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【公務員特集】今の自分があるのは努力をしたから。元バンドマン公務員が明かした「成果が出てるまでやって、はじめて努力という人生」

FEB. 13

MIYOSHI,SAITAMA

前略、自分にとって「楽な選択」をしそうになっているアナタヘ

「努力する」って大変だ。

どうして中学の部活はあれほどまでがむしゃらに頑張れたのか。どうして高校受験はあそこまで必死に自分を追い込んだのか。

その答えの一つに「目標が明確」「目標までの道のりが単純」という理由があるかもしれない。私自身、社会人になり、必ずしも明確な目標や道のりが提示されないことに戸惑う毎日だ。

しかし、人生は100年時代。これから先の長い長い人生は、まだまだ楽しいことばかりとはいかない。それでも、どうしても楽な道に流されてしまいたくなる時が、あなたに訪れた時、42歳になった今もなお泥臭く努力しつづける一人の男がいることを、ぜひ思い出してほしい。

佐久間 智之(Tomoyuki Sakuma)氏
佐久間 智之(Tomoyuki Sakuma)氏

元バンドマンから公務員へ転身し、町の広報誌をわずか4年で日本一に輝かせると、今度は自ら志願した株式会社モリサワへと出向している佐久間智之氏。公務員としては異色の転身を続ける彼は、何を思い、努力し続けるのだろうか。

やりたかったバンドに集中するために、大切にしたのは「プランニング」だった

佐久間氏が埼玉県三芳町に入庁したのは、2002年。高校生の時から「モテたい」一心で始めた野球もバンドも悉く玉砕していた佐久間氏だったが、話を聞いてみると進路は戦略的に決めていた。

「Jリーグ元年に野球部に入ったのが僕の第一のしくじり。バンド始めてギター弾いてたらモテると思ったのに、案外モテなくて第二のしくじり。(笑)でもそのうち、ギターそのものが好きになって、ギターで稼げるようになりたいと夢をみはじめましたが、22歳までにバンドで芽がでなければ諦めて公務員になることは最初から決めていました」(佐久間氏)

バンドマン時代の佐久間氏
バンドマン時代の佐久間氏

当時一般企業は就職氷河期時代。「勉強して働く先が見つかるのなら、頑張って勉強しよう」という気持ちが芽生えた佐久間氏は、公務員試験では25歳までを新卒として扱っていることを知り、2年間勉強し、24歳で公務員試験合格するという逆算プランニングを立てていた

埼玉県三芳町で公務員試験を受けたのは、超マニアックな自治体だったから

「結局、バンドマンとして日の目を見ることはなかったので22歳になった時、潔くバンドをやめ、そこから2年間毎日死に物狂いで勉強しました」(佐久間氏)

そして、当時地方自治体は1つしか受けることのできなかった公務員試験で、埼玉県三芳町を受けることに決める。

「1自治体しか受けれないのなら、倍率の低い超マニアックな自治体を受けようと思って、まずはインターネットで自宅近郊のHPがない自治体を探しました。その時見つけたのが三芳町だったんです」(佐久間氏)

HPがない自治体を受験する人は少ないだろうという佐久間氏の推測は、ある決定的な事実によってさらに信憑性を増していく。

「実は、私が数年前に都内から引っ越して住んでいた地域と三芳町は、隣町だったんです。都内に住んでいた私が知らないのだから、これはもう都内の人が知るわけないし、実家からも近かったので、三芳町を受けることに決めました」(佐久間氏)

「倍率が低い」という理由で受験した三芳町で、頑張る理由

無事三芳町に入庁し数年を過ごしていたある日、佐久間氏に大きな転機が訪れる。それは、マンションのポスト脇にあるゴミ箱に捨てられた広報誌。

「ゴミ箱に無造作に三芳町の広報誌が捨てられているのを見て、税金の無駄だなまちの大切な情報が届いていない、印刷費や人件費、配送費などのコストが無駄になっていると思ったんです。そして、広報誌は町の名刺。自分の町の名刺がダサいのは嫌だったんですよね」(佐久間氏)

その後庁内で広報担当の公募があり、佐久間氏は未経験者にも関わらず、迷わず広報担当に手を挙げた。

全て佐久間さんが広報担当になってから手がけた三芳町の広報誌
全て佐久間さんが広報担当になってから手がけた三芳町の広報誌

広報誌の制作費が全て税金から出ていることに着目した佐久間氏は、広報担当になった直後から、それまで外部に委託していたデザインやレイアウト、写真撮影などを全て廃止。佐久間氏は全て自らの手で制作すると決め、デザインから写真撮影まで一つ一つ独学で学んでいった。

