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※本レポートは2024年5月27日に行われたイベント「【インタビューライター養成講座 特別公開講義①】地域に必要とされる、インタビューライターの価値」を記事にしています。
「100年先のふるさとを思ふメディア」をコンセプトとする「LOCAL LETTER」。地域で活躍するプレイヤーや、豊かな暮らしを模索する実践者にインタビューし、日々執筆。800地域・1,100記事以上の掲載をしてきました。
そんなLOCAL LETTERでは、蓄積してきたインタビュー/ライティングノウハウを惜しみなくお伝えする「インタビューライター養成講座」を開講。現在、第5期目となる受講生を募集中です。(インタビューライター養成講座 詳細はこちら)
そして今回は「地域に必要とされる、インタビューライターの価値」を紐解くべく、LOCAL LETTERプロデューサー・平林和樹と、富山県は氷見市、長野県は野沢温泉村で活躍されているお二人が語り合いました。
この記事が、アナタの動き出すきっかけになれたら嬉しいです。
平林:インタビューライティングは、地域にとって間違いなくインパクトがあると思っています。
取材者の話の引き出し方や、ライター自身の表現方法によって無限の可能性がある。すでに地域に根付いた活動をされているお二人に、地域にインタビューライターがいたらできることをぜひお聞かせいただきたいです。
一川氏(以下、敬称略):私は高校時代、地元の氷見市が嫌だなと思っていました。大学進学・就職で一度氷見市を離れ、コロナ禍でUターン。帰ってきた時に、氷見市は発信が上手ではないなと感じました。
ホームページやInstagramを持っていない事業者さんがすごく多い。そこで暮らす人にとっては「当たり前」のことでも、外から見たら面白いものがたくさんあります。しかし、地域のみなさんにとっては「当たり前」だからこそ発信していないのだと感じます。
一川:インタビューライティングは、事業などの説明だけでなく、人の生き方や思いを読み解ける。そうして発信した内容は、地域外の人への刺激になるだけでなく、地元の人たちにとってのロールモデルとなると感じています。
地元の人も知らない人や取り組みはまだまだある。私も高校時代にもっと氷見市の情報に触れていたら、まちの見方が変わっていたかもしれません。
平林:一川さんは、日々氷見市の事業者さんの相談に乗られていると思いますが、広報やPRの相談は多いですか。
一川:そうですね。発信方法や「何を伝えたらいいのか分からない」という相談が多いです。そうした中で、一緒に話していくと「そこがPRポイントになるのか」と気づく方がいたり、涙を流しながら人生を振り返る方がいたりします。取材や相談を通じて、自身の大事なことを認識され、その上で次のステップに進む方がいらっしゃるようです。
平林:インタビューライティングのすごいところは、取材そのものが、お話する相手にとっての価値になるところですよね。
平林:石田さんのいらっしゃる野沢温泉は、スキーと温泉が有名な観光地で、冬は観光客が多く訪れる。けれど、それ以外の季節は閉まるお店も多く集客に課題があるとお聞きしました。通年で集客できるまちづくりのために、情報発信やPRはどんなことをされていますか。
石田氏(以下、敬称略):僕らが運営するホテル「野沢温泉ロッヂ」のInstagramアカウントでは、写真や文章を通じて野沢温泉の魅力を伝える情報発信をしています。
本アカウント内には「Exploring Nozawa」という特集があり、タコス屋やクライミングカフェなど地域にある事業者さんのお話を聞き、日本語と英語で文章を書いています。
社員がインタビューを行うことで地域の方と関わる機会ができ、自ら地域をコーディネートしつつ、事業も受けさせてもらっています。
さらに、会社のホームページでは採用のために社員のインタビュー記事も書いています。地域で事業をする時に採用はすごく大事。そこで働く社員の生の声を届けるという意味でもインタビューライティングはかなり重要だと思っています。
平林:インタビューライティングに取り組まれている中で、こういうライターがいたらいいなと思うことはありますか。
石田:インタビューは人と人の関係性なので、どれくらいその想いを拾えるか、魅力を引き出せるかはインタビュアーの人柄とスキルだと思っています。
1つの地域でいろんな人を取り上げていけるユニークなライターが各地域にいれば、絶えず地域の情報が発信されるので面白いですよね。合わせて、写真も撮れるライターさんだと最強です。
平林:1つの地域に密着しているからこその信頼が、地域の人の想いを引き出しやすくしていると思いますね。WHEREの講座では、技術的なテクニックはもちろん、相手の話をどう引き出すかなど人間力の部分も伝えています。どちらも、地域で求められる力だと感じています。
平林:一川さんは日々の情報発信やPRを通じて、事業者さんに影響を与えた体験はありますか。
一川:Uターンした時に情報を発信する必要性を感じて、氷見市に特化したインタビューメディア「ひみ街物語」を立ち上げました。私も現在、ライターとして取材・執筆しています。
初めて書いた記事では、割烹料理・寿司店「成希(なるき)」さんを取り上げました。その後たまたま成希に食べに来た、ある県外メディアの方が「成希の店主は一体どういうバックグラウンドを持っているのか」と気になり、私の執筆記事を見られたようで。「店主の思いが分かってすごく推せる」という趣旨のFacebook投稿が私の元まで流れてきました。
面識のない方に店主の思いを知ってもらい、さらにその方の紹介で成希に来られる方もいると伺っていて、何が起こるかわからないなと思いました。気になったお店やいいなと思ったものを調べた時、その方の思いが伝わるとより好きになると思いました。
平林:いい事例ですね。
最近はショート動画が流行っていますが、インタビュー記事との使い分けが必要だと思っています。ショート動画をきっかけにもっと深く知りたい時、地域は情報がありそうでなかったり最新情報をキャッチアップしづらいと思ったりする。一川さんの記事が人や地域が動くきっかけになった話はすごくいいなと思いました。
石田さんの取組では、「手応えあったな、ここは可能性あるな」と思った体験はありましたか?
