だれでもレター
※本記事は「だれでも送れるレター」の企画を通じて、読者の皆さまから投稿いただいた記事となります。
四季折々で美しい山と海に囲まれ、一次産業が盛んなまち・石川県能登町。能登町に “100軒” あるブルーベリー農家の中でも、最も若い「農業女子」がいるのが『ひらみゆき農園』。
メディアにもたびたび取り上げられ、2022年からは、地元の観光地「柳田植物公園」の農園管理も行うなど、活動の幅を広げています。さらに今年の夏からは「キッチンカー」を導入。現地でのブルーベリー狩りとともに、クレープやスムージーなど、スイーツ販売も行っています。
今回はそんな『ひらみゆき農園』で農業女子として活躍する平 美由記さんが挑戦する、農業・6次産業化への挑戦をお届け。素人同然でブルーベリーの栽培を始めた彼女の想い、そして今後の未来とはーー。
農業をはじめるきっかけは、結婚を機に能登町にUターンしたことでした。ブルーベリーを手掛けていた父が、事故のため急逝してしまい、父の死後、常連のお客さんから「今年もブルーベリー送ってくれんかな」という一本の電話が。そこで「お客さんが喜んでくれるなら」と一念発起。まちとしてもブルーベリーを特産品として指定していることから「地域のためにもやってみよう!」思いました。
とはいえ、農業の経験はゼロ。周りの農家さんから剪定のやり方や肥料のタイミングなどを習い、今では自前の木が100本に至るほどになりました。その一方で、2015年に参画した「農業女子いしかわ」で、美容にいいとされるブルーベリーの成分を生かし、ハンドクリームを制作。それをきっかけに、多くのお土産品(ソース、お酢、カレー、マスクなど)にも取り組み、今では、お土産店や飲食店様でご愛用いただくようになりました。
農業をやっていて大変なことは、収穫量が安定しないことです。昨年は毛虫により、例年の2割ほどしか収穫できず、得意先に卸すブルーベリーがなく、お客さんに謝り続ける日々……。それでも「ブルーベリーには無限の可能性がある!」と心を新たにし、若い方にも知ってもらいたいという思いからインターン生を迎え、新たなサービスの開発に取り組みました。サービス開始にあたり、1からのメニュー開発には苦労しましたが、地元のテレビにも取り上げられ(約15分も!)「テレビ見たよ!」と言って来てくれたお客様で賑わったときは本当に嬉しかったです。
ブルーベリーは夏(7~9月)が収穫期。これから迎える秋・冬には、キッチンカーでお隣の珠洲市・輪島氏・穴水町に出張販売に出かけ、「能登町のブルーベリー」を近隣地域にも広めていきたいと考えています。夏はスムージーやクレープが好評ですが、秋・冬向けにブルーベリーを使った商品開発も進めてるところ。通年で安定した売り上げを確保するのが最初の目標はありますが、その先には、地域に愛され、人に愛され、自然に愛される能登町の魅力の1つとして「ブルーベリーっていいね」と思ってもらえるような場づくりを、私を支えてくれるたくさんの仲間と一緒に行なっていきたいと思っています。
能登には約100軒のブルーベリー農家さんがありますが、60代~70代の経営者が大半です。そのため、私のところに「農園を引き継いでくれないか」という相談まで来るようになりました。父の急逝をきっかけに、素人同然で栽培を始め、周りの農家さんに支えてもらいながら育ててきたブルーベリー。能登町が大切に守り続けてきたブルーベリーという地域の宝を、私は次世代につなげたい。能登町は自然に恵まれ、イカに代表される海産物や農作物、畜産物が豊富ですが「能登町のデザートと言えばブルーベリー」というイメージがつき、観光に来てくれる方が増えたら、最高です。
<この記事を投稿してくれた人>
ひらみゆき農園
平 美由記 さん
1978年石川県能登町(旧柳田村)出身。金沢で食物栄養を専攻したのち、結婚を機にUターン。町の特産品としていたブルーベリー栽培を父が手掛けていたが、事故で急死。亡き父の遺志を継ぎ、ブルーベリー農家としてはもとより、地元企業とともにお土産用の特産品開発に取り組む4児の母・いしかわ農業女子。
ひらみゆき農園では現在、就農に興味のある若い女性を中心に、共に地域の特産品開発に取り組む仲間を募集中だそう。
女性としてのキャリアをつくっていきたい方や、農業をはじめてみたい方、地域を盛り上げる活動を行なってみたい方、ぜひお気軽に問い合わせてみてくださいね!
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