まずは市場で食材集め。
離島ターミナルでお弁当を買い、海を見ながらの贅沢な朝食。離島の定期船は観光客が多いけど、離島から石垣の学校に通う学生さんたちの姿もちらほら。その土地の生活の薫りを感じるシーンもまた、旅の醍醐味だ。
朝食を済ませたら、『ゆらてぃく市場』で材料探しを開始。『石垣島のおいしい砂糖』と『パインの心』(しん)(ドライフルーツ)を入手する。その後、バラビトー観光農園へ移動。迫力ある植物の姿を鑑賞していると急なスコールが襲来!「ああ、ここは亜熱帯なんだ!」と、気候の違いを再確認した。
パイン産業の“生き字引”に学ぶ 。
午後はパイン農場へ。でも、旬を外しているため購入できず……残念!その代わり、畑のおばあによる「パイン産業の歴史」の講義を受講するという、思わぬ“収穫”を得た。
続いて川平にある『武田珈琲』を訪問。代表の武田さんは早稲田大学卒の移住組。農場主というよりも学者さんのような方で、とても研究熱心だ。
「石垣島はコーヒー栽培には向いている土地なんだけど、台風があるのでたくさんの生産は難しいですよ」というお話を聞かせてもらった。今後、どんな展開を見せるのかが楽しみだ。
サトウキビジュースが美味しすぎる件。
今度はサトウキビとフルーツジュースの店『ぱぱ屋』へ。サトウキビの生搾りジュースは予想を超えたおいしさ!いい素材を旬の季節にフレッシュにいただくことの価値を再確認できた。ここにしかないものの尊さがある。
晴れてきたので、ちょっと寄り道して米原海岸に行ってみることに。「なんてきれいな海なんだろう!家族にも見せたい!」と本気で感動してしまった。
「究極のかき氷」は、すっぴんの味で。
その後、試作のためのパインアップルを買いに再び『ゆらてぃく市場』へ。「今の時期は甘くないよ」というおばあの教えに従って高級さとうきびシロップも購入。そしていよいよ『石垣島冷菓』で究極のかき氷を試作を開始。
旅の前の描いていた「究極のかき氷」のイメージは石垣島のトロピカルな印象。ラーメンに例えるなら「全部のせ」のイメージだった。でも、この2日間の出会いや学びから、そのイメージは一新されていた。
『サン石垣』の井上さんの情熱、『石垣島冷菓』の玉城さんの純粋な人柄。そして石垣島の素材や歴史や固有性を大事にした味覚の数々……私が選んだのは、“ここにしかないすっぴんの魅力”を追求する“引き算の究極”。元々、私が得意なのはこっちのやり方。経営している『松華堂』のカステラも同じ考え方でつくっている。
いい素材、いいストーリー、そしてなによりいい人に出会えたからできるやり方なのだ。
3つの素材でつくる「究極の味」。
『石垣島冷菓』のフワフワで甘味のある氷、長い間石垣島の生活を支えてきたサトウキビとパイン。この3つの素材で、シンプルな「究極のかき氷」をつくることに。
本当に大事なもの、残したいと感じた島の人(特に井上さんと玉城さん)の想いと。島のストーリーをかき氷にのせていく。そんな気持ちで試行錯誤を繰り返していった。
玉城さんが無駄なく丁寧にカットしてくれたパインをミキサーで細かくフワっと仕上げて『石垣島冷菓』のレトロなガラスの器へ盛りつけ。その上から秘伝のほんのり甘いフワフワ氷をかけていく。そして仕上げに石垣島の美味しい砂糖をまんべんなくふりかけ、アクセントに細かくカットしたパインのドライフルーツ(芯を砂糖とシークアーサーにつけたもの)をぱらり。見た目はシンプルすぎるかも知れないけど、いいものがつくれた!と確信した。
「ストーリーのあるかき氷」が完成!
まずは『石垣島冷菓』の美味しい氷を味わってもらい、次に氷と石垣島産の砂糖の優しい味を一緒にぱくり。きめが細かい砂糖なので氷のサラサラ感を損なわずに楽しみつつ、そこにパインアップルの酸味が加わる……と、ストーリー性のある味わいは試食での反応も上々。
まだあくまでプロトタイプですが、これでパインが旬の時期を迎えたらもっともっと美味しくなるはず!USIO Design Projectで出会ったヒト、モノ、コトがつまった石垣島冷菓さんの「島の砂糖とパインのかき氷」の完成です。味はもちろん最高!因みにまだ販売はしてないのでご注意を。パインの旬の時期にみんなに食べてもらえるよう、玉城さんと一緒に商品化を目指したいな!