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LOCAL LETTER

大企業で働きながら地域貢献。複業に意欲的なまち・愛媛県松山市とは

MAR. 29

拝啓、今の仕事を続けながらも、地域で複業に挑戦してみたいアナタへ

1つの企業、1つの職種に捉われない、“複業”という新しい働き方が注目されるようになった現代。コロナ禍で、自分の働き方や生きがいを見つめ直し、「新しい仕事にチャレンジしたい」と考えるようになった方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、会社に所属しながら複業を始めるのは、なかなか難しいもの。

そもそも複業ってどうやって始めるの?
ずっと会社勤めの自分にも挑戦できる?

そこで今回は、都内の大手企業に勤めながらも、愛媛県松山市の複業マッチングプロジェクト『だんだん複業団』に参加し、自身の出身地で複業(※)をスタートさせた伏谷将典さんに実体験をお聞きしました。

他の複業マッチングプログラムとは一線を画す!?『だんだん複業団』とは、一体どんなプログラムなのでしょうか。

※『だんだん複業団』では、単に本業とは別に副収入を得ることを指す「副業」ではなく、複数の仕事を掛け持ちしながらもメイン・サブという序列をあえてつけず、どの仕事も「本業」という考え方を指す「複業」を推進しています。

伏谷将典(Fushitani Masanori)さん / 1991年生まれ。千葉県在住。幼少期を愛媛県松山市で過ごし、大学・大学院を卒業後、大手日用品メーカーに研究職で新卒入社。約7年間洗濯用洗剤の製品開発に従事し、現在に至る。ターゲットインサイト分析、処方開発、実験データの取得、特許出願に至るまで製品開発に関わる数多くの業務に携わり、既存製品の改良・新製品導入に貢献。2019年に国内学会、2021年には世界最大規模の国際学会で口頭発表にて研究成果を報告。副業解禁を機に、これまで得られた経験や考え方を少しでも地元愛媛企業のために活かせないかと思い、2022年より「だんだん複業団」へ参加。現在、都内の企業に在籍しながら、松山の企業で複業を継続中。

コロナ禍で感じた危機感。保守的な人間だからこそ、一つの企業に依存しない新しい働き方を

都内の大手企業に在籍し、製品開発研究という専門性の高い仕事に従事されている伏谷さん。複業を考え始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「きっかけは、2019年のコロナでした。私は小学校の頃から、いわゆる一般企業で働くのが夢みたいな、ごく普通の人間で。大学院まで進学して、そのまま今の会社に就職しました。それが普通だと思っていたし、7年間今の会社で働いてきて、この人生でそれなりに満足していたんです。

でもコロナ禍になって初めて、自分の周りの環境がこんなに一瞬で変わってしまうんだと危機感を抱きました。これからの人生を考えたときに、1つの企業に依存している状態に少しリスクを感じたんです。

保守的な人間だからこそ、リスクは回避しておきたかった。今後また何か起きた時のためにも、いろんな仕事やいろんな働き方ができる状態になりたくて、複業を考え始めました」(伏谷さん)

まずは「個人レベルでできそうなことを」と考えた伏谷さんは、今の職業の知見を活かそうと、SNSで情報発信を開始。しかし、「コツコツやっていくのが苦手」で「全く性に合わなかった」といいます。

また、全国各地の複業案件が掲載されているマッチングサイトにも登録。しかし、在籍している会社の規定上、競合他社で働くことはできず、複業で直接的に本業の知見を活かすことは難しいという壁にぶち当たりました。

そんな中、「どうせ複業するなら地元の愛媛でやりたい」とネット検索していると、愛媛県松山市の複業マッチングプロジェクト『だんだん複業団』の情報を見つけたと話します。

「なかなか自分に合った複業の方法を見つけることができずにいましたが、スキルや経験を試してみたい都市部の人材と、さまざまな課題を抱える地域企業を繋ぐ『だんだん複業団』の取り組みを見て、これだ!と思いました。

見つけたのは2021年の応募ページで、その時は参加が締め切られていたので、2022年の募集が始まるのをずっと待って、募集開始と同時にすぐに応募しました」(伏谷さん)

安心して複業への一歩を踏み出せたのは、『だんだん複業団』で仲間・熱意ある企業と出会えたから

「長年普通のサラリーマンをしてきた自分が突然複業だなんて、とてもハードルが高く、最初は本当に不安だった」と話す伏谷さん。しかし、『だんだん複業団』のプログラムがスタートすると、少し気持ちにも変化があったといいます。

