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LOCAL LETTER

VUCA時代、多様なリーダーが存在していい。「地域を動かすリーダーやコミュニティマネージャーの育み方」(後編)

JAN. 31

拝啓、地域の文化や習慣に揉まれながら、思い描く未来に向かって奮闘しているアナタへ

社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっている「VUCA時代」。

地域でもとりまく環境が変化し、未来の予測が困難な中、多くの人たちを巻き込みながら、地域課題に取り組む「地域リーダー」と呼ばれる方々に注目が集まっています。

とはいえ、「地域の為に何か行動をしたい!」と思いながらも、長年築き上げられてきた各地域特有の文化や習慣によって、思ったように地域内でコミュニケーションが取れず、「物事をうまく前に進められない」と悩んでいる方も多いかと思います。

そんなアナタのために開催した「SHARE by WHERE」は、完全オンラインで行われたあらゆる業界・地域を超えた地域経済活性化カンファレンス。今回は、全国各地から参加された総勢70名以上の登壇者でセッションが行われました。

中でも本記事では、「地域リーダー論!地域を動かすリーダーやコミュニティマネージャーの育み方」をテーマに、山下 翔一氏(株式会社ペライチ 取締役会長)、渡邉 知氏(株式会社ファイアープレイス 代表取締役)、、田中 佑典氏(総務省 Public Meets Innovation理事)、林 篤志氏(NextCommonsLabファウンダー)、澤田 哲也氏(ミテモ株式会社 代表取締役)の豪華5名のトークをお届け。

後編では、次世代との繋がりをつくる「地域リーダーの役割」に迫ります。

次の世代に何を残すのか。時間軸を飛び越える地域リーダーの役割

澤田氏(モデレーター:以下、敬称略):渡邉さんはいろんな形で、“人が育つ場づくり” を実践されてきたと思いますが、渡邉さんが考えるリーダーについて教えて頂きたいです。

写真中央上>澤田 哲也(Sawada Tetsuya)氏 ミテモ株式会社 代表取締役 / クリエイティブ × テクノロジー × 教育を軸に、多種多様な教育事業を立ち上げ、2018年には日本の地場産業や伝統工芸のプロデュース人材を輩出する「JAPAN BRAND PRODUCE SCHOOL」設立。2020年、全国各地の作り手・産地と生活者を繋げるオンライン・クラフト・マルシェ 「Local Craft Market」を立ち上げ実施。
写真中央上>澤田 哲也(Sawada Tetsuya)氏 ミテモ株式会社 代表取締役 / クリエイティブ × テクノロジー × 教育を軸に、多種多様な教育事業を立ち上げ、2018年には日本の地場産業や伝統工芸のプロデュース人材を輩出する「JAPAN BRAND PRODUCE SCHOOL」設立。2020年、全国各地の作り手・産地と生活者を繋げるオンライン・クラフト・マルシェ 「Local Craft Market」を立ち上げ実施。

渡邉氏(以下、敬称略):まず一般的に、「リーダー」と「リーダーシップ」は違うと思っています。リーダーは役割で、リーダーシップは、能力・スキルのこと。私は、地域リーダーを一言でいうと「時間軸を長くすること。時間軸を飛び越えることだと思っています。

写真左上>渡邉知(Satoru Watanabe)氏 株式会社ファイアープレイス 代表取締役 / 電通グループの人事部採用マネージャー/経営計画室勤務を経てリクルートへ中途入社、2010年全社トップガンアワード(TOP OF TOP営業)受賞。2011年よりじゃらんリサーチセンターの研究員・プロデューサーとして、交流人口増加による地域活性に携わる。 2015年独立、Fireplace代表。自社ミッションを「つながりの創出によって共感と共働の総量を増やす」と置き、より多くの人間的なつながりが産まれるための場づくり、プランニング、プロデュースに挑戦中。東京都観光まちづくりアドバイザー、静岡県地域づくりアドバイザー他多数で活躍。
写真左上>渡邉知(Satoru Watanabe)氏 株式会社ファイアープレイス 代表取締役 / 電通グループの人事部採用マネージャー/経営計画室勤務を経てリクルートへ中途入社、2010年全社トップガンアワード(TOP OF TOP営業)受賞。2011年よりじゃらんリサーチセンターの研究員・プロデューサーとして、交流人口増加による地域活性に携わる。 2015年独立、Fireplace代表。自社ミッションを「つながりの創出によって共感と共働の総量を増やす」と置き、より多くの人間的なつながりが産まれるための場づくり、プランニング、プロデュースに挑戦中。東京都観光まちづくりアドバイザー、静岡県地域づくりアドバイザー他多数で活躍。

