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日本のウユニ塩湖で巻き起こるプロジェクト!後継者コンプレックスをバネに、“弱きリーダー論”で人々を巻き込み続ける組織づくりとは

JAN. 25

organization

拝啓、地域における巻き込み力を高めたいと考えているアナタへ 

地域を巻き込みながら自分の好きな町を盛り上げたい!しかしながら独り相撲になってしまい、なかなか大きな輪にならない…。そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そんな中、地元香川県三豊市の人々を巻き込みながら、多数のプロジェクトを産み続けるひとりの男性を取材。彼の名は、今川宗一郎さん。

今川さんは、香川県三豊市の地元スーパーの3代目でありながら、家業だけに留まらず、「自分たちの欲しい日常を自分たちでつくる」と三豊市のメンバーを巻き込み、多岐にわたって活躍されています。

今川 宗一郎(Soichiro Imagawa)さん 株式会社イマガワ取締役・株式会社ウルトラ今川代表取締役 / 1986年三豊市仁尾町生まれ。大学中退後、実家のショッピングストア今川の手伝いを始め、2011年に㈱イマガワを設立。 ショッピングストアー今川、KAKIGORI CAFE ひむろ、仁尾蒲鉾店、移動販売サンサンマーケット、父母ヶ浜指定管理などの事業を展開。 2019年「地域のやりたい心に火をつける」をミッションに㈱ウルトラ今川設立。2019年10月に宗一郎珈琲オープン。
今川 宗一郎(Soichiro Imagawa)さん 株式会社イマガワ取締役・株式会社ウルトラ今川代表取締役 / 1986年三豊市仁尾町生まれ。大学中退後、実家のショッピングストア今川の手伝いを始め、2011年に㈱イマガワを設立。 ショッピングストアー今川、KAKIGORI CAFE ひむろ、仁尾蒲鉾店、移動販売サンサンマーケット、父母ヶ浜指定管理などの事業を展開。 2019年「地域のやりたい心に火をつける」をミッションに㈱ウルトラ今川設立。2019年10月に宗一郎珈琲オープン。

地域に根付きながらプロジェクトを作り上げてきた今川さんが考える、“周りの人を巻き込むチーム戦のあり方” そして “地域を巻き込んでいく秘訣” とはーー。

※本記事は、LOCAL LETTERが運営する地域共創コミュニティ「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」内限定で配信された「LOCAL偏愛トークライブ」の一部を記事にしたものです。

詳細はこちら> https://localletter.jp/membership/

新観光地としての奮闘。後継者コンプレックスをバネに活動する地元スーパーの3代目

香川県の西部に位置する三豊市は、瀬戸内海に突き出た荘内半島と讃岐山脈の山々に囲まれた町。約6万人が暮らす三豊市は、SNSで人気を博した「父母ヶ浜」の影響で、ここ近年観光客が数十倍にも膨れ上がり、新たな観光地となりました。

そんな父母ヶ浜ブームを「一過性のものにしてはいけない」と、たくさんの人を巻き込みながらアイディアを打ちだし続けているのが、株式会社ウルトラ今川・代表取締役の今川さん。

今川さんは、地元スーパー(ショッピングストア今川)の後継者でありながら、地域にあった複数の事業を継承。離島での移動販売から、地元で100年近く愛されてきた老舗蒲鉾店、父母ヶ浜のかき氷カフェといった、地域に必要とされている仕事を一手に引き受けてきました。

「事業継承については、『やってくれないか』と声をかけてもらったものもあり、本当にありがたいお話でした。でも事業継承や家業も、心のどこかで『自分で生み出したわけではない』という想いがあったんです」(今川さん)

自身の想いを「後継者コンプレックス」と表現する今川さんですが、その想いをバネに、2019年家業の “スーパー今川” を文字って、株式会社ウルトラ今川を設立。

「地域のやりたい心に火をつける」をビジョンに、今川さんのトレードマークである笑顔をロゴにした『宗一郎珈琲』と『宗一郎豆富』を新たに事業として立ち上げました。

三豊市チーム戦の誕生秘話。移住者の行動力に触発された地元経営者たちの想い

家業だけではなく事業継承、そして新たに設立した自身の会社と思わず舌を巻く今川さんの行動力ですが、現在抱えているプロジェクト数はなんと10個!その全てを三豊市の方々とのチーム戦で進めているという、これらのプロジェクトについて深ぼります。

「最近、『三豊市はアクティブだね』と言われることが増えたんですけど、三豊市は業種や世代関係なく、エリア全体で仲がいい。この2、3年で約30個のプロジェクトが動いていますが、仲がいいからこそ自然とチーム戦になっていきました」(今川さん)

「僕らは三豊市のプロジェクトを『全員野球』と呼んでますけど、それぞれが点で動くよりも、面で活動したほうがいい。だから『このプロジェクト、おもしろそう!』と盛り上がれば、それぞれの能力に応じてチームを組む僕は “言い出しっぺ” の役が多いですけど、そこに、数字の強い人やロジックを持っている人など、足りない部分を補うようにメンバーが入ってきてくれる。何故か分からないですけど自然とそうなるんですよね」(今川さん)

地域の理想形とも言える三豊市のプロジェクトですが、チームメンバーが集まるきっかけになったのが、2018年に三豊市にオープンした宿泊施設「UDON HOUSE」(代表・原田佳南子さん)で行われた地元経営者の飲み会だったと話します。

「経営者で集まって度々飲んでましたね(笑)。そしたら自然といろんなエリアの人たちが集まってきて、今の形になりました。あとは、UDON HOUSEを経営する原田さんが移住者なんですけど、彼女が “縁もゆかりもない三豊市で起業した” というのが、僕ら地元経営者たちの刺激になった。彼女が新天地で覚悟をもってやり遂げたのに、元々の土俵がある僕らに『やれない理由がない』と思ったというか、やるしかない的な空気が生まれたんだと思います」(今川さん)

