Agriculture
農業
生きる上で欠かせないけれど、忙殺される中で疎かにされてしまいがちな「食」。
私たちにとってあまりにも身近な存在である「食」は、その近さ故に、いつの間にか意識せずに生活してしまっている方も多い。では、もし私たちが「食」に向き合ったら、食卓の向こう側、さらにその先の「農業」には、どんな想いが込められているのだろうか。
今回は、井本 喜久氏(株式会社The CAMPus BASE 代表取締役)、松本 純子氏(農林水産省大臣官房広報評価課広報室 広報企画係長)、高橋 博之氏(株式会社ポケットマルシェ 代表取締役)、高橋 邦男氏(こゆ地域づくり推進機構 執行理事)がセッションを実施。
様々な立場から、彼らはどうやって「農業」がライフスタイルを豊かにすることを証明するのか——。
邦男氏(モデレーター:以下、敬称略):まずは僕から自己紹介します。宮崎県の新富町で地域商社をやっている、こゆ地域づくり推進機構(通称:こゆ財団)の高橋といいます。僕は今まさに新富町にいて、気温が15~16℃くらいで結構暖かい、そんな日でございます。今回のセッションがずっとドキドキで、どうしようと思いながら今日を迎えました。「農あるライフスタイル」というテーマでお話をしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
井本氏(以下、敬称略):株式会社The CAMPus BASE 代表の井本です。インターネット上で農のコミュニティを運営しています。新しい農家がどんどん誕生できるように僕らは活動していて、今後は、地域をどうやってつくっていくのか、どう面白くするのかが大きなテーマだと思っています。
この「SHARE by WHERE」は「地域をどうやってつくるか」に対するド真ん中のイベントなので、これを見ている人たちが「見てよかったな」って思ってもらえるように話したいと思います!よろしくお願いします。
松本氏(以下、敬称略):農林水産省で広報の仕事をしている松本純子といいます。あだ名は、略して「まつじゅん」です。ちょうど1年前に農水大臣の命により、日本初の官僚系YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」 を立ち上げる際の担当となり、現在もその運営を行っています。
BUZZ MAFFは、公務員である職員自らがYouTuberとなり、その個性やスキルをもって日本の農林水産業の良さを発信するチャンネルです。これまで公務員が自ら発信することはなるべく避けられていたことが多く、他の省庁や自治体もそうでしたが、農水省が口火を切って始めたところ、“お役所らしからぬ攻めた動画が面白い” と好評をいただいています。
松本:今日のテーマ「農あるライフスタイル」については、私自身が週末農ライフとして、週末農業サークル「NINO FARM」を仲間とやっています。年間通して野菜作りをしたり、食べることも大好きなので週末に全国の美味しい産地へ出向いたりしています。今はコロナ禍でなかなか産地まで行けないので、ポケットマルシェを利用しながら農ライフを送っています。
博之氏(以下、敬称略):まつじゅんさんからパスをいただいた、株式会社ポケットマルシェ(通称、ポケマル)の高橋博之です。僕は今、宮城県と福島県の境の大地を歩いていて、気仙沼から松島まで来ました。被災地の沿岸を徒歩で横断することをはじめて、今日で7日目です。東日本大震災からは10年が経ちましたね。
僕は食べる人と作る人を繋げる取り組みを、オンラインマルシェという形で始めましたが、まさに今日のテーマそのものですね。今は僕ら消費者と、食べ物を作る現場が離れすぎています。生き物の故郷は海と土なので、僕ら人間もそこに時々還ってみてもいいんじゃないかと思っています。都市と地方をかき混ぜる、つまり多くの都市住民がいろんな形で「農」に参加していければ、もっと元気でいい世の中になるんじゃないかと思っています。
邦男:今は、生産・農の現場と消費者をつなげる「つなげ方」がかなり多様になってきたと僕は感じていますが、ポケマルを始めた博之さんには、今の状況はどう見えていますか?