渡邉:私たちは今を生きていますが、地域リーダーは、ローカルにおける「過去と現在」、そして「現在と未来」を繋いでいくことを考えている方じゃないかと。私たちはいつか死にますが、山や川、そして日本という国は残っていくわけです。未来と接続するといった意味でリーダーは、次の世代に対して、何を残していくのかを言語化したり、率先して行動したりすることが、すごく大事なことだと思いますね。

林氏(以下、敬称略):私が思うに、リーダーって人生の役割みたいなもので、職業にはならないじゃないですか。けど、私はもう少しリーダーが職業化してもいいんじゃないかと思っています。だって、ワールドカップの代表監督だって、4年単位でまわってるんだから、ちゃんと成果がでたら次の地域に呼ばれるみたいに、リーダーも職業マーケットとして成立しないといけない。リーダーの育成やリーダーの認識の広がりに関しては、まだまだ頑張らないといけないなとも感じています。

写真左下>林 篤志(Atsushi Hayashi)氏 一般社団法人Next Commons Lab 代表理事 / ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」をつくる。2016年(一社)Next Commons Labを設立。自治体・企業・起業家など多様なセクターと協業しながら、新たな社会システムの構築を目指す。日本財団 特別ソーシャルイノベーターに選出(2016)。Forbes Japan ローカル・イノベーター・アワード 地方を変えるキーマン55人に選出(2017)。
写真左下>林 篤志(Atsushi Hayashi)氏 一般社団法人Next Commons Lab 代表理事 / ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」をつくる。2016年(一社)Next Commons Labを設立。自治体・企業・起業家など多様なセクターと協業しながら、新たな社会システムの構築を目指す。日本財団 特別ソーシャルイノベーターに選出(2016)。Forbes Japan ローカル・イノベーター・アワード 地方を変えるキーマン55人に選出(2017)。

お互いを好きになる。地域の歴史を語れる場づくりの大切さ

田中氏(以下、敬称略):先ほどの渡邉さんの話は、僕がやっている「ムラツムギ」の活動でも共感するところがあります。ムラツムギの活動を通じて思うのは、代々地主や名主みたいなポジションにいる人たちは「自分の先祖はこうだった」という、ある種、自分の経験として語れる過去を持っているということなんです。長年同じ地域で暮らしている方は、それまで過ごしてきた地域の時間を自分事として遡り、自分の口で話すことができる方がたくさんいます。

写真右上>田中 佑典(Yusuke Tanaka)氏 総務省、Public Meets Innovation理事 / 長野県等への赴任を経て、総務省で人口減少下の持続可能な社会実現への企画/立案に従事。官公庁勤務の傍ら(一社)Public Meets Innovationの立上げに参画。TEDxSakuの "ふるさとの看取り方" で大きな反響を呼び、NPO法人ムラツムギを設立。現在は米国コロンビア大学修士課程へ在籍(公共政策学)。2019年世界経済フォーラム からGlobal Shapersに選出。
写真右上>田中 佑典(Yusuke Tanaka)氏 総務省、Public Meets Innovation理事 / 長野県等への赴任を経て、総務省で人口減少下の持続可能な社会実現への企画/立案に従事。官公庁勤務の傍ら(一社)Public Meets Innovationの立上げに参画。TEDxSakuの “ふるさとの看取り方” で大きな反響を呼び、NPO法人ムラツムギを設立。現在は米国コロンビア大学修士課程へ在籍(公共政策学)。2019年世界経済フォーラム からGlobal Shapersに選出。

田中:一方で、新しく地域に入ってこられた方は、そういった歴史的資材を持ち合わせていないのにも関わらず、地域の方と同じように地域のことを話せる方がいるんです。彼らに名前をつけるなら、地域の歴史を自分事化している人たちだと思います。結局、その地域で住み続けてきた人たちと、どれぐらいの距離感をつくれているかに帰結するということなんですよね。

