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LOCAL LETTER

旅するライターが二拠点生活を決断。観光地が居住地になったワケ

JUN. 29

拝啓、旅するように働きながらも、安心して暮らせる場所がほしいアナタへ

※本レポートはランサーズ株式会社様主催で開催された『フリーランスが8ヶ月検証した「新しい地方創生」報告会』で行われたトークセッションを記事にしています。

ここ数年で、働き方の多様性が生まれてきました。リモートワークが可能な仕事であれば、旅をするように暮らすことも。

そんな中、旅するように暮らす生き方を後押しするように、月額料金を払うことで、全国にある滞在拠点を自由に利用できるサービス『Living Anywhere Commons*1(以下、LAC)』が注目を集めています。

今回のセッションでは、LACの千葉県館山市拠点でコミュニティマネージャーを務める北村亘さんと、そこを拠点のひとつに活動をしているHarukiさんが登壇し、「観光が『会いに行く』に変わる」をテーマに、それぞれの経験を語りました。

*1 Living Anywhere Commons…LIFUL株式会社が運営する月額料金制の滞在拠点提供サービス。

旅をストップしてでも、暮らしたかった。旅するライターが、二拠点生活に切り替えたワケ

シモカタ氏(モデレーター。以下、敬称略)第1部のテーマが「観光が『会いに行く』に変わる」ということで、二人のゲストに来ていただいております。早速Harukiさんにお伺いしたいのですが、実際今はどういう暮らし方をされているんですか。

Haruki氏(以下、敬称略)2022年8月からLACを使い始めて、千葉県館山市を訪れたのが10月です。そこで旅をストップさせて、今5ヶ月間ほど千葉県内の自宅と館山で二拠点生活を送っています。1ヶ月のうち3週間ぐらいは館山にいて、後1週間ぐらいは自宅に戻るという生活を送っています。

Haruki 氏 ライター / 館山にて期間限定カフェの運営や、焼き芋販売の売り子、LAC館山公認アンバサダーなど活動の幅を広げている
Haruki 氏 ライター / 館山にて期間限定カフェの運営や、焼き芋販売の売り子、LAC館山公認アンバサダーなど活動の幅を広げている

シモカタ旅を始めようと思ったきっかけは、どんなことだったんですか。

Harukiきっかけは、新しい働き方LAB*2でLACの企画をやっていたことがありまして。その企画内でLACのコンセプトでもある「場所にとらわれない生活」がどのような変化をもたらすのか、という実験をやっていたんです。それがきっかけで旅を始めました。

旅を始めるときに「どこを回ろうかな」と考える中で、「海が好きだから海の近くを回ってみよう」と思って、沖縄から旅をスタートさせました。

*2  新しい働き方LAB…ランサーズ株式会社が運営するフリーランスのための全国共創コミュニティ。

シモカタ:なるほど。海が綺麗な地域を何ヶ所か回っていて、館山にたどり着いたんですね。

館山で旅がストップしたとお話しされていましたが、そのきっかけはどんなことだったんですか。

Haruki一番は地域の方との交流が広がったことですね。最初に館山に訪れたときに、LACのコミュニティマネージャーである北村さんが、地域の方との飲み会やまちづくりセミナー、講演会に連れてってくださったりして。それで「館山っていいとこだな」と思ったんです。

「また館山の人たちに会いたいから、館山へ行こう」と思って、長期滞在を繰り返しているうちにどんどん抜け出せなくなってました。

シモカタなるほど。ということは、北村さんにいろいろと巻き込まれた結果、気づいたら「あれ、私ここ好きじゃん」ってなってた感じですかね。

受け入れ地域のコーディネーターとしての心構え。地域内外を繋げるコツ

シモカタHarukiさんに館山の魅力を伝えた北村さんにも話をお伺いしていきます。北村さんは、旅で初めて館山に来た人とどう関わるようにしていたんでしょうか。

北村氏(以下、敬称略)LAC館山のコミュニティマネージャーとして、お越しいただいた方には、ある程度フラットな立ち位置でお話しながら、その人の求めている仕事、趣味、自然環境のボリュームをヒアリングし、それぞれ相手に合わせてコーディネートしています。

