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LOCAL LETTER

任せる「適切な課題」を見極める。副業兼業人材のミスマッチを減らし、“良いマッチング” を生み出す秘訣とは?

SEP. 06

Matching

前略、地域と関わる「新しい働き方」を広げたいアナタへ

企業の副業解禁が進む中、地域でも副業兼業人材の活用が始まっています。多数の応募者が集まったというニュースを目にする一方で、人材の受け入れ先と副業兼業人材が合わない「ミスマッチ」がボトルネックになっているという声も。

副業兼業を通じて、継続的に地域に関わってもらうために、 “良いマッチング” を生み出す秘訣とは?

今回は「副業兼業のボトルネックを解消。受け入れ設計と人材要件定義」をテーマに、石丸伸二氏(広島県安芸高田市 市長)、梶達氏(北海道上士幌町ICT推進室 室長)、大浦征也氏(パーソルキャリア株式会社 執行役員)、黒瀬啓介(LOCUS BRiDGE代表)の4名のトークをお届け。

地域で先進的に取り組む方々の想いと工夫、そして見ている未来とは。

様々な立場での実践経験を元に、副業兼業人材マッチングについて語り合う

黒瀬氏(モデレーター:以下、敬称略):働き方の多様性が増す中で、地域でも副業兼業人材の募集がスタートしています。今回は募集をされている自治体の方と、地域での副業のプラットフォームを展開されている民間の方に集まっていただきました。 

画面左上>黒瀬 啓介(Keisuke Kurose)氏 LOCUS BRiDGE代表 / 長崎県平戸市役所に入庁後、市教委生涯学習課を経て、5年間担当した広報で数々の賞を受賞。税務課住民税係や企画課協働まちづくり班を経て、移住定住推進業務とふるさと納税を担当。2014年に寄付金額日本一を達成。株式会社トラストバンクに1年9ヶ月出向後、平戸市財務部/企画財政課で主査を務め、2019年3月に退職、フリーランスとして独立。
画面左上> 黒瀬 啓介(Keisuke Kurose)氏 LOCUS BRiDGE代表 / 長崎県平戸市役所に入庁後、市教委生涯学習課を経て、5年間担当した広報で数々の賞を受賞。税務課住民税係や企画課協働まちづくり班を経て、移住定住推進業務とふるさと納税を担当。2014年に寄付金額日本一を達成。株式会社トラストバンクに1年9ヶ月出向後、平戸市財務部/企画財政課で主査を務め、2019年3月に退職、フリーランスとして独立。

黒瀬:副業兼業の大きな流れの中で、人材の受け入れ先と働かれる方のミスマッチが課題になっていることから、本日は「もっと多様な働き方を地方や都市部で広げていく秘訣」について、ディスカッションできればと思います。まずは皆さん、自己紹介からお願いします。

石丸氏(以下、敬称略):広島県の安芸高田市で市長を務めています、石丸伸二と申します。昨年の8月に市長に就任して半年ほど経ったところです。

元々は民間銀行に勤めていました。民間からやってきた市長ということで、まだ市役所職員の中にも戸惑いがあるのかなと感じています。一方で、私自身も行政の中に入って、驚きや発見が多々あります。本日はそのあたりを交えてお話をさせていただければと思います。

画面右下> 石丸伸二氏(Shinji Ishimru)広島県安芸高田市 市長/ 広島県安芸高田市出身の38歳。京都大学経済学部卒業後、三菱UFJ銀行に入行。国内でエコノミスト、債券アナリスト等を経て、為替アナリストとして4年半にわたってニューヨーク駐在を経験。令和2年8月から現職。副市長を全国公募するなど、「世界で一番住みたい」と思えるまちを目指した施策を展開中。
画面右下> 石丸伸二(Shinji Ishimru)氏 広島県安芸高田市 市長 / 広島県安芸高田市出身の38歳。京都大学経済学部卒業後、三菱UFJ銀行に入行。国内でエコノミスト、債券アナリスト等を経て、為替アナリストとして4年半にわたってニューヨーク駐在を経験。令和2年8月から現職。副市長を全国公募するなど、「世界で一番住みたい」と思えるまちを目指した施策を展開中。

