Niimiya, WAKAYAMA
和歌山県新宮市
みなさんはフードロスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
“日本で、まだ食べられるのに捨てられている「食品ロス」は年間642万トン。毎年一人あたり「おにぎり約500 個」を捨てている計算になります。”
最近ではニュースなどでも「フードロス」という言葉をよく耳にし、考える機会が少しずつ増えてきています。例えば、野菜の皮や大根の茎の部分。どうしても捨てがちですが“ベジブロス”という栄養満載の”だし”に早変わりすることをご存知でしょうか?
そんなフードロスをなくそうと、新宮市熊野川町の宿泊施設「Guesthouse ikkyu(ゲストハウス イッキュウ)」で11 月25 日、廃棄予定の食材を調理して提供する「あまった~る食堂」が1 日限定で営業しました。
このゲストハウスは築70 年の古民家を改装した1日1組限定の貸し切り宿泊施設。自然環境に負荷を与えないことをテーマとしており、電気はソーラー発電で賄い、排せつ物を肥料に変えるコンポストトイレを使うなど循環可能な生活を目指しています。
イベントでは、商品にできない「あまった~る(和歌山の方言で余っている)」食材を使って夕食を提供。用意された食材は店舗での売れ残りや廃棄予定の冷凍食品、地元農家から提供された野菜、洋菓子店の余ったスポンジケーキの端部分などで、県内外も含め6 カ所ほどから提供を受けたものです。
調理は伊藤くにおさんが担当。伊藤さんは世界各地の「ふるさとの味」を学ぶべく10 年以上世界を旅し、帰国後に名古屋で料理教室と英語教室を営んでいます。
当日は松花堂弁当、大豆ミートのカツカレー、中華風ディナーの3 種を用意。食後のデザートにはスポンジケーキの端のティラミスのイチゴソースあえが提供され、集まった24 人の参加者が舌鼓を打ったそうです。
来店した30代男性は以下のように話しています。
“余った食材でどんな料理が出てくるか楽しみだったが、ぱっと見て何が余った食材なのか分からない。社会では余っている食材が多いことを考えさせられる。大豆ミートを食べたのは初めてで、余った食材で健康的な食事ができることには驚いた。今後も継続的に開催してほしい。”
またゲストハウスオーナーの森雄翼さんは以下のように語っています。
“『あまった~る食堂』は学生の時から開いていた。昔は余った食材を廃棄することに憤っていたが、3年前から田舎で循環型生活を送り、社会に対して一つのアプローチになると考えるようになった。食材の集まり次第だが、来年の春くらいに次回開催を考えている。この活動を通じて、県外からのお客さまはもちろん、協力してくれるスタッフにも楽しんでフードロスを考えてもらえたら。”
みなさんも楽しみながらフードロスを考えて地球に良いことをしませんか?
KOHEI TAKENOUCHI
竹之内 康平