「はじめの説明会で、実際に地域企業で複業をしているメンバーのお話を聞きました。しかも質問もできる環境だったので、複業人材としての立ち振る舞い方や、会社員をしながらの働き方のコツなども教えていただいて。自分にもできるかもしれないという気持ちになれたんです。

『だんだん複業団』にエントリーして正式に団員になったあとは、団員同士を繋げてくれるオンライン交流サロンに参加させていただき、同じ東京在住の方とも繋がりました。自分と同じように会社勤めをしながら、複業に一緒にチャレンジできる仲間がいると思うと、安心できましたね」(伏谷さん)

そして、実際にエントリーした団員が松山市を訪れる2日間のフィールドワークでは、人や地域に熱い想いがある企業に出会えたと話します。

「2日間で松山市の企業を10社巡ったのですが、『だんだん複業団』に参加されている企業は一社一社個性があって面白いし、どの企業も熱意がすごく伝わってきて、ぜひ関わってみたいと思えました。

自分が楽しめるのかどうかも、複業先を選ぶ軸として持っていたのですが、フィールドワークで直接話したときに、自分自身も成長したり知識が広がったりしそうだなと、ワクワクする企業ばかりでした。

それから、地域で複業するにあたり『なぜ愛媛で事業をやっているのか』に明確な理由をもつ企業で複業したいと思っていたのですが、その質問に対しても想いのある回答をいただけたのが良かったです」(伏谷さん)

さらに、フィールドワークでは、オンライン中心でマッチングを行う他複業サービスとの決定的な違いを感じたそう。

「オンライン会議だけだと、どうしても与えられた情報の中で質問して、相手のことを探っていくケースも多くて。それだと表面上のやりとりになってしまい、企業の本当の課題が見出せないこともあります。そもそも企業が課題に感じていることが根本的な課題ではないこともありますしね。

でも『だんだん複業団』では、リアルで現場を見せていただいて、直接企業とお話ができたからこそ、本質的な課題が理解できました」(伏谷さん)

「フィールドワーク中は、団員同士の関わる時間もたくさんあり、仲良くなってLINEを交換した人もいます。一緒にお昼ご飯を食べに行って、既に複業をされているフリーランスの方に、地域企業との関わり方を相談できたのも有難かったです」(伏谷さん)

こうして『だんだん複業団』ならではのプログラムを通して、心強い仲間と共に、複業マッチングへのステップを踏んでいった伏谷さん。

フィールドワーク後に企業へ提出する『提案シート』を作成する際には、事務局の手厚いサポート体制があったといいます。

「『提案シート』は、企業の魅力・企業の課題・提案する理由 / 背景・提案の概要・企業への影響 / 効果・関わり方などをまとめるシートが1枚と、フリー記述ができるシートの2枚構成。熱意のある企業の期待にも応えたいと思っていたので、なかなか埋めるのが難しい提案シートでした。でも、10社ある中で1社に時間をかけていたら何社にも出すことはできないし、本業もやりながらなので、限られた時間で作成しなくてはいけない。

このときは『だんだん複業団』の事務局から、書き方やブラッシュアップのフォローをしてくれる『チェックアウト講座』というプログラムがあったので、そちらに参加してお話できたことが一つ安心材料でしたね。最終的には3社に提案シートを提出しました」(伏谷さん)

関われば関わるほど面白くなる、複業の醍醐味

提案シートを提出した後、企業によって選定された団員は事務局も入ったオンラインでの3者面談を行ったうえで、お互いの想いに共感し、取り組む内容に合意した団員は、正式にマッチングとなります。

伏谷さんは、提案シート提出後もさらに提案内容をブラッシュアップして、オンライン面談に臨みます。

見事、熱意と斬新な企画力で、マッチングに成功した伏谷さん本業は製品開発研究の伏谷さんですが、マッチングしたのは意外な企業でした。

「最初は本業と同じ、化学の知識が活かせる会社があればいいなと思っていたのですが、そう簡単にいくわけもなくて。製品開発研究をしている自分は、他に何ができるのだろうと、もう少し広げて考える必要がありました。

