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LOCAL LETTER

データの力で日本を元気に。地域課題の解決に向け、ヤフーがマルチビッグデータを公開

MAY. 28

前略、地域課題解決をする施策を模索しているが、まだ具体的な打開策を見つけられていないアナタへ

戦略を立てる上で、まず真っ先に重要なのが「データ収集」。

現状を知り、周りと比較することで、自らの弱みや強みを把握してこそ、初めて進むべき道筋を描くことができることから、データは「21世紀の原油」とも例えられ、多くの民間企業がデータ活用を成長戦略の一部として掲げ、取り組みを実施しています。

時代が進むにつれて、民間企業がデータの活用をより重要視していく一方、データ活用した戦略づくりを行なっている自治体の名前は、ほとんど聞くことがありません。同じ時代に生きる両者の間には、情報や戦略の裏付けにギャップが生まれているのが実情ではないでしょか。

とはいえ、自治体で働く方の中には「新しいことを始めなくては」という思いを抱きつつも、実際に何をどうしたらいいのかがわからず、結局「例年通り」「周りの自治体がやっているから」という理由で、もどかしさを感じている方も多いはず。

そこで今回ご紹介するのは、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)が2019年10月に発表し、話題を呼んでいる、新サービス「データソリューション」。

それまで一切社外には公開せず、自社サービスの開発に使用していた貴重なビッグデータを誰でも活用できるサービスの開始に踏み切ったヤフー。LOCAL LETTERでは、その背景と共に、データソリューションを先駆けて活用する自治体利用者の声を取材しました。

宮崎 光世 氏 ヤフー株式会社テクノロジーグループ データ&サイエンスソリューション統括本部 事業開発本部 データコラボレーション戦略室 / 内田 真由美 氏 ヤフー株式会社 データ統括本部 事業開発本部 データコラボレーション戦略室
写真左から)宮崎 光世 氏  / 内田 真由美 氏 ヤフー株式会社 データソリューション事業本部

ヤフーの次なるチャレンジは、ビックデータのオープンイノベーション。

これまで検索やメディア・ECサービスなど、国内で100以上、月間6,000万人が利用するサービスを提供し、そこで蓄積されたデータを統計的に分析したビックデータとAI技術を用いて、サービス改善を続けてきたヤフー。

なぜ、貴重なビックデータをでも活用できるサービス「データソリューション」のリリースに踏み切ったのだろうか。

「これまで自社サービスに生かしてきたデータが、世の中の課題解決になることを示し、企業や自治体の新たな価値創出ができると考え、まずは約60の企業・自治体と実証実験を進めていきました。その結果、商品開発にビックデータを活用した商品は、過去最大の販売数の2.6倍を売り上げるなど、多くの成果に繋がり、2019年10月31日にデータソリューションを正式にリリースすることになりました」(宮崎氏)

すでにデータ分析を行なっているところが多い民間企業でも、ヤフーのビックデータを用いることで、大きな成果を得ることができたという。その理由は一体、なんなのだろうか。

「私たちは、自社においてもビッグデータとAI技術を用いて、ヤフーが提供するさまざまなサービスの改善を続けています。異なるサービスのビッグデータを横断して分析することで、より大きなサービス改善を見込めることがわかってきました。私たちも含め、1つの民間企業・自治体が持っているデータには限りがありますが、データソリューションを活用することで、より細分化された分析することができます。課題に対する打ち手を考える際には、こうした分析からさまざまなインサイトを得られる可能性が大きく広がると考えています」(内田氏)

日本最大級の膨大なデータ量とバリエーションを誇るヤフーのデータを自社データに掛け合わせることで、これまで以上に詳細な分析結果を得ることができるというのだ。

「データソリューションと、民間企業や自治体が独自でもつデータを相互利活用することで、お互いが成長し、さらに多くのデータが集まるエコシステムを目指したいと考えているんです」(宮崎氏)

さらに「データソリューション」には、DS.INSIGHTとDS.ANALYSISの2つのプランを設けているという。

「DS.INSIGHTは、ヤフーの各種ビッグデータをもとに、ご自身のブラウザー上で調査・分析いただけるダッシュボードサービスです。ヤフーの検索データをもとに、生活者の興味関心を可視化する “DS.INSIGHT People” と、位置情報をもとに、エリア特性や人流を可視化する “DS. INSIGHT Place” の2種類を提供しています。こちらのツールでは、日常の業務の中で、プロジェクトのメンバー自身で、発見し、プランニングを行い、施策の振り返りといったPDCAのサイクルを回していただくことができます」(内田氏)

