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LOCAL LETTER

“かけ” と “ぶっかけ” はどう違う?UDON HOUSEが「うどんのサブスク」で伝える、讃岐うどんの文化

NOV. 21

拝啓、ふるさとの食文化を次世代へ繋げていきたいアナタヘ

※本記事は「ローカルライター養成講座」を通じて、講座受講生が執筆した記事となります。(第2期募集もスタートしました。詳細をチェック

日本人なら誰もが食べたことがある「うどん」。全国各地で食べることができ、日本の食文化の一部を形成しているといっても過言ではないはず。しかし、そんな「うどん」について、あなたはどのくらい知っているでしょうか?

近年、 “日本のウユニ塩湖”  として人気を高めている「父母ヶ浜」が有名な三豊市。香川県の西に位置するこの町で、地域を巻き込み様々なアクションをされているひとりの女性がいます。彼女の名は、原田佳南子さん。

彼女が手がけるプロジェクトの一つが「UDON HOUSE」。うどんを打たなければ泊まれない、一風変わった宿泊施設です。今回はそんなUDON HOUSEが新たに手がけた、讃岐のうどん文化を伝えるうどんのサブスクリプション「うどんのおうち」に焦点を当て、原田さんにお話を伺いました。

香川のうどん文化を伝える「うどんのおうち」、本商品に込められた原田さんの想いとはーー。

原田佳南子(Kanako Harada)さん 瀬戸内ワークス株式会社 代表取締役 / 兵庫県生まれ、札幌育ち、東京出身。慶應義塾大学SFC卒業後、楽天株式会社入社。トラベル事業で9年間宿泊施設の営業、地方創生に関わったのち、2017年楽天を退社、2016年に出会った香川県三豊市へ2018年移住、讃岐うどんの文化を伝える宿、「UDON HOUSE」を立ち上げる。2019年4月 瀬戸内ワークス株式会社設立。2020年2月 地域の仕事と住まいとコミュニティを繋ぐ「瀬戸内ワークスレジデンスGATE」 をオープン。2021年1月 地元企業を中心に11社で出資し、瀬戸内の半島の宿「URASHIMA VILLAGE」 をオープン。

香川から全国に。讃岐うどんの文化を伝える「うどんのおうち」とは

「うどんのおうち」は、毎月食べ方の異なるうどんを楽しみながら本場讃岐のうどん文化を学ぶことのできる、新しいうどんのサブスクリプション。UDON HOUSEで製麺された賞味期限6日間の打ち立て “生うどん” と、食べ方ごとに合わせた “うどんつゆ” が、讃岐うどんの豆知識とともに全国へ届けられます。

毎月自宅に届く「うどんのおうち」は、 “かけ” や ”ぶっかけ” など、月ごとに異なる食べ方のうどんが入っているので、毎月違ったうどんの一面を楽しみながら味わうことができます。

「毎月届くうどんを楽しんでもらいたい」という思いで、食べ方の違い以外にも、毎月違う野菜パウダーを練り込んだ色つき麺を入れるなど、遊び心と購入者を飽きさせない原田さんたちUDON HOUSEメンバーの工夫が光る商品です。

きっかけはコロナ禍、本場讃岐で生まれた「うどんのサブスク」誕生の裏側

うどんを打たないと泊まれない宿をコンセプトに体験型宿泊施設『UDON HOUSE』を運営している原田さんたちが、自宅で讃岐うどんの文化を体験できる「うどんのおうち」を開発した背景には、コロナ禍の影響が大きかったんだそう。

「(コロナ禍によって)お客さんが外から、特に海外から来れなくなった時に、観光客向けの宿泊業ではなく、何かそれに変わるビジネスをとスタッフみんなで考えました。とはいえ、私たちにできることも限られているのでいつも作っているうどんを国内に向けて発送しようという話になったんです。『うどんのおうち』の中身も全部スタッフみんなで考えました」(原田さん)

「自分たちにできることは何か」を改めて考え、シンプルに言語化し、それを商品として磨いていったという原田さん。しかし、今までUDON HOUSEのプログラムで伝えていたことを『うどんのおうち』で伝えるには高いハードルがあったと続けます。