博之:東日本大震災が無かったら、僕はポケマルを始めなかったと思います。今はコロナ禍で当たり前のように生産者からお取り寄せをしていますが、僕はこの文化も、東日本大震災が起きていなかったらなかったものだと考えています。
東日本大震災が生み出した大きなものは「普段会うはずのない生産者と消費者が出会えたこと」、つまり未知との遭遇です。被災者の多くが漁師と農家で、支援者はほぼ消費者だった。両者がご対面をして結ばれていったのが、震災の産物だと思っています。
加えて今は全ての生産者の掌の上にPCがあり、直販環境が整った時代になりました。しかもコロナ禍、ステイホームで外に出にくい。そんな背景もあって今、直販が広がっていると僕は認識しています。
松本:コロナ以前は「どこで食べるか」に焦点を当てていたような気がするんですけど、コロナをきっかけに「何を食べるか」に真摯に向き合うようになったと思います。コロナで行き先を失った鯛とか、お肉とか、いろんな食材を食べることで応援できる。今まで食と向き合うことのなかった人たちが、「食べることで何かを応援できる」と感情が動いてきているのをすごく感じます。
邦男:「食べる=応援」という概念って、確かに今まであんまり考えてこなかったと思いますよね。僕は数年前に博之さんと出会ったことがきっかけで『高千穂郷食べる通信』の立ち上げに少し関わったことがあるのですが、その関わりから言えば、食に対しての概念が「単に食べること」から「誰から食べるか」にシフトしている感じがありますね。「この人の作ったものを食べたい」という風にだんだん距離が近づいただけじゃなくて、ちゃんと顔が見えるようになってきた。すごく大きな変化だなと思っています。
井本:僕のやっているThe CAMPusは、最初は「インターネット農学校」といって、インターネット上で農業を教えていく有料のWebマガジンを配信するところからスタートさせましたが、今はすごく面白い時代に突入していると思っています。
さっき博之さんが言ったように、テクノロジーの進化によって、農家さんの掌に誰でもいつでもPCがある時代に生きているので、「農家さんたちの素晴らしい知恵をもっと世の中に発信していきたい!」と思って、知恵を生かしたコミュニティを作っているところです。
特に僕らがキーワードとしているのが「コンパクト」です。「小さいエネルギーで大きな豊かさを手に入れる」ことを目標に、「コンパクト農ライフ塾」というスクールと、地域の活性化をプロデュースをしています。
井本:今は本当にいい時代に生きていると思うんです。自然という環境が身近になってきた。テクノロジーの進歩によって、いつでも自然の素晴らしさにアクセスできる環境になりました。博之さんの先程の「都市と農村をかき混ぜる」という話や、BUZZ MAFFでやっている情報発信が一気に世界へと広がっていく時代に生きている。それを生かさない手はない。そんなことをみんなで話せたらいいなと思っています。
邦男:「コンパクト」というキーワードを、いもっちゃん(井本氏のあだ名)から提示してもらって、僕も改めて意識をしています。「農」におけるコンパクト=「誰から食べるのか」「誰とつながっているのか」はすごく大事だと思っていて。
農業って裾野が広いじゃないですか。僕らの新富町も農業の町ですが、農家さん自体はそこまで多くなくて。でも飲食や流通のように何らかの形で農業に関わっている人たちはたくさんいます。
いもっちゃんが言っていたように「いかに農業が魅力的に映るか」が結果的に、ライフスタイルにまで繋がることを考えると、「かっこいい人」「意識できる人」が増えていくことが大事ですよね。
邦男:まつじゅんさんに投げてみたいんですが、農家とは少し畑が違う農水省の職員さんたちがYouTubeでバズったじゃないですか。僕はまつじゅんさんのインタビュー記事を読みましたが、その中に「自分でも予想していなかった変化が起こって、それに感動して泣いたことがある」と書いてありました。何が起こったのかを改めて教えてください。
