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LOCAL LETTER

現地の熱量にとびこむ。卒業生が語る、ローカルプロデューサー養成講座の魅力

MAR. 02

拝啓、地域の魅力を発見し、継続的な事業を生み出したいアナタへ

地域の可能性を広げ、持続可能なプロジェクトを生み出すためには、「想い」だけでなく、事業として成立させるための知識とスキルが求められます。

ローカルプロデューサー養成講座」は、社会性と経済性の両輪を回しながら、地域で実践する力を身につけるプログラム。

第一線で活躍するプロデューサーから、現在進行中のプロジェクトを題材にノウハウを学べる座学のほか、実際にローカルの現場に身を置く機会もご用意。プロデューサーとしての役割を体感することができます。

受講生満足度91.7%を誇る本講座。

今回は、第2期を卒業した2名の卒業生から、講座を受講した理由や講座を通じて得た気付きについて伺いました。

卒業生のリアルな声を通じて、ローカルプロデューサー養成講座の魅力に迫ります。

10年続くイベントで学ぶ。答えを探し、受講を決意した理由

「職場の社内発表で、第1期に参加していた方の発表を聞く機会があり、漠然と『面白そうだな』と思ったことが受講のきっかけでした」

講座受講の背景を語るのは、現在、京都でふるさと納税に関わる仕事をしている相見一翔(あいみ かずと)さん。仕事を通じて、地域の事業者と接する機会が多いからこそ、「事業者同士のつながり」という点に興味を持ったと話します。

相見一翔 氏 ローカルプロデューサー養成講座2期生 / 2000年生まれ。鳥取県米子市出身。現在は京都府在住。24年間を地元で過ごし、転職を機に初めて地元を離れる。地元を離れて初めて、地元の良さや魅力に気づき、現在はそれらを発掘・発信していく力を身につけるため、日々奮闘中。

「普段、仕事で地域の事業者さんと関わることが多いです。そのなかで、『事業者さんと地域』そして『事業者さん同士』の関係を深めるにはどうしたらいいのかという疑問がありました。

同業他社であれば協力し合えることもあるかもしれない、と想像はつくのですが、業種が違う事業者さん同士がどのように関わり、どのように関係性を築いているのかは、イメージが沸きませんでした」(相見さん)

もともと「地域に強い関心があったわけではなかった」と話す相見さんは、仕事を通じて少しずつ地域に関心を持つようになったそうです。

そんなときに出会ったのが「ローカルプロデューサー養成講座」でした。

第2期では、福井県鯖江市で10回目となる大規模なイベント「RENEW2024」の運営に参画し、現場で主体的に解決するリーダーシップや現場での実行力など「身体知」を身につけるフィールドワークが実施されました。

RENEW2024イベント開催前の会場の様子。

「イベントにも参加することで、事業者さんとの関係性で抱いた疑問の答えを探すきっかけになればと思い、受講を決めました」(相見さん)

相見さんは、複数の事業者が連携するこのイベントがどのように成り立ち、なぜ10年も継続されているのかを知ることが、講座を受講する目的の一つだったと語ります。

「イベントが長く続くのは、もちろん運営の方たちの手腕もあると思います。でも、それだけではなく、事業者さん同士が『やろう』という気持ちにならなければ、ここまで継続することは難しいはず。

その秘訣を知ることで、今後、事業者さんと関わる際に意識できることが増えると思いました。

ゆくゆくは地元の米子市に戻りたいと考えています。事業者さんの心を動かせるようなノウハウを身につけ、地元をもっと活性化したい。そのために、受講が力になると期待していました」(相見さん)

本講座への参加は、未来への想いを具体化する大きな一歩となりました。

一方で、もう1人の受講生である西能まりあさんは、地元に戻ったことで芽生えた違和感をきっかけに、講座への参加を決めたと話します。

モヤモヤの糸口を探す。講座で学びたかったこと

「生まれも育ちも富山県ですが、進学や就職を機に10年ほど富山を離れて暮らしていました。

両親の仕事を手伝うことになり、2年ほど前に富山に戻ったのですが、昔は『何もない場所だな』と思っていたのに、帰ってくるとすごく魅力的な地域に感じたんです。

でも、なぜ魅力的に思うようになったのか、その理由がはっきり分かりませんでした」(西能さん)