「UDON HOUSEではパネル等も使いながら実際に言葉で説明をした上で、自分で作ったうどんをいろいろな食べ方で食べて、味で覚えるというプログラムを実施しています。それが『うどんのおうち』になると、どこまでどう伝わったのかもわかりませんし、ご家庭で一度に色々な食べ方を味わっていただくことにも限界があると感じました。

いざ商品づくりをしてみると、『うどんのおうち』では、6ヶ月や1年という時間をかけて学んでもらうスタイルで、今月はかけ、来月はぶっかけと変化を加えています。表現方法が変わるとやれることも全然変わるので、お客様にどこまで伝えられているかも含めて難しさはありますね」(原田さん)

賞味期限はたった6日間。小麦とともに込められた、生うどんへの “こだわり” 

常に試行錯誤を続けている『うどんのおうち』。ではそもそも原田さんたちが『うどんのおうち』を通じて、お客様に伝えたいメッセージとはなんなのだろうか。

「私たちはうどんのお土産をつくりたかったわけじゃないんです。『UDON HOUSE』でも『うどんのおうち』でも伝えたいことは、讃岐うどんの文化讃岐うどんの文化を伝えてるお土産うどんってあまりないですし、文化を伝えるって一筋縄ではいかないなと思うんですが、ここを大事にしているので、日々試行錯誤しています」(原田さん)

自分たちが伝えたい軸をブラさずに、商品開発を進めていった原田さん。『うどんのおうち』で送られてくるのは、製造日を含めて賞味期限わずか6日間の「生うどん(生麺)」を販売しているのも、讃岐うどんの文化を伝えたい彼女のこだわりです。

「讃岐うどんの文化を伝えるには、自分たちが1番おいしいと思ってる生麺を届けるのがいいと思ったんです」(原田さん)

原田さんやUDON HOUSEのスタッフさんたちのこだわりが詰め込まれた「生うどん」。こだわりを追求するからこそ、誰に届けるか、どう届けるか、まだまだ超えなくてはならない課題もあるんだそう。

「このうどんを誰に売りたいかは結構、模索しています。例えば、(地元の観光名所である)父母ヶ浜に年間45万人もの人が来ているなら、あそこで売ったら誰か買って帰ってくれるんじゃないかと思うじゃないですか。でも、その日に売れないと在庫になるわけで。賞味期限が6日しかないことを考えると受注生産の方がいいわけですよ。そもそも大量生産もできないので、販売数にも限りがある。

他にも、三豊の新しいお土産という位置付けに置きたいのか、あの商品を誰のためのどこに置きたいのかとかね。実は結構模索しているんですよ」(原田さん)

文化と日常は紙一重。地域のエピソードから一つ一つ掘り起こしたうどん文化

『UDON HOUSE』や『うどんのおうち』を通して、讃岐うどんの食文化を人々に発信し続けている原田さんですが、出身は東京都。4年前に香川へ移住してきたばかりですが、「地域の外から来た人間だからこそ、その地域独特の食文化に気づくことができる」と原田さんはいいます。

「香川県出身の人以外はきっと “讃岐うどんの文化ってなに?” って素朴な疑問を持つと思うんですよね。その疑問をどんどん深堀りしていくんです。それを繰り返していくうちに、うどん文化らしいエピソードが1つ1つ出てくる。

文化って、地元の人にとっては日常の当たり前のことなので、意外と地元にその地元の文化を伝えても『へえ、そうなんだ』って反応が返ってくるんです。けど、外の人から見たら普通じゃないと思うことが、その土地らしい文化ってことだと思うんですよね。だからそういう意味で、私たちのような外から来た人たちが入るからこそ、地域の文化が浮き彫りになるのかなと思っています」(原田さん)