松本:以前博之さんが「消費者と生産者の関係は、行政と国民の関係性に似ている」と著書で書かれていて、私も共感しているんですが、消費者と生産者の両者には “かみ合わない何か” があると、ずっと疑問を感じていました。
今までの農水省の公式YouTubeチャンネルだと、「委託業者の方がきれいな農村の風景を撮って、政策をPRするために勧める」というワンクッションがあったけど、BUZZ MAFFは職員自らがYouTuberになって、自分の想いを自分の声で語らなきゃいけないようになったんです。なので、職員たちは自分たちの言葉で直接話をして、動画のコメント欄も解放してみたんですよ。
松本:職員たちが自ら発信したことによって、「ああ、農業ってこんな風になっているんですね」「今まで新聞の農業記事なんて読み飛ばしていたけど、BUZZ MAFFを見るようになって目に留めるようになりました」とか、「食べて応援できるんだったら買おうかなと思って、ECサイトで買いました」みたいな、視聴者との交流ができるようになった気がするんですね。
プロジェクト自体を立ち上げたのは広報室なんですけど、そこで発信する子たちの発想が本当にすごいんです。例えば「大臣にアフレコするのに、映えるには?」とか「ラップで説明できないか」とか、考えてくるアイディアが私たちの想像を超え過ぎていて(笑)そしてそれを見て下さる視聴者がすごいなと思っています。視聴者の皆さんがコメントでどんどんリアクションを返してくれるので交流が広まるんですよね。制作側も視聴者側も、私の最初の想像を超えすぎていて、日々コメント欄を読んで、ジーンと来ています。嬉しいことですよね。
邦男:BUZZ MAFFのフリースタイル感と、いもっちゃんが発信しているスタイルとを見ていて、僕は両者には同じカテゴリのカルチャーを感じますが、いもっちゃん的にはどうですか?
井本:「今後コミュニティをどう形成していくか?」はとても大事な観点だと思っています。コミュニティって、作ろうと思って作れるものじゃなくて、誰かのメッセージに共感する人たちが集まって、1個のムラ社会みたいなものが徐々に作られていくんですよね。
従来コミュニティは各地域にありましたが、今なら誰かが「こんなこと面白くね?」とか「こんなことやろうよ」とSNSでメッセージを出したら、どんどん結びつく。さらにそこから、多様な階層やジャンルに細分化されたコミュニティができて世界に広がっていきます。
BUZZ MAFFは面白いメッセージを多く出す中で、自分たちが発信したことがコミュニティ形成にうまくハマって来ているケースですね。俺たちもThe CAMPusで、「持続可能な形をどうやって作るか」というメッセージをどんどん発信することで、今までは接触できていなかった層にも届いて、めちゃくちゃ面白い反応が起こっていく博之さんがやっている「車座座談会」もそうですよね。
邦男:車座座談会は震災後から開始されて、すでに900回超(2021年2月末時点)かと思いますが、それを続けるエネルギーの持ち方や、行く末を見ながらどうやってやり続けていらっしゃいますか?
博之:元放送作家の永六輔さんが「1,000人に1回講演するよりも、10人との集会を100回やったほうがいい。なぜならそれが文化になるから」って言ってるんですね。
だから僕は、車座座談会は一時的なファッションじゃなくて、きちんとカルチャーにしていきたい。今は近代の家族制度が変容していて、個人の流動化社会なんです。今までの家族や会社といった「コミュニティ以外に所属できる場所」を多くの人が求めているなっていうのが肌感覚であったので、僕自身もそのように帰属できるコミュニティをつくる挑戦で、まずは自ら実践することをやり続けています。
井本:博ちゃん(博之氏のあだ名)はスペシャルな活動をいっぱいしていて、とにかく前世から兄弟なんじゃないかなって本当によく思う。博ちゃんの活動はあったかいし、常に愛が溢れているんで、とにかく応援したくなる男ですよね。かっこいい!
邦男:今、東北の沿岸を歩いていらっしゃる博之さんと、オンラインで繋がることができるのも、時代がそれだけ変わったということでしょう。
いもっちゃんからみて、博之さんって「農」のジャンルの中ではどういう存在ですか?