石田:僕も思わぬところでブログを読んだと言っていただくことがあります。それも結構な時間差で。動画などの早い時間軸のメディアと、インタビュー記事やブログなどのゆっくりした時間軸のメディアがありますが、インタビュー記事は時間差で後々効いてくることがよくあります。
インタビューは思わぬ人、思わぬタイミングでご縁が広がるきっかけになるなって。
社員のインタビューも周りから反応があったと喜んでくれるので、社員にとってもいい影響があると思います。
平林:まさにそうですよね。インタビューライティングは事業や地域の資産になり、インパクトを生み出すと思っています。
平林:お二人の話を伺ってきて、地域でのインタビューライターとしてのお仕事は結構ありそうだなと感じたのですが、実際に運営されているオウンドメディアの月の更新本数や、ライターさんに書いてもらいたいというニーズはどのくらいありますか。
石田:今はインタビュー記事を月1くらいであげていて、今後は野沢温泉に移住してきた会社のメンバーも対象に取り上げたいと思っています。
平林:地域内での発信でいうと、月1でも更新頻度は高いですよね。一川さんはどうですか。
一川:普段お話していて、採用に困っている事業者の方が多い印象があるので、代表の思いを書いて欲しい方は結構いらっしゃると思います。
あとは、行政も地域の魅力を発信できる人材を求めていると感じています。例えば氷見市では暮らしや人のインタビュー内容が載っている移住サイトがありますが、より深く地域のことを知っていける内容があるといいと思います。
平林:いいですね。行政も毎年冊子を更新されると思うので、活躍しがいがありますね。
平林:インタビューライターは企画や構成も行うので、地域をディレクションするスキルも身につけていけるようになると思います。
一川さんは事業者さんに取材をしたり相談を受ける中で、石田さんは実際に地域をディレクションする中で、意識されていることはありますか。
一川:「この人に話していいな」と思われないとパーソナルな部分は出てこないと思うので、警戒心を解いてもらうことですね。
私はインタビュー前にたくさん雑談をして、話しやすい雰囲気を作ってから本題に入っていきます。相手によってあえて少しフランクな話し方をするとかですね。
あとは、その人にとっては「当たり前」と思っていることをどう引き出していくか。そして話すことに慣れている方が定型文のようにお話されている時には、別の視点から質問してみます。そうすると相手も新しい視点で話してくださることがあります。
石田:僕もインタビューをすることがあるのですが、そこで気をつけることというより、そもそも自分が本心から好奇心を持って、純粋に面白いから話を聞いて、みんなに対してその面白さを伝えたいと思っていることが重要だと思っています。
生々しい話、必ずしも自分が興味ある対象でないこともあると思うのですが、自分が感じたその人の面白さとか、ここが好きだと思ったことをどう伝えるかで良い記事になると思います。
平林:本当にそうですよね。興味を持たないまま取り組むか、興味とやりがいを持って取り組むかでアウトプットが大きく違いますよね。
地域にとってインタビューライティングはすごく価値が高い。地域に求められているし、正解もない中で取り組んでいらっしゃるので、試行錯誤されていると思います。一緒に考えながら特別取材合宿ができればと思っています。本日はありがとうございました。
インプットとアウトプットを繰り返しながら、地域に密着したインタビューライターとして成長できるWHEREの講座。近しい志をもつ受講生との学び合いや、地域で実践し実績を積めることがこの講座の醍醐味です。一人で黙々と学ぶより、より多くの学びや気づきをシェアできます。
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ぜひ、アナタの動き出すきっかけに、本講座に参加してみてはいかがでしょうか。
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Editor's Note
興味を持ったお店をGoogleマップにマークすることが好きなのですが、成希さんと野沢温泉ロッヂさんが仲間入りしました。私のFacebookの投稿がいつかお二人に届くかも?
Mei Fushimi
mei fushimi