまみセットの用意など、嬉しい心遣いが散りばめられています。

精米のあとは、酒米を洗う「洗米」。仕込み水でしっかりと洗う

酒蔵らしく「洗米」するのは、日本酒の醸造に使われるタンクを特別に改造したもの。脱衣所とシャワールームを完備した “特製醸造タンク” から出てくるお水ももちろん、日本酒の “仕込み水” 。本物の酒米と同じように、仕込み水で洗米し、身体を清めていきます。

洗米の次は「浸漬」と「蒸米」。酒蔵のバレルサウナでととのう

精米で身体を清めたあとは、“酒樽のバレルサウナ” で酒米を蒸しあげ、仕込み水が常時流れ続ける “醸造タンク水風呂” でたっぷりと補水。さらに、外気浴で自分自身を “ととのえ” て。この「浸漬」と「蒸米」を行い、美味しい日本酒へと近づいていきます。

サウナの奥が酒蔵になっているので、作業している人の姿を見れるシーンが偶然ありました。

“醸造タンク水風呂”も『いそのさわ』が特製でつくったもの。内部が青く、光は天井にあいた穴から差し込む太陽の光のみ。肌触りが滑らかな仕込み水を浴びると、いつもと違う質感に驚き、身体が研ぎ澄まされていく感覚を得ていきます。

浸漬と蒸米後に「製麹」。蒸米に麹菌を繁殖させていく

酒蔵のバレルサウナでととのった酒米は、続いて麹菌を繁殖させていく「製麹」という工程へ。「そろそろ、ととのったかな?」というタイミングで、『いそのさわ』の女将が “酒麹バナナスムージー” を持ってきてくれます。

このスムージーと、酒粕石鹸や酒粕化粧水で十分に麹を酒米にすり込み、発酵効果で体の内部から良い菌を増やしていきます。

甘すぎずさっぱりした女将特製の “酒麹バナナスムージー” はゴクゴク飲めてしまう美味しさです。

製麹のあとは「酒母造り」。麹と蒸米に少量の酵母を加えて培養する

続いて行うのは、麹・水・蒸米に酵母を加えて、「酒母」の培養を行っていく工程。ととのえた身体を一休みさせ、日本酒を身体に流し込む気持ちを最高潮まで高めていきます。(が、日本酒が待ちきれず、今回はこの時間はほとんどありませんでした)。

酒母造りの次は「仕込み」。酒母をタンクに移してアルコール発酵へ

いよいよ仕込みの工程へ。お待ちかねのウェルカム日本酒と、特製の “あて” をつまみに、ようやく夜に備えて団欒をスタートさせます。

『いそのさわ』では、酒蔵が作った多種多様な個性をもつ日本酒が飲み放題になっているので、いろんな日本酒を飲み比べながら、自分のお気に入りをみつけていきます。

仕込み後に「火入れ」。濾過した原酒を加熱し、発酵を止める

すでに仕込み段階でほろ酔い状態ですが、会場を広間に移して、お食事も本格的にスタート。本格的なお料理にますます日本酒が進むことで、火入れが行われます。

ここからが “酔人” が本領発揮する時間。長くあっという間の夜を楽しみます。

火入れのあとは「貯蔵」。火入れした原酒を半年から1年寝かす

長くあっという間の夜を過ごしていたらいつの間にか瞼が落ちて、貯蔵工程へ。サウナや水風呂、外気浴、仕込み水や酒麹バナナスムージー、日本酒で心身ともに満たされ、いつの間にか、じっくりと熟成が進んでいきます。

貯蔵のあとは「調合」。加水やブレンドで味の最終調整を行う

眠りから目を覚ましたあとは、いよいよ出荷に向けた最終工程へ。熟成された日本酒の味を確かめながら、加水やブレンドを行うことで、日本酒の味の最終調整を行います。

『いのさわ』のサウナは24時間入ることが可能なので、早朝、まずは朝サウナで体調をととのえる。
さらに朝の食卓には、最終調整を行えるように、仕込み水はもちろん、うきはの “うまいもん” が勢揃い。二日酔いとは無縁のスッキリした状態で、朝からエネルギーチャージを行います。
ちなみに今回はやりませんでしたが『いそのさわ』では、宿泊中、日本酒を飲み放題になっているので、朝からもう一杯!なんてことも可能ですよ。

調合の次は「瓶詰め」。完成した日本酒を瓶に詰めて出荷準備をする

『いのさわ』では、気に入った日本酒を直売で購入できるのも嬉しいポイント!気に入った日本酒を持って帰るために、昨晩の記憶を手繰り寄せながら、日本酒を選びます。

「全ては美味しいお酒を造るために」という思いを伝承しつくられる日本酒は、それぞれの個性を持ちながら、どれも優しく包み込んでくれるような優しさのある味。昨晩飲んだお気に入りの日本酒を買うも良しですが、飲むところへたどり着けなかった気になる日本酒を買うもまた良しですよ。

最後に「出荷」。適度な温度管理のもと日本酒を出荷していく

いよいよ日本全国へ出荷していきます。日本酒を美味しく保つために重要なのは温度管理。別れを名残惜しみながら、女将に送り出されチェックアウト。

『いそのさわ』を運営するのは、うきは市(浮羽町)で明治26年創業した酒蔵『磯乃澤』と、日本全国でプライベートキャンプ場をはじめとする場をプロデュースする『VILLAGE INC』。

『磯乃澤』が創業当初から大切にしている「この酒はこの1年だけ」という真剣さを一滴一滴に込める気持ちが、日本酒だけでなく、宿からも伝わってくるひと時でした。

ぜひ今度は、現地に足を運んで酒米体験をしてみてくださいね。

Editor's Note

編集後記

お仕事とは思えないほど、サウナと日本酒で宴を楽しみまくった2日間。世界で唯一、酒蔵に泊まれる場所。蛇口から出てくる水は全て仕込み水。あんなにマイルドなお水があったのか…。というほど驚く水風呂でした。また行きたい…!

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