「より複雑な条件や深い分析が必要な場合は、DS.ANALYSISがオススメです。DS.INSIGHTが “検索” と “位置情報” のビッグデータから分析を行うのに対して、DS.ANALYSISは、検索・位置情報にとどまらず、Yahoo!ニュース、Yahoo!ショッピング、 Yahoo!知恵袋など多岐に渡るデータを活用するだけでなく、ヤフーのデータサイエンティストが分析を行い、事業への活用支援を行うコンサルティングサービスです。これにより、個々のニーズに合わせてさまざまなビッグデータを組み合わせ、データによる課題解決を目指していきます(内田氏)

DS.INSIGHTにもDS.ANALYSISにもそれぞれできることがあるのはわかったものの、どちらを自分たちが活用した方がより成果に直結するのか、わからないという方も多いはず。率直にその違いを聞いてみると、心強い回答が返ってきた。

データはあくまでも素材でしかありません。データの分析方法や活用方法は、何千通りもあるので、素早く基本的な情報を得たい方に対してはDS.INSIGHTをオススメしていますし、詳細な情報をしっかりと分析した上で見たいという方に対してはDS.ANALYSISをオススメしています。とはいえ、何がどこまでできるのかはわからないことが多いと思いますので、皆さんがどんなことを知りたいのか、今後どんなことをしてきたいのかを聞かせていただいた上で、一緒に考え、ご提案させてもらっています」(宮崎氏)

現状把握に課題を抱えていたDMOの戦略づくりを手助け。データソリューションが施策のクオリティアップを可能に。

では実際に、データソリューションを活用し、まちづくりを行なっている地域の方々は、ビッグデータをどのように活用し、どんな手応えを感じているのだろうか。

今回は、実際にデータソリューションを活用したまちづくりを行なっている一般社団法人富山県西部観光社「水と匠」プロデューサーの林口砂里氏にも取材を行なった。

林口砂里氏 一般社団法人富山県西部観光社「水と匠」プロデューサー / 水と匠は、富山県西部地区6市(高岡、射水、氷見、砺波、小矢部、南砺)を圏域として2019年8月に地方連携DMO候補法人として登録された。
林口砂里氏 一般社団法人富山県西部観光社「水と匠」プロデューサー / 水と匠は、富山県西部地区6市(高岡、射水、氷見、砺波、小矢部、南砺)を圏域として2019年8月に地方連携DMO候補法人として登録された。

実は、水と匠がデータソリューションの導入を始めたのは、サービスのローンチが決まる前だったという。そんな中、なぜ林口さんはデータソリューションの導入を決めたのだろうか。

「2019年8月に地域連携を行うために、水と匠を立ち上げました。お恥ずかしながら、DMOを立ち上げてから、DMOのMはマーケティングという意味であり、“しっかりとしたデータ分析やマーケティングに基づいて、戦略的に事業を仕掛けていくこと”がその役割だということを知ったんです。ですが、私たちの周りにはデータ分析やマーケティングの専門家は一人もいない状況でした」(林口氏)

林口氏を含め、誰一人としてデータ分析・マーケティングのやり方はわからない、DMOを立ち上げたばかりで、大きな予算をつけることもできない中で、それでもしっかりとDMOとしてデータに基づいた事業をつくりたいと思っていた林口氏。そんな林口氏が偶然、友人であったヤフーの社員に相談を持ちかけ、宮崎氏と内田氏、ひいては、未来のデータソリューションに繋がったのだという。

「私たちでは絶対にアクセスできないビッグデータを活用して地域のことを調べていただけるなんて、なかなかない機会だと思い、データソリューションを活用することを決めました。正直、どんなものが結果として出てくるのかは全くわかりませんでしたが、それでも宮崎さんが最初に見せてくれた資料だけでもとても貴重なデータが多く、これは挑戦してみる価値があると感じました」(林口氏)

