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LOCAL LETTER

「小ささ」を価値に変える。全国で二番目に小さなまちで、アナタらしいチャレンジを

FEB. 27

NARA

拝啓、自分らしく力を発揮できる舞台を探しているアナタへ

失敗を恐れるよりも、まずやってみて検証しながら進みたい。
まちづくりで探求したいテーマ、試したいアイディアがある。
とはいっても、必ずうまくいく保証があるわけではないーーー。

そんなアナタにピッタリの場所があります。

「対話・挑戦・失敗」
を行動指針として掲げるのは、奈良県の北西部にある三宅町(みやけちょう)。大阪や京都から1時間ちょっと、6,400人ほどが暮らすまちです。チャレンジする人を応援する土壌があり、活躍の舞台を整えているとのこと。

その三宅町で、まちづくりにかかわる地域おこし協力隊メンバーを募集しています。

2025年3月2日(日)に東京・八重洲で開催される「ローカルしごとフェス」にも出展。地域を盛り上げる企業や自治体と出会い交流できるこのイベントは、三宅町の協力隊メンバーと直接話せる、またとないチャンス!

三宅町地域おこし協力隊チームMYARR(みゃあ)のプロジェクトマネージャー田中友悟さんに、三宅町とチームの魅力を伺いました。

Small is 〇〇. わたしだったら?を探求するまち

三宅町は、全国で2番目に面積の小さいまちです。その面積は4.06㎢。
「車で走ると一瞬で隣町に着いてしまうほどです。その小ささの価値を探求していきたいという想いがあります」と田中さんは語ります。

田中 友悟(Tanaka Yuugo)氏 MYARR プロジェクトマネージャー、Hasen inc.代表取締役、山梨県立大学特任助教 / 専門はまちづくりの思想と技術、参加型デザイン。主にまちづくり領域の企画・デザインリサーチに従事。三宅町では未来の自治基盤の醸成を目指し、コンセプトメイキングや各種プロジェクトのマネジメントを担当。

その想いから三宅町が掲げる合言葉は「Small is 〇〇」。

「〇〇に何が入るのかは人それぞれ。スモールの力をどうやってまちづくりに活かせるか。小ささをポジティブな価値に変えて、可能性をみんなで探求しようというテーマに、町全体で取り組んでいます」(田中さん)

小さな三宅町ですが、特産品として野球グローブや、お米、金ゴマなどがあります。また、5世紀頃から続いているとされる田園風景を未来に残していくことも、町全体での大事なトピックです。

奈良をホームタウンとするJリーグクラブ「奈良クラブ」と連携した、子ども記者イベントの様子

全国の多くの自治体と同様、三宅町も少子高齢化が進み、まちの基盤を支える担い手は減少中。そんな状況の中、町長を中心にして策定されたのが、以下のVision・Mission・Valueです。

Vision:自分らしくハッピーにスモール(住もうる)タウン自分らしくウェルビーイングに生きられるまち
Mission:まちの夢の伴走者/共創者として、共に成長を続ける
Value:対話・挑戦・失敗

目を引く「挑戦」や「失敗」のフレーズ。リスクと隣り合わせのようにも思えることを、企業ではなく自治体として掲げているところは珍しいのではないでしょうか。

「僕も初めて来たときに、大胆な合言葉を設けている役場があることに驚きました」と田中さん。

「行政の公共サービスは、失敗や挑戦が推奨されづらいものです。しかし三宅町では、未来のためには新しいチャレンジをして、今までなかったものを生み出していく必要があることをみんなで共有しています。それがこの町の大きな特徴です」(田中さん)

正面の建物が、町営施設の「三宅町交流まちづくりセンターMiiMo」。芝生広場では、お祭りやマルシェなどさまざまなイベントの開催も。建物内には、小ホールやシェアキッチン、コワーキングカフェ、子どもと親子向けスペースなどを備える。

まちのチャレンジを育む中心拠点は、役場の前に建つ「三宅町交流まちづくりセンターMiiMo(みぃも)」。ここが地域おこし協力隊チーム・MYARRの拠点でもあります。

「3年前に建てられたこの施設を中心に、役場と地域が一緒にまちづくりを進めています。施設の自治を担う『MiiMoクラブ』、1年で100のチャレンジを育む『CHALLENGE 100プロジェクト』、スタッフが自分らしいまちづくりを探求する『MiiMOマイプロジェクト』など、全員参加型の施設運営を行っています」(田中さん)