大浦氏(以下、敬称略):パーソルキャリアの大浦と申します。20年弱今の会社で人材の仕事をしています。その間、弊社に限らず、人材業界は各社とも、都市部での仕事が非常に多かったのですが、ここ数年、地域や副業兼業のサービスもずいぶん増えてきました。

地域を活性化するには「人材」が非常に重要だと信じていますが、まだまだビジネスとしてしっかりとした基盤プラットフォームにはなっていないという課題感もあります。今日は皆さんからのご質問やご意見で事業のヒントをいただきたいと思っています。  

画面右上> 大浦征也氏(Masaya Oura)パーソルキャリア株式会社 執行役員/ 新卒で株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。人材紹介事業に従事。法人営業の後、長年キャリアアドバイザーを経験。その後、複数の部門の総責任者、営業本部長、事業部長などを歴任。2017年より約3年間、転職サービス「doda」の編集長を務める。2019年10月より現職。
画面右上> 大浦征也(Masaya Oura)氏 パーソルキャリア株式会社 執行役員 / 新卒で株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。人材紹介事業に従事。法人営業の後、長年キャリアアドバイザーを経験。その後、複数の部門の総責任者、営業本部長、事業部長などを歴任。2017年より約3年間、転職サービス「doda」の編集長を務める。2019年10月より現職。

梶氏(以下、敬称略):北海道上士幌町の梶と申します。上士幌町でICT推進室の室長を務めております。上士幌町は北海道十勝に位置して、人口5,000人で牛が40,000〜45,000頭。牛の方が10倍ぐらいの山間地域に位置する町です。

私の部署では企業誘致も所管しており、企業と連携した関係人口、即ち、「上士幌町に拠点がなくても、町の産業の活性化に貢献してくれる人材を探していこう」ということで、都市部の副業兼業を行う人材と上士幌町の事業者さんを繋ぐ『かみしほろ縁ハンスPROJECT』を立ち上げました。

今年度からの事業なので、まだまだ取り組み始めたばかりですが、現在感じている課題などを率直にお話できればと思っております。

画面左下> 梶達氏(Toru Kaji)北海道上士幌町 ICT推進室 室長/ 大学卒業後、上士幌町役場に勤務。2013年に北海道への移住を推進する「NPO法人住んでみたい北海道推進会議」へ出向。その後、ふるさと納税担当主査、企業誘致担当主幹を経て、現在、2020年に設置され、町のICT化や新たなビジネス創出に取り組むICT推進室の室長。
画面左下> 梶達(Toru Kaji)氏 北海道上士幌町 ICT推進室 室長 / 大学卒業後、上士幌町役場に勤務。2013年に北海道への移住を推進する「NPO法人住んでみたい北海道推進会議」へ出向。その後、ふるさと納税担当主査、企業誘致担当主幹を経て、現在、2020年に設置され、町のICT化や新たなビジネス創出に取り組むICT推進室の室長。

副業兼業人材に任せるのが「適切な課題」を見極める

黒瀬:大浦さんは、『doda』という有名な転職サービスを展開されている中で、他にも新たなサービスをリリースされたということですが、そちらについて先にお伺いしてもよろしいですか。

大浦:ありがとうございます。私どもパーソルキャリアは、元々、長野県塩尻市さんや四国水族館さんと一緒に副業兼業人材の募集の取り組みをやらせていただいていました。今回新しくリリースした『Loino』というサービスは、まさにこの地域でチャレンジをしたい地域企業と、都市部で勤務しながらも地域で働きたい副業兼業希望者をマッチングをするプラットフォームです。

