前略、100年先のふるさとを思ふメディアです。

LOCAL LETTER

純粋な好奇心を持ち、面白さを伝えていく。地域に必要とされるインタビューライターの価値

JUN. 04

JAPAN

拝啓、誰かの変化のきっかけになりたいアナタへ

※本レポートは2024年5月27日に行われたイベント「【インタビューライター養成講座 特別公開講義①】地域に必要とされる、インタビューライターの価値」を記事にしています。

「100年先のふるさとを思ふメディア」をコンセプトとする「LOCAL LETTER」。地域で活躍するプレイヤーや、豊かな暮らしを模索する実践者にインタビューし、日々執筆。800地域・1,100記事以上の掲載をしてきました。

そんなLOCAL LETTERでは、蓄積してきたインタビュー/ライティングノウハウを惜しみなくお伝えする「インタビューライター養成講座」を開講。現在、第5期目となる受講生を募集中です。(インタビューライター養成講座 詳細はこちら

そして今回は「地域に必要とされる、インタビューライターの価値」を紐解くべく、LOCAL LETTERプロデューサー・平林和樹と、富山県は氷見市、長野県は野沢温泉村で活躍されているお二人が語り合いました。
この記事が、アナタの動き出すきっかけになれたら嬉しいです。

人の生き方や想いは資産に。発信で地域をコーディネートする

平林 和樹 株式会社WHERE 代表取締役・内閣府地域活性化伝道師・ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社、カナダ留学、株式会社CRAZYを経て、株式会社WHERE創業。約2万人の会員を持つ地域コミュニティメディア「LOCAL LETTER」、産学官民の起業家70名以上が登壇する地域経済サミット「SHARE by WHERE」など地域、業界を超えた共創を創出。長野県根羽村で一棟貸し宿を立上げ事業譲渡など独自の事業作りで活動中。
平林 和樹 株式会社WHERE 代表取締役・内閣府地域活性化伝道師・ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社、カナダ留学、株式会社CRAZYを経て、株式会社WHERE創業。約2万人の会員を持つ地域コミュニティメディア「LOCAL LETTER」、産学官民の起業家70名以上が登壇する地域経済サミット「SHARE by WHERE」など地域、業界を超えた共創を創出。長野県根羽村で一棟貸し宿を立上げ事業譲渡など独自の事業作りで活動中。

平林:インタビューライティングは、地域にとって間違いなくインパクトがあると思っています。
取材者の話の引き出し方や、ライター自身の表現方法によって無限の可能性がある。すでに地域に根付いた活動をされているお二人に、地域にインタビューライターがいたらできることをぜひお聞かせいただきたいです。

一川氏(以下、敬称略):私は高校時代、地元の氷見市が嫌だなと思っていました。大学進学・就職で一度氷見市を離れ、コロナ禍でUターン。帰ってきた時に、氷見市は発信が上手ではないなと感じました。

ホームページやInstagramを持っていない事業者さんがすごく多い。そこで暮らす人にとっては「当たり前」のことでも、外から見たら面白いものがたくさんあります。しかし、地域のみなさんにとっては「当たり前」だからこそ発信していないのだと感じます。

一川 有希 氏 富山県氷見市ビジネスサポートセンター(Himi-Biz)事務局ディレクター / 1994年生まれ、富山県氷見市出身。県外大学卒業後、兵庫県のNPO法人でまちづくりに従事。市民活動支援やキャリアデザイン講義などに携わる。2020年5月にUターンし、氷見市ビジネスサポートHimi-Bizの事務局ディレクターとして、中小企業や創業者支援などを行う。氷見市で暮らす人々を紹介するメディア「ひみ街物語」のライターとしても活動中。
一川 有希 氏 富山県氷見市ビジネスサポートセンター(Himi-Biz)事務局ディレクター / 1994年生まれ、富山県氷見市出身。県外大学卒業後、兵庫県のNPO法人でまちづくりに従事。市民活動支援やキャリアデザイン講義などに携わる。2020年5月にUターンし、氷見市ビジネスサポートHimi-Bizの事務局ディレクターとして、中小企業や創業者支援などを行う。氷見市で暮らす人々を紹介するメディア「ひみ街物語」のライターとしても活動中。