井本:第1次産業を盛り上げていく覚悟を持たれています。「今までとても複雑な流通経路を通って消費者に生産者のモノが届いていたけど、それを直に繋ごうよ」をめちゃめちゃ声を大にして言っている。生産者の想いを消費者へ、また消費者の想いも生産者に伝えている人ですよね。
「誰が作ったものを誰に食べてもらうのか」は自分たちで決めればいい。スーパーでモノを買うのが悪い訳ではないけど、「顔の見える人たちと丁寧に付き合っていこうよ」ということが大事な時代なんじゃないでしょうか。だからポケマルでそれをしている博ちゃんは素晴らしい。ますますポケマルが広がればいいと思います。「食が楽しいね」って気づき始めている人たちがめちゃくちゃいるわけだから。
俺らは「農」でライフスタイルを面白くしたいと思ってるんだけど、真ん中に「誰と何を食べて、どういう風に過ごすか」があり、非常に大事だと思っています。農家さんから直接買いながらコミュニケーションができる点で、ポケマルはめちゃ便利。ますます使いたいと思うし。
邦男:皆さんのお話を聞いていて2つの変化によって、「選択肢」が増えたということが共通のキーワードではないかと思っています。
2つの変化の1つ目は、さっき博之さんがおっしゃっていたことですが、まずテクノロジーの変化。今までだと「農業=土を触って大変」なイメージがありましたが、今は農家さんが手のひらにPCを持つ時代です。もう1つはライフスタイル・価値観の変化ですね。博之さんのお話を借りると「個人が流動化している」時代背景もあって、選択肢の自由度が高くなったと感じますね。
邦男:まつじゅんさんにも聞いてみたいんですが、農水省も選択肢が広がったことを活かして、BUZZ MAFFのような自由な表現で「農」の素晴らしさを伝えていると思います。今後これを現場でどのように展開していこうとか、思惑はあるのでしょうか?
松本:農水省は「ライフスタイルの変化に過敏に対応しないといけない」ということで、コロナ禍においても「新たな農村政策に関する検討会」を進めています。その時は2時間くらいの会合でしたが、議事録を見たら面白くて。「ゆるふわ」っていうワードが40回くらい出てきたんですよ。
「これから農ライフを進めるためにどうしたらいいか?」と考えた時に「 “ゆるくふわっと概念的に” 考えていかないとどうしようもないね」と有識者の方からご意見が出ています。
私は今「週末農ライフ」をやっていて、家の中でもハーブを育てていますが、それだけでも農ライフと言えると思うんです。ただ、その個人の次元から先の、「農ライフを発展させるために何をすべきか」は国で考えないといけない。
農ライフ的に例えて言えば、私がやっている週末農ライフが中学生レベルとしたら、井本さんの「農ライフを育てる学校を作る」のは高校生レベルの役割。ポケマルの高橋さんがされているように、新規就農者の人がポケマルに出品することは大学生レベル。さらにこゆ財団さんのように農家と協力して地域活性化をすることは社会人のレベルでしょうか。徐々に対象を広げてステップアップしながら農ライフを進めることを、国としても考えたいと感じました。
邦男:「ゆるふわ」という言葉が、国の検討会の議事録に40回も登場したことにも、BUZZ MAFFがバズった効果が象徴されていますよね。まつじゅんさんの周りでは、カルチャーの変化もあったりするんでしょうか。
松本:BUZZ MAFFはそもそも大臣(注:江藤拓・前農水大臣)の命令があり、周りの後押しで上手く進みましたが、実は開始に至るまでに相当な反対もありました。「炎上するぞ」という反発と、「どうせ無理でしょ」みたいなことをすごく言われたんです。でも開始してみると「あ、面白いね」と。一見ふざけて見えるけど、それは農林水産業の魅力発信のためにやっていることに気づいてくれた人が多かったんです。
先程このセッションのチャットに「花の動画が面白かったです」と書き込んで下さった方がいます。コロナ禍で暗いニュースが流れる中で「自分たちも何かしたい」と思っていた時にBUZZ MAFFをご覧になった方が、「花を買って生産者さんを応援できることに気が付いた」ところから花の動画がバズり始めました。そのことで、花卉業界の消費が少し動いたと聞いています。
