KONAN, KOCHI
高知県香南市
おむすび1つ分のお米をつくるのに、どれだけのお水が使われているのか。
これはむかし、私がふと抱いた疑問。
お米の栽培まで含めると、どのくらいの水が使われているか、アナタはご存知でしょうか?
実は、約270Lのお水が使われているといわれています。(一般的なお風呂が180Lなので、1杯と半分くらいのお水です)
270Lのお水が使われていると知って食べるおむすびと、知らないで食べるおむすびは、例え同じおむすびであっても、美味しさが変わるのではないか。
作り手の想いを知って食べるおむすびと、知らないで食べるおむすびは、例え同じおむすびであっても、美味しさが変わるのではないか。
そう、私は思っています。
私たちが食べているもの、着ているもの、使っているものには、背景がある。だからこそ、できる限り、背景も含めた上で、暮らしを送ってほしい。
それこそが暮らしの「豊かさ」に繋がると、私は思っています。
日々、そんな想いでLOCAL LETTERの記事はもちろん、イベントの企画運営を行なっている私が今回担当したのは、高知県香南市で育てられている「山北みかん」のPRイベント。今回は、イベントの一部始終をご紹介し、参加者を驚かせた「山北みかん」の魅力をお伝えします。
2019年11月29日、東京で生産者さんと一緒に「山北みかん」の魅力に迫るイベント「YAMAKITA MIKAN展」を開催しました。
高知県香南市で育てられている「山北みかん」は、県内で約80%が消費されてしまうほど、高知県人に愛されているみかん。
生産面積も生産量も全国の大きな産地にはとても及びませんが、市場関係者やバイヤーさんからは「みかんのコクがある」と、高い評価を受けており、その歴史は1855年と意外にも長いんです。さらに、みかん産地として有名な愛媛県には、山北からみかんの苗木が導入されたという知られざる記録だってあるんです。
そんな奥の深い山北みかんの味はもちろん、見た目、匂い、手触り、作り手の想い、全てを通じて堪能してほしい。そんな想いを込めて、ささやかながら山北みかんを五感で楽しんでいたくイベント「YAMAKITA MIKAN展」の開催を決めました。
今日は、ぜひアナタもWEB上でイベントに参加してみてくださいね。
まず最初にアナタをお出迎えするのは、山北みかんの鼻をくすぐる爽やかな匂いと、作り手の想い、歴史を詰め込んだパネルたち。
山北みかんを知らないアナタに、まずは山北みかんのことを少しでも知ってもらいたい。そんな想いを込めて、つくりました。
この場をお借りして、私が特に好きなパネルをいくつかご紹介。
子どものようなみかん |
100人いたら100通りの流儀がある |
みかんの袋までとろけるような薄さ |
嗅覚と視覚で山北みかんを楽しんでいた後は、そのほかの五感もつかって「山北みかん」を楽しんでいただきます。まず最初に行なったのは「唎きみかん」!