大浦:今日のセッションテーマの一つに「人材のミスマッチ」がありますが、ミスマッチが起こる以前に、求人の要件定義や採用ターゲットの問題があります。我々人材会社は、この要件定義や採用ターゲットを明確にすることがミッションですので、「どの課題にどういう雇用形態で採用したどんな人材に任せるのがいいのか」を、自治体さんや地域企業様とご相談しながら求人をつくっています。また集まった応募者の中から、「どんな人を優先して採用するか」というマッチングにも、我々人材会社が蓄積してきたノウハウを活かしていこうと考えているところです。

2020年12月にβ版を作って、まだ2ヶ月ほどのサービスではありますが、副業兼業希望者からは数週間で数千人規模の登録があり、副業兼業や地域への貢献に対する意識の変化を感じています。2021年4月以降からは、地方銀行さんとの連携や内閣府が行う「プロフェッショナル人材拠点」との連携などを加えて、求人を増やしていきたいと思っています。

黒瀬:それだけ人材の登録があるというのはちょっと驚きですね。人材のマッチングについて、石丸市長にお伺いします。副市長の全国公募に4,000人以上から応募があったそうですが、石丸市長が外部の人材を公に募集された狙いや、副業兼業人材についてどのような考え方をしているのか、ご自身の想いも含めてお伺いできますか。

安芸高田市副市長公募事業(出典:安芸高田市Webサイト)
安芸高田市副市長公募事業(出典:安芸高田市Webサイト)

石丸:まず、副市長の公募についてですが、これは私が市長になる前からずっとやってみようと思っていたことです。

安芸高田市は人口28,000人で、平均年齢も50歳を超える、高齢化が進んでいる地域です。その中で副市長として望む能力を持つ人材はなかなか見つからないだろうと予想し、外に助けを求めにいったという流れです。これは私の中では、すごく自然な考えで動いてきたつもりで。大きな街であれば、人材も豊富ですが、日本には小さい自治体も結構あるので、もっと多くの自治体が実施していても不思議ではないと思います。

行政の副業兼業人材活用に対する取り組み方については、先ほど大浦さんの話にあった通りで、何を副業兼業人材に任せられるのか、任せるべきなのか、その議論からしてまだまだ未着手の状態です。ここは議論をもっともっとしていかないといけないなと思います。

どこに人手が足りないのか、どういうスキル能力があれば事態が進展するのか・改善するのか、といった現状把握自体もまだできていないので、就任して2ヶ月少しずつ取り組んでいるところです。これができた暁には、「誰か来てとにかく助けて」ではなく、個別具体的に「これをやってほしい」と言えるようになり、話が進みやすくなるのかなと思っています。

繋いだ “縁” を一期一会で終わらせない

黒瀬:梶さん、先ほどご紹介にあった『かみしほろ縁ハンスPROJECT』は、大浦さんがやられている『Loino』のサービスともすごく近しい部分があると思います。その取り組みの内容と、実際やってみてどのような課題が見えてきたのかをご紹介いただければと思います。

梶:『かみしほろ縁ハンスPROJECT』では、総務省の制度を活用して、地域力創造アドバイザーの方にも入っていただき、事業者さんに細かくヒアリングをしています。どういった業務を切り出したいのかを打ち出して、そこをこだわりとしてWebサイトに掲載しています。5事業者に対して、12名、複数応募も可としたので、19件のお申し込みをいただき、その中で2事業者さんのマッチングが成立しています。

 絞り込んでいいプロジェクトを出している自負はあるんですけど、それに食いついてくれる都市部側のコミュニティがどこにあるのかを探すのにはすごく苦労しました。例えば、想定したターゲットに届くようにSNSの広告を打ちましたが、あまり反応が良くなかったんです。

