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LOCAL LETTER

ソフトバンクで社内起業。自動運転バスが“誰でも使える”世界への挑戦

APR. 05

拝啓、企業に勤めながらも、社会問題を解決するサービスに挑みたいアナタへ

「この人の人生が気になる!」そんな旬なゲストと、LOCAL LETTERプロデューサー平林和樹が対談する企画『生き方 – 人生に刺激を与える対談 – 』。

第6回目のゲストは「自動運転」をキーワードに、交通の利便性を高める取り組み、MaaS(マース)へ踏み出している、BOLDLY株式会社の佐治友基さんです。

佐治さんはソフトバンク株式会社に入社後、孫正義直伝の経営を学び、SBドライブ株式会社(現:BOLDLY)を創業。「交通をITの力でアップデートしたい」と日々奮闘されています。

ソフトバンクという誰もが知る大企業で働きながらも、社内起業をした背景は何だったのかーー。

自分の叶えたい未来へ突き進む力を学びたいアナタに注ぐ、一匙の刺激をお届けします。

キーワードは「挑戦」。恋愛観も仕事観も共通する “突き進み癖”とは

平林:今日は企業に属しながらも自分の軸を形成し、社内起業に踏み出されたのち、今もなお爆進されている佐治さんの人生を深掘りします!ということで、初恋から聞いて生きましょうか!(笑)

平林 和樹(Kazuki Hirabayashi)株式会社WHERE 代表取締役、内閣府地域活性化伝道師、ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社/カナダ留学/株式会社CRAZYを経て、株式会社WHERE創業。地域コミュニティメディアLOCAL LETTERは約2万人の会員規模まで成長。人口900人の村で古民家をリノベした体験型民泊施設まつや邸は開始9ヶ月で宿泊客180名を突破。地域経済活性化カンファレンスSHARE by WHEREを立ち上げ業界・地域を超えた産学官民の起業家70名以上が登壇。
平林 和樹(Kazuki Hirabayashi)株式会社WHERE 代表取締役、内閣府地域活性化伝道師、ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社/カナダ留学/株式会社CRAZYを経て、株式会社WHERE創業。地域コミュニティメディアLOCAL LETTERは約2万人の会員規模まで成長。人口900人の村で古民家をリノベした体験型民泊施設まつや邸は開始9ヶ月で宿泊客180名を突破。地域経済活性化カンファレンスSHARE by WHEREを立ち上げ業界・地域を超えた産学官民の起業家70名以上が登壇。

佐治:全然OKですよ!だって僕の中で一番大事なのは恋愛で、仕事にも繋がってますからね(笑)。

平林:え!(笑)

佐治:仕事も恋愛も、僕は突き進む癖があるというか。中学校のときに好きだった女の子が、ピアノが好きという理由だけで、全くピアノを弾けないのに合唱コンクールのピアノ伴奏者に立候補したこともあります(笑)。

佐治 友基(Yuki Saji)氏 BOLDLY株式会社 代表取締役社長 兼 CEO / 上智大学卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。孫正義直伝の経営を学び、BOLDLYを設立。現在に至る。
佐治 友基(Yuki Saji)氏 BOLDLY株式会社 代表取締役社長 兼 CEO / 上智大学卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。孫正義直伝の経営を学び、BOLDLYを設立。現在に至る。

平林:弾けなかったのに!?

佐治:そう(笑)。当たり前ですけど、合唱コンクールに伴奏者で立候補する子たちって、ピアノが上手いんですよね。だから他のクラスはピアノの猛者が揃ってる中で、僕のクラスだけ素人(笑)。めっちゃくちゃ練習して、無事にコンクールを乗り越え、告白して付き合いました。

平林:ピアノが弾けるようになったのも、付き合えたのもすごい(笑)。

佐治:大学時代も一目惚れした人がいて、ふと「この人と結婚できなかったら、一生後悔する」と思って猛アタックしたのが今の奥さん。あの時の挑戦がなければ、今の人生はないので、仕事でも恋愛でも「挑戦すること」をとても大事にしています

「僕は自動運転技術はつくれない」。願いは “誰もが使える” 自動運転サービス

平林:仕事の話を深ぼる前に、恋愛観と仕事観の共通項を見出すことができたんですが(笑)、佐治さんは「自動運転」でビジネスを展開されているじゃないですか。改めて、どんなことをされているか教えてください。

佐治:僕は、自動運転バスのサービスを誰もが使える世界をつくることをミッションに掲げて、BOLDLY(ボードリー)という会社を2016年に起業しました。

佐治:そもそも2009年に新卒としてソフトバンクに入社していて、当時は営業推進部でソフトバンクショップの待ち時間短縮をはじめとする、業務改善を行っていました。そんな中で、「自動運転」と出会い、社内のアイデアコンテストで入選。社長に起業を直談判して、今30人ぐらいの社員を抱えています。

