Chusankan, HIROSHIMA
広島県中山間地域
前略
やりたいことに “本気でチャレンジできる場所” を探しているあなたへ
「まずはゆるく地域と繋がることから始めたらええじゃん!ちょっとでも “行きたい・やりたい” と思っているなら、飛び込んで来て!」
弾ける笑顔と包み込まれるような優しさを持ちながらそう語ってくれたのは、首都圏の地域貢献に意欲を持つ若者と、広島県の中山間地域をマッチングするプログラム「ひろしま里山ウェーブ*1 」を運営する、地域活性プロデューサーの尾崎香苗さん。
広島県の中山間地域は、全国的にみても集落の小規模化や高齢化が深刻で、農林水産業の担い手不足や空き家、耕作放棄地の増加など多くの悩みを抱えている場所です。しかしながら、2017年にはひろしま里山ウェーブを通じて100名以上がイベントへ参加、36名がプレイヤーとして中山間地域に関わっています。
「課題意識から生まれるプロジェクトではなく、この地域を “面白くしよう” と思っている人が集まることで生まれるものが、結果課題解決につながっているところに面白みがあると思っています」
今回は、これまでに関わった自治体が200を超えるというパワフルな尾崎さんと、現在尾崎さんが力を入れている “ひろしま里山ウェーブ” について迫ります。
*1 ひろしま里山ウェーブ
地域貢献に意欲を持つ若者が広島の6市町の中から自分の興味や関心のあるテーマを選び、それぞれの地域でマイプロジェクトを立ち上げることで地域との関わりをつくるプログラム。各エリアには、それぞれの分野でアクションを起こし、第一線を走るトップランナーがメンターとして関わり、参加者はプロジェクトを進めるのに強力なサポートを受けられる。
尾崎さんのFacebookを覗くと、いつも決まった場所にはいないことが一目瞭然。日本各地を飛び回り、地域の方と一緒に地域の魅力を見つけ出したり、時には一緒に創り出したりする尾崎さんが「地域」の面白さに出会ったきっかけはなんだったのでしょうか?
広島県広島市出身の尾崎さんは学生時代、当時 “お化け番組” という異名がつくほど人気のあったテレビ番組「柏村武昭のテレビ宣言」でリポーターとして活躍していた際に、地域の魅力と出会います。
「リポーターをしていた時にいろんな地域を回らせてもらいました。各地域の人たちに触れる中で、“地域には個性豊かな人がたくさんいて面白いな” と思ったところから、地域に惹かれていったんです」
就職先には自治体のパンフレットなどを作成している出版会社を選び、地域の魅力を多くの人に発信していく仕事に誇りを持っていました。そんなある時、尾崎さんの頭に新しい考え方が生まれます。
「ふと、“地域の魅力を発信するだけでなく、魅力をつくって発信するという一連の流れを自治体の方とご一緒できたらもっと楽しいかもしれない” と思うようになり、地域づくりに取り組むようになりました」
一般的に売り出されているような “観光地” ではない、その地域ならではの素朴な魅力を他の人にも伝わるよう丁寧に創り上げ、発信していくことにやりがいを感じているという尾崎さん。
「プロジェクトをつくって発信していくことまでを自治体の方とご一緒して、たくさんの方と繋がりが生まれました。がむしゃらに転がっていると “雪だるま式” に仕事のご縁が広がっていく感覚ですね(笑)」尾崎 香苗 地域プロデューサー
ひろしま里山ウェーブのプロジェクトも “雪だるま式” に広がった仕事のご縁から、関わることになります。
「最初にひろしま里山ウェーブのお話を聞いた時は正直、“首都圏で暮らしながら、広島に関わりたい人がいるなんてほんまかい!?” と思いました(笑)本当にこのプロジェクトに人が集まるのか半信半疑でしたが、すでに2年間続いてきたプロジェクトだったので、どんな人が集まるのかに期待と不安を感じながらスタートすることになりました」
首都圏でのイベントや現地でのフィールドワークを通じて参加者と関わる中で、尾崎さんは自分が思っていた以上に地方に熱い想いを思ってくださっていることを知ります。
「参加者のみなさんと直接お話をする中で、都会の方は地方に “新しい答え” や “未来” を見ていて、”新しいことを始めるなら地域だ” と思っている方が多い印象を受けました」
「都会はいろんなものが揃っているからこそ消費社会になりやすく、お金がないと楽しくないと思いがちなのかもしれません。お金があれば何でも出来る環境にいると、ふと我に返った時 “自分は何がしたいのか?” と考え直す方も多いのかもしれません」
都会には全てが揃っているからこそ、何か挑戦しようとしても簡単に埋もれてしまう弱点があります。しかし地域には最高のロケージョンと注目を浴びやすいという “埋もれない魅力” があり、行政を巻き込むことだってできるということに都会の人も気づき始めているのかもしれません。
しかしその一方で、広島県以外でも地域を活性化させようと活動している場所は多くあります。首都圏の方があえてひろしま里山ウェーブの活動に参加される理由はどこにあるのでしょうか?