西能まりあ 氏 ローカルプロデューサー養成講座2期生 / プロデューサー。ファシリテーター。1995年生まれ。富山県砺波市出身。10年ほど神戸・東京をうろうろし、現在は富山県富山市在住。都内のデザイン会社と地元の広告代理店にて複業中。2024年に産業カウンセラーの資格を取得し、「聴く」をベースにした場づくりを目指している。

「最初はしぶしぶ戻ってきたんですよね」と話す西能さん。

そんな富山でのある日、第2期の講師となるTSUGI代表の新山さんと出会う機会がありました。その時耳にした講師の話に、強く惹かれたことが受講の決め手になったと話します。

「以前、新山さんのお話を聞いたことがあって。とてもユニークな視点を持っていらっしゃるな、と感じました。だからこそ、講座を通して新山さんのお話をじっくり聞いてみたいと思いました。

ちょうどその頃、富山の魅力が世の中的にも注目されるようになっていて、私も地域の魅力をどのように伝えられるのかと考えていました。

でも、考えているだけで具体的な方法が分からず、モヤモヤを抱えていたタイミングでした。そんな時に講座の存在を知ったので、モヤモヤの糸口になると思い、受講を決めました」(西能さん)

西能さんが富山市総曲輪で一番好きだという「みどり通り」。

西能さんは、さらに「現場での体験を通じて学ぶ」という講座のスタイルに魅力を感じたと語ります。

「実際に運営の実践現場に入り、地域の人々と来場者、そして迎える側の事業者がどのように関わるのかをリアルに体感できることに、率直にワクワクしました」(西能さん)

普段はデザインの仕事をしているため、事業者とは少し離れた距離で関わることが多いという西能さん。

講師が手がけるTSUGIは、モノづくりをする会社でありながら、地域に深く入り込み、事業者と密接に連携する会社であることに興味を惹かれたそうです。

「私にとっては同業他社であるTSUGIさんが、どのように地域と関わっているのかを知ることが、今回の講座で一番興味のあるポイントでした」(西能さん)

それぞれに疑問や期待があり、スタートを切った2人。異なる視点を持ちながらも「地域に活かせる何かを学びたい」という共通の思いを持って、講座に臨んでいました。

実際に講座を受講した2人は、それぞれどのような気付きを得たのでしょうか。

完璧じゃないからこそ、面白い。イベント運営の裏側から学ぶ「余白の力」

「私は、初回の講義がとても印象に残っています。受講生の個性が強く、こんなにも多様な人たちが集まるのかと驚きました」(西能さん)

イベント開始前に受講生たちが集まる様子。様々なバックグラウンドをもつ受講生同士がイベント成功にむけて一丸となる。

西能さんは、講座で印象に残った出来事について振り返ります。

「例えば、受講生の一人は単身で京都から山形に移り、地域おこし協力隊をしていて、これまで出会ったことのないタイプの方でした。

世代も幅広く、普段関わることのない人たちと一緒に学ぶ環境に、新鮮さとドキドキがありました」(西能さん)

「いい意味で、不思議な集まりだなと感じました」と笑いながら、講座での出会いを振り返る西能さん。

この講座には、地域の事業者同士のつながりを深めたい人や、地域で何かを始めたい人など、多様な背景をもつ受講生が集まり、ノウハウを学んでいます。

イベント開始前の集合写真。皆の笑顔から熱意と楽しさが伝わってきます。

異なる視点を持つ受講生同士の交流を深めるため、講座には様々な取り組みが用意されています。

「オンライン講座の後に『放課後タイム』があり、お互いに自己紹介をしながら雑談できる機会がありましたよね」と振り返る相見さんに、西能さんも頷きます。

「私は、『振り返りペアワーク』に驚きました。講義とは別で受講生同士が連絡を取り合い、日時を決めて受講内容の復習をしたり、自由に交流したりするという形式だったのですが、こうした取り組み自体が初めての経験でした。

しかも、これはローカルプロデューサー養成講座だけでなく、すべての講座で導入されていると聞いて、とても新鮮でした。結果的に、受講生同士のコミュニケーションが深まり、学びがより濃いものになりました」(西能さん)

