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あなたはどの地域に指名される?最もシビアで優しい「移住ドラフト」が北海道で開催決定

SEP. 18

HOKKAIDO

前略
地域で本気で挑戦したいけど、キッカケがなく踏み切る自信がないあなたへ

あなたは「指名」という言葉を聞くとどう思うだろうか?

私がこの言葉を見て思い出すのは、就職活動だ。「勝負はインターンから始まっている」という風の噂に遊ばれるように、3年生の春から多くの面接を受けてきた。「指名」をしてくれた企業もあれば、してくれない企業もあった。

指名を受ければ、飛ぶように嬉しい。反対に、指名をされなければ大きなショックに直面する。勝負するからには「指名」を受けたい。そう思うのが当然だろう。でも勝負をしなければ飛ぶように喜ぶこともなければ、ショックに直面することもない。(それでも就職活動の時は必死にやっていたけど・・・)

そんな想いから、今の私はどんどん勝負に奥手になり、「指名」されることに恐怖すら感じている。

さて、今回取材をしたのは、株式会社大人で代表取締役社長を務める五十嵐 慎一郎氏。職場の先輩から「面白いプロジェクトをやっている人がいる!」と繋いでもらった。聞けば、五十嵐氏は「北海道移住ドラフト会議2018」というプロジェクトの主催者らしい。

さらに調べるとなんとこの北海道移住ドラフト会議2018、「地域側が、プロジェクトに興味があるという応募者を指名する」というルールがあったのだ。

思わず私は「なんて参加者にとってハードルが高く、シビアなプロジェクト」と思った。もし私が参加者なら、これは応募するのにかなり迷うだろう。(というか応募しないだろう・・・。笑)でも私に繋いでくれた先輩は「これは面白そうなプロジェクトだ」と言う。

だからこそ、今回は主催者である五十嵐氏ご本人に直接「なぜここまでシビアにやるのか」をお聞きし、その本質に迫った。

五十嵐 慎一郎氏
五十嵐 慎一郎氏

プロフィール
五十嵐 慎一郎(Shinichiro Igarashi)
株式会社大人 代表取締役社長
1983年北海道小樽市生まれ。東京大学建築学科卒。㈱アクトコール入社。不動産開発や店舗開発に携わる。銀座のコワーキングスペースtheSNACKをプロデュース兼運営。2016年、株式会社大人を設立。不動産・建築やイベント・新規事業の企画やプロデュース・デザインを行う。2017年、北海道の自然をクリエイティブに楽しむブランドLANDRESSをスタートさせ、北海道に特化したアウトドアウェディングの事業をローンチする。札幌移住計画主催。NoMapsプランニングパートナー。

地域側から指名される『移住ドラフトとは?』

移住ドラフトについて、もう少し詳しくしらべてみると、まさに野球のドラフト会議に見立てた移住イベントのよう。北海道の自治体や企業が「球団」として、北海道につながりたい・働きたい・住みたいという「選手」をドラフト指名するのだ。

この北海道移住ドラフト会議が来月の10月27,28日に北海道で開催される。

驚いたのはよくある移住イベントとは違い、選手が自ら球団(自治体・企業)を選ぶわけではないということ。イベントにエントリーした選手は主催者側の審査を経たのち、「ドラフト候補者」としてイベント当日に球団の前で自己PRを行う。球団側はこの自己PRを元に選手をドラフト指名し、マッチングが成立するのだ。

どれだけ選手にドラフト指名がかかるのかは、当日の自己PRにかかっているという今回のイベント。ここまで聞くと、かなりシビアだと思わないだろうか・・・?

『本当は「移住」しなくてもいい』、主催者が抱えるハードルの葛藤

「移住ドラフトっていう名前のせいで、すぐ移住しなければならないイメージを持たれてしまっているようで、正直、ハードルを上げすぎたかなと今更焦っています・・・」

取材をする中で五十嵐氏から出てきたこの言葉に、私は彼の中にある矛盾を感じた。

五十嵐氏の本音は「別に移住はしなくてもいい」という優しさ。でも、地域に関わることは簡単ではない現実も知っているからこそ、中途半端な優しさは見せられないのだろう。

「数ある移住イベントの中で移住ドラフト会議が決定的に違う点は、地域側から『あなた』にラブコールがくること。ここは、会社の歯車として、自分の代わりはいくらでもいるような環境とはかけ離れた世界なんです」

ドラフトを受けたからといって、必ずしも移住をする必要はない。球団と選手の間で、どんな関わり方ができるのか、お互いのベストをゆっくり探る時間はマッチング後もある。(ただ、大事なのはお互いが妥協せずにマッチングすること)、リモートで関わったり、2つめの故郷みたいに毎年通う人がでてきてもいいし、共同でプロジェクトを立ち上げてみたり、いろいろな関わり方があっていい。

