WHEREの歩み
2021年10月21日に、創業6周年を迎えた株式会社WHERE。
近年では、地域活性化カンファレンス『SHARE by WHERE』や地域共創コミュニティ『LOCAL LETTER MEMBERSHIP』と次の展開を迎えている彼ら。
その最前線を走る代表平林と高山が見てきた、WHERE6年間の歩みは?
渦中で感じてきた、周囲の変化はどんなものか?
さらにふたりが見通すWHEREのこれからとは?
「WHEREの面白さは、ドラマがあること」と明るく話す平林。
そのドラマは、創業2015年から約1年半の家なし生活からスタートする。平林は、創業の想いをプレゼンしては、紹介先の地域に訪問して滞在する日々を送っていた。
「立ち上げ当初、『自分が本当にしたいことは?』『何が大切なのか?』という問いを突き詰めた先にたどり着いたのが『心の豊かさ』でした。その実現が難しい社会の現実から目を逸らすことなく、『心の豊かさがある社会』をちゃんと夢みたいと思ったんです」(平林)
「当時は何の実績もサービスも、事業プランも無かったので、『心の豊かさが大切なんです!!』と情熱だけのプレゼンを出会う人にしまくりました。その熱量を信じて、紹介をもらえた人の元を訪れて、またプレゼンをして・・・の繰り返しでしたね」(平林)
実際に住み、その地域の課題を一つひとつ解決していく。その過程でクライアントは順調に増え続けた。しかし、「オーダーメイドで一つひとつ解決していく、『地上戦』スタイルへの限界を感じた」という平林。
実際に出向き、その地域を元気にしていくことへの大きな価値の確信と同時に、規模の限界に直面した彼は、次の展開を考えた。
前職のヤフー株式会社で見てきた「ネット」の強みと、既にWHEREの価値となっている「リアル」の強みを掛け合わせられないかと思い立った平林。
「ネットは、規模を広げられるけど心が動きづらい。リアルは、心が大きく動くけど規模に限界がある。このネットとリアルをつなぐメディアをつくろうと考えたいんです。その時に出会ったのが、他社でインターン生としてメディアに取り組んでいた、まだ学生の奈々(高山)でした」(平林)
当時キュレーションメディアを運用し、記事を量産していた高山は、その在り方に疑問を抱いていた。
「『この記事を作り続けた先に何があるんだろう?』と目的を失いかけていた矢先に、平林から『ネットとリアルをつなぐメディアを考えてるんだけど一緒にどう?』と誘いを受けました。即答で『やりたいです!』と答えましたね」(高山)
そうしてWHERE創業3年目にスタートしたのが、LOCAL LETTERだ。
「WordPressのテンプレート選びからスタートしましたからね。笑 何もかもが試行錯誤の日々でした。今もそうです。だけど、読者へ『ここに行きたい!』とか『会いたい!』とか『ワクワクしちゃう!』というリアルな感覚を届けたいという想いだけは、決してぶらすことなく丁寧にやってきました。
その結果、今では『記事を見てプログラムに参加しました!』や『メディアのファンで、遠方からイベントに来ちゃいました!』といった方が増えてきています。LOCAL LETTERが育ってきたことが感じられて、とても嬉しい」(高山)
ネットとリアルを繋ごうとスタートしたLOCAL LETTERは、今やそのビジョンを叶えつつある。
「最近感じる変化は、イベントやプログラムの参加者が、直接声掛けをしている人たちではなく、LOCAL LETTERを通して興味を持ってくれた人中心になってきたことです。メディアを通して、僕たちの想いがたくさんの人に伝播していることを実感しています」(平林)
しかし、それだけでは立ち止まらなかった。
「メディアだけでは、関わりの濃度がまだ足りないと思ったんです。『心の豊かさ』をより多くの人が、多くの場所で実現できるようにするには、さらに熱量高く一歩踏み出す勇気をつくれる場が必要だと考えました。
その時に重要視したのが、『知らないことが知れる場』をつくることです。これは各地域を回る中で学んだことなんですよね。よく地方は排他的だと言われるけれど、そうじゃない。分からなくて怖いだけなんです。『分かる』ことで人は自然と変化するんだということをまじまじと体験してきました」(平林)
そんな彼らはメディアを超えた温度感の情報を伝える場として、新たに大型イベントをスタート。皮切りとなったのが、2020年8月に開催した地域活性化カンファレンス SUMMIT by WHERE(現:SHARE by WHERE)の開催だ。
コロナ禍に突入してから間もなく、オンライン大規模イベントというだけで注目を浴びる最中で、延べ125人の登壇者と1,350名の参加者が集う場を成功させた。このイベントは、2021年にもSHARE by WHEREと名を変え実施し、2022年2月にも次回開催を予定している。
