前略、100年先のふるさとを思ふメディアです。

LOCAL LETTER

「地域にローカライズ」—— 飛騨高山の未来を描く CoLC・長瀬欣子が問い続けるものとは?

FEB. 24

GIFU

拝啓、地域への深い愛を胸に、新しい観光のカタチを創りたいと願うアナタへ

地域を大切にした観光の仕事に興味がある。
熱意をもった理念のあるローカル企業にキャリアチェンジしたいと思っている。

そんなアナタに、ぴったりな出会いの場をご用意しました。

地域を盛り上げる企業や自治体と出会い交流できるイベント、ローカルしごとフェス」を2025年3月2日(日)に東京・八重洲で開催します。

地域に根ざし成長する企業や変革する自治体が全国から一堂に会する、新しい出会いの場です。LOCAL LETTER を運営する株式会社WHEREが主催するこのイベントに、岐阜県高山市を中心に活躍する株式会社CoLC(コルク / 以下、CoLC)も出展します。

CoLC代表取締役の長瀬欣子(ながせよしこ)さんは、地域の文化や人々に光をあてる観光業が地元にローカライズされる仕組みを目指し、日々地域の観光と向き合っています。

そんな長瀬さんの想いを開催前に少しだけお届けします。長瀬さんの地域への深い愛とローカライズにかける想いはきっと、同じように地域に熱い想いをもつアナタをつないでくれるはずです。

株式会社CoLC代表取締役 長瀬欣子(ながせよしこ)氏 / 株式会社リクルートにて、宿泊施設のコンサルアドバイザーを経て、地域創生に係る部署で国や自治体・DMOの事業を担当するエリアプロデューサーに就任。19年間にわたり観光や観光地域づくりに携わったキャリアを活かして、出身地である飛騨高山にて2024年3月に株式会社CoLCを創業。個人では、飛騨の高校生と地域をつなぎ、未来につないでいく活動もおこなう。
株式会社CoLC代表取締役 長瀬欣子(ながせよしこ)氏 / 株式会社リクルートにて、宿泊施設のコンサルアドバイザーを経て、地域創生に係る部署で国や自治体・DMOの事業を担当するエリアプロデューサーに就任。19年間にわたり観光や観光地域づくりに携わったキャリアを活かして、出身地である飛騨高山にて2024年3月に株式会社CoLCを創業。個人では、飛騨の高校生と地域をつなぎ、未来につないでいく活動もおこなう。

創業1年目、CoLCの取り組みに込めた想い

国内外から年間460万人が訪れる観光のまち、岐阜県高山市。株式会社CoLCは、このまちで2024年3月に設立されました。

「『どんな会社?』と聞かれるとまだまだ手探りな部分もありますが、『地域にとって必要なことを、地域が主体となって事業を創造するローカルベンチャー』です」(長瀬さん)

CoLCの創業メンバーは、公認会計士であり、さるぼぼコイン(地域通貨)の創立者でもある古里圭史さん、酒蔵の代表でもあり岐阜県初のウイスキー専門蒸留所を設立した有巣弘城さん、東京・イギリス・高山の3拠点で活躍するデザイナーの早川和彦さん、ゲストハウス&銭湯の代表でかつ市議会議員の中村匠郎さん

そして、観光のプロフェッショナルである長瀬さん。全員が高山で別々の事業を持ちながら、地域からの厚い信頼を得ているメンバーです。

普段から高山の観光の未来について語り合う中で、ある時「待っていても何も変わらない。自分たちでやらなければ」という想いが一致し、CoLCを設立。

現在は、長瀬さんが株式会社リクルート(以下、リクルート)の社員時代から携わっていた、観光に関する行政案件や国の事業に取り組んでいます。

CoLCが今年度手がけた主な事業のうちの1つが、観光庁の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地 」事業。これは、訪日旅行における高付加価値層の旅行者を、大都市圏から地方へと誘致する取り組みで、高山市は長野県松本市と合わせて、全国14地域(2024年時点)あるモデル観光地の1つに選定されています。

「海外の高付加価値なお客様を受け入れるにあたって、飛騨高山の本質を体験できるコンテンツ開発や販路形成、地域課題を調査・整理した上での実証事業などを企画運営しています」(長瀬さん)

また、高山市独自の事業でオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取り組みとして、観光客のマナー啓発のあり方を根本から見直しました。

