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LOCAL LETTER

外部人材活用のメリットと落とし穴。兼業家と兼業受入れ企業の本音

MAR. 02

拝啓、外部のプロフェッショナル人材と一緒に事業を推進していきたいと考えているアナタへ

コロナ禍を経て、働く環境が急速に変化した現代。

副業や兼業としての関わり方が少しずつ取り上げられる中で、「外部人材の力を借りたいけど、どうやって繋がりをつくったらいいかわからない」「以前に外部人材を入れたプロジェクトを実施したが、空中分解してしまった」といった悩みを抱えている企業・団体の方も多いのではないでしょうか。

そんなアナタにお届けするのは、ふるさと兼業事務局NPO法人G-netが開催した「ふるさと兼業」の事例に学ぶ、兼業×地域企業のオンラインセミナーです。

オンラインセミナーで話されたのは、NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクトさんと実施した4ヶ月の兼業の実例。兼業を実施されたおふたりと受け入れ先企業に登壇いただき、地域と繋がる兼業のリアルについてお伺いしました。

抱いていた期待と不安。ふるさと兼業を活用した背景とは

志知加奈(司会進行 / 以下、加奈)本日は、ふるさと兼業の受け入れ先の代表である坂本純科さん、兼業者の関雄さん・田村和久さんにお越しいただきました。兼業という働き方はどうだったのか、また受け入れ先として感じたことや課題点など、リアルな感想をシェアしていきます。

志知 加奈 氏 NPO法人G-net コーディネーター / 大学卒業後、青年海外協力隊の理科教育隊員としてルワンダにて2年間活動。自給自足的生活を営む祖母が住む岐阜県へ移住。多様な働き方が広まることで、地域を活性化させたい、企業と働く人の双方にとってより生きやすい社会になる仕組みづくりを行いたいと思い、G-netにてコーディネーターを行っている。

加奈まず最初は、兼業受け入れ先であるNPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト代表の坂本純科さんから、プロジェクトの紹介をお願いします。

坂本純科(以下、純科)NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクトは、「持続可能な暮らしと社会(=エコビレッジ)」を創造するための技術や考え方を学び広める団体で、住み込みのスタッフと共同生活をしながら、サスティナビリティに関する内容に日々取り組んでいます。

坂本 純科 氏 NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト代表 / 1991年北海道大学農学部卒業後、札幌市環境局勤務。2004年に退職後、英国留学、ヨーロッパのエコビレッジを探訪。2009年北海道で活動開始し、2012年に拠点を余市町に建設。以降、エコビレッジを運営しながら、北海道科学大学、酪農学園大学非常勤講師、札幌市環境教育基本方針推進委員、北海道低炭素ビジョン策定委員、地域づくり・パートナーシップ研修講師、全国ユース環境活動大会審査員、札幌市子ども環境コンテスト審査員を歴任。

純科現在、大学やJICAといった外部研修を受け入れたり、修学旅行や子どもたちの環境教育も行っているのですが、コロナ禍で海外へ行けなくなった高校からの修学旅行生のリクエストが増えていて。私たち自身、旅行業のノウハウがなかったので、ふるさと兼業を募集し、修学旅行生の受け入れ体制を整えたいと考えました。

純科応募する前は、「どんな方が来てくれるのか」「本当に悩みを解決してくれるんだろうか」という不安はありましが、ふるさと兼業さんの力をお借りし、無事に修学旅行生に対する説明資料を完成させることができたんです。今回一緒に頑張ってくれた、兼業者のおふたりもぜひ自己紹介をお願いします。

関(以下、セッキー)僕自身は、過去他の団体でプロボノとして活動したことはあったんですが、今回は兼業でトライしてみたいと思っていました。大好きな北海道が舞台で、かつ、今の職場がSDGsを取り扱っている会社であることから、今回NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクトが実施される「ふるさと兼業」への参加を決めました。

関雄 氏 / 大学卒業後、NPO法人CANPANセンターにて東日本大震災支援に携わる。公益財団法人日本財団に入職後、CSR・社会貢献活動コンサル、ファンドレイジングを担当。政府推進の「子供の未来応援国民運動」における「子供の未来応援基金」立ち上げや、プロスポーツチームと連携したファンドレイジング、ミャンマーにおける学校建設などに従事。2018年より製薬会社にてサステナビリティ経営戦略に取り組む。

