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LOCAL LETTER

ポーラ・こゆ財団・ソトコト 代表陣が鼎談。今後の地方創生に必要な視点

JUN. 01

拝啓、これからの地域ビジネスの可能性を深掘りたいアナタへ

地元に貢献したい!

都心ではなく、地域で起業したい!

そんなアナタにお届けしたいのが『茨城県北ビジネススクール2022』最終プレゼンテーションで行われた『ローカルが未来を創る〜スペシャルトークセッション』。

地域を舞台に、新規事業やブランディングといったチャレンジを積み重ねてきたゲストが語る、新たな事業づくりのヒントとはーー。

廃棄物が希少価値の高い化粧品に? サーキュラーエコノミーから生まれる「まちづくり」

齋藤(ファシリテーター)茨城県北の印象と、今日登壇するお二人と茨城県の関わりを教えてください。

齋藤 潤一 さん 一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事 AGRIST株式会社 代表取締役CEO / 1979年大阪府生まれ奈良県育ち。米国シリコンバレーのITベンチャー企業でサービス・製品開発の責任者として従事。帰国後、2011年の東日本大震災を機に「ビジネスで社会的課題を解決する」を使命に活動を開始。テレビ東京「ガイアの夜明け」出演。全国で10箇所以上で地方創生プロジェクトに携わる。2017年4月新富まち役場が設立した地域商社「こゆ財団」の代表理事に就任。1粒1000円ライチのブランド開発やふるさと納税で寄付金を累計70億円集める。2018年12月に総理大臣官邸にて国の地方創生の優良事例に選定される。2019年10月に農業課題を解決するために収穫ロボットを開発するAGRIST株式会社創業。代表取締役社長就任。ベンチャーキャピタル、地域金融機関などから資金調達。2020年にはIVSなど国内外10以上のアワードを受賞。2021年、総務大臣賞受賞、Forbes Asia 100選定などその活動はCNNで世界に紹介される。
齋藤 潤一 さん 一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事 AGRIST株式会社 代表取締役CEO / 1979年大阪府生まれ奈良県育ち。米国シリコンバレーのITベンチャー企業でサービス・製品開発の責任者として従事。帰国後、2011年の東日本大震災を機に「ビジネスで社会的課題を解決する」を使命に活動を開始。テレビ東京「ガイアの夜明け」出演。全国で10箇所以上で地方創生プロジェクトに携わる。2017年4月新富まち役場が設立した地域商社「こゆ財団」の代表理事に就任。1粒1000円ライチのブランド開発やふるさと納税で寄付金を累計70億円集める。2018年12月に総理大臣官邸にて国の地方創生の優良事例に選定される。2019年10月に農業課題を解決するために収穫ロボットを開発するAGRIST株式会社創業。代表取締役社長就任。ベンチャーキャピタル、地域金融機関などから資金調達。2020年にはIVSなど国内外10以上のアワードを受賞。2021年、総務大臣賞受賞、Forbes Asia 100選定などその活動はCNNで世界に紹介される。

及川(ポーラ)茨城県北は本当に自然豊かで、映画の舞台になりそうな美しさがありますよね。実を言うと友人が県北に住んでいるので、年に数回茨城県北を訪れているのですが、「この風景は失われてほしくないな」と常々思っています。私にとっては第二の故郷のような場所ですね。

及川 美紀 さん 株式会社ポーラ 代表取締役社長 / 宮城県石巻市出身。1991年株式会社ポーラ化粧品本舗(現株式会社ポーラ)入社。美容教育、営業推進業務、2009年より同社商品企画部長を経て2012年執行役員、2014年取締役に就任。教育、マーケティング、商品企画、営業など化粧品事業のバリューチェーンをすべて経験し、 2020年1月より現職。
及川 美紀 さん 株式会社ポーラ 代表取締役社長 / 宮城県石巻市出身。1991年株式会社ポーラ化粧品本舗(現株式会社ポーラ)入社。美容教育、営業推進業務、2009年より同社商品企画部長を経て2012年執行役員、2014年取締役に就任。教育、マーケティング、商品企画、営業など化粧品事業のバリューチェーンをすべて経験し、 2020年1月より現職。

