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【ものづくり× 商品企画】水泳帽・ペンのクリップ…墨田区の”ヒット用品”は「心遣い」から生まれた

NOV. 14

拝啓、人に愛されるサービスを提供したいアナタへ

いま、この瞬間。あなたは、どんな ”もの” に囲まれているだろうか?

ふと周りを見渡せば、自分がいかに多くの日用品に支えられているかがよく分かる。水を飲むにはコップがいるし、何かを描くにはペンがいる。

そんな日用品は、「実は墨田区」で作られているものが多くある。いわゆる墨田生まれの”日常ヒット商品”だ。

みたことある、窓の金具も「実は墨田区」

では、これらはどのような発想から企画されているのか?日常のヒット商品の生みの親に、今回は商品企画について取材をしてみた。

結論、そこには「ものづくりのまち」ならではの”心遣い”が溢れていた。簡単にだが、”心遣い”から生まれたヒット商品を3つご紹介しよう。

心遣いその1.「スーツのポケットを傷付けない」→丸みのある ペンの”クリップ”

スーツに引っかけるためのアレです

日常のなかで何気なく使用している”ペン”には、さらにさりげなく”クリップ”が付いている。

言われてみれば無くてはならないこの部分だが、墨田区のクリップがメーカーから人気があるのはとある工夫がなされているからだ。

それは「スーツを傷つけない繊細な加工」

製造する「ヨシズミプレス」は、クリップの裏の部分を精密に丸くプレスし、ペンを取り出す際にクリップがポケットの生地を傷付けないように設計。他職人も驚くすごい技術により、現在はなんと月に150〜200万個の発注があるという。

クリップの加工について「それは消費者の声を反映してつくったんですか? 」という我々の問いかけに、社長の吉住巌さんは「聞かなくても想像すれば分かるよ。」と、やさしく笑った。

「心遣い」2. 「 先生にとってのプール授業をより快適に」→おむつ生地からプール用 ”水泳帽”を開発

「懐かしい!」と誰もが記憶している、この”プール用の水泳帽”。

これも「実は墨田区」。しかも、プールで帽子をかぶる習慣のなかった1960年代に、”赤ちゃん用のおむつカバー”を生産していた「フットマーク株式会社」の三代目・磯部成文氏(現会長)が自ら発明して、つくり出した。

”おむつカバー”と”水泳帽”? どこに関係があるの?と思ったかもしれない。

実は、どちらも「異素材を縫い合わせ」てつくられていること。お尻で履くものを作る技術を、頭でかぶるものの技術に転換することで、新たな商品を開発した。

水泳帽子の目的は子供達の視認性を高め、先生の指導のしやすくすること。泳力別に分けて指導できるなど、先生に寄り添った形で帽子は開発された。開発した最初の数年は全く売れなかったが、とある学校の導入から徐々に広まり、プール授業に欠かせない必需品となっている。

余談だが、「介護」という言葉を発明したのも、三代目の磯部氏。

“「足あと」の最前線にいて、未来の「道」を切り開いていく。”

フットマーク株式会社の社名に込められたその思いは、知らず知らずのうちに、私たちの生活の芯まで根付いていた。

心遣いその3. 「ウレタンは緩衝材のためのもの」→薄さや加工方法を追求し、”ウレタン”で日常用品を

”ウレタン”と聞いて、「?」が浮かんだ人も多いかもしれない。何を隠そう、取材者である我々もその一人。

例えばプラモデルやダーツの箱を開けると、商品を傷付けないように型取りして入っている、ふわふわしていて、やさしい”アレ”のことです。

いつも新品を守ってくれてありがとう

「サトウ化成」の代表・佐藤さんは、「ウレタンってすごいんですよ!」と少年のように目を輝かせながら、ウレタンでつくられた様々なものを見せてくれた。

引き出しを開けると現れたのは、鮮やかなブルーの型。雑然としがちな引き出しも、これがあることによって、何かが無くなればすぐに分かる。何より、”大切にされている感”があって、日用品が嬉しそうだった。

これは佐藤さんが「思い付いてつくってみたんだよ!便利だと思ってさ!」と教えてくれた、未発売の、”未来のヒット用品”。

ウレタンは「加工方法、薄さ」を工夫することでどんなものにも変身できる。素材の可能性を追求し続けた結果、今ではおもちゃ、看板、大きな家具、名刺入れまで(!)。まさに、ウレタン業界のドラえもん。

強くてやさしい素材、”ウレタンの可能性”を、垣間見た気がした。

ヒット企画に共通するのは、「言われる前に作る」職人の”真の心遣い”

ヒット商品を作ってきた3社に共通する点は、大きく3つだった。

・クライアントとの対話を通じて使う人の日常を想像
・思いついたら「まずはつくってみる」スピード感
・リクエストされていなくても、良いと思ったら作ってみる

こうまとめた時、これは世でいう「インサイト マーケティング」の手法と全く一緒だ、と気づいた。

コミュニケーションを通じてユーザーの声を聞き、ヒントが見つかったらテスト品を即製作、そして作る中でより良い方向が見えたらすぐに軌道修正。

墨田区の職人たちは「頼まれたものを作る」のではなく、「使う人が日常のなかで本当に困っていることを想像し、最良のものを作る」のだ。

技術×心遣い。それが、墨田流の「ものづくり」なのかもしれない。

それが人々の期待を超え続けたからこそ、何十年にも及ぶ、メーカーやユーザーからの信頼に繋がっているのだろう。

(写真:森屋 元気)

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