ご存知の通り、北海道はものすごく大きい。北海道出身者であっても、全ての地域を把握している人はほとんどいない。だからこそ、まずはマッチングした地域を知るところから、移住ありきじゃなくスタートする。

「好き」で「もったいない」場所だからこそ、シビアな選択をしなければいけない

北海道の札幌が彼の地元。大学進学の時に東京に出た。北海道の外に出たからこそ、気づけた北海道の良さもあれば「もったいなさ」や「危機感」もあった。特に東京でコワーキングスペースの運営をしていたからかもしれない。

「東京のコワーキングには毎日、起業家やクリエイターと呼ばれる人たちがいました。自分でリスクを取りながら果敢に挑戦している姿に刺激をもらっていました」

刺激をもらっていたのはきっと五十嵐氏だけでなく、その空間にいた全ての人が誰かに刺激を与え、刺激をもらっていたんだろう。お互いに刺激をし合うことで、相乗効果の生まれる場所だった。

五十嵐氏が運営していたコワーキング「the SNACK」
五十嵐氏が運営していたコワーキング「the SNACK」

しかし、彼が札幌に戻り地元でコワーキングオフィスなどの起業シーンに接するなかで、明確なある違いに気づいた。

「札幌で同世代の起業家たちをたずねる中で、東京とのギャップに驚きました。そもそも同世代でリスクをとってでも挑戦している人がほとんどいなかったんです」

定期的に札幌に通う中で、挑戦している若者に出会うこともあったが、東京に比べればその数は圧倒的に少なかった。

「たとえば、そもそもまわりに『起業している人』が少ない環境では、起業するという選択、発想そのものが生まれにくくなっちゃいますよね」

家から職場に行き、仕事が終わると飲み屋によって家に帰る。彼の周りにはこんな毎日を繰り返している人がたくさんいた。「今が幸せだからそれでいい」そう口にする人も多かった。

では、なぜ五十嵐さんは同世代と同じ考え方に至らなかったのだろう。

「家と職場と飲み屋を往復する日々のなかでは、ついつい気づきにくくなりますが、グローバルな視点でながめると、日本、特に地方は今後もどんどん貧しくなっていくでしょう。その現実の中で、僕は大好きな北海道の未来をどうハッピーにすることができるだろうか?と考えています。北海道をでると、素敵なところも、勿体無いところも見えてくる中で、まずは、ビジネスシーンでもカルチャーシーンでも、もっともっと変化や新たなチャレンジを増やして、とにかく北海道イマ面白いよねと言われるようにしたい、その想いで、何かやってみようと思いました」

五十嵐氏の本心は「北海道が大好きだから面白くしたい」たったこれだけ、だけどとても力強い気持ちからだった。

北海道を面白くするためには、日々挑戦している人を増やす必要がある。すでに地域で挑戦している人や企業に光を当て、新たに地域で挑戦してくれる人を増やしていくことが重要だと五十嵐氏は考えている。そうしたときに、彼が「ドラフト会議というシビアな選択」を取る背景が、私の中でとても腑に落ちた。

それは「何かをやっている人」と「何かをやりたい人」の出会いの連鎖を繋げていくことで、少しづつムーブメントを起こし、地域の未来を創ろうとしているのだ。

北海道移住ドラフト会議へのエントリーはこちらからどうぞ

人生初のドラフト指名、あなたも受けてみませんか?
プロ野球のドラフト会議にはいつだってドラマがある。多くの選手は、自分の好きや勝利を突き詰めて自分を磨き、ドラフト会議当日には自分の名前が呼ばれることを熱望する。球団側も本気で選手を見極め、球団生命をかけた大勝負をする。

それは決してプロ野球の世界だけではない。ここにも誰もが本気で白熱する環境がある。

五十嵐氏と昨年に開催された「みんなのドラフト会議」の動画を見ながら、さらに話を進める。

「(動画内に流れているような)こんなにいい声で、自分がドラフトに選ばれるなんてすごくテンション上がりませんか?(笑)『人生で一度、ドラフト指名されてみませんか?』とみなさんに投げかけたいです」

実は、今回は航空会社の株式会社AIRDOに協賛をしてもらい、各球団の1位指名をもらった選手には「決意の片道切符」として航空券も用意しているのだとか。

このプレゼントにはどんな想いが込められているのだろうか。

「結局、地域に足を運び、地域の人と出会い、一緒に過ごしてみないと何が自分にできるのかもわかりません。まずは地域に足を運び、少しづつ見えてくる『好き』や『もったいない』を形にしてほしいと思っています」