一川:インタビューライティングは、事業などの説明だけでなく、人の生き方や思いを読み解ける。そうして発信した内容は、地域外の人への刺激になるだけでなく、地元の人たちにとってのロールモデルとなると感じています。

地元の人も知らない人や取り組みはまだまだある。私も高校時代にもっと氷見市の情報に触れていたら、まちの見方が変わっていたかもしれません。

平林:一川さんは、日々氷見市の事業者さんの相談に乗られていると思いますが、広報やPRの相談は多いですか。

一川:そうですね。発信方法や「何を伝えたらいいのか分からない」という相談が多いです。そうした中で、一緒に話していくと「そこがPRポイントになるのか」と気づく方がいたり、涙を流しながら人生を振り返る方がいたりします。取材や相談を通じて、自身の大事なことを認識され、その上で次のステップに進む方がいらっしゃるようです。

平林:インタビューライティングのすごいところは、取材そのものが、お話する相手にとっての価値になるところですよね。

一川氏が立ち上げたメディア「ひみ街物語」では、氷見市で活躍する塾講師やベーカリーをインタビューした記事など氷見市の魅力が紹介されている
一川氏が立ち上げたメディア「ひみ街物語」では、氷見市で活躍する塾講師やベーカリーをインタビューした記事など氷見市の魅力が紹介されている

平林:石田さんのいらっしゃる野沢温泉は、スキーと温泉が有名な観光地で、冬は観光客が多く訪れる。けれど、それ以外の季節は閉まるお店も多く集客に課題があるとお聞きしました。通年で集客できるまちづくりのために、情報発信やPRはどんなことをされていますか。

石田 遼 氏 NEWLOCAL代表取締役CEO / 1986年生まれ。建築設計、経営コンサルタント、不動産IoTスタートアップと様々な立場からまちづくりに関わる。2022年 株式会社NEWLOCAL創業。「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに日本各地で不動産開発を中心としたまちづくりを行い、人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指す。半分は東京、半分は各地を飛び回る生活。
石田 遼 氏 NEWLOCAL代表取締役CEO / 1986年生まれ。建築設計、経営コンサルタント、不動産IoTスタートアップと様々な立場からまちづくりに関わる。2022年 株式会社NEWLOCAL創業。「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに日本各地で不動産開発を中心としたまちづくりを行い、人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指す。半分は東京、半分は各地を飛び回る生活。

石田氏(以下、敬称略):僕らが運営するホテル「野沢温泉ロッヂ」のInstagramアカウントでは、写真や文章を通じて野沢温泉の魅力を伝える情報発信をしています。

本アカウント内には「Exploring Nozawa」という特集があり、タコス屋やクライミングカフェなど地域にある事業者さんのお話を聞き、日本語と英語で文章を書いています。
社員がインタビューを行うことで地域の方と関わる機会ができ、自ら地域をコーディネートしつつ、事業も受けさせてもらっています

さらに、会社のホームページでは採用のために社員のインタビュー記事も書いています。地域で事業をする時に採用はすごく大事。そこで働く社員の生の声を届けるという意味でもインタビューライティングはかなり重要だと思っています。

野沢温泉ロッヂのInstagram。地域のお店やイベントを紹介している。
野沢温泉ロッヂのInstagram。地域のお店やイベントを紹介している。

平林:インタビューライティングに取り組まれている中で、こういうライターがいたらいいなと思うことはありますか。

石田:インタビューは人と人の関係性なので、どれくらいその想いを拾えるか、魅力を引き出せるかはインタビュアーの人柄とスキルだと思っています。

1つの地域でいろんな人を取り上げていけるユニークなライターが各地域にいれば、絶えず地域の情報が発信されるので面白いですよね。合わせて、写真も撮れるライターさんだと最強です。