松本:「牛乳をもう1杯飲もう」という動画も話題になりました。その動画がバズったせいなのかどうかはわからないんですけど、家庭内の牛乳の消費が1~2割ほど増えた。実際に消費行動に動きが出たことによって、BUZZ MAFFの中の人たちも「効果があるんだね」と理解してくれるようになりました。省内的には、省内政策とBUZZ MAFFのコラボ依頼が多く来ています。「国民に伝える手段として、こういうやり方もあるんじゃないか」と、省内の理解も得られ始めています。
邦男:カルチャーの変化が、実際の政策行動に結びつき始めましたね。ちなみに僕は、前大臣の宮崎弁のアフレコ動画が最高に面白かったです(笑)大臣をネタにすることは今まではタブーでしたが、そこを超えてきていますね。さっきの「選択肢の広がり」という意味で、本当に広義のフリースタイルになってきていると改めて感じます。
松本:BUZZ MAFFを始めてから私が一番びっくりしたことは、メディアからの反応があるのはわかるんですが、話題になり始めた時に自治体や農業団体からの問い合わせがあったことなんです。
そして農業者からも問い合わせがありました。彼らは、コロナ禍においては動画を使ってどんどん発信することが有効だと思ってはいたけれど、動画にはリスクも大きくあるので、今まで自分たちから発信すること自体に怯えていました。
しかし「中央省庁が始めたんだから、自分たちも何かできるんじゃないか」ってことで、農業者自身も発信したい、発信しなくちゃいけないと感じ始めていると思います。
私は「農家さんってしゃべるのが苦手なのかな」って思ってたんですけど、結構上手ですよね。博之さんのラジオ、Clubhouseを聞いていても、話し上手な農家さんが本当に多いなって思います。
邦男:博之さんと饒舌に語り合っている農家さんの何と多いことかと感じますね。農家さんは「言葉を持っている」と僕は思うんですけど、博之さんはどうですか?
博之:最近は弁の立つ農家が多いから、こっちもきりきり舞いですよね。今まで生産者の顔が見えなかったけど、そこから個人として「僕は『生産者A』じゃない」とか、「俺は〇〇という哲学を持ってやっているんだ」って言いたがっている人たちがいますよね。
生産者さんの中には、一旦消費社会に出て企業勤めをした後に農業をやっている方も多いです。消費社会では、伝えないと相手に価値が理解されないので、企業勤をしてから農業をやる人が増えているのも、「言葉を持つ生産者」が増えている大きな理由だと思います。
博之:まつじゅんさんがさっき僕の本に触れてくれましたが、消費者と生産者の関係と、住民と行政の関係は似ていると思うんです。本来は相思相愛というか、住民の暮らしが良くなるために行政があるし、消費者の食卓が豊かになるために生産者がいるはずなのに、これまで行政とか農業は縁遠いというか、住民も消費者も無関心で文句ばっかり言っている存在。
でもそれは行政と農業の側にも問題があると思っています。まつじゅんさんがおっしゃるように、行政と農業は今まで黙ってきた。そこから「自分たちはこういう考えを持っているよ」と農水省も農家さんも発信をし始めた。そうすると住民側も消費者側も「そうか」と理解が進んでいきますよね。
発信して自分の意思を表明すると、そのことに賛成・反対が出てくるから怖いことではあるけど、文句が出てきたときに「自分たちに足りないものを指摘されたんだな」くらいに思ってやらないと。みんな炎上を怖がるけど、それを恐れて発信しないのは自分たちの価値を伝える手段を失うことになるので、どんどん発信すればいいと僕は思います。
草々
Editor's Note
もはや私たちの日常生活では切っても切り離せないSNSや動画。まさかそれが、農業という第1次産業の発展にも役に立つ存在であることを、どのくらいの人が意識しているのでしょうか。
テクノロジーの変化は、手のひらの中のスマートフォンにもある。生産者も消費者も、それを利用しない手はないのです。一方的に与えられるだけではなく、個人が誰と繋がりたいかを選択していく時代になりました。自分たちの生活に、どういう形で「農」を繋げていくか。またどういう形で消費に結びつけるか。発信する側も、メッセージを受け取る側も、自分たちの選択肢を自由自在にデザインできる。そんな時代の方向性をしっかりと認識できるトークでした。
KAYOKO KAWASE
河瀬 佳代子