だれでもレター
※本記事は「だれでも送れる、LOCAL LETTER」の企画を通じて、読者の皆様から投稿いただいた記事となります。
経済成長とともに輸入品のタケノコやプラスチック資源が出回り、竹林の需要が減少したことで、全国各地に放置され始めた竹林。
驚異的な生命力をもつ竹林は、これまで「竹害」として問題視されていましたが近年、サスティナブルの観点から肥料やバイオマス発電への有効活用や、家具・日用品・紙の代替品として様々な分野で再注目を集めています。
そんな中でも今回は、竹害を国産メンマを作ることで解消しようと奮闘する矢山 隆広さんから届いたお手紙をご紹介。
森を美しくするメンマ「多良木メンマ」へのこだわり、そして未来に目指す地域の姿とはーー。
矢山さんが「竹林」に目を向け始めたのは、地域おこし協力隊で熊本県多良木町に着任し、「地域資源の活用」をミッションに働いていたとき。
「後継者不足や所有者の高齢化などにより地域の中に荒れた竹林、いわゆる “放置竹林” が多いことに気づき、竹のことを調べていくうちに竹の驚異的な生命力に惹かれ、竹を活かすことができれば、サスティナブルな資源になるのではないかと放置竹林の整備から始めました」(矢山さん)
持続的に活動を続けるために、竹林で出てくるタケノコを加工し、メンマの販売を始めたという矢山さん。ここから「メンマ」の世界にのめり込み、こだわりを発揮していきます。
「タケノコを沢山消費していかなければ、活動が持続的にできないので、日本人がほとんど毎日食べる “お米” に合うメンマにこだわり作りました。放置竹林の問題解決はもちろんですが、地域資源の循環も大事にしたいと思っていたので、メンマに使う味付けにも地域産の食材を多く使用しています」(矢山さん)
普段、私たちが日常的にメンマを目にする機会と言えば、ラーメンを食べるときくらいですが、持続的な活動を考えたときに、消費量をもっと見込める方法で商品開発を進めていった矢山さん。
今夏からは、矢山さんが作る「多良木メンマ」をはじめ、地域の特産品を使ったおにぎり屋さんも開店する予定だと言います。
まだまだ矢山さんの挑戦は始まったばかりですが、それでも “つくりたい未来” に向かって、挑戦を続けていきます。
「私のつくりたい未来は、足元にある眠っていた放置竹林という資源を掘り起こすことで、地域の人たちに自分たちの住んでいる地域の価値を再認識してもらうきっかけになりたいと思っています」(矢山さん)
長く地域に住んでいるからこそ、地域の人たちにとっては当たり前になってしまった景色・文化・日常の価値を掘り起こし、気づいてもらいたいと矢山さんは話します。
「地域の人たちはこの町には何もないと言いますが、そんなことはないんです。それに、そう思って町から出て行ってしまった人たちにも、自分たちが育った地域は捨てたもんじゃない、そう思ってもらえたら嬉しいと思っています」(矢山さん)
<この記事を投稿してくれた人>
悠久農園
矢山 隆広さん
森を美しくするメンマ「多良木メンマ」を販売する悠久農園代表。地域にある未利用な資源を活用した事業を展開。熊本市出身。熊本県南部に位置する山々に囲まれた緑豊かな町、多良木町に移住して6年。総合格闘技観戦が好き。
「ごはんをおいしくする。森を美しくする。」というコンセプトで活動されている矢山さんからの熱い思いがこもったお手紙。オンラインショップを覗くと、そこには今までの「メンマの味」を覆す、豊かな味と色合いが広がっていました。
ぜひ、皆さん食べて応援してみてくださいね。
LOCAL LETTER
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