一方で、スタートアップの企業の方とも繋がりを持ちたくて、WeWorkに席を設けていました。WeWorkは独自のSNSもあり色々な繋がりが持てるシェアオフィスです。ここに投げ込んだのがすごく反応が良くて、実際にマッチングされたのも同じWeWorkに入居されている方でした。

大浦:そのお話は非常に興味深いですね。『かみしほろ縁ハンスPROJECT』の “縁” をどこに繋いで紡いでいくかということですね。

実は塩尻市さんと弊社の活動のきっかけは、当社のメンバーが副業の形で、塩尻市で働きはじめたことにあります。彼は、塩尻市が第1回目に行った公募時には、タイミングが合わず落ちていましたが、その後も応募してきた人たちのネットワークが維持されていたことで、1年後に別の案件で副業者として働くことになりました。

大浦:一般企業の採用もそうですが、一度公募をして応募者が来ても、その人たちとの縁はそれっきりで切れてしまっています。一回できた縁を紡ぎ続けていく、もしくはシェアしていくことが重要なんじゃないかなと思うんですよね。

一般企業の場合、Aという会社に応募してきた人をBという競合企業にシェアすることは当然考えられないわけですけれど、自治体さんがハブになれば、その地域にある企業様で人材をシェアすることもできると思います。「一期一会にしない」ということが大切なのではないかと。

“想い” ベースのマッチングで、一緒に売上を作っていこう

黒瀬:大浦さんが先ほど「求人の仕方もポイントになるだろう」と言われましたが、人材業界のプロの立場から見て、地域の求人の仕方や、都市部の方々への情報の届け方について、アドバイスや思っているところはありますか。

大浦:都市部にいる高いスキルを持っている方々の中で、「地域のために働こう」と思って働いている人は、現実的には一般的に言われるほど多くはないと思います。また、「お金稼ぎのために地域の仕事を」という方も少ない。だからこそ、お金や地域そのものよりも、どんな想いを持っている人たちと、どんな仕事ができるのか、を明確にアピールするのがポイントの一つだと思います。

もう一つは、具体的に何をやるかが、どれだけ伝わるかがポイントなんですね。例えば役場のDX担当や、地域の中小企業で第1次産業のECサイトを構築するとか、ネット販売の強化みたいなことを書いても、内容は伝わりません。もう少し具体的に、どんな課題があって、どんな仕事をしてもらいたいのか。だからどんな人が必要なのか、を書いていただくと、マッチングしやすくなると思います。

黒瀬:梶さんのところでも、お金も含め、実際のリアルな部分、マッチングに至る上でここが大変だったとか、ここは他の自治体さんも募集する上で考えた方がいいという点はありますか。

梶:私たちの地域の事業者さんがブランディングなどにかける費用と、都市部でブランディング等をしている方が普段得ている金額は、どうやってもミスマッチが生じるんですね。そこを解決していくには、成果報酬が一つの手ではないかと思っています。その地域の役に立ちたいという想いに甘えて、お金面ばかりを打ち出すのではなく、共に稼いで拡大させて、成果報酬で後ほどもらえるようにする形を今後は目指すべきかなと思います。

大浦:都市部の人材のスキルを買ってくるという考え方じゃなくて、「売り上げを一緒に作ろうぜ、その上で成果報酬で分け合おうぜ」という考え方もいいと思いますし、地域じゃなきゃやれない経験もあるから、それを通じて育ててあげる場を提供することも一つ貨幣に変わる価値ですよね。そんなところが今後のポイントになりそうだと感じますね。

黒瀬:今後、いろんな地域のカラーが出てきて、副業を活かしたい人たちがどういうところに魅力を感じて動いていくのかも興味深いところですね。

草々

(後編記事は2021/09/13 配信予定)

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Editor's Note

編集後記

私の周りでも「マーケティング全般を支援してほしいのに、Webマーケティングに特化した人材しか見つからない」といった声を耳にします。自らの専門分野から一歩出て、共に悩み工夫し喜べる。応募する側の想いと志も問われるところですね。

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