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LOCAL LETTER

能登半島地震被災から8カ月。多くの支援に助けられ、能登の未来のために恩返しと復興を誓う「数馬酒造」の挑戦

SEP. 17

ISHIKAWA

拝啓、震災そして復興のリアルを語り継いでいきたいアナタへ

2024年元日に発生した能登半島地震。
地震発生から時が経ち、わたし達は秋を迎えようとしている。

遠方にいながらして今、できることってなんだろうかーー。

あの日、能登半島では何が起こったのか。
あの日から、能登に暮らす人々は何を想って過ごしてきたのか。

今すぐにでもわたし達にできることは、その事実を知り、伝えていくことではないでしょうか

酒造りこそが復興である」と、被災後も酒造りに取り組んだ石川県鳳珠郡能登町にある酒造「数馬(かずま)酒造」。数馬酒造は、能登の希望の光となるべく、復興の日々を伝えています。

能登を想い、この記事にたどり着いたアナタへ。
LOCAL LETTER編集部が、今届けたい記事をご紹介いたします

※この記事はプレスリリース『PR TIMES STORY 「能登半島地震被災から8カ月の歩み。多くの支援に助けられ、能登の未来のために恩返しと復興を誓う「数馬酒造」の挑戦」』から引用しています。

能登半島地震による深刻な被害。酒造りが完全にストップし、呆然とした日々

石川県能登にある酒蔵数馬酒造」は1869年に創業。「能登を醸す」を経営理念に、醸しのものづくりで能登の魅力を高めることを使命としながら、日本酒竹葉(ちくは)」を造る酒造会社です。
従業員は19名(2024年8月現在)。国内外のお客様へ能登の風土を感じる日本酒を届けています。

2024年の元日これまでに経験したことのない揺れと津波が能登を襲いました

壁面が崩壊した木造蔵
壁面が崩壊した木造蔵

数馬酒造は、人的被害はなかったものの、木造建物は傾き、壁面は崩壊。さらに、保管中だった800本以上の酒瓶が破損するなど酒造りの最盛期を迎えていた時期に大きな被害を受けました。

さらに、有事の際に酒造りを継続するために備えてきた、リキュール蔵と醤油蔵も被災。そして全ての蔵で断水が続きました。

 仕込み中のゆず酒は全量損失
仕込み中のゆず酒は全量損失

1月は「寒造り(かんづくり)」と呼ばれる日本酒造りの最盛期
そんな肝心な時期に酒造りは完全にストップし、能登の契約農家様から預かった55トンものお米が蔵に残された状態でした。

「まさに途方に暮れるとはこのことかと呆然としたことを思い出します」(プレスリリースより引用)

くるしい状況からの復旧活動が始まりました。

一丸となって進めた復旧活動。社員全員が揃い、感謝と喜びで迎えた再出発

復旧活動を始めたものの、社員全員の出社が叶わない日々が続きます。
さらに、被害箇所は広範囲に及ぶ状態。酒造の復旧には長い時間がかかることを思い知ります。

1月中旬になると余震の頻度が落ち着き、蔵内の片付けも本格的に進められるようになりました。この頃から、作業中にも笑い声が出るようになってきました。

その後、社員全員の出社が叶ったのは能登半島地震から39日目、2月9日のこと。また全員が一堂に会したのは3月8日のことでした。それがどんなに奇跡的で有り難いことか

一人一人の無事とたくさんの努力に感謝し、こうしてまた皆で始動できることを本当に嬉しく思いました」(プレスリリースより引用)

2月16日社屋前にて撮影した集合写真
2月16日社屋前にて撮影した集合写真

支援の手で救われた「もろみ」。震災を乗り越えて誕生した「Saved by」シリーズ

「出来ることから少しずつ復旧を進めている状況の中、案じていたのは醗酵室に残されたもろみ」です。

能登産の米と水で仕込み、微生物の力を借りてゆっくりと醗酵するもろみは、蔵の中でじっと助けを待っていました。醗酵室のタンクの中には、年始早々に清酒と酒粕に分ける上槽作業を迎える予定のもろみもありました。

自力ではこれ以上どうしようもできないと諦めかけていた時、県内外の酒蔵様から救いの手を差し伸べていただきました

蔵内のもろみを運び出し、別の蔵で日本酒を造るという共同醸造はほとんど前例のないことでしたが、1月17日から10日間にわたり、県内外の酒蔵様のご協力のおかげで、仕込み中のもろみ約1万5000Lを搬出することができました」(プレスリリースより引用)

一度は諦めかけた「もろみ」の救出。
そこに手を差し伸べてくれた県内外の酒造により、蔵内のもろみを使って別の蔵で日本酒を造る、共同醸造という前例の少ないことに取り組みました。完成した「Saved by(セーブドバイ)シリーズ」は2024年3月から順次販売を開始しています。

「お酒をお受け取りになったお客様からは沢山の嬉しいお言葉をいただきました。その度に有り難さを噛みしめ、喜びが溢れます。同時に、皆様においしい日本酒をお届けすることが、私たちの喜びであり、使命であると、身に沁みて感じました」(プレスリリースより引用)

契約農家と共に乗り越える、「能登を醸す」という経営理念が支えた委託醸造の決断

「被災後も酒造り再開に注力したのは、能登の契約農家様たちに今後も能登の地でお米を変わらず栽培していただけるよう、私たちにできることはお預かりしたお米をしっかりと日本酒にして、皆様にお届けすることと考えてのことです。

契約農家様からは「なんとしてでも今年も米を作りますから」と頼もしいお声掛けをいただき、心強いパートナーを前に私たちのすべきことがより明確になりました」(プレスリリースより引用)