講座を振り返りながら「そんなこともあったね」と二人に笑顔がこぼれます。

「振り返りペアワーク」の取り組みは、講座の内容を振り返りながら、それぞれの受講生がどのような気付きを得たかについて共有する場でもあります。

単なるインプットだけでは終わらせず、アウトプットの機会を設けることで、学びを「自分ごと」として整理し、より深く吸収できる仕組みになっています。

相見さんは「講座のすべてが濃すぎて、一番印象に残った講義を選ぶのは難しい」と振り返りながらも、「特に強く印象に残ったのは、フィールドワークを終えた後の最後回だった」と話します。

「現地のフィールドワークを終え、一通り現場を体感したあと、運営の方の話を聞く機会がありました。

そこで感じたのは、『10周年目のイベントにしては、いい意味で未完成で余白がある』ということでした。

運営チームは計画的に進めつつも、『すべてを完璧にするのではなく、手をぬくところはぬく』というメリハリがありました。

すべてを網羅的に管理するのではなくて、あえて余白を残すことで、参加者や事業者などが柔軟に関われる空間を作っているのだと気付きました」(相見さん)

RENEW2024イベント中の相見さんの様子。

最後に運営の方の話を聞いたことで、相見さんの中で学びが整理され、大きな気付きにつながったと話します。

「イベントの裏側を知ることで、表から見ているだけでは分からなかったことに気付きました。

そこで初めて、講座で学んだことがつながり、自分の中で腑に落ちたのを感じました。これまでの学びが一つにつながった瞬間でした」(相見さん)

熱量の渦に飛び込む。トップスピードで駆け抜ける運営のリアル

「いい意味で『未完成』というのは、まさにその通りだなと思いました」(西能さん)

そう話す西能さんは、イベントの最初に行われた100人規模の飲み会について振り返ります。

「その飲み会では、初めましての人もいれば、ずっと地域で一緒に事業をされている方もいて、すごく混沌としていました。でも、その混沌こそが、このイベントの魅力なのかもしれないと感じました」(西能さん)

その言葉に、相見さんも頷きます。

「決起会から終わりまで、トップスピードで全体の熱量がものすごいありました。でも、前日の夜になっても翌日のシフトが固まっていないなど、運営の大変さもリアルに感じました」(相見さん)

イベント初日に行われた100人規模の飲み会。

たくさんの気付きが溢れる現地フィールドワーク。西能さんが特に印象に残ったのは、「トラベルスタンド」という係だったそうです。

「トラベルスタンドは鯖江・越前の街を案内する役割です。そこを担当していると、福井のことをあまり知らない私が、福井の人として来訪者にまちを説明する時間がありました。

実際には、訪れた方のほうが詳しいこともあり、逆に教えてもらう場面もありました。

でも、そのやりとり自体が、外から来た私たちスタッフを『地域の中の人』として関わらせてくれる、ちょうどいい余白がある設計だと感じました。

『こう動いてください』とガチガチに決められた役割ではなく、自分たちで考え、動く余白がある。

だからこそ、ボランティアとして参加しても楽しい。結果的に、この余白のある設計が10年間も人を惹きつけ続けている理由なのかもしれない、と感じました」(西能さん)

「相見さんもトラベルスタンドやりましたよね?」と西能さんは続けて問いかけます。

「やりましたね。道を聞かれても分からなくて、一緒に『どこですかね』って悩んだりもしました。それでさえも楽しかったです」(相見さん)

ローカルプロデューサー養成講座では、実際に現地に足を運び、イベント運営の裏側を体験できることも大きな魅力の一つ。

実践の場で得た学びは、2人にどのような可能性をもたらしたのでしょうか。

後半では、現地での体験をどのように活かしていこうとしているのかにせまります。

WHERE ACADEMYでは、現在「ローカルプロデューサー養成講座 / 特別1DAY講座」の受講生を募集しています。詳しくはこちら!(お申し込み締め切り:2025年3月9日まで)

Editor's Note

編集後記

「なんとなくから始まった」と話しながらも、2人の地域に馳せる思いや、事業者さんへの想いが、優しくあたたかく伝わってくる時間でした。ローカルプロデューサー講座に集まる受講生の熱量が全体を通して伝わり、その熱量が地域を動かす力になると感じました。

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