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LOCAL LETTER

都内でも離島移住できる。東京の島『三宅島』のリアルな島暮らしとは

FEB. 03

拝啓、島暮らしのリアルを知りたいアナタへ

船で6時間半、飛行機で50分の自然豊かな『三宅島』。

「東京都」にも関わらず、釣り人の聖地と呼ばれ、釣り人が愛してやまない場所であり、夜には満点の星空が見える場所です。

今回はそんな『三宅島』でのリアルな島暮らしを取材!前半戦では、田舎でも違う「島」と「内地」の違いや、現地に住んでいる人にしかわからない、島暮らしのリアルな買い物事情などに絞ってお聞きしました。

島暮らしのメリットデメリット。夜は島から出られない!?

山内拓(以下、山内)今日は「移住するなら東京の島『三宅島』〜リアルな生活とは〜」と題し、お話させていただきます。私は、2020年11月に三宅島に移住をした29歳です。現在、移住定住促進分野の地域おこし協力隊として、三宅島で活動しています。生まれも育ちも千葉県で、三宅島に住む前も千葉県に住んでいました。

三宅島に移住したのは、「釣り好き」が大きな理由です。移住する前はいろんな島に旅行していましたが、島に移住するっていうのは敷居が高いと思っていました。しかし、三宅島に釣りに行ったときに、島民の方から「三宅島って移住者多いんだよ」という話を聞き、仕事を辞めて三宅島に移住しようと踏み切りました。

そんな出会いがあったので、今度は私が誰かの移住のきっかけになることができたらと思い、移住定住促進分野の地域おこし協力隊として活動しています。移住した今でも、多いときは週5くらいのペースで釣りをしています。

木村有一(以下、木村)三宅村役場企画財政課の木村です。私は三宅島出身なのですが、2000年の三宅島噴火を体験した内の一人です。噴火したときはちょうど高校3年生で、そのまま全島避難で都内へ移り、そのまま都内へ就職をしました。その後30歳ぐらいのときに、「島に帰ろう」と思い、役場へ入所し、7年ほど移住・定住関係の仕事を担当しています。

山内ではまず「島で暮らすっていうのはどういうことなのか」を簡単に紹介したいと思います。当たり前ですが、内地と違い、陸が続いていないというのが一気に不便さを加速させます。その他の田舎であれば車を走らせればいずれ都会に着くのですが、島から出るには船か飛行機に限られます。つまり、船や飛行機が出ない夜の時間帯であったり、台風や悪天候のときは島に閉じ込められることになります。これは想像よりも不便です。

メリットに関しては、今までお金を払ってまで旅行していた島の海で、いつでも遊ぶことができることです。せっかく旅行に行っても悪天候だったという経験をされたことがあると思いますが、住んでいれば晴れるのを待つだけ。私のように釣りが趣味の人は島に入れば一生遊んでいられます。本当にすぐ海なので、海の近くに住みたいという人にとっては最高の環境です。

このように、陸続きの田舎よりも不便な生活になるのが島での暮らしなんですが、綺麗な海に囲まれて生活できるという大きなメリットが特徴だと思います。

一括りに “島” といっても種類はさまざま。移住の際は自分の理想の追求が必要

山内移住先を検討する際の注意点についてもお話します。移住を検討されている方々の中にも、「特に場所は決めず、田舎に暮らしてみたい」と漠然と思ってる方もいらっしゃると思います。 ただ、思いつきで移住してしまうとギャップを感じて帰ってしまうケースも多いので、検討される際の注意点を改めてご紹介しておきます。

まずは、地域の設定例えば「東京の実家に定期的に帰りたい」と思ってる人が、関東から離れた場所に移住をすると、のちのち大変です。私の場合、定期的に千葉県の実家に帰りたいと思って移住先を決めたので、東京の島である三宅島を選んで正解だったと思います。

そして山がいいのか、海がいいのかという点。それぞれ、移住後の生活もアクティビティもかなり違います。そのため、自分がどちらの生活に憧れるのかをしっかり検討してほしいと思っています。また先ほど述べた、陸続きか島かという点。先ほど紹介した通り、島は他の田舎と比べて圧倒的に不便です。そのため、島を選ばれる方は田舎の中でも特に不便な地域に移住することを認識して、最終的に考え直してもいいと思います。

