地方進出
企業の地方進出。単純に拠点が増えることだけでなく、地域とより密接に関わる好循環が生まれることから、都心から少し離れた場所に拠点進出を検討している企業も増えてきています。
そこで今回お届けするのは、新潟県糸魚川市が主催した、『糸魚川に惹かれたMOVEDの世界に迫る 〜「心を動かす」職人・アスリート達のココロが動いちまったよ編〜』と題し行ったイベント。
テレワークが叫ばれる以前から全社員がフルリモートで働いてきたのにも関わらず、第2の故郷と呼べる場所として糸魚川市へ拠点進出した株式会社MOVED。
今では従業員だけでなく、従業員の家族も含めて、糸魚川を楽しみ尽くしているのだとか。本イベントでは糸魚川市に拠点を出した理由や、地域進出のメリットを赤裸々にお伝えしていきます。
地方進出で生まれた、社内外の好循環とはーー。
渋谷:株式会社MOVED代表取締役の渋谷です。今日のテーマは「糸魚川に惹かれたMOVEDの世界に迫る」ということで、我々がなぜ進出してきたかや、糸魚川の感じた魅力やメンバーの想いなどをお話させていただこうと思います。
山崎:糸魚川市商工観光課の山崎です。ついに糸魚川へ進出されたということで嬉しいです。今日はよろしくお願いします!では、MOVEDの齋藤瞳さんも自己紹介をお願いできますか?
瞳:今日は福島県福島市から参りました。実は糸魚川はまだ3回目の訪問なんですが、糸魚川ファンという立場から「旅行」との「ワーケーション」をテーマにお話をします。今6歳の息子がいるんですが、主人も私も基本在宅での仕事が多く、過去には、ニュージーランドでワーケーションをしたことがあるぐらい旅行が好きでした。
糸魚川を知ったのはMOVEDに関わるようになってからなんですが、代表取締役の渋谷から「糸魚川でこんな美味しいもの食べた」とか、「海の見える場所でワーケーションしてきたよ」みたいな情報がガンガン流れてくるんですよ。刷り込みじゃないですけど、これは糸魚川に行きたくなるのは当然だなって今振り返ると思っています(笑)。
瞳:念願叶って去年にMOVED合宿で糸魚川に来ることができたんですが、「お酒も魚も美味しいし、ワーケーションの環境も整っているし、子どもが遊べる場所もありそう!」ということで、次は絶対家族で来ようと、その年の8月には仕事ではなく家族で来ちゃったんですよね。子どもが海底地底にすごい興味があったようで、糸魚川のジオパークもフォッサマグナミュージアムも大興奮でした。
なんなら大人もはしゃいでしまって、結局バケーションが中心になってしまってたんですけど、次はワーケーションとして数週間来たいなって話をしています。普通は何回も同じ場所にいくことは珍しいので、「なぜ糸魚川なのか」を考えたんですけど、合宿を通じて地元の方と繋がりをつくれたのが大きいと気づきました。
「糸魚川に行きます!」って呟くと、「ここのお店をおすすめです」とSNSで教えてもらえたり、まだ2回しか行ってない中でも「お帰りなさい」と言ってもらえたりするところとか、ちょっとしたことがすごく嬉しいし、第2の故郷に帰ってきたような気持ちになるんです。人の繋がりがあるからこそ、2回3回続けて行きたくなるのかなって思いましたね。
山崎:ありがとうございます。渋谷さんはすでに30回近く糸魚川に来てくれているので、瞳さんにもたくさん来ていただいて、糸魚川の魅力をもっと知ってもらいたいです!
山崎:次はコジロウさんに自己紹介をお願いしたいと思うんですが、コジロウさんは既に何度も糸魚川に来られていて、普通にコンビニとかで会うんですよ。地元の人かなって思うぐらいです(笑)。
コジロウ:ばったりお会いしましたよね? でも、私もまだ糸魚川8回目なので、まずは代表と同じく30回訪問を目指します(笑)。僕は三重県伊勢市で生まれ育ちました。その後東京で10年ほど住み、愛知県弥富市に移住。男の子2人の父親でもあります。
MOVEDに入ったのも「糸魚川で配信イベントがあるんだけど」と声を掛けてもらったのがきっかけ。糸魚川に来る度に町に対しての熱量が高まって、親子ワーケーションにも参加しました。
コジロウ:糸魚川にはティンカリングという、子どもの体験プログラムを企画している場所があって。ただ遊ばせるだけじゃなくて、子どもたちの「新しいことをやってみる」を育てる体験学習で、親は日中仕事ができる素晴らしいプログラムです。子どもたちの夏休みを利用して、去年の8月8〜12日まで参加させてもらいました。小学生以上が対象だったので、長男だけの参加にはなったのですが、朝8時半にティンカリングベースに子どもを預けて、僕は夕方の5時に迎えにいくだけ。
糸井川は本当にどこでも働く場所があるので、僕自身も働く場所を楽しみながらも、子どもの成長を見守ることができた1週間でした。休みの日には、親子水入らずで海で遊んで美味しいものを一緒に食べることもできましたし、子どもも糸魚川にたくさん友達ができて「自分が住んでいる場所以外にも活躍できる場所がある」と伝えることができたのではと思っています。
冬休みは未就学児の次男も参加させたいと思って、ティンカリングさんに相談してお願いしたんですけど、正直なところ小学生向けのプログラムについていけるかわからなかったんですよ。でも、iPadを使って動画制作をしたり、正月のことを調べながら年賀状を作るプログラムを体験してきたら、予想以上の出来で!