「ひろしま里山ウェーブでは、すでに様々な分野で活躍されているメンターと一緒にプロジェクトを実行することができます。例えば倉敷のゲストハウス “有鄰庵” を創業した中村さんもおっしゃっていましたが、何かを始める時に流行っているものを真似ても意味がないと思うんです」
今、全国的に増えているゲストハウス。全国に1,500件ほどありますが形骸化してきているのは明らかです。
「今あるものを真似るのではなく、どうしたら新しい日本のモデルをつくれるのか、楽しくなるのかという視点を持って、最先端の考え方を持つメンターと共にプロジェクトを実行することができるのは大きな魅力だと思います」
レベルの高いメンターだけではなく、ひろしま里山ウェーブではプロジェクトが終了した後の県単位でのサポート体制も手厚い。
「今年から広島県庁に中山間地域のサポートデスクができました。県庁の方にいつでも誰でも相談することが可能なのですが、ひろしま里山ウェーブに関わった方がサポートデスクに相談しにきてくださることもたくさんあります」
「他にもひろしま里山ウェーブに関わったOB・OGの方が多く在籍しているひろしま里山・チーム500という地域活動人材のプラットフォームで、プレイヤー同士の繋がり強化や、クラウドファンディングの手数料を広島県が負担する仕組みの確立、全国で初めて広島県内の19市町、大学、銀行、商工会議所、商工会で構成されたコンソーシアムを形成し幅広い支援の実現などを行っています」
サポートデスクを始めとしたこれらの活動は、ひろしま里山ウェーブの活動が終了した後もチャレンジができるようにと広島県が始めたサポート体制です。
すでにこれだけの活動をされている尾崎さんですが、今後プライベートでも新たな取り組みを行っていく予定だと言います。
「私は都会も大好きです。一方で田舎での楽しみ方を知ってしまったんですよね。“幸せの価値観” が変わったんだと思います。今は自分が楽しんで地域のために仕事をすることで、地域の若者やお父さん、お母さんが喜んでくれていることが本当に嬉しくて幸せなんです」
誰かを幸せにすることで、自分も周りの人にも幸せが連鎖していくと考えている尾崎さんは、今後は日本中で幸せが次々と連鎖していく、“幸せの化学反応” を起こしていきたいとおっしゃいます。
「地域活性化って終わりはない、水物なんですよね。少子化やAI、SDGsと、時代は目まぐるしく変わっていくけど、幸せの連鎖を生み続けるプロジェクトをやっていくことで、地域に幸せを生み続けたいと思っています」
「今回都内で開催するイベントやひろしま里山ウェーブもいろんな方が関わることで多くの幸せの連鎖が起きると思っています。まずはゆるくで良いんです。ぜひゆるく私たちと繋がりませんか?」
今年も尾崎さんが広島県と共創しながら開催するひろしま里山ウェーブ。都内で行われる事前イベントもあるので、迷っている方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
「広島は西日本大豪雨の被害を受けたばかりです。首都圏のプレイヤーOB・OGの皆さんにもたくさん励まされています。まるで親戚が増えたような感覚です」
「こんな今だからこそ、首都圏プレイヤーの元気とまちの前向きな力で、明るいプロジェクトを生み出していけたらと願っています」
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