協力隊
コロナ禍で追い風になったキャンプブーム。そんな中、キャンプを楽しむだけでなく、「自分のスキルとアイデアをいかしキャンプ場の場づくりをしたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そんなアナタにお届けするのは、福岡県赤村の地域おこし協力隊『キャンプライフ・コーディネーター』という働き方。
実際に『キャンプライフ・コーディネーター』として現役で働いている方々をゲストにお招きし※1、「キャンプ×場づくり」の仕事の魅力とキャリアの可能性、取り組む際のポイントについて紐解きます。
※1 本記事は、NPO法人グリーンズが実施した『あなたのアイデアで、キャンプ場を盛り上げよう。「キャンプ×場づくり」の仕事の魅力と可能性 co-presented by 福岡県赤村』と題して行われたオンラインイベントの様子をまとめた内容の後編です。
山中(司会):ここからより深い質問をしていきたいのですが、まずは今年で任期が満了する3人に、今後のキャリアを伺いたいです。
藤木:予定通り、赤村で起業する予定です。今の続きというか、企業や自治体が持つアウトドアで叶えたい想いを一緒に企画できるような会社設立を目指します。
山中(司会):すごいですね!地域おこし協力隊としての3年間が活かされた感覚はありますか?
藤木:このお仕事を通じて知り合った方から波及しているので、とても素晴らしい経験を積ませてもらいました。
竹田:私は全く違う業種にチャレンジしようと思っています。この仕事を通じてイキイキと働いている方々にたくさん出会ってきたことで、「そんな方が一人でも増えたらいいな」と思ったんです。今後はそんな方々のキャリアを支援するような業務をしたいと勉強中です。
山中(司会):一見違う分野に見えますが、竹田さんの中では繋がっているんでしょうね。本田さんはどうですか?
本田:移住をしたことがきっかけで、できることが増えていくことや、いろんな人に会えたことが楽しかった。子どもも「いろんなところ行ってみたい」と話していたので、数年スパンで地域を転々とするような生活をするのもいいなと思っています。
山中(司会):「できることが増えた」とは具体的にどんなことがあるのでしょうか?
本田:私は本来怠け者なんですけど、地域に関わる中で、強制的にその地域にあったアップデートをしないといけないと気づいたんです。元々運転は苦手でしたが、毎日山道を通っていたことで峠が好きになったり、クラフトで作った物をメルカリで売ってみたりとか、今までできなかったことが親子共々できるようになって楽しいなって。
山中(司会):キャンプライフ・コーディネーターをやって嬉しかったエピソードってありますか?
竹田:『源じいの森ファーム』という農業体験の企画運営をしていますが、お客様や『自然学習村 源じいの森』の職員の方からも「ありがとう」とたくさん言っていただいたことですね。
山中(司会):普段仕事をしていても、直接感謝を受け取れない職業もありますもんね。本田さんはどうですか?
本田:『赤村ふるさと竹あかり』のイベントでの出来事なんですが、竹あかりの制作をしてくださっている年配の方が「地域の役に立ちたいけど、仕事も引退したし、なかなか機会がない」と話されていたんです。でも、地域との接点ができて「いつでも力になるから気軽に電話かけて」と喜んでくださった。それがとても嬉しかったです。
山中(司会):キャンプライフ・コーディネーター(地域おこし協力隊)の仕事って三方良しというか、キャンプに来るお客さんも幸せにするし、地域の方も幸せにするし、それを見ることで働く自分たちも幸せになるお仕事なんだなと改めて思いました。藤木さんはいかがですか?
藤木:私たちがつくった『源じいのスパイス』を、静岡県の『ふもとっぱらキャンプ場』のイベントで販売したことがあったんですが、そのときのお客様が私たちの仕事に興味を抱いてくれて、実際に『源じいの森』に来ていただいたことがあったんです。
山中(司会):え!静岡から福岡まで!すごく遠いですよ!
藤木:そもそも『源じいの森』を知らなかった方なのに、私たちがきっかけで、行動が生まれたのを見てとても感動しました。
山中(司会):その方はキャンプライフ・コーディネーターのことを何か話されていましたか?
藤木:「こういう仕事もあるんだ!」と気づきがあったみたいです。多分こういう仕事ってそもそも今までなかったですし、「楽しそう!」って。
山中(司会):僕がはじめて『源じいの森』へ行った時は冬だったので、全然お客さんがいなかったんですけど、最近は冬でも人がいるし、みなさんの活動のおかげで興味をもった方々が来てくださっているんでしょうね。
山中(司会):「こういう方はキャンプライフ・コーディネーターに向いてるかも」はありますか?
本田:ワクワクするセンサーが高い人がいいと思います。「これやってみたい!あれやってみたい!」と思う方は、みんながやりたいことを後押ししてくれる土壌があるので、とてもやりやすい。
山中(司会):ワクワクセンサー!確かにそうかもしれません!竹田さんはいかがですか?
竹田:アウトドアが好きな方というのはもちろんですが、アウトドア業務以外も多いので「まずはやってみる!」の精神がある方は向いているなって。
山中(司会):3人のお話を聞いていると、現場でお客さんとコミュニケーションとることをはじめ、マーケティングやイベント運営など、いろんな仕事がある印象です。だからこそ「私はこれだけしかやりたくない」みたいな人だともったいない気がしますね。藤木さんはどうですか?
藤木:何かを掛け合わせる力というか、自分が進めたい方向だけではなく、形を変えて実行しなければいけないこともあるので、柔軟に何でも対応できる方のほうが楽しんで挑めるかもしれないですね。
山中(司会):凝り固まった考えじゃなくて「キャンプ場で恋活イベントやったら面白いんじゃない!?」ってことですよね。そういう意味では、アウトドア業界にいた方ももちろんいいですし、何か全然違う業界で働いていた方も面白いかもしれません。
山中(司会):最後に、キャンプライフコーディネーターを支えてこられた、福岡県松村・地域おこし協力隊受け入れ担当の松本さん、自然学習村源じいの森支配人の庄﨑さんからもご意見いただきたいです。
松本:3人が言った通りで、いろんな場面に応じて状況の転換をしていただく必要もあるので、調整を楽しめる方がいいと思いますね。
山中(司会):このお仕事は関わる人が多いですもんね。でもそれをキャプライフ・コーディネーターたちだけで背負うのではなく、松本さんや庄﨑さんも一緒に考えながら日々試行錯誤されてはいる感じですよね。庄﨑さんはどうですか?
庄﨑:似た回答になりますが、色んな役割を楽しめる人が向いていると思いますね。自転車で例えるとハンドルのときもあれば、ペダルやタイヤやサドルになるときもある。極端に言うと、それらの役柄を演じてもいいので、できる人に来てもらいたいですね。あとは大きな声で挨拶ができる人!(笑)
山中(司会):ありがとうございました。今日のお話でキャンプライフ・コーディネーターのイメージが湧いたのではないでしょうか。是非いろんな働き方、あなたのスキルが活かせる仕事があると知っていただけたらと思います!
Editor's Note
それぞれの立場からのシェアを通じていろんな学びがあったオンラインイベント!「キャンプは趣味」と割り切っていた方にとっても、新しい生き方が模索できるチャンスなのではと感じました。
YURIKA YOSHIMURA
芳村 百里香