大事なことは“アイデアの上書き”。欲しい日常を自分たちでつくるという発想

経営者同士の飲み会をきっかけに、人との繋がりが生まれ、チーム単位のプロジェクトが始まったという三豊市。その中で、今川さんたちが大事にしているのは「これって、おもしろくないっ!?」という感覚。

「今、土木×公園で “土木公園” をつくるプロジェクトを進めています。土木に対する愛が凄い人がいて、その人と『土木で新しいことできない?』という話しになった時に、『じゃあ、おもしろいことやろうよ!』ってプロジェクトがスタートしました。

最初のアイデアは、“土木喫茶” だったんですけど、仲間と話しているうちに土木の技術を駆使した “公園” という形に落ち着きました。大事なことは『誰のアイディアだから』ではなく、おもしろいと思った方向にアイデアを上書きしていくこと『それ、いいね!』からスタートさせて、喜びをみんなでシェアしていくんです」(今川さん)

2020年は「地元で飲みに行った時の2軒目がない」という理由から、仲間とお金を出し合って合同会社を設立し、カラオケパブをつくった今川さん。

「カラオケパブも実現まであっという間でした。2020年の6月に『カラオケパブをつくろう』と言い出して、7月に会社をつくって、11月にはオープンしましたから!(笑)でもこれも誰かのためというより、自分たちの欲しい日常を自分たちでつくってるという感覚なんです」と今川さんは笑います。

今川流の“弱きリーダー論”。弱いからこそ大事にしている「言葉の強さ」

話しをお聞きするなかで見えてきたのが、「全員野球」を大切にしている “今川さんらしいリーダー論” 。今川さんが教えてくれた “弱きリーダー論” について掘り下げます。

「『リーダー=強さ』と思うかもしれませんが、僕自身はずっと弱い立場でいたいと思っています。困っている人がいたら、“助けたい” とか “手伝いたい” と思うように、僕自身が弱い存在でいることが、地域の人たちの『関わってみよう』という想いに繋がると思うんです。

だから、周りの人たちに『これどうしたらいい?』って素直に聞いて、自分の弱さをちゃんと出していく。地域の人たちと関わりが増えるきっかけになるような、そんな存在でありたいと思っています」(今川さん)

末っ子長男で、昔から人に甘えるのが得意だったと話す今川さんですが、“弱いリーダー” でいるからこそ大事にしているのが “言葉の強さ”

「できないことは『できない』と言います。絶対に強がらない。でも、自分自身が弱くてもいいけど、言葉は強くないとダメだと思っています。自分のやりたいことをちゃんと言葉にして、『これは絶対に地域のためになる!』と明確に言うことが、ある種リーダーの役割なのかなって。

だから言葉がしっかりしていれば、弱くても大丈夫。誰かに言われたことがあるのは、『今川さん、戦国時代だったら3回は死んでる』って。それくらい弱い(笑)。でも僕は仲間のためだったら頑張れるんですよね。だから、“今の仲間とどうすればおもしろいことができるのか?” に集中できているんだと思います」と今川さんは嬉しそうに語ります。

「三豊市が人々の居場所になることが嬉しい。」どこまでも “人ファースト” な今川さんが大切にしている想い

全ての物事を “まちに対する投資” と話す今川さんに、今後の目標について伺いました。

「ディズニーランドって最高に楽しいですけど、行っても年に1,2回じゃないですか。でもディズニーランドに行くぐらい『このまちが楽しい!』って思えたら毎日が最高に幸せ。だからこれからも『自分たちの町がおもしろい!』って思えるものを、自分たちでつくっていきたいです」(今川さん)

「コロナを機に考えるようになったのは、どうすれば本質的に周りのみんなが豊かになるのかとういうこと。たとえば、地元にスーパーはうちの一軒しかないんで、うちにしか買いに来ることのできないおじいちゃんおばあちゃんがたくさんいる。だから例えばスーパー版のサブスクリプションみたいに、買い物代行や電気交換、電化製品修理といった身の回りのことを全部やることができないかと考えています。

今はネットショップが普及して、会話をしなくても買い物ができる環境が整ってきている。だから僕は逆の発想で、コミュニケーションから生まれるものを大事にしたいなと思っています」(今川さん)

新しいプロジェクトが生まれたことで、いろんな人たちにとっての居場所ができたことが嬉しいと語る今川さん。株式会社ウルトラ今川の “宗一郎珈琲” や “宗一郎豆富” も「コミュニケーション」をテーマに展開されており、どこまでも人ファーストな今川さんの想いが滲みます。

拝啓、地域における巻き込み力を高めたいと考えているアナタへ

『自分たちのおもしろさを追及する=まちが活性化する』という、最高に幸せの形を生み出した今川さんの “巻き込み力” のヒントが詰まった今回のインタビュー。

今川さんから学んだ地域を巻き込む力とは、常に “まち・人” のことを考えている、熱くて優しい今川さんの人格に起因しているのかもしれません。

※本記事は、LOCAL LETTERが運営する地域共創コミュニティ「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」内限定で配信された「LOCAL偏愛トークライブ」の一部を記事にしたものです。

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Editor's Note

編集後記

にかっと笑う笑顔が特徴的な、会うと元気をもらえる「ビタミンパーソン」そのものの今川さん。
どこまでも人ファーストな今川さんのお話を聞いて、「こんな人がリーダーや上司だったら最高だな」という気持ちに!
人を巻き込む力=“人を惹きつける力”と言い換えることができると気づきになった、そんな素敵な取材になりました。

これからも LOCAL LETTER MEMBERSHIP の応援をよろしくお願いします!

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