 多くの観光地では『〜してはいけません』という禁止事項を並べた看板をよく見かけますが、そういった啓発で本当に効果があるのでしょうか

そもそもの文化の違いや、モラルの問題などが複合する中で『No!』を伝えることがまちのメッセージとして正しいのか。それを伝えることで解決するのか。では、高山らしい方法は何かを、原点から考え直しました」(長瀬さん)

そこで生まれたのが「with Respect」というコンセプト。「Care for Locals, Environment and Tradition:地元の人(の生活)、環境、伝統を大切に」という理念のもと、禁止事項を並べるのではなく、この地域の大切なものを共に守り、育むという姿勢を打ち出しています。

観光客も地元の人も過ごしやすいマナーを啓発するため市内に掲示されている。(報道資料より)
観光客も地元の人も過ごしやすいマナーを啓発するため市内に掲示されている。(報道資料より)

「観光のトレンドがこうだから同じような対応をすればいいのか、飛騨高山というまちにとっては何がふさわしいのか。その視点で、あらゆることを根本から考え直し、提案していくのが私たちの役割だと考えています」(長瀬さん)

国や行政の事業に取り組みながら、同時に目指しているのが飛騨高山のまちや地元に暮らす人の利益となる仕組みづくり。

「国の事業に実際に取り組めるのは資本やリソースがある大手企業が多いと感じています。ほとんどが年度事業で、予算が終われば事業も終わり。結果、お金が地域の外に流れていき、ノウハウも残らない。地域の人の企画力や運営力が育ちにくいなど、キャリアやスキルアップにつながらないのが現状です」(長瀬さん)

そんな課題に応えるために、CoLCが掲げているのが「ローカライズ」という考え方です。

地域が主体的に観光を作っていくこと。

観光は目的ではなく、豊かな地域を形成するための1つの手段でしかありません。住民が観光に対して何ができるかではなく、住民のために観光で何ができるかを問うべきだと考えています。

 私たちが目指すのは、この地域の人々が自分たちの手で未来を作っていけるような仕組みづくり。それこそが、本当の意味でのローカライズだと考えています」(長瀬さん)

株式会社CoLCのホームページに掲載された「About us」。
株式会社CoLCのホームページに掲載された「About us」。

思いがけない出会いから始まった観光のキャリア

長瀬さんは、長年観光業に携わるプロフェッショナルの1人ですが、キャリアの始めから観光業に就いていた訳ではありませんでした。

元々、産婦人科で働いていた長瀬さん。命の誕生に携わることができる唯一の場所で、“人生の転機”を迎える場でもあり、大好きな仕事だったそう。しかし、シングルマザーになったことをきっかけに産婦人科での仕事をやめ、地元の高山に帰ることに。

高山の古い街並み
高山の古い街並み

「当時高山市内には産婦人科が1つしかなく募集もなかったので、子どもを育てることを優先に仕事を探しました。10社くらい受けましたが、1社も採用されなくて…。面接で『お子さんが熱を出したらどうしますか』と聞かれていたのを思い出します。当時は母子家庭が珍しかったのか、それも不採用の理由の1つだったのかもしれません」(長瀬さん)

そんな時に見つけたのが、リクルートによる「じゃらん」の現地スタッフの募集。

「面接会場にはビシッとスーツを決めた人たちが60人くらい居て、すごく格好良く見えたんですよ。対する私はもう母子家庭でボロボロ状態でした。そんな状態でしたが、縁あって採用していただくことになり、観光業のスタートになりました」(長瀬さん)

19年にわたる観光関連のキャリアは、当時1歳だったお子さんの成長と共に歩んできた道のりです。

「観光業は裾野が広く、型がない仕事だと思います。地域に必要なものを分析して企画しないと進まないし、人材育成業務やPR業務をすることもあります。地域の課題を把握して、地域の方と一緒にゼロから事業設計することが多いです。型にはめられるのが苦手な私にとって、この仕事は合っていたのかもしれないですね」(長瀬さん)

問い続ける「そこに愛はあるのか」

飛騨高山で真摯に観光業に向き合ってきた長瀬さんが、仕事をする上で一番大切にしていることは「信頼」。

地域の方や企業との信頼関係が大事だと思っています。私たちはこのまちに暮らし、家も家族もここにある。ある意味『逃げれない環境』の中で地域と向かいあう仕事を選択するということは、そこに『双方の信頼』がなくては、何も成り立たないと思っています」(長瀬さん)

