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2024年6月23日(日)、日本橋のコミュニティースペース「+NARU NIHONBASHI」にて、WHEREが開催する講座の卒業生が一堂に会する「大同窓会」が開かれました。
全国各地に150名以上いる卒業生同士が、出会い・繋がり・互いのスキルを活かして「創発」を生むことを目標に開催されたこのイベント。当日は多くの卒業生たちが現地に集まり、会話に花を咲かせました。
そんなイベントを彩ったのが「記者会見インタビュー!」。「ローカルでもっと活躍!」をテーマに、講座の学びを活かして各地で活躍する4名が登壇。講座での学びをローカルの現場でどう活かしているのか、熱く語りました。
本記事は、そんな講演の様子を皆様にも一部お届け。実践者のリアルな声から、ローカルでの活躍のヒントをお伝えします。
まず1人目に登壇したのは臼山小麦さん。臼山さんは、大学卒業から今年の4月まで2年間、岩手県大船渡市で地域おこし協力隊として活動。「ICT利活用促進」のミッションのもと、SNS発信やイベント開催を通じて、大船渡市の魅力を広く発信してきました。
活動の一例としては、漁師さんと一緒に東京神田で大船渡産帆立を食べるイベントを企画・開催。県外でのイベントだったにもかかわらず、Instagram等での参加者との地道な交流が功を奏し、最終的に参加者32名のうち9名が実際に大船渡を訪れるなど、大きな成果を残しました。
しかし、順風満帆にも見える活動の裏で「果たして私はローカルで役に立てるのか」と悩んだ時期もあったという臼山さん。移住当初は、自分のやるべきことを知るため地域の人にヒアリングを行うも上手くいかなかった経験もありました。
「何の目的もなく地域の課題を聞き回っても、各々の意見を聞くだけに留まってしまう。アプローチすべき地域課題は、表層に見えているものではないと痛感しました」
そんな臼山さんの支えになったのは、市役所の職員に紹介された『クリエイティブ都市論』という本でした。もともと論文を読むことが好きだという臼山さんは、本の内容について笑顔で語ります。
「この本によれば、地域活性の鍵は寛容性。クリエイティブな訪問者は寛容な街に集まり、そういう人が増えるほどまちの寛容性が増す。このサイクルができると、自然と地域には人が集まり、産業が発達し、エリア全体が活性化していく」(臼山さん)
これまで性や生き方の多様性に関心を持ち、「寛容性」をキーワードとして生きてきたという臼山さん。地域活性においても「寛容性」は重要だという気付きは、地域おこし協力隊活動の主軸となりました。
地域おこし協力隊の活動期間を振り返り、もう1つ自分の支えとなったのが「ローカルライター養成講座(現・インタビューライター養成講座)」での学びだったと語る臼山さん。
「個人事業主として地域で活動していると、自分のやり方が本当に合っているのか不安になってくる」(臼山さん)
そんな折、友人の薦めもありローカルライター養成講座を受講し、体系的なライティングのノウハウや、記事のクオリティを上げる編集者の視点について学びました。
その結果、自分の情報発信に自信が持てただけでなく、地域に来る学生インターンに対して取材のアドバイスや記事の編集をするなど活動の幅が広がったといいます。
もし自分の活動について「本当にこれでいいのか」と不安を感じている人がいれば、すでに先駆者が積み上げてきたノウハウを学ぶことが、自信を持って前に進むための一助となるかもしれません。
2人目の登壇者は、臼山さんと同じく、ローカルライター養成講座の3期生で、現役の地域おこし協力隊員の小松原ひろかさん。
2023年4月から栃木県塩谷町に移住し、「発信を通じて地域内外のネットワークをつくる」を大目標に、インタビューライターとしての活動を行っています。
発信内容は、「塩谷町で熱意をもって活動をしている人」。ライター講座での学びをフル活用しながら、移住定住支援サイトや町の広報紙等の媒体で、地域内外に向けて塩谷町の人々の生き方や想いを伝えています。
地域のキーパーソンを着実に可視化していく小松原さんですが、人の繋がりを創出するため、イベントの企画開催にも力を入れているそう。今年3月には「しおや人物展」と称して、これまでにインタビューした町民を招集したイベントを開催しました。
「しおや人物展」では、これまでのインタビュー記事を基に作成したパネル展示を行ったほか、町内在住のエレクトーン奏者によるコンサートや、地元農家や飲食店による販売会も実施。まさに、まちの人による、まちの人のための催しとなりました。
イベント開催では思わぬ発見もあったそう。
「例えば、実は塩谷町の中でも、ここのニラ農家さんとここの養蜂家さんが 繋がってないみたいなことが普通にある。だからこそ、自分の発信やこうしたイベントを通じて、まちの人同士の繋がりができたのは本当に良かったなと思ってます」(小松原さん)
この経験を自信に、小松原さんの夢は広がります。
「協力隊3年目を迎える来年は、これまでの活動に加えて、まちの人への感謝の気持ちも込めて、塩谷町の人物図鑑を作成したいと思っています。それを道の駅や町内の飲食店に置いて気軽に読めるようにしたら面白いんじゃないか」(小松原さん)
実は「しおや人物展」の企画は、ローカルライター講座の同窓会に参加した際に着想を得たといいます。卒業生同士の交流が盛んなこともWHEREの講座の特徴の1つ。ローカルプレイヤー同士の交流があなたにも新たな発想を与えてくれるかもしれません。
