余白
「余白の時間を持ちたいけれど、日々の時間を過ごす中でなかなか時間をつくることができない」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そんなアナタにお届けするのが、『ふるさとLIFE CAMPUS』が行ったオンラインと現地をつなぐハイブリット型イベント。
移住をしたことで余白を手に入れ、町づくりへと活かしている方々が考える「地域での余白のあり方」とはーー。
八神(司会):今日のイベントには「ふるさとの余白で想像する」というタイトルをつけていますが、今日は長野県小布施町と王滝村へ移住されたお二人にお話をお聞きします。まずは「地域の余白があったからこそ、自分のやりたかったことに挑戦できた」というエピソードをお聞きしたいです。
日髙(布施町):余白と言い切っていいかはわからないのですが、小布施町は、「乗っかる力」と「無茶振り力」が特徴だと思います。以前、小布施町で行われた『バーチャル町民会議』という企画で、「クラフトビールをつくりたい」という話がでたんですが、小布施はビールの原料をつくっている場所でもないし、普通に考えると「本当にやるの?」となると思うんです。けど小布施には「面白そうだからやってみよう」と思える心の柔軟性があって。
さらに小布施には「必要な原料を提供するよ」とか、「ビールメーカーと繋がってるから紹介するよ」と手を差し伸べてくれる方もいて、そこが小布施ならではの余白なのかなと感じています。
八神(司会):面白いですね。乗っかり力と無茶振り力で繋いでいくパワフルさを感じます。倉橋さんは王滝村の余白の中で実現できたことはありますか?
倉橋(王滝村):ありがとうございます。今、「指定管理物件」を2軒と「クラファン+自己資金+借金で改修した農家民宿」の3軒の経営を行っているんですが、ぶっちゃけて言うと、自分がやりたかったことはほとんどできていないんです。でも今の形に辿り着いたのは、町の要望に柔軟に答えていったからなんですよね。
自分でやりたいことを切り開いていくことも大事なんですけど、地域に行くといろんな要望を受けることも多い。要望に応えることは一見、遠回りに感じるかもしれないんですけが、要望に応えていくことで結果的にやりたいことに近づいていくみたいな余白を感じますね。
八神(司会):ある種、周りからの要望を受け止められる気持ちの余白があるからこそ、応えられるのかもしれないですね。
おふたりの話を聞きながら、王滝村の余白のあり方と小布施町の余白のあり方が、土地柄や歴史も含めて違う部分があると思ったのですが、日髙さん倉橋さんが感じた違いがあれば教えてほしいです。
倉橋(王滝村):小布施町はしっかりしてますよね。無茶振りするけど、協力してくれたり、システマっちくなところがあったり。そこがすごくいいなと思いましたね。
日髙(布施町):たしかに「小布施ブランド」みたいなものがあると感じますね。これまでの町づくりの積み重ねというか、ある意味洗練された場所みたいなイメージ。だからこそ、ハードルの高さもあるのではと感じるところもあって。そういう意味では、王滝村やその他の地域の方が、踏み出しやすいのかなと感じています。
八神(司会):王滝村はアーティストの方や大学生が多く接点を持っている印象を受けるのですが、彼らはどういうインスピレーションを王滝村で受けていると思いますか?
倉橋(王滝村):なんでしょうね。でも王滝村って結構独特の雰囲気があるんですよ。袋小路の町でもありますし、圧倒的に自然と近い距離感で生活を送っている部分は大きいのかな思います。
八神(進行):今、参加者の方から「移住してみたいけれど、これをやってみたいと思うことがなく困っています。したいことを見つけてから行くべきでしょうか」という質問をいただいてますが、おふたりからアドバイスはありますか?
日髙(布施町):僕は何をやるか決めずに移住しました。「ここに住みたい」「ここで暮らしたい」が先にあって、小布施に来てから「どういう仕事があるんだろうか」と考えましたね。したいことがない方が地域の方との縁の中で自分が貢献できることを見出せる可能性があるので、それも一つの選択肢かなと思っています。
ただ、何も決まってない状態で飛び込むのに不安があるなら、リモートでできる仕事などを見つけてから移住すると安心感が生まれていいかなと。
倉橋(王滝村):僕は「これがやりたい」という軸を持った上で移住しましたが、最終的に今やっているサービス業は当初思い描いていた形とは違います。なので、軸は持ちつつも、柔軟に対応していくのがいいと思っています。
日髙(布施町):共感します。僕は具体的に何をやるかを決めていた訳ではありませんが、「どうありたいか」の軸は慎重に考えて選びました。小布施町に通う中で、「ここなら自分がありたい生活が実現できそう」と感じ、小布施町と自分のあり方がマッチしたので、やりたいことは見つかっていなかったけど飛び込んだ気がしますね。
倉橋(王滝村):僕は新しいことをはじめるときに、地域のキーマンに相談しながら進めることが多いです。「こういうこと考えてるんですけど、どう思いますか」みたいな感じで。そうすると「過去に町でやろうとしたことがあって、とある理由で頓挫している」ということがあったりする。
そこから「なぜうまくいかなかったのか」を聞いて分析をしたり、相談したことで応援団になってくれたりする場合もあるので、地域で何かをはじめるときは、地域の人に相談するのもいいかもしれません。
八神(司会):お話ありがとうございました。最後に、今のおふたりが目指しているところを聞かせてほしいです。
倉橋(王滝村):少しずつ余白をつくって、町の人たちとより良い町をつくっていきたいと思っています。
日髙(布施町):直近で言うと、地域おこし協力隊の仕事が終わって、今後は自分で事業をつくっていくので、まずはそこを頑張りたいと思っています。これまでは地域の中と外と繋ぐことに重点をおいて活動をしてきましたが、それって意外に地域の中での活動にも活きてくるので、今後も積極的にやっていきたいですね。
Editor's Note
今回取材をさせていただいた、ふるさとLIFE CAMPUSでは、現在コミュニティメンバーを募集しているとのこと。気になった方は、ぜひ最後の募集リンクからご確認ください!
YURIKA YOSHIMURA
芳村 百里香