長瀬さんやCoLCの取締役が地域の方や企業と信頼関係を構築していくために、大切にしている言葉がありました。

そこに愛はあるのか—— CoLCの経営陣が常に自らに問い続けるこの言葉です。

「地域への愛情がないと、仕事においての判断を誤ってしまったり、地域との信頼を欠くことにもつながってしまったりする。それによって成果も変わると思います。経営陣もみんなことあるごとに言ってますね、『そこに愛はあるのか』と」(長瀬さん)

CoLC創業メンバー。高山に関わる事業をしている人々が集まっている。
CoLC創業メンバー。高山に関わる事業をしている人々が集まっている。

その先の未来へ、新しい仲間と共に描く高山

「私自身は、頭が切れる訳でも、他のメンバーのような実績がある訳でもない。けれど、代表が欣子さんでよかったと言ってもらえるんです。

地方に行けば行くほど、どの業界もまだまだ男性社会で、気が付けば、会議はいつも男性ばかりで女性は私1人。それでも女性だからできることもあると信じて、地域と向き合ってます」(長瀬さん)

 笑顔でそう語る長瀬さんは、個人的な活動として、飛騨の高校生と地域をつなぐ活動の支援にも携わっています。

高山では高校卒業後、約88%の若者が地域を離れていきます。持続可能な地域を考えたとき、若者の流出による人口減少は避けられない課題です。

でも、私は若者が外に出ることを否定的には考えていません。むしろ、外の世界で様々な経験を積んでほしい。ただし、地元を離れる前に、この地域への愛着と誇りを育んでほしい。都会での暮らしの中で、ふと地元のことを思い出すような、そんなきっかけとつながりを作りたくて」(長瀬さん)

長瀬さんがボランティアとしてサポートしている高校生市民団体MAPのイベントにて。画像左下、花束を持つのが長瀬さん。
長瀬さんがボランティアとしてサポートしている高校生市民団体MAPのイベントにて。画像左下、花束を持つのが長瀬さん。

長瀬さんは高校生たちと共に、高校生と地域をつなぎ、地域の未来へとつなげる企画運営に取り組んでいます。その活動は、CoLCが掲げる「訪れる人も、暮らす人も憧れる地域」にも通じています。

 地域の未来は、そこに暮らす人々の愛と誇りがなければ作り上げていけませんだからこそ、若い世代と共に、この想いを育んでいきたいと思います」(長瀬さん)

 その想いは、新しい仲間探しにも反映されています。CoLCにとって、今回の「ローカルしごとフェス」が初めての求人イベント出展。

 「新しく一緒に働くパートナーにも、この地域への深い愛情を持っている方と出会いたいですね。この地域の未来は、ここに関わる人々の想いでつくられていく。だからこそ、新しい仲間とともに、もっと多くの可能性を見つけていきたいと思っています」(長瀬さん)

そんな長瀬さんと実際にお会いして交流できる機会、「ローカルしごとフェス」。
3月2日(日)に東京ミッドタウン八重洲Potluckで、長瀬さんを始めとするローカルに深い愛を持つ企業や自治体が一同に介すイベントを開催します。

現地に直接行くという壁を取り払い、一度に多くの企業や自治体の方々とつながることができる初めての試みです。地域に興味のある人から、本格的に求人を探す人にとっても、きっと人生の転機になる一日になるでしょう。

ローカルに興味があるけれど一歩踏み出せないアナタや、地域に住む女性ならではの生き方やキャリアに悩むアナタ。

背中を押すきっかけとなるかもしれません。長瀬さんも、そんなアナタに出会えるのを楽しみにしています。

お申し込みはこちらから!(事前申し込み必須)
開催間近のため、お申し込みはお早めに。

Editor's Note

編集後記

飛騨高山と、まちに暮らす人々に対して、底知れぬ愛情と誇りを持つ長瀬さん。地域愛と誇りを育み、地域の人と文化に光をあてる仕事をする真摯な姿勢に憧れを持ちました。ぜひ会場でお会いして、その熱意に触れてみませんか?

シェアしてローカルしごとフェスを応援しよう!

シェアしてローカルしごとフェスを応援しよう!

シェアしてローカルしごとフェスを応援しよう!

Related
Articles

あわせて読みたい

LOCAL LETTER Selection

LOCAL LETTER Selection

ローカルレターがセレクトした記事