及川(ポーラ)仕事での関わりでいうと、弊社は化粧品を地域に密着して販売しています。この茨城県北にも、たくさんのポーラレディ(現:ビューティーディレクター)がいました。私も営業担当だった頃に茨城県の担当をしていたので、プライベートでも仕事でも馴染み深い土地ですね。

指出(ソトコト):日立市と一緒に移住定住や観光のパンフレットを作らせていただきました。県北地域には活躍されている方々がたくさんいて、爽やかな風が吹いている場所だなという印象があります。

指出 一正 さん 『ソトコト』編集長 / 島根県「しまコトアカデミー」メイン講師、山形県小国まち「白い森サスティナブルデザインスクール」メイン講師、高知県高知市「エディットKAGAMIGAWA」「高知・鏡川 RYOMA流域学校」メイン講師、奥大和地域誘客促進事業実行委員会、奈良県、吉野まち、天川村、曽爾村「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」エリア横断キュレーターをはじめ、地域のプロジェクトに多く携わる。内閣官房、総務省、国土交通省、農林水産省、環境省などの国の委員も務める。経済産業省「2025年大阪・関西万博日本館」クリエイター。著書に『ぼくらは地方で幸せを見つける』(ポプラ新書)。
指出 一正 さん 『ソトコト』編集長 / 島根県「しまコトアカデミー」メイン講師、山形県小国まち「白い森サスティナブルデザインスクール」メイン講師、高知県高知市「エディットKAGAMIGAWA」「高知・鏡川 RYOMA流域学校」メイン講師、奥大和地域誘客促進事業実行委員会、奈良県、吉野まち、天川村、曽爾村「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」エリア横断キュレーターをはじめ、地域のプロジェクトに多く携わる。内閣官房、総務省、国土交通省、農林水産省、環境省などの国の委員も務める。経済産業省「2025年大阪・関西万博日本館」クリエイター。著書に『ぼくらは地方で幸せを見つける』(ポプラ新書)。

齋藤(ファシリテーター)今日は、ローカルの可能性ということで「茨城県北でどんな事業やビジネスが生み出せるか」といったテーマでお話をしたいのですが、例えばポーラさんと地域を掛け合わせたときって、可能性が無限に広がると思うんですよね。茨城県以外での取り組みを教えていただけますか?

及川(ポーラ)島根県に「神紅(シンク)」というとっても美味しいブドウがあるんですが、すごく綺麗な赤色で「化粧品にいいんじゃないか」とリクエストをいただきました。調べてみたら、栽培過程で廃棄される葉茎から美白成分の高いエキスが出まして。

本来だったら捨ててしまうものから新たな価値が生めそうだということで、新プロジェクト「FROM LOSS TO BEAUTY」を始動。島根県と島根大学と当社がタッグを組み、1年半ほど格闘しハンド美容液をつくりました。

及川(ポーラ)希少価値の高いエキスなので、数万個しかつくれなかったんですが、1日で5,000〜6,000個売れてしまって。「1年間の限定個数発売」という形で売り出したところ、かなり話題になりました。「多く作れない」ことは、一般的にはネガティブな要素になったりしますが、今回は「1年に今の時期しか取れない」ことが希少価値性に繋がったと思います。

また、化粧品から派生して「この化粧品に使われている神紅っていうブドウはどんなブドウなんだろうか」と、島根県自体にも興味が波及していて、まちづくりのキーワードでも素敵な循環が生まれていると実感しています。

齋藤(ファシリテーター)指出さんもたくさんの地域ビジネスを見てこられていると思いますが、ここ最近で「面白いな」と思うものって何かありますか?

