だれでもレター
※本記事は「だれでも送れる、LOCAL LETTER」の企画を通じて、読者の皆様から投稿いただいた記事となります。
今日お届けするのは、限界集落である富山県南砺市「利賀村(とがむら)」で、慶應義塾大学生が発足した「トガプロ*1」が挑戦している、“幻の果実” を使った商品開発プロジェクト。
大学生が利賀村をPRするべく、富山市内にあるマカロン・フランス菓子専門店「Monsieur・J」と協働し、新しいマカロンを開発しました。
今回トガプロメンバーが目をつけたのは、実際に彼らが足を運ぶ中で見つけた、幻の果実「さるなし」。
「さるなし」は、キウイフルーツの原種とされており、日本全国に自生しているといわれていますが、その数の少なさと、外見からはわかりづらい特徴の少なさに、なかなか存在を認知されていない果物。
食べられる時期も9-10月のわずか1ヶ月と言われており、栽培に向かないとされる一方で、ビタミンCはレモンの10倍、蛋白質分解酵素や繊維質を豊富に含むことから栄養価の高い果物として「スーパーフルーツ」とも呼ばれています。
そんな幻の果実「さるなし」を利賀村で生産していた野原丈司(のはらたけし)さんと、トガプロメンバーが出会ったことが、今回のプロジェクトの発端でした。
「野原さんにお話をお聞きすると、“さるなしをたくさん育てているけれど、消費が追いつかない。さるなしを利賀村の名産品にしたいが一人ではどうにもできない” という想いに触れたことがきっかけで、トガプロが野原さんのお手伝いをすることはできないかと走り出しました」。そう話してくれたのは、トガプロメンバーの一人である西森さん。
野原さんの想いを聞き、トガプロメンバーは早速、地元の商工会の協力を得ながら「余っているさるなしを商品化し、利賀村の新たな名産品として確立させたい」という目標を立てます。
さるなしには、「幻の果実」というキャッチーさがある一方で、市場にはほとんど流通していない果物だからこその苦労もあると西森さんは話します。
「お客様に味のイメージを持っていただくことが難しいんです。リンゴやイチゴなど、定番の美味しい果物がたくさんある中で、さるなしを選ぶ人はどんな人なのか? どんなメッセージを伝えると購入してもらえるのか? 頭を悩ませています」(西森さん)
そんな中、西森さんたちが見つけた突破口は「幻の果実」という希少性と、「スイーツ」という日常性を組み合わせること。
「例えば、富山県の山奥でたっぷりの太陽と透き通った空気、そして水を存分に受けて育った、市場では滅多に出会えない幻の果実 “さるなし” を使ったスイーツです。と聞けば、どんな味がするんだろう? どんな場所で育てられたんだろう? と興味が湧きませんか?」(西森さん)
「さるなし」のスイーツを通じて、利賀村に興味を持つきっかけをつくりたいと活動しているトガプロメンバー。
昨年は、都内のケーキ屋さん「ENTIER」とコラボした「さるなしケーキ」を開発していましたが、今年は地元の富山県でマカロン・フランス菓子専門店を営む「Monsieur・J」とコラボをしています。
「今年は、利賀村により近い富山市の人を中心に、利賀村を知ってもらいたいと考えました。より多くの人に知っていただくために、noteやInstagramでの情報発信から、コンセプト動画制作、生産者の野原さんにマカロンの感想を送れる利賀村宛のポストカードの制作も行なっています」(西森さん)
昨年度以上に、利賀村と繋がるためのきっかけづくりに奔走しているトガプロメンバー。動画には、さるなしの収穫から、さるなしがマカロンになるまでの過程を、アニメーションや野原さんへのインタビューを用いて作成。マカロンが出来上がるまでの過程が、一つのストーリーになっています。
「利賀さるなしマカロンを食べることで、利賀村はどんな場所なんだろう、このさるなしマカロンは、誰のどんな想いが込められて完成したものなんだろう、と思いを馳せてもらえたら嬉しいと思っています。そして何より、利賀村に興味を持った皆さんに実際に足を運んで頂き、生の利賀村を感じてほしいですね」(西森さん)
「利賀さるなしマカロンが利賀村に関わる入口にしたい」そう願う彼女たちの挑戦は、まだまだ始まったばかり。ぜひ応援をよろしくお願いします!
*1 トガプロ
慶應義塾大学商学部・牛島利明研究会が取り組むプロジェクトの1つ「利賀プロジェクト」の愛称。トガプロでは、東京の学生目線で利賀村でしか出来ないこと、出会えないものを発見し、村内外に発信・活用している。
<この記事を投稿してくれた人>
慶應義塾大学 商学部 牛島利明研究会 利賀プロジェクト
西森 菖
慶應義塾大学商学部 牛島利明研究会の利賀プロジェクトのメンバー。利賀プロジェクト11期生として、利賀村に足を運び、利賀村の虜になる。
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