開催毎に、登壇者・参加者が繋がり、新しいプロジェクトが次々に生まれるそのイベントには、「登壇者から『あのセッションと自分の登壇セッションが被るとみれないじゃん!変えてほしい!』とリクエストが続出する(平林)」ほどの熱量がある。
各領域の第一線で活躍する錚々たるメンバーが登壇者として集まるSHARE by WHERE。
「株式会社WHEREというよく分からない会社が、とんでもなく豪華な登壇者をたくさん巻き込んでつくっているのが面白いと思うんですよね」(高山)
WHEREが開催するイベントでは、参加者を見て「サクラですか?」と本気で聞かれることもあるそう。「なぜかWHEREには温かくて素敵な人が集まって、巻き込まれていく。不思議になります。でもそんなWHEREだから実現できるイベントなんだと思ってます」と高山は、笑いながら語る。
そのSHARE by WHEREを経て2021年に立ち上げたのが、新コミュニティ『LOCAL LETTER MEMBERSHIP』だ。
「熱量が伝わって、一歩踏み出せる参加者が出てきた。だけど、一歩踏み出す人たちをまだまだ増やしていきたいと考えた時に必要だったのが『継続的な関わり』でした」(平林)
「地域を想うLOCAL LETTERの読者同士を引き合わせれば、絶対に何かが起こるとずっと思っていたんです。だけど、メディアやイベントだけではその繋がりをつくりきれなかった。コミュニティができたことによって、LOCAL LETTERの読者が出会い『心が豊かになる』新しいプロジェクトが生まれています」(高山)
一つひとつの地域に向き合う「リアル」のオーダメイドスタイルと、地域の生きた情報を多くの人に届ける「LOCAL LETTER」、地域で活躍している人の熱量を伝える「SHARE by WHERE」、さらに一歩踏み出す勇気を提供する「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」と、次々に点を描いてきたWHERE。彼らの何よりもすごいところは、これらの挑戦を絶やすことなく継続し、確実に線にしてきたことではないだろうか。
公民問わず、地域問わず、「地域と人の繋がりに新しい可能性を創出する」というミッションのもとで奔走してきた彼ら。
「何もなかったところから、我慢して堪えて、努力してつくってきたWHEREの世界観が、求められるようになってきた実感がある」と噛みしめながら振り返る高山。
「『WHEREさんの世界観がいいよね。面白いよね。』と言って、ご一緒させてもらうことが増えてきて、積み重ねてきたものを実感しています」(高山)
「WHEREの持ち味は『チーム』の概念です。同じ世界を見ている人たちと、その繋がりで協働していくという考え方。」その持ち味である「繋がり」でなにかをする時代が、社会的にもやってきたのだと平林は分析する。
「競合他社や独占という考え方を超えて協働するという動きが、社会全体で大きくなってきました。これは、『協働』を創業から貫いてきたWHEREにとっては強い追い風。取り組み続けてきた僕たちだからこそ、ハブになって『協働』を生み出すことができると信じています。(平林)」と未来を見通す。
そんなWHEREについて高山は、「『そんなに人を信じていたら、いつか騙されないか心配だ』って言われることもあるんです。笑 だけど最近になって、それがWHEREなんだと再認識しました。目の前の人を信頼して、一緒に走ると決めたらどこまでも信じ切る。その姿勢でこれまでもチームとして、地域に伴走してきたし、これからも変わることはないと思っています」と愛おしそうに話す。
これからも、変わらず在り続けるWHEREが、地域に「繋がり」からはじまる変化を起こしていくに違いない。
そんな「協働」が生まれる、「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」は、「Co-Local Creation(ほしいまちを、自分たちでつくる)」を合言葉に、地域や社会へ主体的に関わり、変えていく人たちの学びと出会いの地域共創コミュニティです。
Editor's Note
開催3日前に届いた、「6周年記念パーティー」案内の連絡。
そんな連絡を受けたみんなから「3日前に誘うなよ!でも、来ちゃう俺らが悪いんだよな〜。笑 これがWHEREだね。」と言われたと話す高山。
まさにそれがWHEREなんだと、インタビューを通して改めて感じました。
自分たちから信じ、人々が繋がる起点になる彼ら。周囲の人はついつい巻き込まれていってしまいます。
彼らがこれから広げていく「心の豊かさ」の輪が楽しみでなりません。
IKEDA MIZUKI
池田 瑞姫