努力もしないで境地に行こうとする考えが甘すぎる。今の自分があるのは、胸を張って言えるほどの努力をしたから

今ではファッション雑誌として本屋さんに並んでいてもおかしくないほど、おしゃれでスタイリッシュになった三芳町の広報誌。2015年に広報誌が「日本一」に輝いたばかりでなく、三芳町で暮らす8割の若者が愛読しているというから驚く。

「最近は、“もともとセンスのある佐久間だからできるんだろ” と言われることもありますが、僕が最初に手がけたデザインを見てもらえたら、わかるんじゃないかな」(佐久間氏)

「まずは、僕が広報誌を担当する前の「メタボ予防」についてのページ」(佐久間氏)
「まずは、これが僕が広報誌を担当する前の「メタボ予防」についてのページ」(佐久間氏)
「これが “三芳町の広報誌、全然イケてないだろ、こりゃ捨てられるわ” と思った僕が、広報誌を担当した直後に手がけたメタボ予防のページ。ほとんど変わらないですよね笑」(佐久間氏)
「続いて、これが “三芳町の広報誌、全然イケてないだろ、こりゃ捨てられるわ” と思った僕が、広報誌を担当した直後に手がけたメタボ予防のページ。ほとんど変わらないですよね笑」(佐久間氏)
「これが広報誌を担当するようになってから、1年間し続けて努力した僕が手がけたメタボ予防のページ」(佐久間氏)
「さらに、これが広報誌を担当するようになってから、1年間し続けて努力した僕が手がけたメタボ予防のページ」(佐久間氏)
「そしてこれは、広報を8年間行ってきた今の僕だったらこんな感じにするかなと思って手がけたメタボ予防のページ」(佐久間氏)
「そして、これは広報を8年間行ってきた今の僕だったら、こんな感じにするかなと思って手がけたメタボ予防のページ」(佐久間氏)

「見ていただいた通りなんですが、もともとセンスがあったわけではないと僕自身も思っているので、日々努力をしています。 “佐久間だからできるんだろ” という人に限って努力が足りていない方が多い。しっかりと努力もしないで、いきなり境地に行こうとする考えが甘すぎると思うんです。」(佐久間氏)

ここまで歴然とした紙面の違いを見せられては、ぐうの音も出ない。しかし、ここまで歴然とした結果が出るまでに、佐久間氏は一体どれだけの努力をしたというのだろうか。

「僕だって “ダサい” ところから始まっているんです。でも、初めてやることなんだから “ダサい” のが当たり前じゃないですか。ダサくて“無様”なものかもしれないけど、ボロボロになるまで頑張れば、無様が”生き様”になる重要なのは”ちゃんと努力する”のか”しないのか”。努力を惜しまなかった僕の”生き様”こそ広報みよしなんです」(佐久間氏)

今努力をし続けるのは、三芳町と日本を元気にするため。佐久間氏が次に目指すのは「働き方改革」

さらに佐久間氏は、広報誌づくりを通じて町のことをより深く知る中で、「自分の町の名刺がダサいのは嫌」から「町のことをもっと知ってほしい」に意識が変わり、1人でも多くの人に町のことを知ってもらえるよう、さらに努力を続けていった。

そして現在、佐久間氏はさらなる努力するために、自ら志願した株式会社モリサワへ出向中。三芳町に還元できるよう、民間企業の「売上へのシビアさ」や「PDCAに基づく営業戦略」について、日々刺激を受けながら働いている。

そしてその一方で、「日本の公務員1%の広報力が上がれば、日本は元気になる」という使命のもと、日本各地での講演会や本の執筆『パッと伝わる!公務員のデザイン術』*1なども行っている。

モリサワでの佐久間氏の仕事の様子
モリサワの社員として佐久間氏が行っている講演会の様子

「地域の方にも理解しやすいお知らせを作れば、地域の方が困って役場に電話をしてくることがなくなります。それは必然的に公務員の仕事効率をあげることに繋がり、働き方改革になる。広報力は仕事力だと思っています」(佐久間氏)

佐久間氏が三芳町の広報誌を担当し続けるという道も間違いなくあっただろう。そして、きっと慣れている三芳町の環境の方が佐久間氏にとっては、三芳町で広報を続けることの方が楽な道だっただろう。

それでも「三芳町のために」「日本を元気にするために」と、努力を惜しまない佐久間氏の楽しそうなキラキラとした姿が印象的な取材だった。

胸を張って言えるくらいの努力をし続ける。言葉にしてしまえば陳腐だが、そんな毎日を積み重ねていった先には、きっと私がまだ見たことのない、キラキラした自分が待っているのかもしれない。

*1 佐久間氏の著書:『パッと伝わる!公務員のデザイン術』
佐久間氏が自身の経験から作成した、公務員のためのデザインノウハウ本。具体例が多く、公務員でなくとも参考になる一冊。(収益の一部は三芳町に寄付されている)

これからも埼玉県三芳町の応援をお願いします!

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