地元の人にとっては当たり前のこと。けど、それが実はその土地らしさであり、地域の文化でもある。その文化を伝えていきたいと原田さんは語ります。

「例えば朝うどん屋に行くと、 一見お店には見えない家みたいなところに行列ができていて、ラフな格好のおじいちゃんがうどん食べてるみたいな、何気ないそういった1コマ が、東京じゃ見られないなって思うわけです。他にも、すっごい無口な香川県民に『どこのうどん屋好きですか?』って聞くと、急に饒舌になって喋り始めるとかね。

そういう1個1個が讃岐のうどん文化だと私は思っていて、その日常を当たり前だと思っているのが香川県民だと、多くの人に伝わればいいのかなと思うんです」(原田さん)

『うどんのおうち』は、うどんの食べ方ごとに作り方や味の違いをしっかりと理解することが特徴の一つ。そのこだわりも、実は原田さんの香川でのあるエピソードが反映されているんだとか。

「かけとぶっかけってどう違うか説明できますか? 香川県外の方であれば、お店に行ってメニュー選びに困ったことがあると思うんです。でも、香川の人は当たり前に違いを知ってて頼むんですよね。私、香川のあるうどん屋で『ぶっかけってどんなでしたっけ?』っておばちゃんに聞いたら『ぶっかけはぶっかけよ!』って言われたことがあって。(笑)その話を香川の人にしたら、『まあそうでしょうね。』って言うんです。『それは、赤って何色ですか?って聞いてんのと一緒ですよ」と。私たちが赤色を説明するのに困惑するように、香川の人がかけうどんを説明するのって難しい。

だからこそ、地元の人が説明できないことを説明できることは価値になると思っていて。この価値を『UDON HOUSE』のプログラムや『うどんのおうち』の開発に繋げています」(原田さん)

チャレンジの日々で気付いた、「同じことは長くは続かない」

東京から三豊市に移住し、『UDON HOUSE』の立ち上げや『うどんのおうち』の開発など、日々様々なチャレンジをされている原田さんにとって、三豊での日常はハプニングと奇跡の連続なのだそう。

そんな日々を過ごすうちに、「同じサービスを続けてても長くは続かない」ということに気付いたのだとか。最後に、これからの三豊でのチャレンジに対する原田さんの考えをお聞きしました。

「讃岐うどんの文化を伝えることはこれからも続けていきますが、サービス内容を刷新してもいいかなと思っています。例えば、UDON HOUSEのスタッフになるためには、うどんづくりを教えられて、かつ、海外からの観光客を考えると全部プログラムを英語で話せなくてはいけないので、人材教育が必要なんです。

それらを考えると、 同じように人手で困ってるうどん屋さんと一緒にうどん職人を養成したり、海外で日本食料理屋さんを展開しているお店と連携したりした方がいいかもなとか。そういうことも含めて、最初に決めたことをずっとやることだけが正しいわけじゃないので、常に柔軟に次の一手を考えられたらいいなと思いますね」(原田さん)

より良い形を模索すればするほど、正解はない世界で、しなやかな挑戦を続ける原田さん。固定概念を外し、地域のため、仲間のため模索する彼女だからこそ、私たちは引き寄せられるのかもしれません。

地域のうどん文化を伝えるという文脈で試行錯誤を繰り返し、誕生した「うどんのおうち」。今回の取材では、その試行錯誤での葛藤や一箱に込められた想いをお聞きすることができました。強く固い意思を持って、三豊での日々を奔走する原田さん。語られた言葉の節々からは、原田さん自身のこだわりと覚悟が滲み出ていました。地域を巻き込みながらアクションを起こし続ける原田さんの、これからのご活躍に胸が高鳴ります。

「UDON HOUSE」

〒769-1507香川県三豊市豊中町岡本1651-3Googleマップ
https://udonhouse.jp/

Editor's Note

編集後記

このインタビュー取材はローカルライター養成講座のフィールドワークの一環で行われたもので、原田さんをはじめとした、香川県三豊市で活躍されているプレーヤーの方々のお話をお聞きすることができました。先が見えない不安な状況でもひたむきに走り続ける原田さんたち。原田さんたちが活躍する三豊がこれからどのように変化していくか、今から楽しみです。

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