チームと個人のミッションが両立するまち

田中さんは、三宅町と山梨県山梨市の2拠点居住生活をしながら、チームMYARRの一員として活動しています。この多拠点居住・復業の活動スタイルも、三宅町の地域おこし協力隊の特徴のひとつです。

「現在、MYARRのチームメンバーは8名です。雇用形態としては、1つのプロジェクトにフルコミットする常勤メンバーが3名、自由度が高い復業型で関わるメンバーが5名です。

後者は自分のスキルを地域に活かしつつ、地域の新しい可能性を広げていく役割を担っています。グラフィックデザイナーや設計士、ライターやイベントプロデューサーなど、さまざまな方が活躍しています。

多拠点居住や複業型人材であるゆえに、これまで三宅町になかったものとまちをつなぐ、ハブのような役割をしてくれています。それぞれに専門性やミッションがあるため三宅町側では、個々の力が最大限発揮される環境や舞台を作っているところです」(田中さん)

MiiMoで開催される三宅町の夏祭り「Mフェス」に地域おこし協力隊が出店したときの様子。

全国に7,000人以上いるとされる地域おこし協力隊。一部の経験者からは、活動のおもしろさの一方、ひとりでできることの限界や孤独を感じる場面があったという声を度々耳にします。

三宅町には、その声にこたえるかのように、ゆるやかにつながるチームがあります。

「三宅町の地域おこし協力隊の特徴は、メンバーがチームを組んで活動している点です。個々のプロジェクトをそれぞれが動かす時間と、チームとして動く時間の両方を持つことで、できることの幅や拡がりが生まれています」(田中さん)

チームだから、孤独にならないのはもちろん、情報をシェアしたりわからない部分を補いあったり。ほかのメンバーとシェアすることで、やりたいことも実現しやすくなるそう。チームとして、まちの「自治の空白」を埋めることを目指しています。

「人が減り、財政が縮小したり、住民さんも高齢化したりしていく中で、自治の空白のような部分が生まれてきますこれまでは役場や住民さんが担っていた部分が、だんだん維持しづらくなっていく現実があります。既存の民間企業がビジネスで解決できることと、行政で解決できることの間の、抜け落ちてしまう部分をMYARRが担いたいと思っています。

私たちはその中間領域をカバーする、持続可能な仕組みづくりを考えています。協力隊の任期は3年ですが、それ以降も関わりを続けられる事業をつくっていく予定です」(田中さん)

協力隊チームの各メンバーは、どのようなミッションに取り組んでいるのでしょうか。

「個人のミッションは様々です。例えば空き家担当のメンバーは、『空き家をどう活用するか』という課題から始めました。しかし活動を通じて、まちの酒屋さんの一角や、一般住居の蔵などの使われていないスペースがあることに気づいたんです。

そこから『空き家活用』というより『余剰空間の再活用』へと視点を広げていきました。このように、固定されたミッションを持つというより、活動の中でアップデートしながらまちに必要な機能を生み出していく感じですね」(田中さん)

酒屋さんの一角を、まちの人たちの交流の場として活用した事例。その名も、「ニュー・スナックみゃあ」。

「僕のミッションとしては、一例を挙げると、『どうしたら外出しづらい高齢者の方や子育て真っ最中の方がまちのつくり手や使い手になり得るか』を探求しています。『つくる』や『つかう』という営みを喜びに変え、地域自治の担い手を増やすにはどうしたらいいか。それを知るために、インタビューをして住民さんの声を集めたり、参加型のイベントをとおして問いを深めています」(田中さん)

「都市と山村の中間にある」と語られる三宅町。
このまちだからこその、活動の「鍵」があると田中さんは続けます。

「三宅町は『自然が豊か』とか、『たくさんの美味しい特産品がある』といったわかりやすい魅力がたくさんあるわけではありません。だからこそ、歴史やまちに眠っている小さな文化を起点に、新しい取り組みを接木していくことがまちづくりの鍵なります。そのための学びの場は、地域の皆さんと共に増やしていきたいと思っています」(田中さん)

肌で感じる、まちの経営の最前線

田中さんの協力隊としての活動は、2025年4月で3年目に入ります。地域おこし協力隊チームのマネジメントと、三宅町交流まちづくりセンターMiiMoを核として生まれてくるプロジェクトの管理が主な役割。また、町のメッセージを地域全体で共有するためのデザイン、コンセプトメイキングも担当されています。