深い分析を行うため、DS.ANALYSISを活用したコンサルティングを導入した林口氏。とはいえ、初めての試みに不安もあったという林口氏に宮崎氏が、初回のお打合せで見せたのがヤフーのビックデータを活用した簡単な分析結果だったという。

初回のデータ分析の際にヤフーより提出された分析情報(一部抜粋)
初回のデータ分析の際にヤフーより提出された分析情報(一部抜粋)

「DS.ANALYSISの場合、最終的にはしっかりとしたレポートで納品させていただきますが、とはいえ最初にどんな分析データが出てくるのか不安を抱くのは当たり前です。だからこそ、私たちがヤフーのビッグデータを活用してどんな分析が出せるのか、実際にその地域の分析データを見せてイメージをすり合わせることを大事にしています」(宮崎氏)

自治体の方とお話をすると、“データ” という言葉を聞くだけで、”難しそう” と思われることも珍しくないと感じています。ですが私たちは、あくまでもデータは客観的なデータの一つとして、データをベースに現場の人の経験に基づいたお話を聞いていくことが重要だと考えています。自治体の皆さんにとっては、検索データや位置情報など、初めて見るビックデータということも多く、意外な発見や納得する部分など様々です。だからこそまずはデータを見ながら、面白さを体感し、身近に感じてもらえたら嬉しいです」(内田氏)

宮崎氏が最初に林口氏に見せたデータは当時、水と匠が力を入れようとしていた富山県西部で自信のあるトップコンテンツと他の地域のコンテンツを比較したデータ。簡単な検索だけでも、すでに10倍以上の差があることが露呈したという。

「最初に分析のレポートをいただいたときは、本当に衝撃を受けましたね。なんとなく漠然と “そうだろうな” と思っていたことがしっかりと数字で示されたことによる説得力もさることながら、私たちが注目もしていなかったことが実は注目されていたりと、驚かされてばかりでした。正直、最初はどこをどう分析してほしいと伝えることもままならず、心配もあったんですが、ちゃんと宮崎さんと内田さんが汲み取って、形にしてくれました。この時の分析レポートを見て、富山の自治体さんも予算をつけることを決断してくれました」(林口氏)

水と匠として、林口氏の中にはすでにやりたいことがあったものの、周りを動かす説得材料に乏しく、動き出すことができなかったという。宮崎氏と内田氏は現地に足を運び、地域を見ながら、そんな林口氏の想いを丁寧に聞いていったという。

富山県西部地区の特徴の一つである伝統産業「高岡銅器」の鋳造
富山県西部地区の特徴の一つである伝統産業「高岡銅器」の鋳造
総務省の事業として東京で行なった高岡市のPRイベントでも「産業観光」を紹介した
総務省の事業として東京で行なった高岡市のPRイベントでも「産業観光」を紹介

では実際、林口氏が衝撃を受けたデータ内容とはどんなものだったのだろうか。

「データで最も示されていたことは 富山県は全く観光地として認知されていない ということだったんです。日本はこれから観光大国を目指して、観光をどんどん盛り上げようとしている中、今からメジャーな観光地を目指そうと努力すること自体が間違ってますと結論が書いてありました。衝撃でした。でも、その通りだと思ったんですよ。そもそも富山県西部地区にはメジャーな観光資源が少ない中で、メジャー路線を目指すことは難しい。だからこそ、独自性を追求することに振り切る覚悟ができました」(林口氏)

初回のデータ分析で、富山県が観光地として圧倒的に認知されていないことと、富山県が伝統産業やものづくりの地域として認知されていることが判明したことにより、地域のターゲットを「ものづくりに興味のあるデザイナーやクリエイター」に絞った林口氏。

ターゲットを明確にしたことにより、一貫性のあるモデルツアーや都内でのイベントを企画。総務省のモデル事業まで受託し、高い評価を得ているばかりか、林口氏はさらに大きなチャレンジに挑んでいる。

クリエイター向けに行なったモデルツアーの様子
クリエイター向けに行なったモデルツアーの様子

「国内のデザイナーやクリエイターに対して施策を打つ中で、やはりこの人たちと富山県は相性がいいということがわかってきたので、国内だけでなく、海外のデザイナーやクリエイター層をターゲットにした体験や販売を行うイベントも企画しています。他にも、データ分析によって、地域内のアクセスに課題があることが露呈したので、水と匠の会員のタクシーや路面電車といった交通事業者の皆さんにも協力していただいて、最適な交通アクセスを考えていく段階にも入っています」(林口氏)