しかし、断水解消の兆しは見られず、今期の日本酒製造が叶わない状況。新たに「委託醸造(いたくじょうぞう)」を行うことになりました。

「委託醸造については当初から少なくない葛藤を抱えていました。
大変有り難いお声掛けながらも、委託先の酒蔵様のご負担を思えば、簡単な話ではありません。そして、自社で醸造していない商品を、「竹葉(ちくは)」と名乗ってよいのだろうか。造り手として置かれている現実への不甲斐なさと悔しさと、有り難さが入り交じります

さらに、もろみを救出していただいた上に、重ねてこれ以上のご支援を頂いてよいのだろうか。そんな考えもよぎっていました。

複雑な心中を納得させてくれたのは、「能登を醸すいう私たちの経営理念でした

委託醸造で“能登”のお米を、県内外の酒蔵様と協力して共に“醸す”ことは、能登の持続可能なものづくりのためにも、今の私たちにとっての「能登を醸す」だろう。皆様のお力をお借りして出来る、今年ならではの「竹葉」と言えるだろう(プレスリリースより引用)

葛藤を抱える中で、委託醸造に乗り切った数馬酒造。
そこには、契約農家が変わらずお米を栽培できるように、能登のものを届けたいという熱い想いがありました。

完成した委託醸造酒
完成した委託醸造酒

断水が解消し、酒造り再開への第一歩へ。復興へのスタートラインに立つ

2024年3月12日、ついに蔵内の断水が解消され、そして4月1日、酒造りの第一歩である洗米作業を行いました。ようやく復興へのスタートラインです。

「異例の4月から始めた酒造り、仕上がった日本酒は、きちんと私たちの知っている、いつも通りの表情を見せてくれました。

ほっとしたという言葉に尽きます。そして震災当時は思いも寄らなかった未来に、今こうして立てている幸せを嚙みしめ、皆様にここまで連れてきていただいたことに、感謝の念が堪えません。言葉にならない感謝とともに、能登の日本酒を絶やさぬ思いを強めています(プレスリリースより引用)

「まずは酒造りだよ」酒造り再開への支えとなった新澤代表の言葉。酒造りを通じて深まった能登への想い

壮絶な酒造りまでの道のり。なぜ、ここまで辿り着けたのか。そこには、ある言葉がありました。

「酒造り再開に辿り着くまでに、ずっと頼りにしてきた言葉があります。

発災直後に宮城県新澤醸造店の新澤代表取締役がくださった「まずは酒造りだよ」という一言です。その言葉を反芻しながら、傷ついた建物を後回しにしてでも「とにかく、酒造りに向かおう」と、ひとつひとつ歩みを進めたからこそ、皆の心を酒造りから離さずにいられたのだと思います。

実際には心中は複雑でした。4月になっても自宅が通水しない者もおり、心身は疲弊し、生活基盤の見通しがつかない状況でもありました。しかし、酒造りに触れていく中で徐々に安定した気持ちを取り戻していく感覚がありました。

これまで当たり前に感じていたひとつひとつの出来事が本当に有り難く、酒造りが与えてくれるたくさんの喜びを胸に刻み、一層能登への想いを強くしました。

おかげさまで、能登の農家様には昨年と同じ量のお米を依頼することができました。農家様も共に奮闘してくださっています。蔵の修繕や解体はこれからのことで、復興への道のりはまだ長いですが、能登のお米で醸す能登の地酒「竹葉(ちくは)」が、皆様の心を和らげる一滴となりますことを心から願っています」(プレスリリースより引用)

忘れないために記録した震災復興の歩み。能登のより良い未来のため、今後も続く醸しのものづくり

ホームページでは能登半島地震からの復興の様子を綴った「醸しコラム」で震災復興の歩みを記録し続けています。

奔走し続けた日々、思い出すことも苦しい日々。それでも記録を残したのは、「同じく能登で奮闘する皆様の小さな希望の光」になりたいという思いでした。

「今回、こうしてストーリーを残すことはあの時の恐怖や絶望を追体験することでもあり、苦しさもあります

しかしながら、能登半島地震の話題が全国的なニュースとして取り上げられる機会が少なくなった今、私たちの取り組みを通して、多くの方に能登について改めて思いを寄せていただけましたらと思い、お話しさせていただきました。また同じく能登で奮闘する皆様の小さな希望の光となれたら嬉しく思います。

すべては能登のより良い未来のために。感謝を原動力に私たちはこれからも、能登で醸しのものづくりを続けていきます」(プレスリリースより引用)

 

【会社概要】
会社名:数馬酒造株式会社
所在地:〒927-0433 石川県鳳珠郡能登町宇出津ヘ36
代表者:数馬 嘉一郎 (代表取締役)
法人設立:昭和26年1月18日(明治2年創業)
事業内容:清酒・リキュール・醤油の製造
URL:https://chikuha.co.jp/

公式SNSアカウント:
Instagram:https://www.instagram.com/kazumasakebrewery/
X:https://x.com/kazuma_noto
Youtube:https://www.youtube.com/@chikuha

【お問い合わせ先】
数馬酒造株式会社ホームページお問い合わせフォームにて
https://chikuha.co.jp/contact/

【引用元】
企業名:数馬酒造株式会社
発信日:2024年8月23日
タイトル:「能登半島地震被災から8カ月の歩み。多くの支援に助けられ、能登の未来のために恩返しと復興を誓う「数馬酒造」の挑戦」
URL:https://prtimes.jp/story/detail/YbvlQot2mJx

 

Editor's Note

編集後記

この記事を読んで、「ありがとうの反対語は『あたりまえ』」という言葉を思い出しました。
当たり前に過ごしているこの日々も有難いことで溢れている。そして当たり前が一瞬にしてなくなってしまう震災という恐怖を忘れてはいけないと少しでも感じる人がいたら嬉しいです。

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