続いて登壇者は、ローカルプロデューサー講座1期生の新垣潤二さん。公共不動産の活用等に取り組む民間企業でファーストキャリアを築いています。現在は、沖縄県南大東島にて、10年間遊休化していた公共施設を再生するプロジェクトに奮闘中です。
新垣さんのキャリアの背景には、出身地である沖縄への想いがありました。
「沖縄は観光だとかキラキラしたイメージがある一方、産業構造にいびつなところがある。土地面積も小さく、第3次産業に頼らざるを得ない背景もあります。そして産業の主体を担っている多くが県外企業。地域間格差がどんどん拡大しています」(新垣さん)
地域にお金を生み、地域でお金を回したい。そんな想いを抱えるなかで出会ったのがローカルプロデューサー養成講座。地域資本を活かして経済性を伴った事業をプロデュースする手法を学ぶという講義内容に惹かれ、迷わず飛び込みました。
講座で学んだことは、南大東島のプロジェクトにも大いに活きていると語る新垣さん。
南大東島は、独特の自然・文化資源をもつ地域です。めずらしい地質を持ち、天然記念物も多く生息。歴史としても、人が移住して125年しか経っていないなどかなり独特です。
しかし、そのポテンシャルに関わらず、島の資源の活用においては改善の余地があることがわかりました。アクセスのしにくさなどを背景に、年間3,000人程度しか観光客が来られないという環境的制約があります。
そんな中で行政から相談を受けた「遊休化した公共施設の活用」。”教育、そして観光”を念頭に、施設の再生プロジェクトが始まりました。
子ども向けに島の面白い所を探しに行く「宝探し教育」を企画したり、遊休施設を研究者が滞在できる施設に組み替えるなど、今ある南大東島の強みを最大限活用した地域活性に取り組んでいます。
一見、地域活性を仕事や収益に結び付けるのはハードルが高いようにも思えますが、講座での学びを糧に、地域資本を活かした事業創出という、かねてからの想いを実らせている新垣さん。その姿は聴講者に希望を与えてくれました。
最後に登壇したのは、地域バイヤープログラム2期生の内藤あづ紗さん。スパイスデザイナーとしてスパイスカレー店の経営やレトルトカレーの商品開発をしたり、講演活動やイベントを開催したりなど、多岐に渡って活動しています。
内藤さんが受講した地域バイヤープログラムは、地域産品の仕入れ・販促PR・販売までを実践し、マーケティングに関わる数々の工程の知識・ノウハウをインプットできる講座。地域へのフィールドワークを通じて、魅力的な商品の発掘から販売までを経験しながら学べる点が魅力です。
内藤さんは日々商品開発に関わる中で、販売者や仕入れ先の視点も知っておきたいと受講を決意。実際に学んでみて、「地域の方や生産者の想いをお客さんに伝える」バイヤーの仕事に奥深さを感じたといいます。
バイヤープログラムでの学びは、自身が開発した製品の販売にも役立っているとのこと。例えば、イベントにブースを出店した際、お客様が楽しく商品を選ぶための導線作りや、無駄のない人員配置など、新たに意識できるポイントが格段に増えたといいます。
また、講座の受講は思わぬご縁ももたらしました。
「フィールドワークで直接お話を聞かせていただいた岐阜県高山市の日下部(くさかべ)味噌さんと、自分の取引先とがたまたま繋がり、講座の1か月後に日下部味噌さんとまさかの再会。新商品の味見を頼んでいただくなど、今でも関係が続いています」(内藤さん)
魅力的な産品を軸に、地域の様々な人と繋がることができたという内藤さん。単なる知識のインプットではなく、地域との繋がり創出に主眼を置いた、WHEREの講座だからこそのエピソードともいえそうです。
大盛況のうちに幕を閉じた「卒業記者会見」。講演の間、聴講者からは多くの共感の声が飛び交いました。
そこには、手持ちのスキルセットこそ違えど、ローカルに関心のある者同士だからこそ、分かち合える想いがあったのではないでしょうか。
もし、地域の活動に興味はあるけれど、スキルのなさや、独りで踏み出す不安感が足かせになっている方がいれば、仲間づくりの一貫として講座を受講するのも一手かもしれません。
Information
ショート動画に特化した、
「ローカルSNSメディア講座」第1期生の募集を開始します。
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・好きな地域の魅力をもっと多くの人に届けたい
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・地域おこし協力隊で情報発信の機会は多いけど、どうやったらいいか分からない
・独学で情報発信をしていて、仲間と学びを深めたい
https://localletter.jp/articles/sns_academy/
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Editor's Note
臼山さんが仰っていた「WHEREの講座は、これ合ってるのかなという不安をあらゆる角度から潰していってくれる」という言葉に納得しました。ローカルでの活動は個人プレーになりがちな印象があります。だからこそ、軸となる教義と、一緒に学ぶ仲間を得ることが、自信をもって地域と関わる助けになるのかもしれません。WHEREの講座はローカルプレイヤーの駆け込み寺のような存在でもあるのだなと感じました。
HONOKA MORI
盛 ほの香