木村島だと物流に大きな差がでます。陸続きだと、ちょっと遠いけどコンビニがあるっていうことがありますが、海だとそういったことはありません。

山内次にまちの規模感例えば、「東京の島って全部同じような田舎でしょ」って思われると思うんですけど、まちの規模感が違います。例えば大島や八丈島といった人口が1万人ぐらいの規模の大きな島や、三宅島のような2,000人規模で適度な田舎がある島、そして人口500人以下の御蔵島など。東京の島だけでもさまざまな規模があるので注意が必要です。

あとは人との距離感ですね。これも田舎によって結構違います。人口1万人ぐらいの島であれば、やはり多少距離感は薄くなります。逆に人口500人以下の島であれば、住民のほとんどが顔見知り状態で、かなり密な人間関係になります。

また三宅島や神津島のように、人口が同じぐらいなんですけど、三宅島は5集落あって、神津島は一つの集落しかないといった違いがあります。そういったところでも、人との距離感は変わってきます。なので、密な人間関係を希望するのか、適度な人との距離が欲しいのかを考えて移住先を選ぶのがいいですね。

先輩移住者が多い地域がいいのか、誰も移住したことのないディープな土地に住みたいのかも考えた方がいいと思います。例えば私の場合ですと、移住したすぐのときは結構移住者の先輩に助けてもらいました。移住した人同士だと、苦労もわかってもらえますし、苦労した人が周りにいることによって助けられたことも多かったです。

山内最後に注意したい点は、「自分は本当に田舎に向いているのか」を考えるというところですね。例えば、田舎はどう頑張っても虫が出ます。これはもう絶対出ると考えていいと思います。なので「虫を見るのも嫌」っていうぐらい苦手な人は、田舎に住むのはかなり厳しいというか、我慢の生活になってしまうと思います。

木村:移住希望者さんにお伝えしているのが、「必ず減点方式で考える」ということ。生活において加点をすることは基本ない。虫が絶対嫌な人は、どんなに頑張っても永遠に虫がいて、いくらその他で加点をされても、やっぱり無理なんですよね。だから必ず自分の絶対譲れないものっていうのをまずは点数にして、そこで住めるかを検討してもらえるといいのかなと思いますね。

三宅島ってこんな島。噴火は正しく恐れることが大事。

山内では改めて、三宅島の概要を説明します。まず人口が約2,300人1,500世帯。こちらの規模感ですが、伊豆諸島で4番目の人口数になります。高齢化率は65歳以上の割合が約40%と、高齢化が進む地域だと感じています。面積は約55キロ平方km。島は1週が約30キロのため、車で50分あれば島を一周することができます。こちらは伊豆諸島で3番目の大きさになります。

また、東京から約180キロ離れていますが、大型客船が毎日運行しています。1日2〜3便の飛行機が飛んでおり、所要時間約50分なので、三宅島に住んでも50分あれば東京に行けるという感覚です。では、実際島の人はどうやって東京に行っているかなんですが、大体行きは飛行機を利用し、帰りは大型客船で帰ることが多いです。理由としては、行きは早めに東京に行きたいので50分で東京着く飛行機を使い、帰りは夜に寝て起きたら三宅島に着くため、大型客船を使うことが多いです。

木村午前中に一番早い便であれば、10時半ぐらいに東京に着いてしまう。時間を効率的に使えるかなっていう感じですね。

山内飛行機も大型客船も、島民割引が適用されます。飛行機の場合ですと、片道1万7500円のところ1万600円(2022年11月)。そして大型客船は35%引きになりまして、一番安ければ大体5,000円から7,000円ぐらいで行くことができます。

山内:三宅島は噴火で有名です。1962年、1983年、2000年と約20年周期で噴火しています。そして2000年の噴火は特に大規模で、約4年半の避難を余儀なくされました。