平林:1つの地域に密着しているからこその信頼が、地域の人の想いを引き出しやすくしていると思いますね。WHEREの講座では、技術的なテクニックはもちろん、相手の話をどう引き出すかなど人間力の部分も伝えています。どちらも、地域で求められる力だと感じています。

何が起こるかわからない。メディアが人の縁を広げるきっかけに

平林:一川さんは日々の情報発信やPRを通じて、事業者さんに影響を与えた体験はありますか。

一川:Uターンした時に情報を発信する必要性を感じて、氷見市に特化したインタビューメディア「ひみ街物語」を立ち上げました。私も現在、ライターとして取材・執筆しています。

初めて書いた記事では、割烹料理・寿司店「成希(なるき)」さんを取り上げました。その後たまたま成希に食べに来た、ある県外メディアの方が「成希の店主は一体どういうバックグラウンドを持っているのか」と気になり、私の執筆記事を見られたようで。「店主の思いが分かってすごく推せる」という趣旨のFacebook投稿が私の元まで流れてきました。

面識のない方に店主の思いを知ってもらい、さらにその方の紹介で成希に来られる方もいると伺っていて、何が起こるかわからないなと思いました。気になったお店やいいなと思ったものを調べた時、その方の思いが伝わるとより好きになると思いました。

割烹料理・寿司店「成希」の記事はこちら
割烹料理・寿司店「成希」の記事はこちら

平林:いい事例ですね。 
最近はショート動画が流行っていますが、インタビュー記事との使い分けが必要だと思っています。ショート動画をきっかけにもっと深く知りたい時、地域は情報がありそうでなかったり最新情報をキャッチアップしづらいと思ったりする。一川さんの記事が人や地域が動くきっかけになった話はすごくいいなと思いました。

石田さんの取組では、「手応えあったな、ここは可能性あるな」と思った体験はありましたか?

石田:僕も思わぬところでブログを読んだと言っていただくことがあります。それも結構な時間差で。動画などの早い時間軸のメディアと、インタビュー記事やブログなどのゆっくりした時間軸のメディアがありますが、インタビュー記事は時間差で後々効いてくることがよくあります。

インタビューは思わぬ人、思わぬタイミングでご縁が広がるきっかけになるなって。
社員のインタビューも周りから反応があったと喜んでくれるので、社員にとってもいい影響があると思います。

平林:まさにそうですよね。インタビューライティングは事業や地域の資産になり、インパクトを生み出すと思っています。

NEWLOCALの社員インタビュー記事。記事では社員の生き方やまちづくりへの思い、仕事をする中で心が震えた瞬間などが書かれている。
NEWLOCALの社員インタビュー記事。記事では社員の生き方やまちづくりへの思い、仕事をする中で心が震えた瞬間などが書かれている。

平林:お二人の話を伺ってきて、地域でのインタビューライターとしてのお仕事は結構ありそうだなと感じたのですが、実際に運営されているオウンドメディアの月の更新本数や、ライターさんに書いてもらいたいというニーズはどのくらいありますか。

石田:今はインタビュー記事を月1くらいであげていて、今後は野沢温泉に移住してきた会社のメンバーも対象に取り上げたいと思っています。

平林:地域内での発信でいうと、月1でも更新頻度は高いですよね。一川さんはどうですか。

一川:普段お話していて、採用に困っている事業者の方が多い印象があるので、代表の思いを書いて欲しい方は結構いらっしゃると思います。

あとは、行政も地域の魅力を発信できる人材を求めていると感じています。例えば氷見市では暮らしや人のインタビュー内容が載っている移住サイトがありますが、より深く地域のことを知っていける内容があるといいと思います。