指出(ソトコト)及川さんがおっしゃったような、社会派化粧品のジャンルがしっかり育っていると感じています。ポーラさんの取り組みがきっかけで、「社会に貢献できる化粧品をつくりたい」と思う人も出てくるでしょうし、捨てられるはずだったものがサーキュラーエコノミー的な視点で化粧品に還元される流れが出てきているなって。すごい心強いですよね。

及川(ポーラ)そうですね。化粧品だけでなく、例えば食品だったりとかいろんなジャンルに派生していくと、まちづくりの観点としてもどんどん広がっていきますよね。

「できない・関係ない」の否定から始めない。事業の可能性を広げるトップの心構え

齋藤(ファシリテーター)及川さんは茨城県常陸太田市にも関わりがあるんですよね。

及川(ポーラ)そうなんです。サスティナブルなデザイン思考実験をされている茨城県北出身の方から、無理難題を押し付けられるんです(笑)。例えば、「コンポスト(堆肥)から香水やアイシャドウってつくれない?」とか。

及川(ポーラ)もちろん解決できることと、できないことがあるんですが、まずはトライをしてみることが大事だなと思っています。一見、ポーラのような会社とは直接関係がないように思えることでも、可能性がどんどん広がるし、違う思考で自分の本業も考えられるなと感じています

齋藤(ファシリテーター):及川さんって昔から本当にフットワークが軽いんですよ。元々ポーラの営業セールスから始まって、代表取締役になられていますが、今日のイベントもお誘いしたら「行きます!」ってすぐにお返事をいただきました。

そのフットワークの軽さが及川さんの可能性をどんどん広げている気がしているのですが、特に及川さんが大事にしてることってありますか?

及川(ポーラ):好奇心を大切にしていますね。私は自分自身を日本の終身雇用の見本だと思っていて、1社30年勤めあげているんですよ。だからものすごく会社人間なんですけど、一方で組織に埋没しちゃうと、新しい発想ができない。

だからとにかく休日には人に会いに行って、面白そうだなと感じたところには、とことん顔を出す。「自社事業には関係ないですよね」と言ってしまうと、そこでクローズドになってしまうので。

次なる地方創生のヒントは「ジェンダー・ダイバーシティ」「中2病」「自分ごと」?

齋藤(ファシリテーター)ありがとうございます。では最後にお二人から、これからの未来で頑張る人たちに向けてメッセージをお願いします。

及川(ポーラ):今後のまちづくりで大切になってくるのは、女性にとって住みやすいまちかどうかだと思うんです。女性が住みにくさを感じる要素の一つに、良妻賢母とか、仕事をしないで家事育児をせよといった「女性とはこうあるべき」を押し付けられてしまうケースがあると思っています。そうすると、都会に出て行ってしまうなって。

なのでぜひ、新規事業や地域創生の中にも、ジェンダー・ダイバーシティの問題を取り上げてもらって、誰も取り残さないまちづくりを意識してもらいたいですね。

指出(ソトコト)僕が常々思っているのは、大人はみんな “中2病” か “小5病” になったほうがいいなということその年齢ぐらいの頃は、みんないつも頭で「巨大ロボをどうやったらつくることができるのか」みたいな、実現できなさそうな、でもワクワクすることを考えているじゃないですか(笑)。

一見バカだなと思うようなことでも「こんなことしたい」というワクワクをみんなで共有すると、いろんな人を巻き込んでいけると思うんです。誰だって難しい話より、楽しい話の方が好きでしょ? だから楽しい話で仲間をつくっていくような感覚で、前へ進んでもらいたいですね。

及川(ポーラ)私は、N=1の困りごとを解決することも大事だなと思っています。「私は今こういうことに困っていて、これがあったらいいなと思ってる」という強い思いを、どれだけたくさんの人と共感できるか。

自分の思いってすごく大事で「こういう事を解決したら、きっと私と誰かが喜ぶ」みたいなことから、事業のアイデアはスタートすると思うので、みなさんの活躍を楽しみにしています。

Editor's Note

編集後記

地域で本気で挑戦されてこられていたからこその本音が詰まったトークセッション!中2病と言われたときは一瞬戸惑いましたが(笑)、ワクワクすることを人に伝えながら、巻き込んでいくことがまちづくりのヒントになると感じました。

茨城県北をシェアで盛り上げよう!

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