協働
鹿児島を代表する産業の一つである、焼酎。
その歴史は古く、江戸中期まで遡るとも言われています。そんな中問題になっているのが、焼酎をつくる過程に大量に生まれる「焼酎かす」。
今回ご紹介するのは、「産業廃棄物として処理するのではなく、なんとか活用できないか」「鹿児島の産業へ貢献したい」という想いから生まれた「焼酎かす」を活用した新規事業。
畜産・養殖業へ電気設備に携わり鹿児島県の経済を長年支え続けてきた「株式会社栄電社」と、外部人材が地域企業の伴走支援を行う『協働日本』の両者がタッグを組むことで、大きな事業進展が生まれていきました。
協働で生み出された、サーキュラーエコノミーとはーー。
村松:株式会社栄電社は、発電機や上下水道地図管理、気象・環境・精密測定危機など、幅広い電気設備に関わってきた会社です。
協働日本との伴走により、長年鹿児島県で問題視されていた焼酎かすの活用の新規事業が生まれましたので、株式会社栄電社さんの川路さんからお話をいただきます。
川路:実は焼酎かすは、焼酎の製造量の約2倍産業廃棄物が出ていまして、その量は年間約20万tぐらい。さらに焼酎かすは、粘性が強く腐敗しやすいことから「活用は難しい」と言われていましたが、「なんとか活かせないか」と2017年から弊社で研究開発を行っていました。
川路:その研究の成果として生まれたのが、SPL液(焼酎かす乳酸発酵液)。焼酎かすの短所を解決した、飼料・肥料です。協働日本さんと協働する前は、大学と連携しフィールドでも実験を進めるものの、SPL液をどの企業に打ち出していくのか、ターゲット設定が難航していました。
川路:協働日本さんと話を進めていくなかでクリアになったことは、乳牛と魚の養殖事業者にターゲットを絞ること。
当初はターゲット層が大きい肉牛や豚を考えていたのですが、「乳牛に使用することで乳量が増えた」という数値データが出ていることから、ターゲットを乳牛に集中させることにしました。その甲斐あって、焼酎工場と農業の連携も決まり、現在事業化を進めているところです。
川路:魚の養殖に関しても水産物のブランド化に注目。「地元の焼酎かすを使った魚」を打ち出したことで、商社の方からも共感を得ることができ、こちらも事業化に向けて取り組みを行っています。
川路:協働日本さんは一般的なコンサル企業のように指示を出すだけではなく、同じチームとして向き合ってくださっていると強く感じていて。一方的にアイディアを提供するのではなく、共に悩み、考え、歩んでいただいたことに感謝しています。
また、協働日本さんには『協働プロ』とよばれる様々な業界のプロがチームに所属されているので、事業戦略、マーケティング、営業提案まで具体的な打ち手に対するアドバイスをいただくことができました。
川路:社内だけで協議を進めると、どうしても同じ方向性に向かってしまうことが多くあるのですが、フィールド試験の結果を元に、協働プロの皆さんが知恵を惜しみなく提供してくださることで、今回の成果に繋がったと感じています。
川路:今後はSPL液を活用し、更なる地域の活性を図りたいと思っています。今回は素敵な機会をいただきありがとうございました。
村松:川路様ありがとうございました。焼酎は鹿児島を代表する産業ではありますが、廃棄物の問題を長らく解決できずにいました。当初は「SPL液をどう売るのか」という課題でしたが、栄電社さまのお話を聞いていくうちに「何のために」という核の部分がブラッシュアップされたことで、事業化に向けての動きが活性化されたと考えております。
Editor's Note
長年の課題展を逆手にとったことで共感が得られたすばらしい事例。まだまだ可能性が広がりそうな内容に興味津々です!
YURIKA YOSHIMURA
芳村 百里香