知人を介して三宅町と出会った田中さん。初めて三宅町を訪れて行政の職員さんとふれあったときに、雰囲気がとてもよかったそう。

「ここなら、これからのまちづくりを探求できると思いました」と振り返ります。

実際に三宅町で活動してみて、どんなことを感じているのでしょうか。

自治体経営の最前線を肌で感じていますね。大変なことも多いんですが、どこの自治体でもいずれは直面する課題感を早い段階でとらえ、向き合っている。そこで何ができるかを、リアルに地域で感じられるのは大きな学びになっています」(田中さん)

森田町長、三宅町の職員の方々、田中さん。フラットに話せる関係性だそう。

「地域活動には様々な側面がありますが、三宅町の素晴らしいところは『人手不足だから困った』という発想ではなく、『境界を越えて協力しよう』という前向きな姿勢があることです。危機だからこそ生まれる必要性から、今までの常識を超えて、未来の公共、行政の在り方、まちづくりの在り方をいろんな方法で模索できています」(田中さん)

小さなまちだからこそ、町の職員の方々は、日々のコミュニケーションを大事にされているそうです。住民や協力隊との距離が近く、対応のスピード感は田中さんも驚くほど。カジュアルなミーティングが頻繁に発生し、所属や立場でパキっと分かれることなく、みんなで一緒に考える。その場で、「浮いているボール」があれば、それを誰がキャッチするかがその場で決まることも。

大きなまちではなかなかたどり着けないかもしれない、最前線での挑戦。三宅町という舞台なら、そこに軽やかに立ち、自分らしい挑戦ができるかもしれません。

1500年の歴史をつなぐ、持続可能な農業の探求者へ

今回の募集では特に、「1500年の歴史をつなぐ、自分らしく、持続可能な農業」の実現をテーマに、農業からはじまる新しいまちづくりに取り組む仲間を求めています。

三宅町に広がる田園風景。(三宅町公式サイトより)

三宅町は5世紀頃からコメ作りが行われてきた歴史ある田園風景が特徴ですが、過疎化・高齢化の進展とともに農業従事者が減少し、今後10年で田園風景の継承が困難になることが懸念されています。

「専業農家も少なく、町の面積も小さいため大規模経営も難しい状況です。でも、だからこそ『小ささ』を生かした持続可能な農業の形があるはずだと考えています。スタートアップ企業とも連携しながら、三宅町ならではの新しい仕組みづくりに挑戦したいんです」(田中さん)

具体的には、「1500年の歴史」をアドバンテージにしたコメのブランド化や、専業・兼業、有機・慣行それぞれの形で農業を継続できる環境づくり、次世代への農地継承の仕組みづくりなどが検討されています。

ただし、田中さんはこう付け加えます。
「農業に関心がある方はもちろん、専門性を持った人と手を携えながら、まちの未来を共に考えていける仲間と出会えるとうれしいですね」(田中さん)

最後に田中さんから、三宅町のことが気になってきた方に向けて改めてメッセージをいただきました。

「自分の可能性をローカルのフィールドで発揮してみたい方、何かやりたいけどどこでやるのがいいか迷っている方、三宅町にはそんな方を応援する土壌があります。

行政や既存の企業ではアプローチしづらい領域を、MYARRというチームで切り開いていきたいと思っています。正解のない問題にチャレンジする姿勢を大事に、軽やかに地域に関わっていけるような方は、きっと三宅町で活躍できると思います」(田中さん)

三宅町地域おこし協力隊チームMYARRの現メンバーの皆さん。

三宅町役場、地域おこし協力隊募集ページはこちら
募集は農業となっていますが、それ以外のかかわり方をしてくれる方も大歓迎とのこと。

2025年3月2日開催のローカルしごとフェス(主催・株式会社WHERE)では、三宅町地域おこし協力隊チームMYARRから、4人のメンバーが参加予定です。まずやってみて、検証して、まちの未来を一緒に探求していくおもしろさを直接、肌で感じられる機会となるはず。お申し込みはこちらから!(事前申し込み必須)

ローカルしごとフェスや、ローカルの魅力が詰まったイベントの詳細をLOCAL LETTERのLINE公式アカウントからチェックできます。

Editor's Note

編集後記

住民の方へのアンケートでは、子育て環境の面でも満足度が高かったそうです。周りから応援してもらえる環境のなかで、大人も子どももチャレンジができる。挑戦や失敗に寛容なまちって、いいなと思いました。

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