実際にマッチングできたのは、ライブ配信をして地域のモノを売る『ライブコマース事業』の企業です。目に見える製品を開発する会社ではないので、最初は全く関わりしろがないんじゃないかと思っていました」(伏谷さん)

「でも、フィールドワークでどのような複業人材と一緒に仕事がしたいかを質問した時に、『いろんなアイデアを提案できる人』とおっしゃっていて。自分は製品開発を行う上で、お客さんの想いを想像しながら、新しいアイデアを提案することが多いので、企画力が活かせるのではないかと気づきました。

提案した企画を見ていただいて、この企画力を活かして今後いろんな関わり方ができそう、とマッチング。いま実際にライブコマース事業の企画のお仕事をいただいています」(伏谷さん)

既に1度目の案件を納品し、2度目の案件も発注いただいたという伏谷さん。会社員とは全く違う働き方には、まだ慣れない部分もありながらも、地域での複業ならではの面白さを感じているといいます。

「今いただいているお仕事は、時間当たりのお給料をもらうような仕事ではなく、成果が出て初めてお金がもらえる仕事です。自分はとにかくこだわるタイプで、企画する際に時間がかかってしまうこともあるので、時間単価にしたら少ないのかもしれません。

でも、複業をしているときの楽しさや、納品した時に企業に “ありがとう” と喜んでもらう姿に、複業の醍醐味をすごく感じています」(伏谷さん)

「代表と膝を付き合わせて仕事ができるので、代表が何を考えているのか、一緒に考えるのが面白くて。どういうビジョンで、どういうきっかけで、誰を喜ばせることを考えているんですか?と、企画の提案とはちょっと関係ない話もするんです。でも、そうやって代表と関われば関わるほど、自分も新しい提案ができるから」(伏谷さん)

“だんだん”とステップを踏んでいく『だんだん複業団』だからこそ、文面上、経歴上を飛び越えたマッチングができる

企業の中で、与えられた役割だけで働いていると、自分が何に長けているのか、わからずに働いている人も多いのではないでしょうか。

それは伏谷さんが当初、「化学」や「製品開発」をキーワードに複業する企業を探していたように、誰もが履歴書に書く文面やこれまでの経験だけに捉われているからだと思います。

さらに、企業と人材との複業マッチングにおいて、企業の本質的な課題や人材のスキル・能力を、文面上だけで理解するのは極めて難しいこと。

ですが、『だんだん複業団』は、“だんだん”、徐々に、ステップに沿って、関係を深めていくことをコンセプトにしたプロジェクトです。最初は経歴だけでなく、自身のバックグランドや想いを書いたプロフィールシートを企業に提出して、書面で自分を見てもらう。次にオンラインのプログラムで関係者全員と初めての対面、そして現地フィールドワーク(一部オンラインもあり)。その後、提案シートを提出して、最後はマッチング面談。

オンラインで雰囲気を掴み、フィールドワークで五感を使って企業の理解を深め、マッチング面談でお互いの想いを話す。この“だんだん”こそが人材と企業の本質を見抜く時間になっているのではないでしょうか。

伏谷さんの例をとっても、プログラムを重ねる中で、本当の意味で企業を理解し、寄り添う具体的な提案ができたからこそ、企業側も製品開発という文面上の経歴で判断せず、伏谷さんの企画力を見抜いてくれたのではないでしょうか。

今後も「さらに複数の企業とお仕事をしていきたい」と話す伏谷さんのように、マッチング後も『だんだん複業団』での活動を継続する方がいることから、現在『だんだん複業団』ではコミュニティをつくり、参加者同士の繋がりをより大切にしているのだとか。

コミュニティが存在することで、1対1で企業とマッチングするだけでなく、団員同士の横のつながりで新しいことが生まれたり、何か違う形での地域との関わりに繋がっていったり__。これからの『だんだん複業団』にも目が離せません。

アナタも愛媛松山で複業にチャレンジしてみませんか?

そのほか、松山市のHPでも『だんだん複業団』の活動を取り上げております。合わせてご確認ください。

Editor's Note

編集後記

「だんだん」には、「徐々に・じわじわと」という意味の他に、松山市の方言で「ありがとう」の意味もあるそうです。お互いが「ありがとう」と想い合える関係性で仕事ができるって素敵ですよね。

私も松山にはゆかりがあるので、今後も『だんだん複業団』の活動を追いかけていきたいと思います。

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