北村 亘 氏 館山市地域おこし協力隊/豊かな館山の魅力を伝えるべく貸別荘k'sVillageを運営。
北村 亘 氏 館山市地域おこし協力隊/豊かな館山の魅力を伝えるべく貸別荘k’sVillageを運営。

北村Harukiさんは海辺を旅しながら、自分自身に合う環境を探していたのと、刺激を受けながら仕事してみたいとお話しされていたので、少しコアな館山を紹介しようと、まちづくりセミナーや地元の方の飲み会にもお誘いしました。

シモカタHarukiさんは地元の方と関わるようになって、何かしら心境の変化がありましたか。

Harukiそれまでもいろんなところへ行っていましたが、まちの方と仲良くなれた実感を持ったのは館山が初めてでした。

例えば2回目に会ったときに顔や名前を覚えてくれているという些細なことなんですが、「自分を受け入れてくれた」感覚があって、「また来たい」って思いましたね。

シモカタHarukiさんは期間限定のカフェや焼き芋販売の売り子など、まさに地元の方とお仕事されてますよね。

Haruki地域の方からお声がけいただいたり、北村さんをお手伝いしたりしています。最初は自信がなかったんですけど、声をかけてもらえることなんて、この先一生あるかわからないから挑戦してみようと。

シモカタいいですね。ライターとは全く違う仕事だと思いますが、やってみていかがですか。

Harukiすごく楽しいです。新しい挑戦をさせてもらえることがありがたいですね。

シモカタ今のHarukiさんの話からも、Harukiさんと地元の方との関係性が出来上がっていることを感じます。北村さんはどういうことを大切にされて、地域内外の人たち同士の関わりをサポートされているんですか。

北村Harukiさんに関して言うと、僕の知らないところでお食事のお誘いを受けていることもあって、僕自身がびっくりしています。最近は、Harukiさんが拠点にいない率がどんどん高くなってるんですよね。コミュニティマネージャーとしては嬉しい反面、寂しさもあるんですけど。

でも必ずしもHarukiさんみたいに受け入れられるか、自分で積極的に飛び込めるかっていうと、そうではない方もたくさんいるだろうなとは思っていて。僕の立ち位置としては、それぞれの人に合わせて、紹介する先の雰囲気やバリエーションをうまくハンドリングしてあげたいなと思っています。

シモカタつまりいろいろな価値観の持ち主がいると考えたときに、一辺倒に「こうしよう」ではなく、「この人にはこの人を紹介しよう」とか「こういうことをやってもらおう」と、柔軟に調整をされているということですね。

シモカタ実際に人ぞれぞれ個性や相性がある中で、北村さんはどんなことに注意して人と人を引き合わせているのでしょうか。

北村僕はLACのコミュニティマネージャーの中でも最年長に近いと思うんですが、だからこそ話しやすい部分と話しにくい部分は絶対あるだろうと思うんですよね。

上司と部下みたいな関係になってしまうのは嫌なので、僕以外のフィルターをかけて、違う人とのコミュニケーションからヒントをいただくことは大切にしていますね。

例えば同年代のユーザーさんを繋ぐことで、本音トークをしてもらった上で、その話の内容から紹介する人を考えることもあります。

シモカタ視点を多角的に持つということですね。

地域に深く関わるには「コミュニケーションへの慣れ」と「興味のかけ合わせ」が重要

シモカタ少し話を戻すと、元々Harukiさんは「海に行きたい」という観光的な要素で地域に足を運んでいたと思うのですが、この観光地が二拠点地域として暮らす場所になった背景ってどんなところにあったのでしょうか。

Haruki一番は人とのコミュニケーションに慣れたっていうのが大きいのかなと思っていて。私、元々は1日10時間ぐらい机に向かうひきこもり系ライターで、一日誰とも話さない状況がずっと続いていたんです。それもあって人と喋るのが苦手だったんです。