ヤフーのビッグデータから、様々な施策を打ち出し、実際に成果を出している林口氏。新型コロナウイルスの影響もいち早く察知し、新たな取り組みを実施していた。

コロナの影響で売り先に困っている地域内の一次生産者さんや伝統工芸の職人さんたちから悲鳴が上がる中、自分たちに何ができるかを考えていました。そんな時、宮崎さんが観光業などへのコロナの影響を調べたデータを共有してくださって、そこから自粛生活で気分転換やお家時間の充実を考えるニーズがあることを知って、両者をつなぎ富山の価値を「もの」を通じてお伝えするオンラインストアを立ち上げました」(林口氏)

水と匠のオンラインストア
水と匠のオンラインストア

新型コロナウイルスの影響から、データ活用の重要性を認識し、データ活用を始めた自治体も増えており、この状況を受け、ヤフーは新たな決断を行なった。

新型コロナウイルスの影響を受け、2020年4月より自治体への無償提供を開始。

ヤフーは、新型コロナウイルス感染症対策に活用してもらうことを目的に、ビッグデータをブラウザー上で調査・分析できる「DS.INSIGHT」を2020年4月1日から、都道府県および全国の政令指定都市へ無償提供することを発表したのだ(2020年5月18日時点で都道府県無償提供の利用者は全体の9割に及ぶという)。

「私たちは様々サービスを展開しているからこそ、コロナの影響がどんどん拡大していて、一人一人の生活にも大きな影響を及ぼしていることをヒシヒシと感じています。だからこそ、私たちで役に立てることがあるのなら、なんでもやろうと無償提供に踏み切りました」(宮崎氏)

ヤフーはDS.INSIGHTを活用することで、たとえば最新の住民の検索傾向から住民の不安やニーズを発掘したり、地域内の人流データから外出自粛要請の効果測定を行うとともに住民に対する広報へ反映させたりといった活用方法を想定している。

DS.INSIGHTは、新型コロナウイルス感染症に関連する影響を素早く把握するのに役立ちます。しかし、この状況で予算がつかないから使えないという理由があるなら、それはもったいないですよね。だからこそ、無償でも活用していただきたいと思っています」(内田氏)

その他にもヤフーでは、新型コロナウイルス感染症に関するデータ分析を独自で行い、自治体様やサービスサイト、メディアへ情報発信も行なっている。

常に相手の立場に立ち、最善の策でサポートを行なっているヤフー。その中でもデータソリューションを担当し、常に目の前のお客様と向き合っている宮崎氏と内田氏。最後に、おふたりがお客様と向き合う上で大切にしていることを率直に伺った。

「ヤフーのミッションにもあるんですが、最終的なアウトプットが “課題解決” になることを大事にしています。だからこそ、私たちは “データが出ました、結果はこれです、自分たちで読んだらわかりますから” といったようなコミュニケーションを取ることは絶対にしません。課題解決に向けて、データからどんなことが読み取れて、どんなストーリーをつくれるのか、できる限りキャッチボールをして、伴走させてもらいます」(宮崎氏・内田氏)

どうしても大手企業になればなるほど、マニュアルチックな対応や、型や内容が決まり切ったサービス提供、莫大な予算がかかると思われてしまうことが多々ある。

しかしデータソリューションには、ヤフーが築き上げてきたデータへの信頼はもちろん、いい意味で泥臭く、お客様や地域に寄り添い続ける担当者たちの想いと熱量があると感じる取材だった。

個人情報保護について
データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ(パーソナルデータ)については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。ヤフーが企業や自治体と連携するのは、「誰かの情報」とは言えない状態になった統計情報、および分析によって得られたインサイトです。また、DS.INSIGHT Placeでの位置情報については、Yahoo! JAPANが提供するアプリで位置情報の利用を許可しているデータをもとに、プライバシーに配慮して統計化して推計を行なっています。推計は、ヤフーサービスの利用者の偏りやユーザ数と人口の比率などを考慮して、ヤフー独自に推計した値となります。

これからもヤフー・データソリューションの応援をよろしくお願いいたします!

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