「次男はiPadを使えないんじゃないか」と思っていたんですが、小学生並みにガンガン動画作って文字も打っている。「最近ひらがな読めるようになったな」ぐらいに捉えていたんですが、勝手に「ここまでしかできないだろう」っていう思い込みを、ティンカリングさんに取っ払ってもらえたと思っています。
糸魚川に進出したいと考えている企業さんに向けて話すと、自分が行って楽しいだけじゃなくて、メンバーの家族にも気に入ってもらえるかって大事だと思うんです。だからこそ、体験学習を通じて成長も見守りながら、自分は自分で普通に仕事ができる場所だったのが、僕が糸魚川にどハマりしてる理由ですね。
山崎:8回目の訪問とは思えないぐらいの糸魚川愛!
コジロウ:熱量がありすぎて、もう50回ぐらいは来ている気がします(笑)。
山﨑:コジロウさんの話されたとおり、子どもがプログラム体験をしている間に、親がテレワークできるのはいいですよね。わざわざ来るぐらい価値があるので、全国各地の方々をお待ちしています!(笑)
渋谷:MOVEDのメンバーがどんどん糸魚川に巻き込まれている感じがするんですけど、これは代表命令でもなんでもなくて、みんなが勝手に行ってるんですよね(笑)。「来週行きます」とか「先週糸魚川でご飯食べてきました」とか。これはすごいことだなと思っているんですが、ここからは「糸魚川含めて、会社として移住や拠点を出していきたい」という方に向けて、僕らの実体験をお伝えしたいと思います。
MOVEDが糸魚川と関わりを持つようになったのは、2019年の7月。糸魚川との関わりを持つきっかけはお仕事だったんですけど、その夜の懇親会で地域の方々が「糸魚川は何もない」と話されていたんですよね。でも僕は東京生まれで田舎がなく、ある種こういう場所が必要だと思っていたというか、それこそ「糸魚川が第2第3の故郷になれる」と思ったんですよね。
渋谷:それをお話して糸魚川の方々に気に入ってもらえたんですけど、そこからすぐに仕事ができるわけではなくて、最初は私の単なる興味というか、セミナーの依頼をもらったりして関係を構築していきました。その後、山崎さんから本格的にワーケーションに取り組んでいきたいと相談があって、内閣府の地方創生テレワーク交付金を取りにいったんです。
山崎:長かったですね。1年半ぐらいはほぼお金をお支払いしてない状態で走ってもらっていました(笑)。
渋谷:僕がすごくお伝えをしたいと思っているのは、やっぱり地域はいきなりビジネスで入るんじゃなくて、最初は興味だったり、面白そうだなってところから入っていくことが重要だと思うんです。ビジネスに繋がらないかもしれないけど、可能性があるところを探索していく。
なので僕らも今ようやく場が整ってきたかなと思ってるところなんですが、交付金で始まった一つに、今の糸魚川には、地域内外の人たちを結ぶ取り組み「糸と川と魚」があります。全国に自然豊かな場所はたくさんあるんですけど、「この人に会いたい」とか「この人と仕事をしたい」が行動の動機になる。実際僕らのメンバーも気がつけば巻き込まれているし、さっき話していたような好循環も起こってるなって。
まだまだ私たちも糸魚川でのビジネスが完全に軌道に乗ってるってわけではないんですが、糸魚川というキーワードは確実に広がっていますし、ありがたいことに「糸魚川といえばMOVED」みたいな話題も起きている。また拠点を出すことで、うちを知ってくれた糸魚川の人を採用できたり、どんどんメリットが広がってきているように感じますね。
山崎:MOVEDさんがこられたことで、改めて町内のメンバーも自分たちの価値に気付くわけなんですよね。不思議と糸魚川の人たちがMOVEDさんの周りに集まってこられていて、町の活力になっているなと思います。
Editor's Note
日本全国にいる社員たちとその家族たちをも巻き込み、糸魚川を楽しみ尽くしている株式会社MOVEDのメンバーたち。代表が楽しみ尽くしているのをみて、その土地に興味が沸くのは必然という言葉にとても納得。改めて「好き」というエネルギーが持つ偉大さを感じました。
YURIKA YOSHIMURA
芳村 百里香