でもLACを使い始めて館山に来ていろんな方と話しているうちに、人と話すのってすごく楽しいなって思えてきて。そこから、その場で話すだけじゃなく、少し足を伸ばしてお手伝いとかご飯にも行くようになって、それがさらに楽しかった。どんどんまちの人と仲良くなっていってる実感が持てて自信にもなったので、やっぱり、まちの人との繋がりができたことが私にとっては大きいなと思います。

シモカタそうやって実際に足を運ぶ理由が増えていくと、まちと関係性ができていって、気づいたらそれはもう旅じゃなくなるのかもしれませんね。実際にHarukiさんを見ていた北村さんからの視点ではどうでしょうか。

北村Harukiさんは本当に人の繋がりの中で、どんどん変わってきていると思いますね。最初にお会いしたときは、「何を求めて来たの」と聞いても、「海が好き」とか単語ベースのお話が非常に多かったんですが、一緒に地域に足を運んでいくうちに本音ベースで話をしてくれることも増えてきて。Harukiさん自身が、自分なりに楽しめるものややりたいことが見えてきたんだろうなと思いました。

シモカタ北村さんとHarukiさんや、まちそのものがお互いに刺激しあって変化が起こって行ったんですね。

北村お互いの興味の掛け合わせだなと思います。単発的に「あそこに食べに行ったらいいよ」よりも「食べに行くならあそこがいいよ。あそこはどこそこで肉を仕入れていて、館山はジビエで有名でね」と連想ゲームみたいに、掛け合わせでいろんな魅力を伝えられると、Harukiさんにもコミュニケーションのネタがどんどん増えて、いろんなところと話ができるようになるんですよ。

シモカタなるほど。それこそ館山の魅力が海だったところから、海とジビエになって、海とジビエとそのジビエを一緒に食べる人が現れて、、、とどんどん魅力がが接続されていって、関係性の繋がりが強固になっていくイメージですね。

地域にも人にも個性や相性があるからこそ、自分自身に合った場所を自由に探してほしい

シモカタ最後にHarukiさんに「これからどんなふうに過ごしていきたいと思っていますか」とお聞きしたいです。

Haruki私は、館山で楽しいことをどんどんやっていきたいと思っています。

具体的なことは決まっていないんですが、私が憧れている人たちはみんな共通して本人が楽しそうなんですよね。本人の楽しさが伝染して周りにいる人たちも楽しそうな状態が生まれている。だから私も、自分が楽しむことで周りの人も楽しませられるような人になりたいなって思っています。

シモカタ館山に関わる前と後で、だいぶ生き方も変わったんですね。

Harukiそうですね。だいぶ変わりました。以前までは仕事は我慢するもの、しっかりしなきゃという思いが強くて。自分を追い込みがちだったんですけど、今はいろんな価値観に出会って、もっと自由に生きていいんだと思えたことで、いい意味で肩の力が抜けていると感じます。

シモカタ北村さんにも最後にお伺いしたいんですが、実際に館山を好きになって、二拠点生活を始める人が生まれたわけですが、今後やりたいと思うことはありますか。

北村僕自身も埼玉県出身で、東京でサラリーマンをしていた経験があります。館山市に住みはじめた理由は、海も含めての自然に惚れ込んだからなので、僕自身がすごく好きな土地の要素を、来ていただいた方にもおすそ分けしたいという気持ちがあって。

例えばHarukiさんみたいに、どっぷりハマってくれる人がいるのも嬉しいんですが、必ずしもハマる人ばかりではないし、人によってハマり加減も違って当たり前だと思っています。

でも人それぞれに合わせた魅力提供が僕にはできるので、今までもこれからも館山に来てくれた方が館山の魅力を十分に感じていただけるような橋渡しをすることが、僕のやりたいことですね。

シモカタお二人ともありがとうございました。

Editor's Note

編集後記

Harukiさんのような二拠点生活に憧れがあります。現在住んでいる遠野市の仕事と並行して、地元の山梨を盛り上げる仕事も挑戦したいなと思っています!

館山市をシェアで盛り上げよう!

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