平林:実は僕、佐治さんと直接お会いするまでは、勝手に佐治さんに「ビジネスに振り切って自動運転バスを推進している人」という印象を持っていたんですよ。佐治さんとは2022年7月に僕らが開催した地域経済サミット『SHARE by WHERE 』にご登壇いただいてからのご縁ですが、(佐治さんがご登壇いただいたレポート記事はこちら)、運営メンバーからも「佐治さんがとてもハートフルな素敵な人だった」と聞いていて。

平林:以前別の場所で佐治さんとお会いしたときも「自動運転バスを使ってもらうために、地域の利用者さんたちともっとコミュニケーションをとろうと思う。利用してもらうためには、単純にハードを提供しているだけでは駄目」と言い切られていた姿が印象的でした。

佐治:僕は理系ではないので、自動運転の技術をつくれなくて。僕らができることは「利用してもらうこと」なんです。BOLDLYの社名も「大胆に挑戦しよう」みたいな意味を込めてるんですが、僕が叶えたいことは「移動の手助け」なんですよね。

ソフトバンクがスマートフォンをつくっていないのと同じで、運転技術はつくれないけど、それを世の中に広げていくプロデューサーも絶対に必要で、僕はそこを目指しています

頭を殴られたような衝撃。現場に出たことで気がついた、自分が取り組むべきもの

平林:佐治さんは、30人ほどの従業員を抱えながらも自分自身がちゃんと現場に出入りされているじゃないですか。それはどういう観点からなんですか?

佐治:僕の尊敬している方が「自分の仕事にプライドを感じるためには、ちゃんと現場に行くことが大事だ」とおっしゃっていたんですよね。

僕らが提供しているサービスを運用するのは現場の人たち。僕は地域の道を知っているわけでもないし、その土地ならではの問題に詳しいわけでもない。だからこそ、現場に行かなければと思ってます。

平林:僕は元々、ヤフーの広告エンジニアだったので、その感覚がよくわかります。当時は「作り手のエゴで利用されない無駄な機能はつくりたくない」と思いながらも、営業担当者と直接話す機会があまりなくて。「現場を知らないとわからないことがたくさんある」ことにもどかしさを抱えていました。ちなみに佐治さんは、ソフトバンクで何年働いて起業されたんですか?

佐治:8年です。8年目に新規事業のコンテストがあって、そのまま起業しました。

平林:なぜ、自動運転に注目されたんでしょうか?

佐治:これも人生だなと感じるんですが、まさに現場に出るきっかけ(3ヶ月のショップ研修の募集)があったんですよ。誰も手を挙げなかったので、これは「チャンスだ」と思い、飛び込みました。

佐治:そしたら、やっぱり現場でしか見えないものがあったんですよ。当時はちょうど大手キャリアがスマートフォンの普及に力を入れていたとき。僕は愛社精神が強かったこともあり、ソフトバンクの利用者さんは、少なからず「ソフトバンクだから」と愛着を持って利用していると思っていたんですよね。

けど、接客から契約に至ったおじいちゃんに「なんで契約してくれたんですか?」と聞いてみたら、「え、俺はソフトバンクで契約したの?」と言われたんです。「安ければどこでもいい」という言葉に、頭を殴られたような感覚になりました。すごく悔しくて、当時はうまく言語化もできませんでしたが、漠然と「 “ソフトバンクだからこそ” をもっとつくりたい」と思ったんですよね

平林:それが自動運転に繋がるんですか?

佐治:そうなんです。偶然が色々重なるんですけど、そのころ、茨城に住んでいた父親に癌が見つかりました。余命3ヶ月の宣告の中で、「1日でも1時間でも多く父親に会いたい」と思っていて。でも東京で仕事をしていたし、仕事を早く切り上げて病院に向かっても、面会時間に間に合わずに会えないことも多々ある状況に、「移動時間」と「お金」、そして「交通手段」にすごく縛られているなと感じたんです。

東京と茨城の行き来に苦しんでいる中で、「自分は『移動弱者』だ」と認識しました。それと同時に東京に帰ってきて、満員電車で大変そうな人たちを見ていたら、「みんなも移動弱者だ!」と気がついたんです。自分の問題が一般化された瞬間に、移動弱者の問題に自分が取り組む意義を感じて、ちょうど募集中だった社内のビジネスコンテストに応募し、入選することで起業の一歩を踏み出しました。

大企業に勤めながらも、自分の叶えたい未来へ突き進み続けた佐治さんの後編記事は2023年4月12日20時配信予定!「コンテストはあくまで手段!?」「利用者さんと銭湯に!?」などなど。「意味のない経験はない」と語る佐治さんの挑戦に迫ります!後編『前代未聞の直談判を皮切りに、応援者を増やし続ける佐治友基の生き方』もお楽しみに!

Editor's Note

編集後記

とっても気さくで素敵な佐治さん!現場主義と語られていましたが、対談冒頭も恋愛トークからスタートし、「なんて溶け込む力が強いんだ!」と感動。佐治さんの人を巻き込みながらつくりだす未来に目が離せません。

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