平林:いいですね。行政も毎年冊子を更新されると思うので、活躍しがいがありますね。

純粋な好奇心を持ち、面白さを伝えていく。地域で求められるライターとは

平林:インタビューライターは企画や構成も行うので、地域をディレクションするスキルも身につけていけるようになると思います。
 一川さんは事業者さんに取材をしたり相談を受ける中で、石田さんは実際に地域をディレクションする中で、意識されていることはありますか。

一川:「この人に話していいな」と思われないとパーソナルな部分は出てこないと思うので、警戒心を解いてもらうことですね。
私はインタビュー前にたくさん雑談をして、話しやすい雰囲気を作ってから本題に入っていきます。相手によってあえて少しフランクな話し方をするとかですね。

あとは、その人にとっては「当たり前」と思っていることをどう引き出していくか。そして話すことに慣れている方が定型文のようにお話されている時には、別の視点から質問してみます。そうすると相手も新しい視点で話してくださることがあります。

石田:僕もインタビューをすることがあるのですが、そこで気をつけることというより、そもそも自分が本心から好奇心を持って、純粋に面白いから話を聞いて、みんなに対してその面白さを伝えたいと思っていることが重要だと思っています。

生々しい話、必ずしも自分が興味ある対象でないこともあると思うのですが、自分が感じたその人の面白さとか、ここが好きだと思ったことをどう伝えるかで良い記事になると思います。

特別取材合宿でのインタビューの様子。ライターが感じたその人の面白さを伝えたい一心で取り組んでいる。
特別取材合宿でのインタビューの様子。ライターが感じたその人の面白さを伝えたい一心で取り組んでいる。

平林:本当にそうですよね。興味を持たないまま取り組むか、興味とやりがいを持って取り組むかでアウトプットが大きく違いますよね。

地域にとってインタビューライティングはすごく価値が高い。地域に求められているし、正解もない中で取り組んでいらっしゃるので、試行錯誤されていると思います。一緒に考えながら特別取材合宿ができればと思っています。本日はありがとうございました。

インプットとアウトプットを繰り返しながら、地域に密着したインタビューライターとして成長できるWHEREの講座。近しい志をもつ受講生との学び合いや、地域で実践し実績を積めることがこの講座の醍醐味です。一人で黙々と学ぶより、より多くの学びや気づきをシェアできます。 

そして現在、「インタビューライター養成講座」は新規受講生を募集中
お申込み状況は以下の通りです。 ※2024/5/31現在

・超実践プラン 残り11名 / 定員20名 
・オンラインプラン 残り19名 / 定員20名 

※お申込みは先着順のため、気になる方はお早めにお申し込みください。
オンライン体験会も実施しています。気になる方はこちらからお気軽にご参加くださいませ。

ぜひ、アナタの動き出すきっかけに、本講座に参加してみてはいかがでしょうか。

Information

受講生募集中!インタビューライター養成講座

“個性”と“温度”を引き出すインタビューとライティングで、
心を揺さぶり行動を生み出すインタビューライターへ。

多種多様な人の生き方やビジネスをインタビューし、
800地域・1,100記事以上の掲載を誇る「LOCAL LETTER」が
一流のインタビューライターと共同開発したプログラム。

<こんな人にオススメ!>
・相手の言葉を心地よく引き出すインタビューがしたい
・だれかの行動のきっかけとなる記事を書けるようになりたい
・未経験だけどインタビューライターに憧れている
・独学でライティングしていて、仲間と学びを深めたい

 

インタビューライター養成講座 の詳細はこちら
https://academy.localletter.jp/interview-writer

Editor's Note

編集後記

興味を持ったお店をGoogleマップにマークすることが好きなのですが、成希さんと野沢温泉ロッヂさんが仲間入りしました。私のFacebookの投稿がいつかお二人に届くかも?

シェアしてインタビューライター養成講座を応援しよう!

シェアしてインタビューライター養成講座を応援しよう!

シェアしてインタビューライター養成講座を応援しよう!

LOCAL LETTER Selection

LOCAL LETTER Selection

ローカルレターがセレクトした記事