山下氏(以下、敬称略):私はよく「地域に住んでいる人よりも地域の魅力を語れるね」と言われるんですが、地域に行った時は必ず、訪れた地域を好きになることを意識をしています

写真右下>山下 翔一(Shoichi Yamashita)氏 株式会社ペライチ創業、取締役会長 / HP作成サービス ペライチの創業者。その他、応援村(経産省連携)実行委員 兼 広報部長、地域循環共生圏プロジェクト(環境省主導)メンバー、(一財)カブジチコンソーシアム 代表理事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授、複数自治体の顧問やアドバイザーなど合計で100以上の法人やプロジェクト等の代表/役員/顧問等を務めている。2020年12月には東かがわ市の創生総合戦略アドバイザーに就任し「わくわく課」を設立。
写真右下>山下 翔一(Shoichi Yamashita)氏 株式会社ペライチ創業、取締役会長 / HP作成サービス ペライチの創業者。その他、応援村(経産省連携)実行委員 兼 広報部長、地域循環共生圏プロジェクト(環境省主導)メンバー、(一財)カブジチコンソーシアム 代表理事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授、複数自治体の顧問やアドバイザーなど合計で100以上の法人やプロジェクト等の代表/役員/顧問等を務めている。2020年12月には東かがわ市の創生総合戦略アドバイザーに就任し「わくわく課」を設立。

山下:排他的な地域へ行くと、「山下ってどいつだ。ぶんなぐってやる」みたいなことを言われることもありますが(笑)。でもそういった地域の方々に、「私はあなたたちのことが好きです」って伝えて、毎日3、4時くらいまで飲んで語って、最後には仲良く肩を組んで帰ったりする。そういう風にお互いに興味をもって、お互いを好きになることが地域においてはとても大事なんです。そのためにも、コミュニティの中でお互いの話を心地よくできる空間をつくってあげることは大事だと思っています。

地域のおじちゃんとおばちゃんが鍵!?肩書の価値観を引き剥がす

澤田:山下さんや渡邉さんの話もそうですが、一つの地域という枠組みに捉われず、人が育ち変容するコミュニティをつくることが肝になると感じますね。その中で林さんのNext Commons Labの活動がユニークで興味深いんですが、所属されている140人くらいの起業家さんが、どのようにして自分の職業や役割を見出しているのか、そのプロセスを共有いただきたいです。

林:コミュニティを作る時って、所属する人のスキル、例えばクオリティの高いアウトプットができるかってことは全く関係ないんですよね。コミュニティは「その人がそこにいることを認められること」であり、「そこで存在すること」だと思っています。例えば今日の登壇者のほとんどが日本社会に生まれ、んでいないけど日本社会コミュニティの一員なんですよ。ただ時代が変わってコミュニティを選べるようになり、作れるようにもなった。しかも、一つのコミュニティに属し続けなくてもいい。そうすると、リスク回避の意味も込めて、コミュニティを複数もっていたほうがバランスがとりやすくなる

林:これまでの職業やマーケットにおける人の価値って、たくさんの肩書やスキルを持っていることだったと思いますが、私たちはそれらの価値観を一回全部引き剥がすことが重要だと思っています。引き剥がすというのは、一人の裸の人間になるということ。

そうすると、技術やスキルは関係なくて、むしろ一人一人の人間として、「あなたは何なの?」「どういう存在なの?」と、さまざまな局面で問われ続けるんですよね。そうすることで、自ずとコミュニティの中における役割や存在意義みたいなものが見いだせる、というか、見出さざるを得ない状況になってくるんです。それが僕たちのやり方なんですよね。

澤田:「既存の役割や固定概念を引き剥がす」っていうのは、キーワードとして他のコミュニティでも共通すると思いますね。ちなみに、具体的にはどう引き剥がすんですか?