さらに今回は先日起こった北海道地震の影響を受けて、五十嵐氏は北海道ドラフト会義のエントリー枠に「復興応援旅行枠」を開設した。

「震災後いろんな方から『北海道への支援・応援で何ができるか?』という問合せをいただき、その答えを探してきました。そんな中で僕がたどり着いたのは『いつか北海道に遊びにおいで!』という答えだったんです」

ライフラインが止まり、ストップした街の機能は、いま徐々に普及に向かってるがが、観光シーズンの最盛期、地震によるキャンセルの損失は取り戻しがきかない。

そんな中で、北海道移住ドラフト会議として「どんな応援やメッセージが出せるか?」という中で用意した「復興応援旅行枠」。今回のエントリーを無料に加え、ドラフト会議後に北海道を旅行するツアーをプレゼントするという。

「北海道の個性豊かな地域に触れることで、各地域特有の面白さや熱さ、エネルギーをぜひ体感してほしいです」

最後に:球団を「五十嵐流」にご紹介

今回、北海道移住ドラフト会議に参加するのは全部で12球団。どこも北海道で挑戦を続けている面白い地域や企業ばかり。誰よりも球団に関わっている五十嵐氏、ご本人が自分流に球団を紹介してくれた。

<石狩市>
「とりあえず山と果樹園あるんで、欲しい人どうぞ」って主催者が言ってる地域です(笑)

<浦河市>
地域の発信者募集と同時に、自然資源を活用したアウトドアアクティビティ、医療・福祉、企業の紹介・・・ほぼなんでも募集してます(笑)

<標津市>
「北海道の一番東にある地域!」と言っているんですが、すなわち日本の一番東にある地域です。(笑)日本トップクラスの一次産業がありますが、ここにもやらなならんことが山積みですね。

<下川町>
移住界隈では有名な地域です。ほんとすごいです、下川町。SDGs(持続可能な開発目標)で未来都市に選定され、吉本興業と連携協定を結んだ町ですね。吉本興業と協定ってどういうことなんでしょう(笑)

<津別町>
変な人の移住が相次いで、いろんなコトを起こしている場所です。ゲストハウス、コワーキングにも取り組もうとしていて、「道東テレビ」というテレビの立ち上げまで行っている人も。

<森町>
全国で唯一「ひぐまっぷ」というヒグマの出没情報が見える化されるITの仕組みがある町です。お試し移住体験や地域ブランド産品のPR事業など、街のプロモーションにかかわる人材を求めています。。

<(株)Currency Design>
北海道コインを始めた会社です。デジタル通貨と北海道の一次産業の融合を行っています。こないだ担当の方にお会いしたら「(一次産業を知るために)とりあえず牛飼いました」と言っていました(笑)

<(株)恵和ビジネス>
こちらは雰囲気が一変して、北海道の中では数少ないビッグデータを扱っている会社です。単に、単に就職するだけでなく、外部との共同プロジェクトや新しい事業をつくることにも意欲的。

<高校魅力化プロジェクト>
そう、高校を作るんです。大空町にある二つの高校がこれから統合して、新しい高校をつくるタイミングなんです。統合後の高校のコンセト作りをまさにいま町の全員でやっています。学校づくりをやれるとか超面白そうですよね。

<グラビス・アーキテクツ(株)>
公共分野でのITコンサルをしている会社です。何かそう聞くと難しそうに聞こえますが、既存の枠に捉われずに仕事を創っていきたい人を募集してます!

<(株)MASSIVE SAPPORO>
北海道で初めてシェアハウスを始めた会社です。インバウンド向けの忍者体験事業や茶道教室、無人ホテル開発、airb&bエクペリエンス事業などなど、いろんな仕掛けをしていてスピード感がありますよ。

<NPO法人 森の生活>
ズバリ、木の会社、森の会社です(笑)小中高校生に授業の一環として森林教育を行っていて、大人向けにも開講しています。木材のビジネスをメインに「森林未来都市」を目指しているNPO法人です。

草々

移住ドラフト

受付終了
2018年10月27日〜28日

北海道移住ドラフト会議

北海道移住ドラフト会議へのエントリーはこちらからどうぞ

▷ 北海道移住ドラフト会議HP はこちら

Editor's Note

編集後記

どの球団もとにかく面白そう。これは迷っちゃう・・と思いながら聞いていたら、「そうだ、今回は球団側から選ばれるんだった!」と気づいた私。

さらには記事を書きながら、最初はあんなに「シビア」だと恐れ、私なら参加しないなと思っていたイベントに惹き込まれていることに気づき、驚いた。

選手エントリーは2018年9月20日まで!ぜひこの機会に最もシビアで優しいイベントへエントリーしてみては・・・?

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