木村2000年の噴火を経験しているのですが、そのとき私は高校3年生でした。噴火するということをテレビのニュースで知り、イカ釣りをしていた祖母を桟橋まで夜迎えにいったことを覚えています。その後、村から緊急放送が流れて、噴火傾向にあることが周知されました。そこからは火山性地震が頻発して、常に震度3の地震が続くという感じですね。

ずっと揺れていて、最初の発表が6月下旬だったんですけど、噴火したのは7月8日でした。私は学生だったので全島避難になり、学生は全員船にのって、東京の全寮制の高校に空きがあるっていうことで、そこに小学生から高校生まで全員が入るということになりました。 その時はやっぱり相当ストレスが溜まる生活だったんですけど、同じ島民同士、みんなで助け合ったのもよく覚えてますね。

こんな風に、三宅島は噴火が多い島ですけど、気象庁が常時観測していて、実際に2000年、1983年、1962年の噴火では、死者は1人も出ていません。噴火と聞くとやっぱり怖いっていうイメージが多いとは思うんですけども、島民の方は元々噴火と共生しているので「正しく噴火を恐れている」といったところですね。

山内私は噴火は経験してないんですけど、人間関係が密な三宅島だからこそ、噴火の際にも助け合っていこうと思っています。当たり前のように小さい頃から一緒に育ってこられているので、助け合いができる。そういったところが島で暮らすメリットなのかなと思います。

自炊必須?Amazonは送料無料?島の買い物のリアル。

山内三宅島の地区についてですが、5地区にわかれています。ただ5地区に振り分けられているってことだけでなく、地区ごとに青年団があったり、各地区の青年団が週をずらして盆踊りをしたり、地区に対する想いが強い島です。

ここからは、三宅島の人はどうやって買い物してるのかを紹介していきます。例えばですが三宅島で買い物をする際は、島内の商店で買うことになります。ただ三宅島には大型スーパーはありません。基本的にその商店で買い物することになります。そしてコンビニ等24時間のお店とかはもちろんなく、遅くても20時までしかやっていません。なので20時を過ぎたら買い物はできなくなってしまいます。

コンビニ生活に慣れてる人とかは、不便に感じるかもしれませんが、住んでると意外にれていくもので、買いだめするようにしたりして、工夫をしながら生活をしています。

木村20時は、伊豆諸島内でも一番遅くまでやっているお店で、21時までやってるのはどこもないですね。

山内野菜だったり、肉だったりお菓子だったり、お弁当も買えますが、20時以降は入れなくなっちゃうので、基本的に三宅島は自炊の生活になります。なので料理が苦手という人は、三宅島に行ったら料理をしないといけないというのも考えておいてほしいです。

そして島の物価なんですが、輸送費を上乗せしているので内地よりも高いです。島に行った際にはぜひ積極的に商店等に行ってもらって、移住したらこのぐらいの物価で生活することになるんだというのを見ていただければと思います。

また通販についてよくご質問いただきます。Amazonとか、皆さん使うのが当たり前の時代になっているので、「そもそも使用できるのか」、「離島料金どのぐらいか」という質問が非常に多い。私も移住したときには、「通販って本当に使えるの?アマゾン使えなかったら死ぬんじゃないかな」っていうぐらいの生活を送っていたので、ちょっと心配だったんですけど。結論から言いますと、送料は無料で使えます。

離島料金よりも、冷蔵庫だと200L以上だとAmazonで買えなかったり、洗濯だと7、8Kgが限界で、それ以上だと配送ができないということもあるんですけど、基本的には使えると思ってもらって大丈夫です。

木村これを超える大型家電は、業者さんに配送してもらったりして大型家電は買う。

山内なので、東京行かないと買い物ができないといったことは、今あんまり感じないですね。島にいてもほとんどのものが今までと変わらずに買えますね。

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Editor's Note

編集後記

無意識に「移住」を一括りに考えていた自分がいましたが、「移住」と言っても、「陸続き」なのか、「島」なのかで暮らし方がこんなにも変わってくるのかと驚き!
何がいい何が悪いではなく、移住には一人一人の「生き方」にあわせた理想の暮らしを追求する面白さがあると思いました。

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