高知県香南市産の「山北みかん」と、他の産地のみかんを食べ比べていただきました。もちろん、どちらが山北みかんなのかは伏せて、どちらが美味しいと思ったかを率直に答えていただきます。
運営側としては少しドキドキしながら、でも山北みかんの味に絶対の自信があるからこそ、挑戦を決めました。
結果は、満場一致で、山北みかんが美味しいという意見に。会場からは「全然違う!!!」「コクがある」「深みがある」と所々で、歓声が聞こえるほど。
大変小ぶりな山北みかんですが、甘みはもちろん、しっかりとした酸味もあり、味の濃さ、コクを存分に感じることができ、見た目に反して、口の中では驚くほどの存在感を放ちます。
さらに今回は、山北みかんを使った生産者さん直伝のお料理「みかんずし」と、CRAZY KITCHEN*1 が考案した全品山北みかんを使用したオリジナル料理、ドリンクをご提供。
【お料理メニュー】
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あっという間にお料理がはけ、参加者はお料理を楽しみながら、香南市の皆さんとの話に華を咲かせていきます。
参加者)「山北みかんを作るときのこだわりってなんですか?」
生産者)「こだわりなんてないよ。僕は新しい技術や製品が開発されたらとにかく試してみているからね。そういう意味でいうと、こだわりがないのが、こだわりなのかな」
参加者)「みかんをつくるとき、一番苦戦することってなんですか?」
生産者)「摘果ですね。完全にみかんが育つ前に、みかんが適度な大きさになるように考えて、余分な果実を切り落とす作業があるんです。切らなすぎると養分が充分に行き渡らなかったり、樹に負担がかかり過ぎて来年度から実ができる量が不安定になってしまいますし、反対に切り過ぎても収穫量が減ってしまうんです。僕はまだ勉強中なので、これがすごく難しいんですが、ベテランの皆さんは、簡単そうにパパパっとやってますね」
参加者)「収穫体験とかもできるんですか?」
生産者)「できるよ!一回、香南市に遊びにおいで!山北みかんの畑だけじゃなくて、香南市全体を案内するよ」
お料理を食べながら、司会からのアナウンスが届かなくなるほど、各所でお話が弾んでいた皆さま。「山北みかん」を通じて、味そのものの魅力はもちろん、人と人が繋がり一体になっていく感覚が、運営側からも分かるほどでした。
実は、山北みかんの収穫の盛期は、11月から12月にかけて。この時期になると200軒以上の生産者さんたちが、みかん畑で朝から晩まで一つ一つ丁寧に手作業でみかんを摘み取ります。
今回、イベントを行なったのは11月29日。まさに生産者さんたちが最も忙しい時期ということもあり、会場に来れなかった生産者さん、会場に来てくださった生産者さんに向けてお手紙を書きました。
こちらも、内容を少しだけご紹介。
都会にいると、ごはんはどこでも食べれるし、つい食材をつくっている人たちの温かみを想像できなくなるときがあります。でも、山北みかんを食べて、身体が喜んで、心もほっこりして、今とっても幸せな気分です。(20代女性) |
実は本日はじめて山北みかんを食べたのですが、ぎゅっと甘さが詰まって止まらない美味しさで感動です。もともと、好きだったみかんがもっと好きになりました。これからは山北みかんを選びます!(20代男性) |
量と金額で選んでいたみかんですが、これからは丁寧に選んで、丁寧に食べようと思います。家族にも食べさせます。(30代女性) |
最後は、全員で集合写真を撮り、装飾で使わせていただいていた山北みかんをお土産にもぎって帰ってもらい、お見送り。別れ際まで、生産者さんとの話が尽きず、また会いましょうと笑顔で帰っていく参加者と、その姿を笑顔でお見送りしながら手を振り続ける生産者さんたちの顔がとても印象的なイベントでした。
総勢32名の参加者と12名の香南市の方をお迎えし、行なった今回のイベント。いつも何気なく食べていたみかん。これからは、誰かにオススメしたり、あえて選ぶみかんが「山北みかん」であれば、幸いです。
さらに今回のイベントに参加できず、山北みかんを食べられなかったアナタに、朗報です。会場にいた参加者が満場一致で「美味しい」と言った山北みかんが、ふるさと納税の返礼品としてアナタのご自宅に届きます。この機会にぜひ、検討してみてくださいね。
*1 CRAZY KITCHEN
「食時をデザインする」というコンセプトのもと、作り上げるオーダーメイドのケータリングサービス。彼らが届けるのは、目の前の一皿ではなく、その一皿が纏った、愛情や感謝などのすべての想いを包括した世界観。
https://crazykitchen.jp/
Editor's Note
私自身、2018年に高知県と東京の二拠点生活を開始し、はじめて山北みかんを食べた時の衝撃を今でも忘れません。高知へ行く度に、キャリーケースの半分には山北みかんを詰め込んで、東京に戻って来ていました。
そんな大好きな山北みかんとコラボした今回のイベント。自分の大好きなものを、イベントに来てくださった皆さんが絶賛してくれる。本当に嬉しくてたまらない瞬間でした。
改めて今回、貴重な機会をいただいた香南市の皆様、準備から本番まで支えてくださった全ての皆様、当日お越しいただいた参加者の皆様に感謝申し上げます。
NANA TAKAYAMA
高山 奈々