林:私たちが引き剥がすんじゃなくて、いわゆる都市圏の大企業に勤めていた人たちが仕事を辞めて、縁もゆかりもない土地にいって、地域資源を使った新規事業づくりや、地域課題の解決にチャレンジしてもらいます。そうすると、勝手に引き剥がされるんですよ。

地域のおじちゃんおばちゃんに「株式会社の〇〇です。こういう仕事してきました」って言っても、「そんなん知らんよ」「君だれ?」っていうところから始まりますから。つまり、地域のおじちゃんおばちゃんによって、価値観が自然と引き剥がされるんですよ。

地域に根付く “非言語領域” のコミュニケーション

林:今の社会は言語に依存しすぎていると思います。究極的には言葉から離れたところ=非言語の領域で、どうコミュニケーションをとるか が大事なんですよね。山下さんから「朝まで飲む」っていうお話もありましたけど、そういった非言語領域が地域にはたくさんあるつまり、私たちが色々仕掛けるというより、ローカルが元々そういう特性をもっているんだと思います。

渡邉:私たちは勝手に言葉で線引いてるわけですよね。例えば、“官” と “民” の線引きをしているから、“官と民が連携する” という言葉が生まれる。“働き方改革” とか “ワーケーション” といった言葉をつくらないと、予算が付かない。つまり、私たちは言葉をつくらないと想像や行動ができなくなってしまったんですよ。

それは未来のことを考えると、よくないなと思っていて、もしかするとリーダーっていうのは、半径3m,5mのおじちゃんおばちゃん、子どもたちに対して、「俺が、お前が、」じゃなくて、「俺とお前を越えたところ」で、言葉に依存せずとも大切なことをしっかりと伝えられることができる人のことかなと思いました。

リーダーが一人で背負う必要はない。得意分野を掛け合わせ、「できる」を増やす

田中:今の渡邉さんと林さんの話がおもしろくて、「自分と相手の境界線を溶かす」や「時間軸」もそうですが、お二人が語るリーダー像と地域っていうのは相性がいいのかなと思ったんです。都会で求められているリーダー像って、それこそ林さんがおっしゃられた「言語化する能力」や「人をモチベートさせる」といった、人工的な匂いがするんですよね。一方でお二人が出会ってこられた地域のリーダーは、人工化されたリーダーシップみたいなものを飛び越えていく人間らしい存在なのかなと感じたんです。

林:そうですね、わたしはその中でもハイブリッド性が必要だと思っています。例えば “バイブスで引っ張っていける力” と “言語力” を持ち合わせているリーダーって全然いないなと思っていて。でも言語でしか伝わらない人たちもいる。なので、言語担当と非言語担当みたいなリーダーが2人くらいいるといいですよね。

山下:本当にいろんなリーダー像がありますね。私が思うことは、世の中には魔法使いみたいなすごい人がたくさんいるんだから、いろんな人たちを巻き込んでいけば、何でも叶うっていうことです。未来に対して疲弊せず、ワクワクする人を増やしていけば、その熱量が地域の人たちに移って、そこからいろんなコトへ広げていける。そんな可能性あるリーダーシップを発揮出来たらいいなと思いますね。

澤田:あっという間に時間がきてしまいました。今回「地域のリーダーが育つコミュニティや環境、リーダーが育つ流れのつくり方」みたいなところもお聞きすることができて、非常に参考になりました。リーダー像は多様だという話もありましたが、なかなか一人では完璧なものは作れないですので、プレイヤー同士が得意分野を掛け合わせていくと、一つの地域に限らず、横断的に人が育つ新しい未来が生まれるのではと考えさせられたセッションでした。ありがとうございました。

Editor's Note

編集後記

地方に移住したばかりのころに、「何かをするときは、必ず先に〇〇さんに話を通す」であったり「この地域ではそれは絶対にしてはいけない」といった、自分には分からない地域の“暗黙のルール”に悩まされ、地域コミュニティの難しさを肌で感じたことがありました。

一方で、「一度深くお酒を交わせば、全員仲良し!」といった明るいルールもあり、地域における“非言語のコミュニケーション”の重要性を再認識しました。

こちらの意志を押し付けるのではなく、まずは相手を理解する。シンプルだけれど、人と人との繋がりを大切にすることに地域リーダー論のヒントがあると感じました。

これからもSHARE by WHEREの応援をよろしくお願いします!

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