田村(以下、タムタム)僕はコロナで本業の業績が落ち込んでしまい、2021年11月から副業でのキャリアの形成を行っていて。前回参加したプロジェクトのテーマがSDGsで、同じテーマである北海道エコビレッジさんの活動に惹かれて本プロジェクトに応募しました。

田村和久氏 / 1982年徳島県生まれ。幼少より父の転勤で四国、滋賀と地方に愛着を持つ。2007年九州大学大学院修士課程修了後、航空会社で航空機エンジンの整備業務に従事。横浜に住みながら2021年より本格的に新商品開発、広報・PR、SNSマーケティングと多様な関わりで松山、静岡、名古屋で地域複業に挑戦中。

「また頼むとしたらこんなチームがいい!」空中分解をするケースもありながら、成功に至った理由

セッキーここからは、今回の目的であったSDGs教育研修のパッケージ化への取り組みについて話します。まず、僕たちが兼業に取り組む際に最初に行ったのは、プロジェクトの代表である純科さんが考える「ありたい姿」と「現状」をヒアリングすること。

そうすると、修学旅行なので学校側の条件やシーズンによって提供できる内容が変わるため、毎回オーダーメイドで研修をつくっていたことがわかったんです。想像するだけでも大変だなと思う中で、純科さんのありたい姿をお伺いした上で、オペレーションの整理と研修内容や目的が正確に伝わる資料づくりを目指すことになりました。

加奈現状を把握する上で大事にされたことはありますか?

セッキー実際に現在実施している研修を把握をするため、純科さんのお家にタムタムと加奈さんと一泊二日でお伺いしました。自分たちが体験することで、より一層手触り感のある現状を把握することができます。その上で課題を整理すると、出てきたのは「予約フロー」の課題。

純科今までは私一人で電話やメールの対応をし、「誰に対してどこまで話したのかがわからない」といった問題が起きていたのですよね。

今回のプロジェクトで研修の概要説明書をつくったんですが、HPからダウンロードできるところまで構築してくださって。それによって、前提情報を相手に共有した上で話ができるので、とてもスムーズに進行できるようになりました。

セッキー純科さんのお話を聞いていたら、プログラムをつくっているのは、学校だけではなかったので、①学校、②代理店、③一般とターゲットを分けて、最終的に3パターンの概要説明書をつくりました。

加奈頼もしい兼業メンバーが純科さんのパートナーになってくださったんですね。純科さんは、今回「ふるさと兼業」を一緒にやってもらうメンバーはどのような基準で選ばれたのでしょうか?

純科実は最初は、おふたりではなく、旅行業あるいは旅行に長けてる人を選ぼうと思っていたんです。でも短期間で成果を上げていくことが重要だと考えた時に、マネジメントが上手そうだったセッキーとタムタムを選びました。正直、こういう外部人材に入ってもらうプロジェクトって、プロジェクトが最後まで到達するとは限らないんですよね。空中分裂することもあって、そうすると成果が得られなかったというケースも少なくありません。

でも「ふるさと兼業」のチームはプロセスを組んでいくのが非常に上手くて「今日はここまで進もう」とか、「遅れてるけど代わりましょうか」と、みんなでサポートしながら進めることができました。

もう一度外部人材を受け入れるとしたら、是非このようなチームで取り組んでいきたいですね。「ふるさと兼業」の仕組みが私たちの団体やプロジェクトにフィットしたケースだったし、今回のプロセスが今後に応用できそうだと感じています。

兼業初参加者が感じた「プロボノと兼業の違い」

セッキー僕は今回初めて兼業副業にトライさせていただきましたが、本業で携わっているSDGsがテーマということもあり、「フィールドが変わっても自分の強みを生かせる」ということを再認識できた気がしています。

プロボノと兼業の違いは個人によって感じる部分に差があると思いますが、私は「兼業として対価をいただくことに対する責任」が大きく違っていると感じましたもちろんお金をもらってないから適当にするということではないですが、対価をいただく緊張感がありましたね。

タムタム僕は、北海道エコビレッジを訪問できて良かったです。自分の固定観念が自然の中で剥がれていく感覚だったり、仕事で来てるんだけど、ある種休みのような感覚にふっとなったりする。そんな気づきもプロジェクトに関わるとよく起きるなって。そういった体験も含めてすごく楽しかったですね。

Editor's Note

編集後記

違う土地にいても、何かしらの形で地域にコミットしたい!そんな想いが叶う兼業ですが、なかなか現場の声は聞けないはず。今回はそんな受け入れ側と兼業者のリアルな想いが聞ける貴重な場だったと思います。

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